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第四話「盗まれたウルトラゼロアイ」


ウルトラマンゼロの使い魔
第四話「盗まれたウルトラゼロアイ」
宇宙ハンター クール星人
宇宙怪獣エレキング
カプセル怪獣ウインダム
双頭怪獣パンドン
変身怪人ピット星人 登場



 虚無の曜日。それは地球文明の日曜日に当たる週の休日であり、トリステイン王国のブルドンネ街は
休みを利用して買い物に出たり、その買い物客を自分の店に招こうと声を張り上げたりしている人たちで
賑わいを見せていた。
 だがその平和の光景は、たった一瞬で破られた。突如空から、見えない何者かの攻撃が街を焼き、
同時にハルケギニアにおいて初めて街中に出現した怪獣エレキングが猛威を振るい出したのだ。
あまりに突然なことの上、怪獣災害を経験したことが一度もないトリスタニアの民はどうすればいいのか分からず、
ただただ逃げ惑うばかり。
 しかし危機が訪れているのは城下町だけではなかった。その中央の、トリステインの王宮でも今、
施政者たちに、彼らが全く経験したことのない事態が牙を剥いていた。

 このところの王宮では、連日のように臨時会議が開かれていた。議題は、トリステイン魔法学院に初めて出現して以降、
各地に出没するようになった、本来この世界には存在しない超巨大生物「怪獣」への対策。ウルトラマンゼロが
出現するそれらを片っ端から退治しているのだが、現れてすぐという訳にはいっていないので、既に国の財政に
打撃を与えるほどの被害を出している。他国でもトリステインと同様に緊急対策会議が開かれているというが、
トリステインの場合は、ただでさえ国力が低下傾向にある国。古いばかりで中身のない伝統にこだわり過ぎる頑なな
保守派が政治の中核を成しているので、どれだけ議論し合っても結局は何も決まらずに時が過ぎるばかり。
 虚無の曜日の今日でさえ、徒労に終わりそうな会議が進行していたのだが、その途中でいきなり、
どこから発信されたのか不明な虚像が議場に乱入してきたのだ。しかもその虚像の姿が、トリステインの誰も
見たことがない未知の姿であったために、会議に集まった王侯貴族と軍の将校たちの間に軽い衝撃が走った。
『ハルケギニア人の諸君に告ぐ。即座に武装解除して、我々クール星人と宇宙人連合に全面降伏せよ』
「な、何だ、この生き物は……!?」
 ハルケギニア世界には人間と敵対するエルフを始めとして、様々な亜人種が存在する。
だが今彼らの前の生物は、そのどれとも違っていた。それどころか、しゃべっているところを
見ていなかったら知的生物であることも信じられないような、虫に似た姿なのだ。
 この宇宙人は、地球を狙う様々な侵略者と戦ったウルトラセブンが最初に関わった事件の首謀者である
残酷無比な宇宙人、クール星人である。
「クールセイ人とやら。あなたの言うウチュウジン連合というものが、今の街の惨状を引き起こしているのですか?」
 貴族たちが驚きのあまりに言葉を失っている中で、トリステインの代表として努めて毅然な態度を取って
クール星人に臨む者が出た。トリステイン国王崩御後、太后マリアンヌに代わって王国の象徴となった
アンリエッタ王女である。
 そのアンリエッタの問いかけに、クール星人は淡々と肯定を返す。
『如何にもその通りである。攻撃しているのはこの土地だけではない。今この瞬間に、
ロマリア、ガリア、ゲルマニアの諸国――我々からすれば、どれも「国」と呼ぶのもおこがましいような
ちんけな集落だがな――の首都も別働隊が攻撃しているのだ』
「!? 何と恐ろしいことを……。どうやら目的はハルケギニア中の国家の征服のようですが、
これほどの事態を引き起こすあなた方は一体何者なのですか? ロバ・アル・カリイレから来たのですか?」
『教えたところで、お前たちの下等な文明では理解することすら出来まい』
 クール星人への驚きのあまりに呆然としていた貴族たちだったが、相手の傲然とした言動にだんだんと腹を立てていた。
貴族の方も高慢な性格の人間が多い。そのため、相手が未知の存在だろうと、見下されるのは許容しがたいのだった。
「貴様! 黙って聞いていれば、偉大なる始祖ブリミルがもたらされた魔法を扱う、高貴なる血統の
我々に対して何たる口の利き方! どこから幻影を届けているかは知らぬが、あまり図に乗っておると、
我らの魔法で滅してくれようぞ!」
 とうとう貴族の一人がこらえ切れずに噛みついたのだが、クール星人は恐れるどころかあからさまに馬鹿にしてきた。
『お前たちハルケギニア人なんて、我々から見れば昆虫のようなもんだ!』
「なぁッ!?」
 これほどの侮辱を受けたことは、この場にいる誰もがなかった。そのため一斉に怒りを覚えて、
一部の者は腰を浮かしかける。
 だがそれを制するように、クール星人が言葉を続けた。
『これを見るがよい!』
 虚像が見せる映像がクール星人の姿から、全く見慣れない空間でなす術なく漂わされている人々の様子に切り替わった。
『た、助けてくれー!』
『誰かぁー!』
「この人たちはまさか……トリステインの民!?」
『如何にもその通り! 我らクール星人が夜な夜な拉致して、人質としたのだ!』
 アンリエッタの叫びを肯定するクール星人。人質は老若男女、様々な人間で構成されており、
マントを羽織った貴族までがまぎれていた。これには議場の全貴族がひるむ。
『まずは一番の小国の首長から回答を求めよう。どうだね? 彼らの運命は、君たちの返事で決まる。
さぁ、すぐに答えるんだ。全面降伏に応じるか?』
 クール星人は大勢の人質の命を盾にして、アンリエッタに返答を強要する。
 皆が固唾を呑んで見守る中、アンリエッタは答えた。
「お断りします! 仮にも一国を預かる身として、このトリステインを売り渡すことは出来ません!」
 それを聞いたクール星人の虚像が薄れていく。
『愚か者め! お前が選んだのは滅亡の道だ! すぐに思い知る……!』
 との言葉を残して、完全に消え去った。
「た、大変なことになった……!」
「このような事態は、全く前例がありませんぞ……!」
 クール星人の虚像が消え去ると、議場の貴族たちは突きつけられた事態に大いにざわつき出した。
その中で、将校が血気に盛って主張する。
「あんな化け物を横行させてなるものか! すぐに軍を動かして一匹残らず駆逐するべきですぞ、姫殿下!」
 そこに貴族の一人が待ったを掛ける。
「しかし奴らには、我らと同じトリステイン貴族が囚われていますぞ。それを見殺しにするというのは、いささか……」
 彼が気に掛けているのは人質の命ではなく、貴族の命だけであった。その思考にアンリエッタは嫌悪感を覚えるが、
表には出さなかった。
「殿下、如何なさいましょうか? 重い決断をお委ねしますが……」
 彼女の側に控える、実質的なトリステインの宰相であるマザリーニ枢機卿が問いかけると、
アンリエッタは辛そうに悩んだ末に、答えを出す。
「……非常に心苦しいことですが、何よりも護らなければならないのは、このトリステインという国。
人質を救出する手立てがない以上、しなければならないことは、侵略者の撃退です」
 その言葉を聞いたトリステイン軍大将のド・ポワチエは席から腰を浮かした。
「では、すぐに魔法衛士隊を出動させましょう! トリスタニアはこうしている間にも化け物どもの攻撃を受けております! 
何、衛士隊の全兵力を以てすれば、たとえ敵が何者であろうと関係なし……」
「待たれよ!」
 今にも飛び出していきそうな勢いのポワチエを、マザリーニが呼び止めた。ポワチエは小さく舌打ちして向き直る。
「何ですかな、枢機卿!? 事態は一刻を争うのですぞ!?」
「それは重々承知済みだとも。しかしながら、巨大生物はともかく、空から攻撃を加えているものは
姿が視認できないとの報告が入っておる。見えざる敵と、どうやって戦うおつもりか?」
「そ、それは……」
 マザリーニの質問に、ポワチエは言葉に詰まった。何も考えがなかったようだ。
 しかし問いかけたマザリーニの頭の方に、対策が用意されていた。
「軍には、どれだけの量の塗料がおありかな? 少ないようでならば、王宮か、街からかき集めるとよろしいだろう」
「は? 塗料?」
 急に出てきた言葉に、議場の一同は呆気にとられた。そのためマザリーニはどういうことか説明をする。
「敵の正体は不明だが、実体がないということはないであろう。見えぬのならば、こちらから色を塗ってやればいいこと。
目印があれば、互角に戦えるであろう」
 マザリーニの作戦に貴族たちは大いに感心する。
「なるほど! この短時間で的確な対応策を考えつかれるとは、さすが枢機卿!」
「ではすぐに手配させましょう! 大至急!」
 直ちに見えない敵への用意が整えられ、大量の塗料が入った樽を乗せたグリフォン、ヒポグリフ、
飛竜などの空飛ぶ幻獣を扱う魔法騎士たちが飛び立っていく。
「よし、作戦開始!」
 上空まで上がると、樽から塗料を放って、それを風のメイジが旋風を起こすことでトリスタニアの空一面へ広げていく。
果たして作戦は成功し、赤い塗料が付着して侵略宇宙人たちの二本の突起が突き出た形の円盤が浮かび上がってきた。
「姿が見えたぞ! 攻撃開始だ!」
 それを合図として、騎士たちは一斉に円盤や地上のエレキングへ攻撃を仕掛けていく。
炎、氷、風、鉄の刃が敵に降り注がれる。
 だが上手く行っていたのはそこまでであった。怪獣であるエレキングはもちろんのこと、
果てしない宇宙を旅して大気圏突入の摩擦熱に耐える機体の円盤には、ほとんど損傷を与えられなかった。
精神力を振り絞っても、良くて煙を上げさせる程度に留まる。
「そ、そんな馬鹿な!? 一体何で出来ているのだ、こいつらは!?」
 それとは対照的に、円盤は光線一発で騎士を撃ち落としていく。
「ぐわああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
「キイイイイイイイイ!」
 エレキングも口から放電光線を放って、騎士たちを感電させて撃墜する。
「ぎゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
「こんなことが……我々の力では、この化け物どもに敵わないというのか……!? 神よ……!」
 なす術なく落とされていく仲間たちの姿を見せつけられる騎士の一人が、無力感を覚えて神に祈った。

「きゃああああぁぁぁぁぁぁぁぁ! 助けてぇぇぇぇぇぇぇ!」
「私の家があああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「うえーん!! ママー!!」
 円盤からの攻撃とエレキングの蹂躙で、家屋は次々と潰されていき、街が破壊されていく。
地獄絵図とはこのことだった。
 その中で、怪しい女にウルトラゼロアイを奪われた才人たちは大いに慌てふためいていた。
「ま、まずいッ! あれがないとウルトラマンゼロになれないんだ! よりによって、今スリに遭うなんて!」
「どーするのよぉ! ゼロがいなくちゃ、あの怪獣たちを倒せないじゃない!」
 パニック状態の才人とルイズを置いて、ゼロとデルフリンガーは交互に発する。
『今の女、ただ者じゃねぇな。俺が全く気配に気づかなかった。それに最初からウルトラゼロアイを狙ってた。
動きに迷いがなかったからな』
「ただ者じゃねーってのは同感だ。今の奴、丸で感じたことのない気配だったぜ。本当に人間なのか?」
「何悠長に語り合ってるのよぉ! このままじゃトリステインは全滅なのよ!?」
 ルイズが怒鳴ると、ゼロがなだめるように声を出す。
『落ち着け! 当然取り返しに行くぜ。才人、俺が指示するからお前はその通り走ってけ!』
「お、おう!」
「その間、敵はどうするのよ!?」
 と聞いたら、ゼロは何故か不敵に笑った。
『何、実はこういう変身できないような不慮の事態に陥った時のためにと、親父が貸してくれたものがあるんだ。
才人! この箱からカプセルを出すんだ!』
 ウルティメイトブレスレットから銀色の小箱が出てきて、才人が蓋を開くと、中に三つのカプセルが収まっていた。
その内の黄色いカプセルを取り出す。
『それをエレキングの方向へ向かって、大きく投げ飛ばせ!』
「分かった! とりゃあぁぁー!」
 指示通りにカプセルを全力で投げ飛ばす!
 するとカプセルの飛んでいった先の、瓦礫の山と化した区画に渦巻く光の線が浮かび上がると、
その中央に額の赤いランプが目立つ、銀色のロボットのような怪獣が出現した!
「グワアアアアアアア!」
「きゃあッ!? ま、また怪獣が現れたわよ!?」
 ルイズは半狂乱になるが、才人はその怪獣に見覚えがあった。最後の怪獣頻出期の防衛チーム、
GUYSジャパンが「マケット怪獣」としてあの怪獣を使役していたという。
「あれはまさか……ウインダム?」
『その通りだ! 親父から借りた俺たちの味方、カプセル怪獣だ!』
 ゼロが意気揚々とウインダムの紹介をした。

「何!? 新たな怪物が……もうトリステインはおしまいなのか!?」
 生き残っている魔法衛士隊の騎士がウインダムの出現を目の当たりにして、思わず叫んだ。
その彼に、光線を発射しようと構えている円盤が接近してくる。
「はッ!? しまった!!」
 ウインダムに気を取られたことで、回避する暇がない。やられる――そう思った時、
「グワアアアアアアア!」
 ウインダムは額のランプからレーザーを発射して、騎士を狙っていた円盤を一撃で粉砕した。
「なッ!? あの奇怪な飛行物体を攻撃した……。敵じゃないのか?」
 騎士の疑問を肯定するかのように、エレキングがウインダムの方へ向かっていって攻撃を加える。
「キイイイイイイイイ!」
「グワアアアアアアア!」
 二大怪獣が正面から激突し、取っ組み合って殴り合う。その肉弾戦は、皮膚がまさしく鋼鉄であるウインダムに分があった。
「キイイイイイイイイ!」
 殴り合いに負けたエレキングがつんのめる。するとウインダムはエレキングの尻尾を捕らえて、
怪力を発揮して振り回し始める!
「グワアアアアアアア!」
「キイイイイイイイイ!」
 ジャイアントスイングされるエレキング。ブンブン振り回された末に、一軒の商店の上へ落とされそうになる……。
「わあああぁぁぁぁぁぁ! わしの店ぇぇぇぇぇ!」
 商店のオーナーが悲鳴を上げるが、押し潰される寸前にエレキングはピタッと止められ、
反対側の瓦礫の山に叩きつけられた。
「キイイイイイイイイ!」
「グワアアアアアアア!」
 ウインダムはうつ伏せ状態のエレキングに馬乗りになり、ガシガシと腕を振り下ろして後頭部を殴り出した。

 ウインダムがエレキングと格闘している間に、ゼロは才人に指示してカプセルの入った箱をルイズに手渡させる。
『ウインダムのことはルイズ、お前が見ててくれ。俺と才人はゼロアイを取り返しに行ってくる!』
「ええぇぇ!? 見ててって、どうすればいいの!?」
『危なくなったら、カプセルに戻してくれ。「戻れ!」って念ずるだけで手の中に戻ってくる。
じゃ、行くぞ才人!』
「ああ! 頼んだぜルイズ!」
「あっ、ちょっとぉ!」
 説明もおざなりに、才人はルイズをその場に置いて駆け出して行ってしまった。
「ゼロ、盗人がどっちに行ったか本当に分かるのか!?」
『ああ、気配はちゃんと感じる――』
 ゼロの超感覚を頼りに入り組んだ路地を走っていく才人だったが、その行く先の空に、
八角形の円盤が街中から飛び上がるのを目撃した。
「え、円盤だ!!」
「うぉッ! 何だあの空飛ぶ皿みたいなもん! あんなもん見るの初めて――いや、遠い昔に見たような気がしなくも……」
 デルフリンガーが何か言っていたが、気にしている暇はなかった。ゼロがこんなことを言い放ったからだ。
『ヤバいぜ! ゼロアイを奪った奴は、あの円盤の中だ!』
「何だって!?」
 その台詞に才人がまたも慌てる。相手が地上にいるならまだ追いかけようがあるが、飛ばれてはどうしようもない。
ウルトラマンゼロになれば飛行できるが、そのために必要なウルトラゼロアイは敵の手中だ。
「くっそぉ! 何か方法はないのか……!?」
 打つ手が思い浮かばず、思わず周辺に視線を走らせる。と、空を見上げた時に、円盤とも魔法衛士隊とも違う飛行物を発見した。
「形が違う飛行物体が出てきたわよ! あれ、私たちでどうにか出来ないかしら?」
「無理。せいぜい、街の人の避難を助けることくらいが限度」
 それはハルケギニアに来てから日の浅い才人の数少ない知人、シルフィードに跨ったタバサとキュルケだった。
「キュルケたち!? 何でこんなところに……」
 ここで二人が街に来ていたことを初めて知って面食らう才人だが、すぐにある考えが彼の中に浮かび上がる。
「あッ、そうだ! おーい! キュルケー! タバサー! 頼みがあるんだー!」
「あら? あそこにいるのは……ダーリン? 何をやってるのかしら?」
 才人の呼びかけにキュルケたちが気づき、彼の下へと降下していった。

「キイイイイイイイイ!」
「グワアアアアアアア!」
 エレキングは自分の上からはね飛ばしたウインダムへ放電光線を放つ。ウインダムはそれを、
身体を傾けて回避し、姿勢を戻すと同時にレーザーを発射。エレキングの右の角をへし折った。
「キイイイイ!」
 途端に一歩前に踏み出していたエレキングの動きが停止する。そこにウインダムはもう一発レーザーを撃ち、
反対側の角も吹き飛ばした。更に喉元から地面に垂直にレーザーを振り下ろし、胴体も焼く。
 このとどめの攻撃が効いて、エレキングは木端微塵に吹っ飛んだ。
「た、倒した!」
「おおー!!」
 生き残りの魔法衛士隊や逃亡中の民たちが興奮して大声を上げる。
「グワアアアアアアア!」
 エレキングを倒したウインダムに、街を攻撃していた円盤群が押し寄せてきて、弱点の額のランプを狙って光線を撃ってきた。
「グワアアアアアアア!」
 だがウインダムは咄嗟に頭を抱えたことで弱点を守り、頭を上げたと同時にレーザーを放って円盤群を粉砕していく。
「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
 街中から上がる歓声。ウインダムの活躍により、街を攻撃していた勢力はほとんど撃退された。
「何だ。危なくなったらって言ってたけど、あいつ強いじゃない」
 ウインダムのことを託されたルイズはこの結果を見て、拍子抜けすると同時に安堵した。
 しかし、侵略者の攻勢はこれで終わりではなかった。
「あッ!? あれは何だ!?」
 急に空の一部が歪むと、それまで透明になって隠れていたコンテナ型の大型宇宙船が家屋を押し潰して着陸。
コンテナが開くと、中から全身赤い怪獣が這い出てきた。奇怪なことに、首の両端にクチバシが存在している。
 かつて史上最大規模の侵略で地球を未曾有の危機に陥れたゴース星人の操っていた怪獣、
双頭怪獣パンドンだ!
「ガガァッ! ガガァッ!」
 パンドンは立ち上がるとすぐに、一方のクチバシから火炎を吐いてウインダムを攻撃した。
不意打ちを食らったウインダムは火達磨になる。
「グワアアアアアアア!」
 ランプにまで火が回ってショートを起こし、バッタリと倒れてしまった。
「あわわわッ! も、戻れッ!」
 これはまずいと判断したルイズにより、ウインダムは黄色いカプセルの中へ戻された。
カプセルは自動でルイズの手の平の中へ飛び込んでくる。
「ガガァッ! ガガァッ!」
 ウインダムを倒したパンドンは、そのまま火炎を吐き続けて街を焼き尽くしていく。
一瞬でもこのまま救われると思っていたトリステインの民は、この光景を目の当たりにして
深い絶望感に駆られた。

 またパンドンが街を焼く様子を、八角形の円盤の中から別の意味で恨めしげに観察している者たちがいた。
『エレキング……よもやあんな怪獣にやられるとは、情けない!』
『このままでは、侵略した領土割譲の際にゴース星人につけ入られるではないか』
 憎々しげに唱えているのは、エレキングの主であった二人組の宇宙人、ピット星人である。
ウルトラゼロアイを奪っていったのはこのピット星人であった。
 彼女たちはクール星人やパンドンを連れてきたゴース星人、シャドー星人の他、様々な宇宙人と組んで宇宙人連合を結成していた。
ハルケギニアを護るウルトラマンゼロを下し、この星を侵略するためだ。
『けれど姉者、心配はありません。最大の障害であるウルトラマンゼロを変身できなくしたのは、
我々の手柄。それを材料にすれば、この程度のことでゴース星人に大きな顔をされるのは防げましょう』
『そうだな。こんな古臭い文明を潰す程度のことは誰でも出来るが、ウルトラマンゼロを抑えることは
我々にしか出来ないことだからな』
 ピット星人たちはハルケギニアの民を完全に舐め切り、またウルトラマンゼロにも既に勝ったつもりでいた。
 とそこに、円盤の警報が鳴り渡って、自分たちの円盤に急接近してくる者の姿がモニターに表示された。
『むッ!? 飛竜だと……。そして、後ろの奴はウルトラマンゼロの変身者ではないか!』
 それはシルフィードに乗った二人組。前でシルフィードに指示しているのは主のタバサ。
その背後についているのはキュルケではなく、デルフリンガーを背負った才人だった。
 二人の姿を見たピット星人の姉がせせら笑う。
『どうやらウルトラゼロアイを取り返しに来たようだが、何とも愚かな。この円盤に比べれば、
奴らなど蚊トンボと同じ。撃ち落としてくれるわ!』
 すぐに円盤から光線が発射され、シルフィードを狙う。
 しかし、光線は当たらない。シルフィードは光線発射に敏感に反応し、機敏な動作でかわし続ける。
『何ぃ!? 小癪なッ!』
 いら立ったピット星人が光線発射の間隔を狭めるが、それでも結果は変わらなかった。
遂にシルフィードは円盤の高度を超え、無防備な上方へ回り込んだ。

 キュルケとタバサを呼び寄せた才人は、どうにか無理を言ってキュルケと交代してもらい、
シルフィードでピット星人の円盤へ運んでもらっていた。円盤からの攻撃をかいくぐっていく中で、
才人が深く感心する。
「すげぇなタバサ! 全然攻撃を食らわないじゃん!」
「撃ち落とすのは無理でも、回避なら専念すれば問題ない」
 タバサが淡々と答えた時、シルフィードは円盤を超えて上部に回り込んだ。
「ここまで来たら十分だ! ありがとな!」
 才人は礼を言うと、デルフリンガーの柄を握った。その途端にルーンが光り、身体が軽くなる。
ギーシュの時と同じ現象だ。どうやら武器を掴むと身体能力が向上される力がルーンにあるようだが、
深く考えている暇はない。
「とおぉーうッ!」
 強化された身体能力を活かして、円盤の上に飛び移る。その直後にシルフィードがまた下に潜り込んでいき、
円盤の注意を引きつけてくれる。
「さて、飛び移ったのはいいが、どうやって中に侵入するか……」
『そこにハッチがある。どうにかこじ開けられないか?』
 ゼロの示したところに、確かに正方形の切れ目があった。だが取っ手のようなものは存在しない。
もちろん指をねじ込む隙間だってない。
「そんなこと言われてもなぁ……」
「相棒! 俺を使え!」
 悩んでいると、デルフリンガーがそう言ってきた。そして目を配った才人は、デルフリンガーの刀身がいつの間にか、
サビの浮いた今にも折れそうなものではなく、今まさに研がれたかのように光り輝くものに変貌していたことに仰天した。
「うわぁッ!? お前、一体どうしたんだ!? さっきまでと全然違うじゃん!」
「これがほんとの俺の姿さ! まぁついさっきまですっかり忘れてたんだがな。まだ何か
すげえことが出来た気がするんだが、とにかく切れ味は保証するぜ!」
「何だかよく分かんないけど、分かった! うおおおおぉぉぉぉぉッ!」
 デルフリンガーを抜いた才人は、それでハッチを斬りつける。するとハッチは綺麗に切り落とされ、
円盤に穴が開いた。

 才人が穴に飛び込んで内部に侵入すると、ピット星人姉妹はこれ以上ないほど驚愕した。
『な、何ぃ!? お前、どうやって入ってきた!?』
『人間の力でこの円盤に穴を開けただと!? 馬鹿な!』
「ウルトラゼロアイを返してもらうぜ!」
 才人はすぐにピット星人に飛び掛かって、ウルトラゼロアイを取り返そうとする。だがピット星人の姉がそれより早く動いた。
『そうはさせん! これを見るがいい!』
 コンソールのスイッチを押すと、壁の一部が開いて、ガラスの窓が出てきた。そこから、
大勢の人間が無重力空間の中に囚われている隣の部屋の様子が見える。クール星人がさらった人々は、
この円盤内に閉じ込められていたのだ。
『どうだ! 下手に動けば、この人間どもの命が――がふぅッ!?』
 言い終わる前に、超人的なスピードで接近した才人の袈裟斬りで斬り伏せられた。
『姉者ぁぁぁぁ!? おのれ、よくも姉者をッ!』
 怒り狂ったピット星人の妹が光線銃を乱射するが、信じられないほどの速さで動き回る才人は全てかわし切る。
『何だとぉ!? き、貴様、人間なのか!?』
「人間舐めんなぁぁぁぁぁぁぁ!!」
 才人は妹も斬り伏せると、その手から放り出されたウルトラゼロアイをキャッチ。すぐに顔に装着する。
「デュワッ!」
 ようやく、才人の肉体がウルトラマンゼロへと変化する!

「ガガァッ! ガガァッ!」
 トリスタニアの街並みは、パンドンによって火の海に変えられていく。それを食い止める者は誰もいない。
人々の心には、この先に待っているのは滅亡しかないのかと、諦めに近い絶望感が広がっていた。
「ど、どうしよう。残り二つも投げていいのかしら……?」
 ウインダムを回収したルイズは、他のカプセルも使うべきか悩んでいた。
 その時、空に浮いていた八角形の円盤が突如爆発。直後に、大地にウルトラマンゼロが降り立つ!
「ウルトラマンゼロ! もう、サイトの奴、遅いわよ!」
 口では不満を語ったルイズだが、その表情は晴れ晴れとしていた。
 ウルトラマンゼロの両手の中には、円盤から救出された人々がおり、彼らはゆっくりと地上に降ろされた。

 『遠見の鏡』でトリスタニアの惨状を見つめるしかなかった王宮の貴族たちは、ウルトラマンゼロの登場に大いに動揺していた。
「あの巨人! あの青と銀の姿は、調査団の報告にあった特徴と一致している!」
「確か、「ウルトラマンゼロ」という名前だとか……」
 貴族たちがそれぞれ唱える中、アンリエッタはウルトラマンゼロの姿をじっと見つめると、
胸の前の手をぎゅっと握り締めた。
「ウルトラマンゼロ……どうか、お願いします。トリステインをお救い下さい……」

「セアァッ!」
 助け出した人質を降ろしたゼロは、すぐに手の平を合わせた両腕をまっすぐ伸ばすと、
両手の間から白い煙を噴出し出した。かつてウルトラ戦士たちが、怪獣や宇宙人が起こした
大火災を消し止めるために使ったウルトラ水流、消火フォッグ、ウルトラシャワーなどと同等の技で、
このような場合のために体得していたのだ。
 ゼロから放たれた消火剤はトリスタニアの街中に広がっていき、火災を瞬く間に消し止めた。
「おぉ! 火が!」
 炎に追われていた人々も、これにより救われる。
「ガガァッ! ガガァッ!」
 一方鎮火されたパンドンはゼロに敵意を向けて、火炎放射で攻撃し出した。
「シャッ!」
 しかしゼロはパンドンの高熱火炎を手の平で難なく受け止めると、ゼロスラッガーを飛ばして反撃する。
「ゼリャアッ!」
 ふた振りの宇宙ブーメランはパンドンが反応する時間すら与えず、右脚、左腕、そして首を落とした。
パンドンは崩れ落ちて瞬時に絶命した。
「おおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
 恐るべき火を吐く大怪獣をあっさりと瞬殺したことに、人々は大興奮。
 だがその時、次々と策略を破られた宇宙人たちは最後の攻撃に打って出てきた。雲の中から超大型の赤い円盤が現れると、
下部にエネルギーを集中し始めたのだ。それまでとは桁違いの規模の光線を放とうとしていることを、人々は理解した。
「ま、まだ終わらないのか!?」
「もう嫌あああぁぁぁぁぁッ!!」
 あらゆる場所で上がる悲鳴、絶叫。だがそれと対照的に、ゼロは全く動じていない。
『しつこい連中だぜ! こいつで、フィニッシュだぁぁぁぁぁぁぁッ!!』
 ゼロスラッガーをカラータイマーの両端に装着して、相手が街を丸ごと吹き飛ばす規模の光線を撃ってきたと同時に、
カラータイマーとゼロスラッガーからすさまじい光がほとばしった。と同時に、彼の足元の地面が光線の反動でへこむ。
 ゼロツインシュート。それは通常状態のゼロが使う光線技の中で、ワイドゼロショットを超越して最も威力がある技。
あまりの威力の高さに自らが踏みとどまるのにも労力を要するほどで、ゼロのとっておきの切り札の一つなのだ。
 ゼロツインシュートは円盤からの光線を押し返していき、円盤そのものに直撃すると、
瞬時に跡形もなく大爆破させた。
 超大型円盤の後には、もう敵の勢力が現れる気配はなくなっていた。そこでゼロは、
別の国を襲撃しているという宇宙人たちへとテレパシーを発信する。
『よく聞け侵略者ども! 俺はウルトラマンゼロ! 宇宙のワルは許さねぇッ! これ以上この星に手を出すんだったら、
俺が飛んでってテメェら全員ぶっ飛ばしてやる!』
 脅しを掛けて、二本の指を突き立てる。
『お前らがこの星を侵略しようなんて、二万年早いぜッ!!』
 その文句が効いたのか、ゼロの感覚は全ての円盤がハルケギニアから宇宙へ撤退していくのを感じ取っていた。
『これでとりあえずは大丈夫だな……』
 確信したゼロは、首なしのパンドンの死骸を抱え上げて、空へ飛び上がる。
「ジュワッ!」
 ウルトラマンゼロも去ったことで、トリスタニアは焼け焦げながらも平穏を取り戻した。

 宇宙人の侵略をくじくと、ゼロは才人の姿に戻ってブルドンネ街の路地裏に帰ってきた。
「いや全く、おでれーた! 相棒の中の奴があんなとんでもねー巨人だったなんてな! 
驚きの連続だ! 何だか懐かしい感じもするけどな!」
 背負っているデルフリンガーが騒いでいるのを置いて、才人はゼロに侵略者たちについて質問をする。
「なぁゼロ。宇宙人たちは、本当にあのまま引き上げていったのかな?」
 それに対するゼロの答えは、否定だった。
『いや。侵略者ってのは本当にしつこいもんだからな。脅したくらいじゃ諦めたりしないだろう。
いずれまた、俺たちに挑戦してくるはずだ』
「そっか……」
 今回は運にも助けられてどうにかなったが、次に侵略者が狡猾な魔の手を伸ばしてきた時にも上手く行くとは限らない。
才人はいつやってくるか分からない敵に対する心構えを固めた。
 なんてことを考えていると、彼の行く先からルイズとキュルケの声が聞こえてきた。それがどうも、
ルイズが噛みついているようだ。
「ちょっとキュルケ! その持ってる剣はどういうことよ! あんた剣なんていらないでしょ!? 
一体何をするつもりなのよぉ!?」
「ふふん。ルイズ、あなたに私のすることを咎める権利があって? 別に私が剣くらい持っててもいいでしょう」
 キュルケを一方的に敵視するルイズが、彼女の購入した大剣を見咎めて問い詰めているみたいだ。
才人は面倒なことになりそうな予感を覚えて、ハァとため息を吐いた。
「あッ、ダーリンだわ! ダーリ~ン! どこ行ってたの~? 心配したのよ~!」
「こらぁ! 話はまだ終わってないわよ! 誰がダーリンよ誰が!」
 こちらに気づいたキュルケとルイズが走ってくるので、才人は逃げる訳にもいかず、彼女たちの方へ歩いていった。



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