ウルトラマンゼロの使い魔
第一話「ハルケギニアゼロ作戦第一号」
古代怪獣ゴメス(S)
宇宙怪獣ベムラー
凶暴怪獣アーストロン 登場
第一話「ハルケギニアゼロ作戦第一号」
古代怪獣ゴメス(S)
宇宙怪獣ベムラー
凶暴怪獣アーストロン 登場
ウルトラマンゼロと融合した才人がトリステイン魔法学院に召喚されてから早五日が過ぎた。
この日までに才人の日常は既に波乱万丈のものになっていた。
まず、召喚主たるルイズからは人として扱ってもらえず、犬と呼ばれてはことある毎に雑用を言い渡してきた。
口答えすると、すぐに罰として食事抜きにしようとしてくる。まぁ雑用をこなす過程でシエスタという可愛いメイドと仲良くなったのはいいが、
その直後にギーシュという生徒とちょっとした諍いを起こして決闘を行うことになってしまった。
ギーシュの青銅のゴーレム『ワルキューレ』に危うく殺されかけたが、ギーシュの出した剣を手に取った途端不思議な力が湧いて彼を下すことが出来た。
この時の力は、成り行きを見ていたゼロが貸し与えてくれたものだろうと才人は考えた。
とまぁこんな感じで忙しない毎日だったが、融合する際にゼロが言っていた怪獣や宇宙人の類は一度も出現することがなかった。
そして才人が日々の忙しさの中でそんな話を忘れていったある日、遂に事件は発生した。
この日までに才人の日常は既に波乱万丈のものになっていた。
まず、召喚主たるルイズからは人として扱ってもらえず、犬と呼ばれてはことある毎に雑用を言い渡してきた。
口答えすると、すぐに罰として食事抜きにしようとしてくる。まぁ雑用をこなす過程でシエスタという可愛いメイドと仲良くなったのはいいが、
その直後にギーシュという生徒とちょっとした諍いを起こして決闘を行うことになってしまった。
ギーシュの青銅のゴーレム『ワルキューレ』に危うく殺されかけたが、ギーシュの出した剣を手に取った途端不思議な力が湧いて彼を下すことが出来た。
この時の力は、成り行きを見ていたゼロが貸し与えてくれたものだろうと才人は考えた。
とまぁこんな感じで忙しない毎日だったが、融合する際にゼロが言っていた怪獣や宇宙人の類は一度も出現することがなかった。
そして才人が日々の忙しさの中でそんな話を忘れていったある日、遂に事件は発生した。
「それにしても、あんたが出てきた時は驚いたわ」
トリステイン魔法学院の寮塔の自室で、ルイズが寝床で通信端末をいじっている才人に話しかけた。
宇宙開拓時代の人間である才人が持っている通信端末は現代のパソコン程度の性能があり、
尚且つ空気中の微細な電気で動作するので、どんな僻地へ行こうと充電の心配をすることはない。
科学の進歩は素晴らしい。ただ、当たり前だがネットには繋げられない。異世界なので。
「出てきた時って?」
「最初出てきた時、あんたじゃなくて人間大くらいの赤く輝く玉が出てきたのよ。
それでどこに『コントラクト・サーヴァント』したらいいか悩んでたら、その赤い球がいきなり破裂して、
あんたが倒れてたんだもの、もう何が何だかわかんないわ。サイト、あんたは何か知ってるの?」
「え? ええと……」
問われて、才人はどう答えたらいいものか悩んだ。自分が異世界の人間であることだけでも説明が難しかったのに、
ウルトラマンのことはその何倍も途方もない話である。果たして信じてもらえるかどうか。
「……いや、俺もよくわかんないな」
結局、上手い言葉が見つからずに適当にごまかすことにした。
「ふーん、そう」
ルイズはそんな才人の言動を特に怪しむこともなく、違う話題を始めた。
「そうそう、最近この近くで変な地震が多発してるそうよ」
「地震?」
「何でも揺れは大きいんだけど、とてもせまいところにごく短い時間にだけ発生するそうなの。
あんたも転んだりしないように気をつけなさいよ」
などというルイズの台詞を聞いて、才人に若干の嫌な予感が湧いた。自分は体験したことはないが、
昔の地球ではそういう局地的な地震が度々観測されていたという話を聞いたことがあるのだ。
そして、その原因というのが……。
と、その時、
「きゃっ!?」
「うわっ!」
彼らのいる部屋を激しい揺れが襲い、二人は姿勢を崩した。
「もうっ! ホントに起こるなんて……」
ベッドにつんのめったルイズが苛立ちながら起き上がった。そして何となしに窓の外を覗くと……。
「きゃあああああああッ!?」
「どうしたルイズ!」
突然ルイズが悲鳴を上げたので、才人が駆け寄って同じように窓の外を見た。すると、
四角いガラスから見える平地を下から突き破って40メイルほどもあるあまりにも巨大な、
頭頂部にフックのように曲がった一本角、手には三本の鋭い爪が生え並び、
毛と鱗を持った青みがかった体色の生物が這い出てくるところを目撃した! 生物は二本の脚で、
人間のようにしっかりと大地を踏みしめて地表へ上がってきた。
「アアオオウ! アアオオウ! シャウシャ―――――――――!」
巨大生物が雷鳴のように轟く咆哮をした。その鳴き声は離れた場所にいるルイズと才人の耳にまで届いてきた。
「な、何なのあれ!? あんなに大きい幻獣、聞いたことないわ!」
ルイズは驚愕のあまり腰を抜かしていた。無理もない。ハルケギニア大陸に存在する地上に生息する生物の内、
最も大きいといわれる竜でも10メイルを越えるものはそうお目にかかれないものなのに、今目に映る怪物はその四倍もの巨体なのだ。
しかも二本の脚で直立までしている。こんな生き物が存在するなど、夢にも思わない。
「あれは……確か見覚えが……」
一方才人の方は、通信端末をいじって以前興味半分に端末にダウンロードした怪獣・宇宙人のデータから、
一匹の怪獣のデータを検索して画面に映し出した。画面に表示される怪獣の写真と今目の前の怪獣の姿を見比べて、彼は確信した。
「間違いない……大きさに大分違いがあるけど、あいつは古代怪獣ゴメスだ!」
トリステイン魔法学院の寮塔の自室で、ルイズが寝床で通信端末をいじっている才人に話しかけた。
宇宙開拓時代の人間である才人が持っている通信端末は現代のパソコン程度の性能があり、
尚且つ空気中の微細な電気で動作するので、どんな僻地へ行こうと充電の心配をすることはない。
科学の進歩は素晴らしい。ただ、当たり前だがネットには繋げられない。異世界なので。
「出てきた時って?」
「最初出てきた時、あんたじゃなくて人間大くらいの赤く輝く玉が出てきたのよ。
それでどこに『コントラクト・サーヴァント』したらいいか悩んでたら、その赤い球がいきなり破裂して、
あんたが倒れてたんだもの、もう何が何だかわかんないわ。サイト、あんたは何か知ってるの?」
「え? ええと……」
問われて、才人はどう答えたらいいものか悩んだ。自分が異世界の人間であることだけでも説明が難しかったのに、
ウルトラマンのことはその何倍も途方もない話である。果たして信じてもらえるかどうか。
「……いや、俺もよくわかんないな」
結局、上手い言葉が見つからずに適当にごまかすことにした。
「ふーん、そう」
ルイズはそんな才人の言動を特に怪しむこともなく、違う話題を始めた。
「そうそう、最近この近くで変な地震が多発してるそうよ」
「地震?」
「何でも揺れは大きいんだけど、とてもせまいところにごく短い時間にだけ発生するそうなの。
あんたも転んだりしないように気をつけなさいよ」
などというルイズの台詞を聞いて、才人に若干の嫌な予感が湧いた。自分は体験したことはないが、
昔の地球ではそういう局地的な地震が度々観測されていたという話を聞いたことがあるのだ。
そして、その原因というのが……。
と、その時、
「きゃっ!?」
「うわっ!」
彼らのいる部屋を激しい揺れが襲い、二人は姿勢を崩した。
「もうっ! ホントに起こるなんて……」
ベッドにつんのめったルイズが苛立ちながら起き上がった。そして何となしに窓の外を覗くと……。
「きゃあああああああッ!?」
「どうしたルイズ!」
突然ルイズが悲鳴を上げたので、才人が駆け寄って同じように窓の外を見た。すると、
四角いガラスから見える平地を下から突き破って40メイルほどもあるあまりにも巨大な、
頭頂部にフックのように曲がった一本角、手には三本の鋭い爪が生え並び、
毛と鱗を持った青みがかった体色の生物が這い出てくるところを目撃した! 生物は二本の脚で、
人間のようにしっかりと大地を踏みしめて地表へ上がってきた。
「アアオオウ! アアオオウ! シャウシャ―――――――――!」
巨大生物が雷鳴のように轟く咆哮をした。その鳴き声は離れた場所にいるルイズと才人の耳にまで届いてきた。
「な、何なのあれ!? あんなに大きい幻獣、聞いたことないわ!」
ルイズは驚愕のあまり腰を抜かしていた。無理もない。ハルケギニア大陸に存在する地上に生息する生物の内、
最も大きいといわれる竜でも10メイルを越えるものはそうお目にかかれないものなのに、今目に映る怪物はその四倍もの巨体なのだ。
しかも二本の脚で直立までしている。こんな生き物が存在するなど、夢にも思わない。
「あれは……確か見覚えが……」
一方才人の方は、通信端末をいじって以前興味半分に端末にダウンロードした怪獣・宇宙人のデータから、
一匹の怪獣のデータを検索して画面に映し出した。画面に表示される怪獣の写真と今目の前の怪獣の姿を見比べて、彼は確信した。
「間違いない……大きさに大分違いがあるけど、あいつは古代怪獣ゴメスだ!」
「わぁッ! 間近で見ると迫力満点ね!」
魔法学院の側に出現したゴメスの頭上を一匹の風竜が飛び回っており、その背には二人の少女が跨っていた。
後ろに乗っている赤い髪で女性らしいプロポーションの少女はキュルケ。帝政ゲルマニアからの留学生で、
ルイズとは家柄やその他様々な理由から仇敵の関係である。そんなキュルケが前の少女に申し出た。
「ね、もうちょっと近づいて見ましょうよ、タバサ」
「これ以上は危険」
キュルケに淡々と言い渡した少女の名はタバサ。こちらはガリア王国からの留学生で、
本人が寡黙なのもあり不明な点が多い。両者はどちらともトライアングルメイジであり、
学院きってのエリートである。彼女らは現在、突然見たこともない巨大生物が出現したことに興味を示したキュルケが
親友であるタバサに頼み込んで、彼女の使い魔シルフィードに乗ってゴメスを近い位置から観察に来ていたのであった。
「もう、タバサったら固いんだから。ちょっとくらいいいじゃない」
タバサの態度にキュルケが不平を述べた時、タバサがハッと空を見上げるとこう叫んだ。
「危ない!」
叫びでシルフィードが急激に方向転換した。その直後に、彼女らのすぐ側を巨大な青い球体が猛烈な勢いで落下していった。
あと少し気づくのが遅かったら、彼女たちは球体と正面衝突していた。
「きゃああッ!」
球体が通りすぎたことで起きた突風にキュルケたちが煽られた。一方球体の方はゴメスの近くに落下すると、
青い光がしぼんでいって腕の小さい竜のような容姿の生物へ変化した。これもまた40メイルを越える巨大生物である。
「ギィ―――――イ! ギィ―――――イ!」
「え、えぇッ!? 二匹目!?」
巨大生物が増えたことに驚嘆するキュルケ。だがこれで終わりではなかった。
「ギャアアオウ!」
新しい怪獣を挟んだゴメスの反対側の地面より、刃物のように鋭く曲がった一本角の、
岩みたいにゴツゴツした体表を持つ巨大生物が飛び出してきたのだ!
「三匹目……」
「ち、ちょっと待って!? 一体何がどうなってるのよぉ!?」
この事態に、さしものキュルケもついていけていなかった。
この新しく現れた二匹も才人の端末にデータが載っていた。前者は宇宙怪獣ベムラー、
後者は凶暴怪獣アーストロンだ。
「アアオオウ! アアオオウ! シャウシャ―――――――!」
「ギィ―――――イ! ギィ―――――イ!」
「ギャアアオウ! ギャアアオウ!」
一つの場にそろった三匹の巨大生物――怪獣たちは、お互いを確認し合うと、三匹そろって前に出て乱闘を行い始めた!
「アアオオウ! アアオオウ! シャウシャ―――――――!」
「ギャアアオウ! ギャアアオウ! ギャアアオウ!」
「ギィ―――――イ! ギィ―――――イ!」
ゴメスがベムラーに爪を振るい、アーストロンがゴメスに角を突き刺そうとして、
ベムラーがアーストロンを狙って光線を吐いた。三匹が乱闘する中でベムラーの流れ弾がタバサらの方へ飛んできた!
「きゃあッ!!」
「きゅい!!」
「くッ……!」
ギリギリのところでシルフィードが身をよじらせ、光線から逃れた。タバサは珍しく焦りの色を顔に浮かべ、
呪文を詠唱して攻撃魔法を放った。
「『ウィンディ・アイシクル』!」
「『ファイヤーボール』!」
キュルケも攻撃を行う。複数の氷の矢と火球がベムラーに降り注いだ。が、ベムラーは彼女らの方に振り向きもしなかった。
今の攻撃を蚊ほどにも感じなかったのだ。
「……!」
「そんな! 全く効いてないなんて!」
確かに最大威力で撃ったはずなのに、とショックを受けるキュルケ。一方怪獣たちは
キュルケたちには全く目もくれないで乱闘を続け、挙句にアーストロンの吐いたマグマ光線が学院の外壁に直撃してドロドロに溶かしてしまった。
「あッ!?」
「……一旦降下する」
学院には多数の自分たちより力の劣る生徒たちがいる。彼らを助けるためにも、
タバサたちは学院の敷地内に降りていった。
魔法学院の側に出現したゴメスの頭上を一匹の風竜が飛び回っており、その背には二人の少女が跨っていた。
後ろに乗っている赤い髪で女性らしいプロポーションの少女はキュルケ。帝政ゲルマニアからの留学生で、
ルイズとは家柄やその他様々な理由から仇敵の関係である。そんなキュルケが前の少女に申し出た。
「ね、もうちょっと近づいて見ましょうよ、タバサ」
「これ以上は危険」
キュルケに淡々と言い渡した少女の名はタバサ。こちらはガリア王国からの留学生で、
本人が寡黙なのもあり不明な点が多い。両者はどちらともトライアングルメイジであり、
学院きってのエリートである。彼女らは現在、突然見たこともない巨大生物が出現したことに興味を示したキュルケが
親友であるタバサに頼み込んで、彼女の使い魔シルフィードに乗ってゴメスを近い位置から観察に来ていたのであった。
「もう、タバサったら固いんだから。ちょっとくらいいいじゃない」
タバサの態度にキュルケが不平を述べた時、タバサがハッと空を見上げるとこう叫んだ。
「危ない!」
叫びでシルフィードが急激に方向転換した。その直後に、彼女らのすぐ側を巨大な青い球体が猛烈な勢いで落下していった。
あと少し気づくのが遅かったら、彼女たちは球体と正面衝突していた。
「きゃああッ!」
球体が通りすぎたことで起きた突風にキュルケたちが煽られた。一方球体の方はゴメスの近くに落下すると、
青い光がしぼんでいって腕の小さい竜のような容姿の生物へ変化した。これもまた40メイルを越える巨大生物である。
「ギィ―――――イ! ギィ―――――イ!」
「え、えぇッ!? 二匹目!?」
巨大生物が増えたことに驚嘆するキュルケ。だがこれで終わりではなかった。
「ギャアアオウ!」
新しい怪獣を挟んだゴメスの反対側の地面より、刃物のように鋭く曲がった一本角の、
岩みたいにゴツゴツした体表を持つ巨大生物が飛び出してきたのだ!
「三匹目……」
「ち、ちょっと待って!? 一体何がどうなってるのよぉ!?」
この事態に、さしものキュルケもついていけていなかった。
この新しく現れた二匹も才人の端末にデータが載っていた。前者は宇宙怪獣ベムラー、
後者は凶暴怪獣アーストロンだ。
「アアオオウ! アアオオウ! シャウシャ―――――――!」
「ギィ―――――イ! ギィ―――――イ!」
「ギャアアオウ! ギャアアオウ!」
一つの場にそろった三匹の巨大生物――怪獣たちは、お互いを確認し合うと、三匹そろって前に出て乱闘を行い始めた!
「アアオオウ! アアオオウ! シャウシャ―――――――!」
「ギャアアオウ! ギャアアオウ! ギャアアオウ!」
「ギィ―――――イ! ギィ―――――イ!」
ゴメスがベムラーに爪を振るい、アーストロンがゴメスに角を突き刺そうとして、
ベムラーがアーストロンを狙って光線を吐いた。三匹が乱闘する中でベムラーの流れ弾がタバサらの方へ飛んできた!
「きゃあッ!!」
「きゅい!!」
「くッ……!」
ギリギリのところでシルフィードが身をよじらせ、光線から逃れた。タバサは珍しく焦りの色を顔に浮かべ、
呪文を詠唱して攻撃魔法を放った。
「『ウィンディ・アイシクル』!」
「『ファイヤーボール』!」
キュルケも攻撃を行う。複数の氷の矢と火球がベムラーに降り注いだ。が、ベムラーは彼女らの方に振り向きもしなかった。
今の攻撃を蚊ほどにも感じなかったのだ。
「……!」
「そんな! 全く効いてないなんて!」
確かに最大威力で撃ったはずなのに、とショックを受けるキュルケ。一方怪獣たちは
キュルケたちには全く目もくれないで乱闘を続け、挙句にアーストロンの吐いたマグマ光線が学院の外壁に直撃してドロドロに溶かしてしまった。
「あッ!?」
「……一旦降下する」
学院には多数の自分たちより力の劣る生徒たちがいる。彼らを助けるためにも、
タバサたちは学院の敷地内に降りていった。
学院はパニックに陥っていた。何せすぐ傍で途轍もない大きさの怪物たちが争い合っているのだ。
彼らが足を踏み鳴らす度に地揺れが起き、攻撃の余波が飛んでくることもある。あまりにイレギュラーすぎる事態に、
生徒らは普段掲げている貴族の誇りと矜持も忘れて我先にと怪獣たちと反対の方向へ逃げていっていた。
「何なんだ! 何なんだよあれはぁッ!!」
「この世の終わりだぁぁぁぁぁ!」
「誰か助けてぇぇぇ!」
教師たちは取り乱す生徒らの避難誘導に当たっていた。その先頭に立って陣頭指揮を取っているのは、
学院長のオールド・オスマンである。
「皆の衆! 慌てず、しかし速やかに避難するのじゃ! 怪物は私たちが食い止める!」
教師の半数が生徒の避難誘導に当たり、コルベールやギトーなどの残る半分が怪獣たちに攻撃を仕掛けて何とか追い払おうとしていた。
しかし、彼らの攻撃を怪獣たちは丸で気に留めていない。怪獣は地球の科学の最先端によって作られた兵器を駆使しても、
人類が全く太刀打ち出来ないこともあったほどの恐るべき生き物。世界トップクラスとはいえ、
一学院の保有する火力では敵うはずもない相手なのだ。
魔法が全然通用せず、教師たちもいよいよ精神力を使い果たそうとしていたその時、コルベールが急に叫んだ。
「い、いけません! すぐ戻ってきなさい!」
「何じゃ!? ミスタ……何て名前じゃったか……ええい、今はそんなことどうでもよい、一体どうしたんじゃ!?」
オスマンが何事かと問うと、コルベールは慌ててまくし立てた。
「ミス・ヴァリエールと彼女の使い魔のサイト君が、怪物たちの方へ向かっていってしまったんです!!」
「何じゃと!?」
オスマンが驚愕した。
彼らが足を踏み鳴らす度に地揺れが起き、攻撃の余波が飛んでくることもある。あまりにイレギュラーすぎる事態に、
生徒らは普段掲げている貴族の誇りと矜持も忘れて我先にと怪獣たちと反対の方向へ逃げていっていた。
「何なんだ! 何なんだよあれはぁッ!!」
「この世の終わりだぁぁぁぁぁ!」
「誰か助けてぇぇぇ!」
教師たちは取り乱す生徒らの避難誘導に当たっていた。その先頭に立って陣頭指揮を取っているのは、
学院長のオールド・オスマンである。
「皆の衆! 慌てず、しかし速やかに避難するのじゃ! 怪物は私たちが食い止める!」
教師の半数が生徒の避難誘導に当たり、コルベールやギトーなどの残る半分が怪獣たちに攻撃を仕掛けて何とか追い払おうとしていた。
しかし、彼らの攻撃を怪獣たちは丸で気に留めていない。怪獣は地球の科学の最先端によって作られた兵器を駆使しても、
人類が全く太刀打ち出来ないこともあったほどの恐るべき生き物。世界トップクラスとはいえ、
一学院の保有する火力では敵うはずもない相手なのだ。
魔法が全然通用せず、教師たちもいよいよ精神力を使い果たそうとしていたその時、コルベールが急に叫んだ。
「い、いけません! すぐ戻ってきなさい!」
「何じゃ!? ミスタ……何て名前じゃったか……ええい、今はそんなことどうでもよい、一体どうしたんじゃ!?」
オスマンが何事かと問うと、コルベールは慌ててまくし立てた。
「ミス・ヴァリエールと彼女の使い魔のサイト君が、怪物たちの方へ向かっていってしまったんです!!」
「何じゃと!?」
オスマンが驚愕した。
そして問題のルイズと才人は、コルベールの言う通り怪獣たちのすぐ傍まで来ていた。
怪獣が暴れるのを見たルイズがここまで飛び出してきて、才人は慌ててそのあとを追って来たのだ。
「おいよせルイズ! こいつらは人が敵う相手じゃない! 今にも踏み潰されるぞ!」
「敵うか敵わないかなんて、やってみなくちゃわかんないじゃない!」
ルイズを制止しようとする才人だが、ルイズはそれを振り切る。
「この学院はわたしが、わたしたちがこれからたくさんのことを学ぶための大切なところなのよ!
それを、こんな訳のわからない奴らに潰されてたまるもんですか!!」
ルイズが絶叫し、呪文を詠唱する。杖を向けた先はゴメスだ。
「『ファイヤーボール』!」
発生した魔法はいつもの通りの失敗、爆発だった。しかし威力は今までの中で最大で、
ゴメスの脇腹に絶大な爆発が起きると、初めて魔法による裂傷が走った。
「アアオオウ! アアオオウ! シャウシャ――――――!」
「え? 効いた……」
これまで誰も怪獣に傷一つつけられなかったため、魔法を使ったルイズが一番驚いた。
が、呆然としているところに、攻撃に怒ったゴメスが太い尻尾をルイズ目掛けて振り回してきた!
「きゃあああああああああああああああああッ!!」
「くッ!」
ルイズの危機に、才人が左腕をまっすぐ前に突き出した。すると腕にはまっている銀色のブレスレットから、
ウルトラゼロアイが浮き出てくる。
ウルトラゼロアイ。召喚された直後に見た、ウルトラマンゼロとの邂逅が夢ではなかったことを証明するもの。
才人は説明された通りにゼロアイを構えると、銃口をゴメスの顔に向けてビームを撃った。ビームはゴメスの眉間に命中し、
驚いたゴメスはあとずさる。それにより尻尾はルイズからそれた。
「馬鹿野郎! 死んだら何もかも終わりじゃねぇか!」
何とか危機を脱したルイズを抱きしめ叱る才人。しかしルイズの方は才人の手のゼロアイに注意が行っていた。
「サイト、それは……?」
「こいつはだな……」
「アアオオウ! アアオオウ! シャウシャ――――――!」
答えようとする才人だが、そこに更に怒りを増したゴメスが二人の頭上から足を振り下ろしてきた。
踏み潰そうという気だ。これはゼロアイの光線では防げない。
「きゃあああああああああああああああッ!!」
「……!」
最早これまでかと目をつぶるルイズ。その隣で、才人はいよいよゼロアイの本来の使い方をする時が来たことを確信した。
折りたたんだ状態のゼロアイを素早く広げ、顔に当てる。
「デュワッ!」
その瞬間に才人の身体が光に包まれ、ウルトラマンゼロの肉体へ変化した!
怪獣が暴れるのを見たルイズがここまで飛び出してきて、才人は慌ててそのあとを追って来たのだ。
「おいよせルイズ! こいつらは人が敵う相手じゃない! 今にも踏み潰されるぞ!」
「敵うか敵わないかなんて、やってみなくちゃわかんないじゃない!」
ルイズを制止しようとする才人だが、ルイズはそれを振り切る。
「この学院はわたしが、わたしたちがこれからたくさんのことを学ぶための大切なところなのよ!
それを、こんな訳のわからない奴らに潰されてたまるもんですか!!」
ルイズが絶叫し、呪文を詠唱する。杖を向けた先はゴメスだ。
「『ファイヤーボール』!」
発生した魔法はいつもの通りの失敗、爆発だった。しかし威力は今までの中で最大で、
ゴメスの脇腹に絶大な爆発が起きると、初めて魔法による裂傷が走った。
「アアオオウ! アアオオウ! シャウシャ――――――!」
「え? 効いた……」
これまで誰も怪獣に傷一つつけられなかったため、魔法を使ったルイズが一番驚いた。
が、呆然としているところに、攻撃に怒ったゴメスが太い尻尾をルイズ目掛けて振り回してきた!
「きゃあああああああああああああああああッ!!」
「くッ!」
ルイズの危機に、才人が左腕をまっすぐ前に突き出した。すると腕にはまっている銀色のブレスレットから、
ウルトラゼロアイが浮き出てくる。
ウルトラゼロアイ。召喚された直後に見た、ウルトラマンゼロとの邂逅が夢ではなかったことを証明するもの。
才人は説明された通りにゼロアイを構えると、銃口をゴメスの顔に向けてビームを撃った。ビームはゴメスの眉間に命中し、
驚いたゴメスはあとずさる。それにより尻尾はルイズからそれた。
「馬鹿野郎! 死んだら何もかも終わりじゃねぇか!」
何とか危機を脱したルイズを抱きしめ叱る才人。しかしルイズの方は才人の手のゼロアイに注意が行っていた。
「サイト、それは……?」
「こいつはだな……」
「アアオオウ! アアオオウ! シャウシャ――――――!」
答えようとする才人だが、そこに更に怒りを増したゴメスが二人の頭上から足を振り下ろしてきた。
踏み潰そうという気だ。これはゼロアイの光線では防げない。
「きゃあああああああああああああああッ!!」
「……!」
最早これまでかと目をつぶるルイズ。その隣で、才人はいよいよゼロアイの本来の使い方をする時が来たことを確信した。
折りたたんだ状態のゼロアイを素早く広げ、顔に当てる。
「デュワッ!」
その瞬間に才人の身体が光に包まれ、ウルトラマンゼロの肉体へ変化した!
「あれは!?」
ルイズたちを助けに行こうとしながらも、アーストロンのマグマ光線に遮られて近づけなかったコルベールは、
ゴメスの振り下ろした足の下から強烈な閃光が発せられたことに気づいた。そして、
「アアオオウ!?」
光は急激に大きさを増し、その勢いでゴメスを押しのけた。このことに争い合っていたベムラーとアーストロンが驚いて動きを止める。
「な、何!? 今度は何が起こったの!?」
「あれは……」
驚いているのは怪獣だけではない。キュルケやタバサ、教師陣や生徒たち全員が、
三匹の怪獣の間に割り込んだ巨大な青い光に目を奪われている。
そして光が収まり、巨人がその雄々しき姿を現した。彼こそがトリステインの、
ハルケギニア全土の平和を守るためにこの世界にやってきた光の国の若き戦士、
ウルトラマンゼロである!
ルイズたちを助けに行こうとしながらも、アーストロンのマグマ光線に遮られて近づけなかったコルベールは、
ゴメスの振り下ろした足の下から強烈な閃光が発せられたことに気づいた。そして、
「アアオオウ!?」
光は急激に大きさを増し、その勢いでゴメスを押しのけた。このことに争い合っていたベムラーとアーストロンが驚いて動きを止める。
「な、何!? 今度は何が起こったの!?」
「あれは……」
驚いているのは怪獣だけではない。キュルケやタバサ、教師陣や生徒たち全員が、
三匹の怪獣の間に割り込んだ巨大な青い光に目を奪われている。
そして光が収まり、巨人がその雄々しき姿を現した。彼こそがトリステインの、
ハルケギニア全土の平和を守るためにこの世界にやってきた光の国の若き戦士、
ウルトラマンゼロである!
『ようやく出番だな』
とうとう大地に降臨したウルトラマンゼロが人間には聞き取れない声でつぶやいた。
彼の手の平の上にはうつ伏せになっているルイズがいる。
「うぅん……きゃあッ!?」
起き上がったルイズは自分のいるところと、ゼロの存在を確認して今日何度目かの悲鳴を上げた。
だが、ゼロの顔をまじまじと見つめると、口からこんな声を漏らした。
「サイト……サイトなの?」
ゼロはルイズの問いには答えず、黙って彼女を学院の中庭に降ろした。それから三匹の怪獣を見回し、
下唇を親指でぬぐいながらひと言、
『余裕だぜ』
一方ゼロの登場で怖じ気づいていた怪獣たちだが、はね飛ばされたゴメスは起き上がるとすぐさまゼロに突撃していった。
「アアオオウ! アアオオウ! シャウシャ――――――!」
『ふッ……』
ゼロはゴメスの接近に慌てず、頭についている宇宙ブーメラン・ゼロスラッガーを一つ取ると、
それをすれ違いざまにゴメスに斬りつけた!
「セリャアッ!」
その一閃でゴメスの身体に切れ目が入り、そして一気に爆散した!
「つ、強い!!」
「一撃で!?」
ゼロがゴメスを瞬殺したことに生徒や教師が仰天した。一方ゴメスの爆発で我に返ったベムラーとアーストロンが一斉にゼロに向かっていく。
「ギィ―――――イ! ギィ―――――イ!」
「ギャアアオウ!」
「セヤァッ! ハァッ!」
襲いかかってきたアーストロンの腕の振り回しをさばき、反対側のベムラーに縦拳を撃ち込んで弾き飛ばすゼロ。
ふっ飛んだベムラーは学院の壁の横に倒れ込んだ。
『おっといけねぇ。ちゃんと気をつけないとな』
危うく学院に倒れるところだったことにゼロが反省した。そしてアーストロンに向き直ると、
キックの一撃でアーストロンを弾き飛ばした。
「ギャアアオウ!」
アーストロンが吐いたマグマ光線を手の平で受け止め、ゼロは額のビームランプからひと筋の光線を発射した!
エメリウムスラッシュだ!
「セリャァァァッ!」
エメリウムスラッシュを受けたアーストロンが木端微塵になった。それと同時にゼロの胸についているカラータイマーが赤い点滅を開始する。
『ちっ、もうエネルギーが切れかかってるのか。さっさと決めるぜ!』
ゼロは最後に残ったベムラーの方を向く。ベムラーはゼロに光線を吐き出した。
「ギィ―――――イ!」
「ゼリャッ!」
ゼロは二振りのゼロスラッガーを投げた。ベムラーの光線はスラッガーに切り裂かれて霧散し、
ベムラー本体も斬撃を食らう。
「ギィ―――――イ! ギィ―――――イ!」
『とどめだ!』
ゼロスラッガーが頭に戻り、ゼロが左腕を横に伸ばす。そして右腕とL字に組んで、
「ドリャァァァァ――――――――――――――――――――!!」
必殺光線ワイドゼロショットを放った! 光線を食らったベムラーは大爆発を起こした!
「おおおおお!?」
「つ、強すぎる……」
圧倒的な力で怪獣三匹を瞬く間に倒したウルトラマンゼロに、学院の者たちは呆気に取られていた。
そしてそのゼロは、怪獣を倒すと彼らに何も告げずに両腕を空高く伸ばし、飛び上がってそのまま空の彼方へ姿を消した。
とうとう大地に降臨したウルトラマンゼロが人間には聞き取れない声でつぶやいた。
彼の手の平の上にはうつ伏せになっているルイズがいる。
「うぅん……きゃあッ!?」
起き上がったルイズは自分のいるところと、ゼロの存在を確認して今日何度目かの悲鳴を上げた。
だが、ゼロの顔をまじまじと見つめると、口からこんな声を漏らした。
「サイト……サイトなの?」
ゼロはルイズの問いには答えず、黙って彼女を学院の中庭に降ろした。それから三匹の怪獣を見回し、
下唇を親指でぬぐいながらひと言、
『余裕だぜ』
一方ゼロの登場で怖じ気づいていた怪獣たちだが、はね飛ばされたゴメスは起き上がるとすぐさまゼロに突撃していった。
「アアオオウ! アアオオウ! シャウシャ――――――!」
『ふッ……』
ゼロはゴメスの接近に慌てず、頭についている宇宙ブーメラン・ゼロスラッガーを一つ取ると、
それをすれ違いざまにゴメスに斬りつけた!
「セリャアッ!」
その一閃でゴメスの身体に切れ目が入り、そして一気に爆散した!
「つ、強い!!」
「一撃で!?」
ゼロがゴメスを瞬殺したことに生徒や教師が仰天した。一方ゴメスの爆発で我に返ったベムラーとアーストロンが一斉にゼロに向かっていく。
「ギィ―――――イ! ギィ―――――イ!」
「ギャアアオウ!」
「セヤァッ! ハァッ!」
襲いかかってきたアーストロンの腕の振り回しをさばき、反対側のベムラーに縦拳を撃ち込んで弾き飛ばすゼロ。
ふっ飛んだベムラーは学院の壁の横に倒れ込んだ。
『おっといけねぇ。ちゃんと気をつけないとな』
危うく学院に倒れるところだったことにゼロが反省した。そしてアーストロンに向き直ると、
キックの一撃でアーストロンを弾き飛ばした。
「ギャアアオウ!」
アーストロンが吐いたマグマ光線を手の平で受け止め、ゼロは額のビームランプからひと筋の光線を発射した!
エメリウムスラッシュだ!
「セリャァァァッ!」
エメリウムスラッシュを受けたアーストロンが木端微塵になった。それと同時にゼロの胸についているカラータイマーが赤い点滅を開始する。
『ちっ、もうエネルギーが切れかかってるのか。さっさと決めるぜ!』
ゼロは最後に残ったベムラーの方を向く。ベムラーはゼロに光線を吐き出した。
「ギィ―――――イ!」
「ゼリャッ!」
ゼロは二振りのゼロスラッガーを投げた。ベムラーの光線はスラッガーに切り裂かれて霧散し、
ベムラー本体も斬撃を食らう。
「ギィ―――――イ! ギィ―――――イ!」
『とどめだ!』
ゼロスラッガーが頭に戻り、ゼロが左腕を横に伸ばす。そして右腕とL字に組んで、
「ドリャァァァァ――――――――――――――――――――!!」
必殺光線ワイドゼロショットを放った! 光線を食らったベムラーは大爆発を起こした!
「おおおおお!?」
「つ、強すぎる……」
圧倒的な力で怪獣三匹を瞬く間に倒したウルトラマンゼロに、学院の者たちは呆気に取られていた。
そしてそのゼロは、怪獣を倒すと彼らに何も告げずに両腕を空高く伸ばし、飛び上がってそのまま空の彼方へ姿を消した。
「一体何が起こったんだ……?」
「あの巨人は一体……」
あまりに自分たちの常識からかけ離れた出来事に皆がついていけずに立ち尽くす中、ルイズは才人の姿を懸命に捜していた。
そうしていると、
「おうルイズ、ただいま」
塔の陰から才人がひょっこりと出てきた。ルイズは才人に駆け寄って詰め寄る。
「ただいまじゃないわよ! あんた、今の一体何!? さっきの巨人はサイトなの!?
一体何がどうなってたのよー!!」
「わ、わー! 声が大きいって!」
まくし立てるルイズの口を才人が塞いで静かにした。それから彼女に耳打ちする。
「えーっと、話は長くなるんだけど、とりあえず一つ……」
「何よ」
「あの巨人はな、ウルトラマンゼロっていうんだ。光の国から俺たちのためにやってきた平和の使者、
ウルトラマンだ!」
と言って、才人は誇らしく胸を張った。
「あの巨人は一体……」
あまりに自分たちの常識からかけ離れた出来事に皆がついていけずに立ち尽くす中、ルイズは才人の姿を懸命に捜していた。
そうしていると、
「おうルイズ、ただいま」
塔の陰から才人がひょっこりと出てきた。ルイズは才人に駆け寄って詰め寄る。
「ただいまじゃないわよ! あんた、今の一体何!? さっきの巨人はサイトなの!?
一体何がどうなってたのよー!!」
「わ、わー! 声が大きいって!」
まくし立てるルイズの口を才人が塞いで静かにした。それから彼女に耳打ちする。
「えーっと、話は長くなるんだけど、とりあえず一つ……」
「何よ」
「あの巨人はな、ウルトラマンゼロっていうんだ。光の国から俺たちのためにやってきた平和の使者、
ウルトラマンだ!」
と言って、才人は誇らしく胸を張った。