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デュープリズムゼロ-27

第二十七話 『特製ワインは恋の味』

トリステインに置ける戦勝ムードに落ち着きが見え初めてきた頃、ルイズとミントもまた魔法学園にて、いつもと変わらぬ平穏を取り戻していた。
しかし、それは『取り敢えず』であって何もかもが以前のままとは行く訳が無い。


ルイズは『虚無』の力に覚醒した。それは夢の中で出会ったミントの世界の魔法使いファンシーメルがルイズへと向けたかつての予言道理に…


とにもかくにもタルブ戦役の祝勝パレードとアンリエッタの女王就任式の後、当然の如くミントとルイズはアンリエッタから城へと招かれ、直々に感謝の言葉を向けられた。そしてその場で幾つかの案件が決定される事になる。

艦隊を消し飛ばしたルイズの虚無、それと単身一騎当千の力を振るったミント、特にマザリーニの士気を呷る為の出任せのせいで一気にその存在を神格化されたヘクサゴンの存在の隠匿。
これらは公に明かせばその奇跡を後押しとしたアンリエッタが女王の座についたばかりのトリステインを恐らく大きく揺るがす事になる。
又、それはトリステインに身を置く限り、二人のこれからに対してしがらみとなるであろう事は容易に想定できた。ともすればロマリア法王庁に保護という名目の元、その身柄を拘束されるかも知れない。
今回の戦乱一番の功労者二人に対し、アンリエッタとしても心苦しいが此度の決断はそれ故の判断であった。


そしてもう一つ、ルイズはその場で己の目覚めた虚無の力を王女アンリエッタに捧げる事を誓い、『王女陛下付き女官』という肩書きを負う事となった。以降ルイズはアンリエッタから勅命の任務を受ける事となる。

ミントもアンリエッタに友情を覚えないでも無いが、結局は打算を持って全てを決めるミントにはそのルイズの決心に対して理解は出来なかった。だが、ルイズの決めた事をとやかく言う事理由も特に無いので何も言わなかった。


ただ「面倒な任務に巻き込まれるのはごめんよ。」という一言以外は…



___ 魔法学園

「久しぶりね…あなたとこうしてゆっくりするなんて…」

金髪ロールの少女モンモランシーは憂いを秘めた儚げな表情を浮かべ、そんな台詞を穏やかな口調で学園の中庭にあるガーデンテーブルの向かいに座る少年、ギーシュへと向けた。

「あぁ、そうだねモンモランシー。君とこんな素敵な時間を過ごせて僕は幸せさ、今宵はあんなにも月が綺麗だ…無論、君の美しさには遠く及ばないがね。」
淀みなく繰り出されるギーシュの歯の浮くような台詞にモンモランシーは思わず頬を朱に染めそうになるが浮つきそうな心を何とか静め、ここは努めて平静を保つ。

「あら、ありがとう。でもその台詞、私以外にも言ってるんじゃ無いの?ここ最近の貴方ったら私よりもあのルイズの使い魔と一緒にいる時間の方が長い位だわ。アルビオンから帰ってからはキュルケともタバサとも仲良くしちゃって…」

「そ、そ…そんなことは無いよモンモランシー。僕の心には君以外は住んではいないさ。」

少しだけ、だが確実にギーシュに動揺が現れた事にモンモランシーは眉をひそめる。本来ならここで平手打ちでも入れて尋問してやりたい所だが今は我慢する。

そう、計画の為に…

「まぁ良いわ。それよりもワイン飲みましょう。これ貴方が私にくれたタルブのお土産のワインよ。(そういえばあのタルブの田舎メイドにもこの前声をかけてたわねこいつ…)」

まこと恐ろしいのは女の嫉妬…それを知らぬは男ばかりである…

「あぁ、そうだね。」

言ってモンモランシーは持参したワインの栓を抜いて用意しておいたグラスに慣れた手つきでワインを注ぎ入れた…
そしてその最中、ギーシュのグラスには袖元に潜ませている小瓶の中身をほんの数滴混入させる事に成功する。無論ギーシュは気が付いていない。

「それじゃあ、乾杯といこうか。」
「えぇ、乾杯。」

二人はロマンチックにも月を赤い水面に映すグラスを軽く触れさせ、心地よい鈴の音の様な韻を奏でるとそれぞれの口へとグラスを運ぶ…
そしてそのままギーシュがグラスを空にしたのを見てモンモランシーは己の計画がこれまで全て順調に上手くいっている事に内心でほくそ笑んだ…

後は薬の効果が現れ、ギーシュが自分を見つめれば全ては終わる。


と、そこへモンモランシーの予想だにしない…否、恐れていた事態が起きた。


「おーい、ギーシュ~。」


お客さんだ。

このモンモランシーにとって最悪とも呼べるタイミングでギーシュの名を呼んだのは誰あろうとミントであった…
自分を呼ぶ声に気が付いたギーシュの視線の先、つまりはモンモランシーの背後から何食わぬ顔で軽く手を振りながらミントは二人の元へと歩いてくる。

「ギーシュ、あんたの注文通りヘクサゴン、ナイトフライト用に準備しといたわ。コルベール先生の研究所の広場に出してるから好きに使いなさい。全く、このあたしを小間使い扱いするなんてあんた良い度胸してるわ。」

「あぁ、すまないとは思ってるこの埋め合わせは必ずするよ。でも、ありがとう感謝するよミント君。」

「ま、あんたにはそこそこには世話になってるからね…それにしてもモンモランシーと夜空のデートがしたいだなんてあんたも良い所あるじゃ無い。」
ミントは軽い不満を溢す様に言いながらも仲睦まじげな二人を見て満足そうに笑う。

「へ?それじゃあ最近ミントとギーシュが一緒にいる事が多かったのって…」

話が見えないのはモンモランシーだ。
実はここ数日ギーシュは何度も何度も、ミントへとヘクサゴンを一晩だけ貸して貰えないかとそれはもう何度も何度も…頭を下げて頼み込んでいたのである。
ミントがアンリエッタの要請を受けてヘクサゴンを封印する前にと。全ては最近構ってあげられなかったモンモランシーの為に…

「そういう事よ、モンモランシー。それじゃあ精々楽しみなさい。おやすみ~。」

それだけを言い残してミントは二人のテーブルの上のベリーパイを掠め取るとその場を去ろうとする。その姿をモンモランシーは半ば呆然と見つめ、ギーシュも感謝と共にその背中を見送る。


だが、これが不味かった…



「待ちたまえっ…ミント君!!」

突如、ギーシュが大きな声でミントを呼び止める。それはいつかの決闘騒動の時の様に堂々とした呼び止めッぷりであった。

モンモランシーはそのギーシュの突然の行動にハッとなる…全身から血の気が引くような感覚を覚えるもそれはもう遅い!!
無論、呼び止められたミントは多少訝しみながらも何の気なしに振り返る…

「何よ?」

「ギーシュッ、駄目ぇっ!!!」
「好きだっ!!愛してる!!君の事が何よりも!誰よりも!!僕と、このギーシュ・ド・グラモンと結婚して下さい、ミント王女殿下!!」


「は?」


モンモランシーの制止の声も虚しく、ギーシュの熱烈な愛の告白にミントの世界が停止する…
もしかしたら今ミントはベルが『年増』呼ばわりされた時と同じ様な表情だったのかも知れない。

「アハハ……………終わったわ…何もかも…」

モンモランシーはその広めの愛らしい額を手で押さえて力無く笑うと唯一言呟いた…もはやそれが限界だった…



____ 魔法学園 モンモランシーの部屋



「で…きっちり説明しなさい…」

ミントは底冷えするような冷たい口調でモンモランシーに問う…
「ギーシュが最近また浮気しているんじゃ無いかと思って惚れ薬を作って飲ませたのよ。そうしたら悪いタイミングで貴方が来て…ギーシュが貴女に惚れちゃったのよ…」

消え入りそうなボソボソ声でそう端的に返答したモンモランシー、彼女は今石畳の上で正座状態である。

「…………呆れてものも言えないわ…で、どうするのよ『コレ』。」

ミントの視線の先にはこれでもかと言う程にミントにボコボコにされ、十二分に地獄巡りを楽しんだ挙げ句に猿ぐつわを口にはめられ簀巻き状態にされて冷たい床に転がされている気を失ったギーシュが居た。

ギーシュはあの後、事もあろうに固まったままのミントに飛びかかり、その唇に自分の唇を寄せた…無論、一瞬の内に叩き伏せられたギーシュは地面と口づけする事となったが…
無論、愛するミント様からの愛の鞭というご褒美に気を失っているギーシュは今恍惚の表情である事は語るまでも無い。

モンモランシーはギーシュの可哀想な姿に思わず唾を飲む…もしここで返答を間違えれば次は本格的に自分なのかも知れないと…(既に一度逃走を図って修正済み。)

「げ、解毒剤は作れるわ…材料が揃えば多分一晩で出来ると思う…」

「そう、なら急ぎなさい…ギーシュに又言い寄られるだなんて考えるだけで寒気がするわ。」

ミントが震える身体を抱くようにそうキッパリとモンモランシーに言い放つとモンモランシーは今度は非常に何か言葉を言い淀んだ様子を見せた後、意を決した様子で衝撃の事実をミントへ告げる…

「無いのよ…材料が…」

「しょうが無いわねぇ、なら明日、朝一で城下町まで買いに行きなさい。それ位は待ってあげる。」

「それがもう売ってないのよ…『精霊の涙』は品切れでしかも今後の入荷も未定なのよ。」

「……嘘…でしょう?」

ミントは目の前が途端に真っ暗になるのを感じた…気が付けば目の前の全ての元凶モンモランシーもへたり込んだまま溢れ出る涙を袖で拭い続けている…
そのまましばらく二人の間に呆然とした時間が流れたがここでようやくミントは一つの苦渋の決断を決める…

「はぁ…分かったわ…こうなったらあたしが精霊の涙を手に入れる…」

「はぁ!?何言ってるの、無理よ!水の精霊に会うには由緒ある交渉役の水のメイジの力が要るし。第一、運良く出会えたとして精霊の涙下さいと言って貰えるような物じゃあ無いのよ…万一水の精霊の怒りに触れでもしたらそれこそ…」
モンモランシーは勢いよくそう言うとミントに呆れた様に伏し目で首を横に振るう…

「下さいだなんて言わないわ。精霊の涙ってのは水の精霊の涙なんでしょう?だったら話は早いわ、このミント様の魔法で水の精霊をボッコボコにして泣かせてゲットすれば良いのよ。」

不敵にミントはハルケギニアの常識で考えればとんでもない事を言う。
モンモランシーは当然そんなミントに抗議の声を上げる。

「バカを言わないでよ!!あんた精霊に喧嘩を挑む気!?正気じゃないわ!!」

モンモランシーの主張は常識で考えれば当然だ、だがミントで無くとも今回の騒動の根本であるモンモランシーにそんな事を言う資格があるとは思わないだろう。

当然ミントはキレる…

「っ…勝手な事言うなーーー!!!!こっちはあんたのせいでどれだけ迷惑してると思ってんのよ!!」

「ひっ!?」
怒りの叫びと共に、モンモランシーの部屋の石畳を踏み抜かんばかりの勢いで地団駄を踏んだミントにモンモランシーは小さく悲鳴をあげると頭を押さえて身をすくませる…

「言っとくけどモンモランシー、交渉役はあんたよ。何があろうと絶対連れて行くからね…」

「ちょっ…何であたしが!?」
ミントの死刑宣告にも似た言葉にモンモランシーは当然抗議の声をあげたがジト目で睨み付けてくるミントの視線は冷たい。それはそれ以上のモンモランシーの言葉を許さなかった。

「明日、朝一で出るわよ、このミント様から逃げられるだ何て絶対に思わない事ね。いいわねっ!?」

そうとだけ言い残してミントは部屋を出ると勢いよく扉を蹴って閉める。その際、蝶番が衝撃に耐えきれず変形したせいで以降モンモランシーの部屋は非常に扉の立て付けが悪くなるのだがそれは些末事…

「そ…そんな~…」

その場にへたり込み、ただ己の不幸を呪うモンモランシー…心底逃げ出したかったが確かにギーシュがこのままなのも不味いしそもそも惚れ薬は禁薬である。
事が大きくなって表沙汰にでもなればどうなるか…そして何より怒り狂ったミントが怖い…


そうして今夜、魔法学園の女子寮塔でそれはもう盛大な溜息が二つ零れたのだった。

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