夜。
ルイズが目を覚ましたのは自分の部屋だった。
反射的に身を起こしたその視線の先には、椅子に座って優雅にワインを愉しむ男の姿が合った。
笑みを浮かべた男が声を掛ける。
反射的に身を起こしたその視線の先には、椅子に座って優雅にワインを愉しむ男の姿が合った。
笑みを浮かべた男が声を掛ける。
「気が付いたようだな、マスター」
瞬時に意識が覚醒する。
状況を全く飲み込めていないルイズだったが、それでも辛うじて1つの質問をぶつける。
状況を全く飲み込めていないルイズだったが、それでも辛うじて1つの質問をぶつける。
「あああああああんた!いい一体な、何者!?」
男はグラスを置き、悠然とその問いに答える。
どこか上機嫌に見えるのは気のせいだろうか。
どこか上機嫌に見えるのは気のせいだろうか。
「自分の意思で血液を喰らい、自分の力で夜を歩く不死の血族―――吸血鬼というのが我が種族に与えられし名だ。」
ああやっぱり。
広場で自分の血を飲んでいた時点で、予想できた答えではある。
が、やはり年頃の女の子にはなかなかヘヴィな現実だ。
広場で自分の血を飲んでいた時点で、予想できた答えではある。
が、やはり年頃の女の子にはなかなかヘヴィな現実だ。
吸血鬼といえば、その残忍さと狡猾さから、ここハルケギニアにおいて最悪の妖魔と称される存在である。
よりにもよってそんなものを使い魔として呼んでしまうなんて。
よりにもよってそんなものを使い魔として呼んでしまうなんて。
目の前にいる男を自分が完璧に御せたなら良い。
だが、もし暴走し災厄を撒き散らしたなら?
自分の不名誉で済めばまだ良い。
最悪の場合、王族の血に連なる由緒正しきヴァリエール家にも被害が及ばないとも限らない。
だが、もし暴走し災厄を撒き散らしたなら?
自分の不名誉で済めばまだ良い。
最悪の場合、王族の血に連なる由緒正しきヴァリエール家にも被害が及ばないとも限らない。
つまり?
そう、つまりはコイツを呼び出したその瞬間、ヴァリエール家の運命は私の双肩に乗せられてしまったということだ。
余りの現実の重さに再び意識を手放したくなったルイズだったが、どうにか気を取り直して眼前の吸血鬼を見据える。
既に契約は交わされたのだ。
幾ら嘆いた所で、この男が自分の使い魔であるという事実は最早取り消せない。
ならば、自分に残された選択肢は一つしかない。
深呼吸をしてから、努めて冷静に男に問いかける。
余りの現実の重さに再び意識を手放したくなったルイズだったが、どうにか気を取り直して眼前の吸血鬼を見据える。
既に契約は交わされたのだ。
幾ら嘆いた所で、この男が自分の使い魔であるという事実は最早取り消せない。
ならば、自分に残された選択肢は一つしかない。
深呼吸をしてから、努めて冷静に男に問いかける。
「……貴方、名前は?」
男はルイズの傍に跪く。
「アーカード。かつてのマスターはそう呼んでおられました。」
瞑目し、胸の上に手を置いたルイズは、心の内で誓いを立てる。
『この男を使役する。完璧に。一点の曇り無く。』
それは実に簡潔で、そして揺ぎ無い決意の言葉。
それは実に簡潔で、そして揺ぎ無い決意の言葉。
『我が誇り高きヴァリエールの名と、そして――――』
それは実に堅固で、どこまでも気高い己への誓約。
それは実に堅固で、どこまでも気高い己への誓約。
『―――我が杖に懸けて。』