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デュープリズムゼロ-24

第二十四話 『開戦』

タルブ村からミント達がヘキサゴンを接収して戻ってきて数日が過ぎた。
今日はトリステインとゲルマニアの同盟調印式の日である。つまりはアンリエッタとアルブレヒト3世の結婚式の日でもある。

それは取り敢えず置いておいて…

やはりミントが予想していた通り、オスマンが保管していたカノンオーブはタルブのヘキサゴンに合致していた為、ミントの交渉術によってカノンオーブは何事も無く無事オスマンから譲り受ける事に成功した。
問題のヘキサゴン自体はオスマンが施していた固定化の御陰で劣化も少なくコルベールとギーシュを筆頭に大勢の人間がガンダールブの能力を発揮したミントの指示によって整備と改修を行っていた。

そして…


___魔法学園 早朝


「やぁ、おはようギーシュ。…今、君はそれは一体何をしているんだい?」
魔法学園の敷地の隅にあるコルベールの研究室の前に広がる広場を訪れたマリコルヌは安置されたヘキサゴンの下に潜り込んでゴソゴソと作業を行うギーシュに声をかける。

「おや、おはようマリコルヌ、見ての通りさ。外装に痛みや歪みが無いか調べているのさ。
知っての通りこいつも昨夜ようやく起動実験に成功したんだよ。僕が個人で出来る事と言えばこれ位だからね。」
額に浮かんだ汗を拭って爽やかな笑顔でギーシュは友人であるマルコリヌに語る。

「所でマリコルヌ、君は王女殿下の式典に参加するんだろう?こんな所でゆっくりしていていいのかい?殆どの生徒が昨日には魔法学園を発っているというのに…」

「それは僕の台詞だよギーシュ。僕は父上と母上が王都に向かう途中馬車でここに立ち寄る予定だから乗り合わせていくんだ。だからまだまだ平気なんだよ。」

「成る程ね…僕は、フフフ…トリスタニアには完成したばかりのこいつでミント君と向かうんだよ。」
ギーシュは誇らしげな笑みを浮かべて朝露に濡れたヘクサゴンの黄土色のボディを見上げる。
「へぇ~そいつは凄いね!!僕は最初君がこんな怪しげな物に夢中になっていた事に驚いたけど今じゃ心から羨ましく思えて仕方が無いよ。」

「ハハハ…ヘクサゴンならきっと君もいつか乗せて貰えるさ。何なら僕からミント君に頼んで上げるよ。」
ギーシュと共にヘクサゴンを見上げるマリコルヌはそのギーシュの提案に微妙に表情を曇らせる。

「ありがとう、でも僕が君を羨んでいるのはそれだけじゃ無いんだよ。」
「と言うと?」

「君はモンモランシーと付き合っているだろう?それなのにミス・ミントとアルビオンに向かったと思えば今度は宝探しの冒険、それにここ最近はずっと一緒にヘキサゴンをいじっていたじゃないか。
そして君は多分学園の誰よりもミス・ミントと親しい。」

「マリコルヌ、まさか君はミント君に…」

「いやっ、そうじゃないんだ!そうじゃない、ただ毎日が充実しているようで君が羨ましいなと…僕もヘキサゴンの修復作業に参加しておけば良かったと今更ながらに思うよ…」
慌てて否定しながらも顔を赤くしたマリコルヌの言葉の語尾はどんどん小さくなっていく。

「ふむ、ミント君は確かに魅力的な女性だからね…ところでマリコルヌ、こいつを見てくれ。 どう思う?」
ギーシュは友の悩みに無粋に踏み込む事をせずただ視線をヘキサゴンへと向けた。次いでマリコルヌもヘキサゴンを改めて見上げる。

「すごく…大きいです。」
言ってマリコルヌは無意味に頬をほんのり朱に染める…

「いや………大きさの話じゃ無くてね……少々、この色では彼女が搭乗するには無粋というか…地味だとは思わないかね?」

「う~ん、確かにそうだね。」

「今からでも遅くは無いさマリコルヌ、僕一人ではこいつを彩るには些か苦労するかも知れない。
だが、君が一緒なら心強いんだがね。」

ギーシュは言って近くの資材小屋に目配せした。そこには本来使用人達が使用する塗装用品が保管されていた。

「ギーシュ………うん!素晴らしいアイデアだよ。色は彼女の緋色の髪をイメージして赤色が良いんじゃ無いかな?」
マリコルヌはギーシュの提案に笑顔で答えると用具倉庫へと我先にと駆けだした。

「あぁ、素晴らしいよマリコルヌ!!そうだ、考えたらヘキサゴンという名前も少々無骨ではないか?彼女の為にもっとエレガントでスペシャルな名前をこいつに付けてあげようじゃ無いか!!」

「ギーーーーシュッ!!それ、最高にCOOOOOOLLLだよっ!!!」


こうして昨晩も遅くまで作業を行って疲れ果てていたミントがルイズの部屋で爆睡している間に暴走した二人の少年の魔の手がヘクサゴンへと伸びていたのだった。


でっ!!

「何よこれ…」

ヘキサゴンの変わり果てた姿を目にして思わずミントはそう言葉を漏らす…

「どうだい?君の髪の色をイメージして鮮やかな赤で仕上げてみたんだよ。おっと、これはマリコルヌのアイデアでね、彼はこいつを仕上げる為にとても頑張ってくれたんだよ。」

爽やかに髪を掻き上げるギーシュと照れたように頭を掻くマリコルヌ…

「あ…そう。ありがと…」
ミントは未だ呆然と赤く染まったヘキサゴンを見上げたまま気の抜けた礼を二人に返す。別に塗装をしてくれるのは構わない、しかし流石に驚いた…

「そして、こいつにはヘキサゴン改め、新しい名前を付けさせて貰ったんだ!」

「えっ??(嫌な予感しかしないんだけど…)」
『その名も!!』
さらにギーシュとマリコルヌの暴走は止まらない。二人して無駄に格好いいポーズを取ると高らかに新たなヘキサゴンの名を叫んだ。

「スカーレット!!」

「タイフーン!!」

「エクセレント!!」

『ガンマさ!!』




「……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………却下。」

ミントは二人の少年を一言でバッサリと切り捨てた…

(ハァ…何でこうも男ってのは訳の分からない名前をつけんのよ…)
そのミントの一言に命名者の二人はガックリと肩を落とすが本当に肩を落として項垂れたいのはミントだ…二人は知らないが『スカーレットタイフーンエクセレントガンマ』という乗り物は既にミントの世界にあるのだ…


「おい相棒、いそがねぇと不味いのにこんなにのんびりしてて良いのかよ?」
っと、突然ミントの背でデルフリンガーが鍔を鳴らし、ミントは今はこんなにのんびりしている場合では無い事を思い出した。

「あ、そうだった。あのさ、詳しい事は分からないけど結婚式に参列する予定だったアルビオンの艦が攻撃されてトリステインとアルビオンが交戦始めたらしいから結婚式中止らしいわよ。
あたしはこれからヘキサゴンでアンリエッタの所に行くわ。きっとルイズも一緒にいるだろうからね。」

『なっ……なんだって~~~~!!!!??』






現在トリステイン城は蜂の巣を突いたような騒動に陥っていた…

トリステインとの不可侵条約を結んでいたアルビオンの艦隊が今回の結婚式典に参列する為に新皇帝『オリヴァー・クロムウェル』を乗せた旗艦『レキシントン』の一団がラ・ロシェールの上空に現れたのは数刻前…
その際、レキシントンから放たれた礼砲に対する返礼の砲をトリステインの艦が撃った時に事件は起きた…実弾を伴わない空砲に会わせ、アルビオン側の戦艦が何故か一隻爆発、炎上したのだ。

これに対し、アルビオン側はそれをトリステインからの宣戦布告と見なし、レキシントンの誇る長射程大砲で旗艦『メルカトール号』を含むトリステイン艦隊を壊滅させた。
無論、この一連の出来事はアルビオン側のトリステインのゲルマニアとの同盟阻止の為の卑劣な陰謀であったが最早事実などは関係なく、
アルビオンの軍は驚異的な進軍速度でタルブ村とラ・ロシェールの上空を制圧し、既に開戦は避けられぬ状態に陥っていた。


___トリステイン城 軍議室

トリステイン王宮に、国賓歓迎のためにラ・ロシェール上空に停泊していた旗艦『メルカトール』号を含むトリステイン艦隊が全滅したとの報と共にアルビオン政府から宣戦布告文が王宮に届けられた。
『貴国ハ不可侵条約ヲ無視シ、理由モ無ク我艦ヲ攻撃シタ事ニ、神聖アルビオン共和国政府ハ憤慨ノ意ヲ表ス。自衛ノ為神聖アルビオン共和国政府ハ、トリステイン王国政府二対シ宣戦ヲ布告ス』

結婚式の為にゲルマニアへのアンリエッタの出発でおおわらわだった王宮はその突然の事に騒然となり、すぐさま大臣や将軍達が集められ会議が開かれた。
しかし、会議は紛糾するばかりで少しも進展しない。
口々にアルビオンに急使を送りトリステインの先制攻撃が誤解である事を正すべきであるとか、ゲルマニアに使いを派遣し軍事同盟に基づいて軍の派遣を要請すべきだ。等無難な意見は出ても誰もが結論を出せぬまま悪戯に時間ばかりが流れてゆく。
その会議室の女王マリアンヌの隣にはウェディングドレス姿のアンリエッタの姿もあった。
既に不毛な緊急会議が開始され三時間近くが経過している。

「我が方は礼砲を発射しただけだと言うではないか!偶然による事故であると言う事を早急にアルビオンに打診すべきだ!」
「そうだな、全面戦争へと発展する前に、アルビオンに特使を派遣し、双方の誤解が生んだ遺憾なる交戦であったと言う事を明らかにして置くべきだ。」
現在トリステインの政務を取り仕切っているマザリーニ枢機卿も、このアルビオンに特使を送る案が最も妥当であろうと結論付けると早急に特使の手配を決定した。

「お待ちなさいマザリーニ!!」

しかし、これに異を唱えたのはこれまで黙して会議の成り行きを見守っていたアンリエッタだった。会議に参加していた貴族達はやおらアンリエッタへと視線を集中させる。
一喝と共に立ち上がったアンリエッタの瞳は今強い決意と意思を秘めていた。迷走する会議の間その指先に填められた風のルビーを見つめてずっと考えていたのだ…

「あなた方は恥ずかしくないのですか?国土が敵に侵されていると言うのに、同盟だの、特使だのと騒ぐ前にする事があるでしょう?」
「しかし、姫殿下、我らは不可侵条約を結んでおったのだ、これは偶然の事故が生んだ誤解から発生した小競り合いですぞ…」
恰幅の良い貴族がアンリエッタを宥めるように進言する。するとアンリエッタはキッと強い視線でその貴族を睨み付けた。

「チェレンヌ殿、偶然の事故とは随分と都合の良い物なのですね、アルビオンに味方する傭兵が偶然集結していたと仰るのですか?
もとより条約を守るつもりもなかったのでしょう。時を稼ぎ、条約など我々の虚を突くための口実に過ぎません。アルビオンは明確に戦争をする意思を持って、全てを行っていたのです!!」
「しかし、姫殿下……」
「我らは何のために王族、貴族と名乗っているのですか?こうしている間にも民の血は流され、大切なものを奪われていくのです!その力無き彼らを守るために我ら貴族の務めではありませぬか?」
そのお飾りの姫と暗喩されていたアンリエッタの口から出たとは思えぬ勇ましい言葉にもはや誰も、言葉を返せなかった。
「あなた方は怖いのでしょう?アルビオンに敗れる事が。そして敗戦後、反撃を率いた者として責任を取らされたくないと。ですが、そうしてアルビオンに恭順して生きながらえ、傷ついた民の前に立ち、尚も貴族と名乗るつもりですか?」

「アンリエッタ…」
母マリアンヌは娘のその剣幕に圧倒されながら娘へとおずおずと手を伸ばす。だがアンリエッタはそんな母の手を振り払うように言葉を続けた。
「よろしい、ならば軍をわたくしが率いましょう。あなた方は好きなだけこの会議室で踊っていればよろしいですわ!わたくしの馬車を!近衛!参りなさい!」」

マザリーニや数名の貴族が会議室を飛び出そうとする王女を押しとどめようと立ちはだかる。
「なりませぬ!姫殿下!お輿入れ前の大事なお体ですぞ!」
「退きなさい!!結婚一つで今ある危機を救う事ができますか?今この国を!民を守れるのは杖を手にする貴族だけです!!!」
アンリエッタは叫んだ。
そのアンリエッタの言葉に賛同するかのように魔法衛士隊の面々が集まり、一斉に杖を掲げて敬礼して会議室の扉を開いた。

そして…

扉の先にてアンリエッタを待ち受けるようにかしずいていたルイズはゆっくりとその顔を持ち上げる。

「姫様…この不祥ヴァリエール家が三女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール、是非とも姫様のお供をさせて頂きたく存じます。よろしいでしょうか?」

「ルイズ…えぇ、頼りにさせて貰います。」

___


「ルイズ…わたくしは将軍達が特使だの交渉だのと話している間、ずっと考えていました。」
アンリエッタは純白のドレスの裾を乱暴に裂いて自分専用の幻獣ユニコーンに跨がる…
「何を…でございますか?」

「彼女…わたくしと同じ王女であるミントさんならばどうするかをです…彼女ならばきっと…」
アンリエッタは視線を空へと向ける…その先には小さくではあるがレキシントンの巨体が映っていた。
「…決まっています。」
ルイズは確信の言葉を持って頬を少しだけ緩めると自慢の使い魔の顔を思い浮かべる…

「始祖よ、我等に加護を。ウェールズ様わたくしに一時の勇気を……これより全軍の指揮をわたくしが執ります!各連隊進めっ!」
アンリエッタは風のルビーに祈りを捧げると水晶の杖を振りかざした…ユニコーンの嘶きと兵士の怒号が城門を揺らす。


トリステイン対神聖アルビオン共和国       【開戦】

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