あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

アーカードはそこにいる-4

アルヴィーズの食堂は、一日の授業から解放された生徒達で溢れている。
皆が賑やかに歓談する中、一人だけ空気を読めていない生徒がいた。
食堂の最も奥まった位置にある窓際に設置されたテーブル。
額に手を当て目を瞑っているルイズの顔には、疲労の色がありありと浮かんでいた。

彼女は何故あれ程までに疲れ切った表情を浮かべているのだろうか。

一人で教室に来たところを、マリコルヌに馬鹿にされたから?
錬金に失敗して教室を半壊させ、罰として後片付けを命じられたから?

だが、そんなのはいつものことだし、今更それが原因であんな風になるとは思えない。

……いや、正確にはいつもとは些か違っていた。
確かにマリコルヌは、今日も今日とて侮蔑の言葉を数多く浴びせていた。
だが、肝心のルイズは考えごとでもしていたのか、全く耳に入っていない様子だった。

ルイズが。あのルイズが。私の可愛いルイズが。
ヴァリエール公爵家の三女でありながら、魔法の才に、そして女性的魅力(主に胸)にも恵まれず。
それでもプライドだけは誰よりも高いあの『ゼロのルイズ』が。
小生意気で鼻持ならないマリコルヌの幼稚な侮辱に全く反応を示さないなんて。

授業も全く聞いていなかった様で、それがミス・シュヴルーズの機嫌を損ねる原因にもなっていた。
半ば強引に錬金をやらされることになったルイズは、淡々とした仕草で教卓に向かい。
いつもの通りに爆発を起こし、いつもの通り皆に罵倒されながら。
それでも今日の彼女は何のリアクションも見せなかった。

何故?

キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーは、そんなことをずっと考えていた。

「ねえタバサ。あなたはどう思う?」

隣の席で黙々とサラダを食べ続ける友人に声を掛ける。
口の中の物を飲み込んだタバサは、僅かに首を傾げて答える。
あ、今のちょっと良い。いやすごく良い。

「なにが?」

あたしらしくもない。
考えることに没頭しすぎて、大分すっ飛ばしてしまうなんて。
幾らこの子が優秀でも、これじゃ何も解らないわ。ね。

「ああ、だからその、ルイズよルイズ。今日のあの子ってば、何かおかしいじゃない?」

慌てて説明する。
全く、私までどうかしちゃったのかしら。

「でね。あなたは何が原因だと思う?」
「解らない。」

即答。
まあ、それはそうよね。
そもそも本人が何も言わない訳だし。

「ただ、ある程度推測できることはある。」

「えっ、ホント?」

流石タバサ。その眼鏡は伊達じゃないと思ってたわ。
あなたってなんて素敵なのかしら。
それでこそあたしの親友よ。

「……苦しい。」

あら、あたしったら。
ついタバサを抱きしめちゃったみたい。
顔を赤くしちゃって。相変わらず可愛いわね。
「で、推測できることって?」
「……彼女は朝に部屋から出てきた時点で既にあの調子だった。」

そう。私の使い魔自慢を聞いていた彼女は、あろう事かただ相槌を打つだけだった。
それも心底面倒臭そうに。

「なら、使い魔の召喚が終わってから今朝までの間に何かあったと考えられる。多分―――」

そこで一度言葉を切ったタバサは、こっちを向いてハッキリと告げる。

「―――あの死体が原因。」

成程。で?

「解らない。推測できるのはここまで。」

そう。となると後は……

「本人に聞くしかないわね。」

視線をルイズの居るテーブルに戻す。
が、ついさっきまでそこに居た筈のルイズが見当たらない。
もう食事を終えて帰ったのだろうか。
まあ、部屋は隣だ。後で行ってみれば―――――

「決闘だっ!!!」

唐突に響き渡る怒号。
思考を遮られたキュルケが、そして食堂内の全員が反射的にそちらを見る。

彼らの目に映ったのは、怒りに身を震わせるギーシュ・ド・グラモンと。

彼から少し離れた位置で怯えている平民のメイド。
そして。

メイドを庇う様にしてギーシュの前に立っている。


ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールの姿だった。


第4話 了

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