「……ここは、どこだ?」
一人……いや、そういえるのかどうか疑問符がつくが……は辺りを見回して言った。だが言ったそれの姿は、あまりに周りの目を引いた。
恐ろしく豪奢な姿だった。背にある金糸が縫いこまれた真っ赤なマントはもちろん、金や銀、青など、色とりどりの装飾が施された鎧は華美ではあるが、しかし勇壮さも失っていない絶妙なバランスを備えていた。
おそらく彼の姿を見れば、誰もが王たるものの姿と考えるのではないだろうか。
現に周りを囲む生徒たちは、それが無意識に発している威厳に打たれて口を開けずにいる。いつもなら散々な悪口や嫌味を呼び出した当人に言ってもおかしくないのに。
恐ろしく豪奢な姿だった。背にある金糸が縫いこまれた真っ赤なマントはもちろん、金や銀、青など、色とりどりの装飾が施された鎧は華美ではあるが、しかし勇壮さも失っていない絶妙なバランスを備えていた。
おそらく彼の姿を見れば、誰もが王たるものの姿と考えるのではないだろうか。
現に周りを囲む生徒たちは、それが無意識に発している威厳に打たれて口を開けずにいる。いつもなら散々な悪口や嫌味を呼び出した当人に言ってもおかしくないのに。
「おいおい、俺たちは円卓の間にいたはずだろ!? だったらなんだってこんなとこにいるんだよ!!」
「……さて、な。しかしそれよりも、いちいち大声を出すな。相変わらず品のない」
「あんだとー!?」
「おい、やめろって! 今はそんなことしてる場合じゃないだろ!」
「……さて、な。しかしそれよりも、いちいち大声を出すな。相変わらず品のない」
「あんだとー!?」
「おい、やめろって! 今はそんなことしてる場合じゃないだろ!」
見るからに重そうな黒い鎧を纏った一人が大声をだし、豪奢な装飾が施された赤い鎧の一人がそれを見咎める。喧嘩になりかけた二人を、銀の鎧を身に着けた一人が間に入ってとめた。
「兄さん、ここの風景に見覚えは?」
「……ないな。遠征、諜報にと数多くの地を回ったが、このような場所は初めてだ。それにこのようなモンスターは見たことがない」
「闇騎士もか。しかしそうなると、まさしくもって何がどうなっているのだか……」
「……ないな。遠征、諜報にと数多くの地を回ったが、このような場所は初めてだ。それにこのようなモンスターは見たことがない」
「闇騎士もか。しかしそうなると、まさしくもって何がどうなっているのだか……」
緑の鎧、スパイクが随所に付けられた黒い鎧、神秘的とも言える形状をした銀色の鎧を身に着けた三人が口々に疑問の声を上げた。
「お前たちでも見覚えはないのか……となると」
「あー、悪い、親父」
「ぜんぜん分からない」
「……他の二人と同じなのは癪だけど、僕もだ」
「……だろうな。まあ、期待はしていなかったが……」
「お前たちでも見覚えはないのか……となると」
「あー、悪い、親父」
「ぜんぜん分からない」
「……他の二人と同じなのは癪だけど、僕もだ」
「……だろうな。まあ、期待はしていなかったが……」
ため息をつき、あきらめの言葉を吐いた一人に「おい親父、どういうことだよ!」「父さん、さすがにそれは聞き逃せないよ!」と、それよりも一回り小さい三人が囲んで口々に文句を言っている。
「……やれやれ、こういうときでも元気があるのは結構じゃが……」
「もう少し状況を考えてほしいものですね。……とはいえ、いい加減このままでいるわけにもいきますまい。珍妙なものを見るような視線には、少々飽きました」
「……うむ、そうじゃな」
「もう少し状況を考えてほしいものですね。……とはいえ、いい加減このままでいるわけにもいきますまい。珍妙なものを見るような視線には、少々飽きました」
「……うむ、そうじゃな」
他と少し違った風貌をしている一人が首をやれやれと振る。黄金色の鎧を身に着けた一人も同意とばかりに首を縦に振っていたが、そこで意を決したかのように杖を持った方が立ち上がった。
そして向かうのは、王の下。直前で跪き、頭を垂れた。
そして向かうのは、王の下。直前で跪き、頭を垂れた。
「キング様、この状況、どうやらこれは……」
「……ああ、なんとなくではあるが、見えてきた。思えば、父の代にもこのようなことがあったというが……まさか、今度は我々がそのような立場になるとは思いもしなかった」
「……ああ、なんとなくではあるが、見えてきた。思えば、父の代にもこのようなことがあったというが……まさか、今度は我々がそのような立場になるとは思いもしなかった」
ひとつ頷き、キングと呼ばれた者が立ち上がる。
「とはいえ、こうなった理由も分からぬままではな。まずは、そこから明らかにするとしよう」
そして威厳を伴った声で、周囲のものたちに宣言した。
「ここにいる貴殿らに問う! 我々はブリティス王国、『円卓の騎士団』!」
高らかと謳い上げるは、かの世界で最強の称号を冠する騎士団の名。その騎士の強さは、機兵にすら匹敵するといわれた――
「我が名はキングガンダムⅡ世――ブリティスの王にして、円卓の騎士団の長。見知らぬモンスターを従える者達よ! まずは名乗り出て自らの名を述べよ。そして我らを呼んだ、その真意を明らかにするがいい!!」
スダ・ドアカワールドただ一人のMS族の王の声は、嵐のような激しさで学園の敷地内に響いていった。
※
※
(ちょ、ちょっと……なによこれー!?)
ルイズはパニックに陥っていた。
トリステイン魔法学院における重要な儀式、使い魔召喚の儀はつつがなく行われた。
みなそれぞれに呼び出した使い魔たちを自慢しているのを見て自分もという気持ちと、もしかしたらこの儀式もという気持ちがわいてくる。
そしていよいよ自分の段となって、じわじわと沸きあがってくる怖さを忘れようとして――
トリステイン魔法学院における重要な儀式、使い魔召喚の儀はつつがなく行われた。
みなそれぞれに呼び出した使い魔たちを自慢しているのを見て自分もという気持ちと、もしかしたらこの儀式もという気持ちがわいてくる。
そしていよいよ自分の段となって、じわじわと沸きあがってくる怖さを忘れようとして――
「宇宙のどこかにいる強くてかっこよくて気高くてともかく素敵な使い魔よ! 私の呼び声に……応えなさい!!」
……冷静になって考えると頭のネジの緩んだ詠唱で、使い魔を呼んでしまった。で、その結果が……
(こんな変なの13人(?)ってどういうことよ!? しかも自分のこと王様って言ってるし!)
頭の中で文句を言う。まあもっとも、彼女が変というのは、この世界の人間であれば当然である。
彼ら13人、全員が人間ではなかった。
肌は金属のように硬質で、肉と思しき部分はどこにも見出すことができない。人間で言う太ももにあたる部分が無いように見える分、体は人間よりも小さいという、なんとも奇妙な生き物だった。
だが、
彼ら13人、全員が人間ではなかった。
肌は金属のように硬質で、肉と思しき部分はどこにも見出すことができない。人間で言う太ももにあたる部分が無いように見える分、体は人間よりも小さいという、なんとも奇妙な生き物だった。
だが、
(なん、でよ……なんで誰も、喋らないの!?)
さっき頭の中で言った言葉……口に出そうとして、しかしなにひとつ出せずに終わってしまった。現に今も「あんたたちを呼び出したのは私よ!」といいたいのに、口を開けない。
理由は明白だ。王を名乗ったそいつの迫力が、尋常ではないからだ。
いや、それだけではない。キングガンダムⅡ世が名乗りをあげ、自分たちを問い詰めた瞬間、言い争いをしていたり辺りを見回したりしていたほかの連中も一斉に大人しくなり、思い思いの得物に手を掛けている。
彼らから感じる威圧感も、戦闘の素人であるルイズにすら感じられるほどの強さを持っていた。
理由は明白だ。王を名乗ったそいつの迫力が、尋常ではないからだ。
いや、それだけではない。キングガンダムⅡ世が名乗りをあげ、自分たちを問い詰めた瞬間、言い争いをしていたり辺りを見回したりしていたほかの連中も一斉に大人しくなり、思い思いの得物に手を掛けている。
彼らから感じる威圧感も、戦闘の素人であるルイズにすら感じられるほどの強さを持っていた。
(も、もしかして……私、とんでもないやつらを呼び寄せちゃった……?)
しかも、そんな奴らが13人。思わず、背筋に悪寒が走り……
「お、お待ちください!」
ルイズたちの教師である、コルベールの声が上がった。