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ゼロの円卓の騎士団-02


「……」
「あー……えー……と、いうことなんですがの……キング殿?」

 先ほどまでの草原、魔法学院校庭から学院長室に彼らは場所を移していた。教師コルベールは猛るキングガンダムをどうにか説得し、事情を説明するということで新たに学院長オスマンを加えて話し合いに臨んでいた。
そしてオスマン丁度今、トリステイン、引いてはハルケギニアの説明と、使い魔の儀式についてのあらましを喋り終えた。しかし喋り終えて返ってきたのが深い嘆息だったためうろたえた。

「ど、どうしましたかの? なにかご不明な点でも……」
「不明な点、どころではない!!」

 突然キングガンダムの横から怒声が上がる。続いて机を叩く音。
僧正ガンタンクR。法衣と二振りのロッドを身に付け、先代の王の頃より仕えている円卓の騎士たちの古株だ。
普段は温厚な彼が、このときは珍しく怒気を顕わにしていた。……まあ、王への忠誠心の深い彼である。その彼を使い魔にしようなどと言われれば不思議ではないだろうが。

「おぬしたちはふざけておるのか!? 我々はこのような場所で使い魔などというものをしている暇など無い! そも我らが王を使い魔などというものに貶めようなど、言語道断!!」
「あ、いや、それは、その……」

 めずらしくオスマンがあわてている。ガンタンクの怒りに面食らったというのもあるが、事実として一国の王をこの世界に連れてきてしまった、という罪の意識もあった。
ちなみに当事者の一人であるルイズもこの場にはいるのだが、場の雰囲気の重さとガンタンクの剣幕の激しさに飲まれて何も言えずにいる。

(スダ・ドアカワールド……まさかそのような世界があるとはの……)

 その世界においては、目の前にいる彼らのような種族、MS族というものが普通に存在し、生きている世界らしい。そして彼らは、その中のひとつの国、ブリティス王国を治める王なのだと彼らは説明した。
……まあ、説明されて事情が分かった分、問題の大きさも浮き彫りになったのだが。
召喚された当人たちからすれば、これはもう国際問題以外の何者でもないわけで……

(うう……マジで王族なんかい……ミス・ヴァリエールも何ちゅうもんを召喚してくれたんじゃ……)

 生徒に心の中で愚痴をもらす。

 一応彼らには賓客ということで学院内において最上の部屋である客室の上座に座らせ、少しでも機嫌を直させるために贅をつくした食事を運ばせたりしているのだが

「「「「「「「「「「「「……」」」」」」」」」」」」

 それでも説明した後に返ってくるのは、冷たいまなざし×12である。
ちなみに残った一人、ガンタンクRはもっと激しく怒りの視線と怒声を上げていた。

「聞いているのですかな、オスマン殿!?」
「ひゃい!? ああ、いえいえもちろん聞いていますとも!!」

 意識がそれていたことを咎められ、あわてて背筋を伸ばす。それにどうもオスマンとしては、目の前のガンタンクRが苦手である。
飄々とした態度で相手の怒りをのらりくらりとかわすのがオスマンのやり方なのだが、どうにも通用しない。それだけ相手が怒っているというのもあるのだろうが、こういったことに対する年季の差もあるのかもしれない。

「しかも我々を送還する魔法すらないと!? どうすればよいというのだ、王にとり残された我らの臣民は! 貴族を名乗るあなた方ならば、分かるはずだ。これがどれほどの大事であるのかが!!」
「い、いえ! それは勿論承知しております! 承知しておりますとも! ですがそのための魔法がない、いや、少なくとも我々は知らないというのも事実ですし、ともかく一旦落ち着いて……」
「これが落ち着いてなど……!」
「……そこまでにしておいてくれ、ガンタンク」

 それまで口を閉ざしていたキングガンダムが、そこでガンタンクを抑えた。

「しかし……!」
「ガンタンクの言うことももっともだ。私を信じてくれている民たちを思うと、
私も心底申し訳がない。だが彼が言う返す魔法がない、もしくは知らないとい
うのも事実なのだろう。それぐらいは彼の様子を見れば分かる。ならばこれ以
上彼に怒りをぶつけても仕方が無いのは、普段のガンタンクなら分かるはずだ」
「む……」
「勿論、使い魔などという話に怒ってくれたのも分かっている。だが、こういっ
たときに一番頼りになるのがガンタンクだ。そのあなたがこう怒ってばかりでは
話がすすまない。違うか?」

 たしなめると共に、深い信頼を宿した声を彼に向ける。その様にほう、とオスマンはうなった。
 なかなかに懐が深い……しかも、一般的にプライドの高いといわれる王族でありながら、使い
魔にするなどいう説明をされてなお冷静さを保っていられるとは。
 キングガンダムにたしなめられ、少し考えていたガンタンクだったが、やがて彼に頭を垂れた。

「……失礼いたしました。確かに、少し冷静さを欠いていたようです。申し訳ありません、キング様」
「いいさ。……だが」

 恥じ入るガンタンクから目をオスマンに移すキングガンダム。
 一直線に、何のごまかしも許さないと無言の圧力をかけてくるその眼力に、オスマンは肝が冷えるのを感じた。

「ガンタンクが言ったことも、本当のことなのだということは理解してもらいたい。……事実、我ら円卓の騎士団が欠いたことで、故国は滅ぼされるという憂き目に一度逢っている。今は再興しているが、我が臣民をそのような目には二度と合わせたくない」
「……」
「我らを賓客として歓迎してくれたことには感謝しよう。だが、それならば早急なるこの事態の解決もお願いしたい。今後全力でもって、帰還の方法を探してくれること……誓ってくれるな?」
「あ、い、いえ、そ、それは勿論ですが、しかし……」

 オスマンは口ごもる。自分たちがやる分にはやぶさかではない。それほどこの問題を軽視しているわけではないからだ。
だがキングガンダムが言った『全力で』の意味……おそらく国を挙げて、というものには、躊躇が入る。
どうするか迷っていると、コルベールが弁明の声を上げた。

「し、しかしですな、わ、私たちは魔術学院の院長、教師をしていますが、いってしまえばそれだけの存在でして。私たち個人ならともかく、国で以って、というのは我らの一存では……」
「……そう硬くならずとも良い。全力でとは言ったが、王といっても私は異世界の存在なのだし、突然このようなことを言われて国を挙げて探すなどできるはずもないことは理解している」
「……」
「だが、繰り返すがそうであっても我らの事情も理解してもらいたいのも事実なのだ。この際あなた方だけでもよい。……改めて問う。誓ってくれるな?」
「は、はい! 勿論です!」

 勢い込んで返事をしつつ、内心ほっと息をつく。彼は物の分別もある王らしい。
先ほどの懐の深さといい、部下を抑える冷静さといい、かなりの名君であることがその行動の端々から伺える。

(惜しいのう……これほどの分別がウチの貴族どもに少しでも備わっていれば……)

ふと、そんなことを考えてしまう。とはいえ、誓ってしまった以上こんなことを考えている暇などこれからは無いだろう。明日から本気で、全力で以ってことにあたらなければなるまい。
 もっとも、ここでの会話などたかが口約束だ。その気になれば無視する、ということもできなくもないだろうが……

「なぜか、それだけはしちゃいかんとつげとるんじゃよなあ……わしの勘が」
「ええ、それは私も同じです。彼らを怒らせてはいけない……それだけは、はっきりと分かる」

 小声で隣に座っているコルベールと話す。そう、何故かそのことだけははっきりと二人には理解ができた。
 ともかく今後、トリステイン魔法学院は全力でもって彼らの帰還する方法を探すことが決定し、かつ今後彼らがどうするかの確認をある程度して、この話し合いは終わることになる……はずだったのだが

「ま、待ちなさい!!」

 ルイズの声が、そこで部屋に響いた。


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