あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロと竜騎士-8

 オスマンからの伝言を伝えてくれたロングビルは宝物庫に用事があるとかで、その場で別れた。
 そのため一人で学院長室の向かったわけだが、学院長室の扉の前に立つビュウの雰囲気は重い。

(ルイズが揉め事を起こしたと聞いたけど、面倒なことになっていなければいいなぁ)

 そんな望みの薄い期待をし、オーク材の重厚な扉を押し開く。
 大きく取られた窓から差し込む光によって室内は明るく、しかし流石魔法学院の長の執務室らしくインクと紙の匂いに満ちた部屋である。
 ビュウがここに来るのはルイズと使い魔契約の儀式を行ったあのとき以来だ。
 だがあの時とは、室内にいる面々の顔ぶれが大きく違う。

 不機嫌そうに顔を歪めているルイズ。
 その横で少し気まずそうに、ビュウに向かって「ゴメンッ」と片手を挙げているキュルケ。
 我関せずな顔をしているタバサ。
 そしてもう一人、顔に真っ赤な紅葉を貼り付けた……つまり痛々しい張り手の痕を残す貴族の少年であった。
 名前は確かギーシュと言っただろうか。
 オレルスに残してきたかつての仲間、ランサーのドンファンを彷彿とさせる雰囲気をもつ少年で、だから顔と名前を覚えていた。

「いったい何があったんだ?」

 ルイズに問うが、気まずそうに顔を背けられ視線が合わない。
 いさかいの相手であろうギーシュは不愉快そうに鼻を鳴らしただけだ。

「おお、わざわざ足労を願って悪かったのう、ビュウ殿」

 ビュウの声に応えた、というわけではなかろうが、部屋の奥から現れたのはこの学院長室の主、オールド・オスマンであった。
 彼はなにやら埃を被った本を手にしており、その本の埃を払っては咳き込んでいる。
 舞い上がった埃に皆不快そうな顔をするが、タバサだけがハンカチを口に当てて涼しい顔をしていた。

「ゲホゲホ、あー、こりゃ酷いもんじゃ。自分の持ち物だと思うと管理が杜撰になっていかんの。一度きちんと整理しようとは常々思っとるんじゃが、やろうと思うと面倒になるのは何故なんじゃろうな?」
「知りませんよ」
「つれないことを言うのう……まあよい、掛けたまえ。ほれ、君らも突っ立っとらんで――と言いたいところじゃが椅子が足りんか。仕方ない、ミス・ヴァリエールとミスタ・グラモン、君らだけ立っておれ」

 ルイズとギーシュが揃って「なんで自分が」という顔をするが、

「揉め事の当事者はお主らじゃろ」

 すげなく言われて押し黙る。
 キュルケとタバサはビュウを挟んで両隣に座った。

「それでオールド・オスマン、決闘沙汰の揉め事って聞きましたけど、いったい何が?」
「といっても、ワシも話を聞いただけじゃからのう。ミス・ツェルプストー……に説明させても主観が混じるか。ミス・タバサ、ビュウ殿に説明してやってくれんか」

 話を振られたタバサは小さくこくりと頷くと、ビュウに顔を向けた。
 何の色も移していない何時も通りの無表情で話を始める。

 タバサの説明は簡潔だった。
 使い魔と主という関係性について、ビュウとの仲に悩んだルイズに、キュルケが男女仲のいろはを教授してやろうとしたのが発端だったのだとか。
 ビュウにしてみれば、ルイズが自分との関係について悩んでいたなんてことは全くの寝耳に水で、その時点で内心頭を抱えざるを得なかった。

 さておき、そのキュルケ先生の個人授業に、ケティという少女が混じってきたのが問題だったらしい。
 その少女はここにいる貴族の少年、ギーシュに恋しており、ギーシュにしてみてもケティのことは悪く思っていなかった。
 しかしギーシュにはケティとは別に本命の彼女、モンモランシーが既におり、あまりケティに積極的になられても困る。
 そして、ギーシュがキュルケやルイズに向かって「あまり余計なことをケティに吹き込むな」と釘を刺したところ、そもそも二股を掛けようとしていたギーシュが悪いのではないか、と言い合いになったのだそうだ。

 二股云々については己にも身に覚えのあるキュルケは、その場では沈黙を守っていたらしい。
 そのキュルケに代わって矢面に立ったのがルイズだった。
 貴族として潔癖に、誠実に育てられてきたルイズにしてみれば、そのようなことでこちらに文句を言ってくる等というのは甚だ筋違いである。
 そんなわけでルイズとギーシュの正面切っての言い合いは口論に発展し、やがて罵声のぶつけ合いに成長した後、ギーシュの放った一言に堪忍袋の緒が切れたルイズが平手の一撃を加え、それに激したギーシュが決闘を叩きつけて現在に至るのだそうだ。

 簡潔故に事実関係の分かりやすいタバサの説明に、だからこそビュウは首を捻った。
 ビュウはここに「仲裁の場を用意したので立ち会って欲しい」と言われて呼ばれたのだ。
 しかし話を聞く限り、ルイズが一発見舞ったことを除けば完全にギーシュの自業自得であるように思える。
 仲裁も何もない、ギーシュに処分を下して終わりなのではないのだろうか。

「オールド・オスマン?」
「なにかね?」
「どうにも話が見えないんですが、それってこの少年の一方的な自業自得なんじゃないですか?」
「そう思うかね」
「まあ、先に手を出したのがルイズであるということは問題かもしれませんが」

 ビュウの言葉にギーシュとルイズの双方が不満そうな顔をする。
 一方的な自業自得と言われたギーシュは当然不満だろう、その場にいなかった人間が又聞きの話だけで何を言うのか、という思いである。
 ルイズにしてみても、己の名誉を侮辱されるようなことを言われたのだ、それに対して一発喰らわしてやって何が悪い、という思いがある。

「ふむ、ビュウ殿も分かっておるではないか。いや、分かっておるようで分かっておらんのか」
「なんです?」
「先に手を出したミス・ヴァリエールにも問題がある、と言ったが、ふむ、その通りなのじゃ。彼女はミスタ・グラモンの頬を張った。貴族の男子の面体に手を挙げるというのは最大級の侮辱に値する」
「だとしても、ルイズにそこまでのことをさせた彼の態度に問題があったのでは?」
「じゃろうな。しかし、だとしてもミスタ・グラモンの誇りに傷がついた事実は消えん。ミス・ヴァリエールにしてもそうじゃ。ここで喧嘩両成敗などと気取ってみたところで禍根は残るのじゃよ」
「酷く理不尽な話に聞こえるんですが」
「貴族なんてそんなもんじゃ」

 ひょひょひょ、と自分自身貴族であるオスマンが笑う。
 一方でさらに困惑顔になったのはビュウだ。

「ますます話が見えなくなったんですが」
「というと?」
「僕は喧嘩の仲裁の席に立ち会ってくれと言われてここに来たんですよ。でもオールド・オスマン、あなたの話を聞いていると、あなたは仲裁をするつもりなんて無いように思えるんですけど」
「ふむ、その考えは正しい。ワシはこの喧嘩、仲裁なんぞせんよ」
「どういうことです?」
「こういう類の喧嘩はの、上から頭を押さえつけて一方的に処分しても禍根を消せんのじゃ。ならどうするか? 簡単じゃ、当人同士で納得いくように、白黒はっきり決着をつけさせてやればいい」
「では決闘ですか? ルイズと、彼で? だとしてもルイズは、その――」
「当人の手前じゃ、皆まで言わんでよろしいとも。というかそれ以前に、うちの学院じゃ貴族同士の決闘は原則ご法度となっておる。が、決闘に拘らなければそれに似たような方法もあるんじゃよ」

 オスマンはにやりと笑って、例の埃まみれの本をポンと叩いた。

「それがこれじゃ」

 言われてビュウはその本に視線を落とす。
 表紙にはハルケギニアの文字で何か書かれていたが、生憎ビュウにはその文字が読めなかった。
 やはり文字の勉強をする必要があるな、と痛感する。

「競技会……運営要綱?」

 そんなビュウに代わって本のタイトルを読み上げたのはタバサだった。

「そう、競技会じゃ。十日後に開催される使い魔お披露目の品評会、その場においてミス・ヴァリエールとミスタ・グラモンには品評会の代わりにこの競技会に参加してもらう。今日のことの決着は、競技会での勝敗をもって一件落着としようというわけじゃ」

 要するに、決闘の代わりに何か一定のルールの下に行われる競技によって白黒つけようということだろう。
 その競技会というのがどんなものなのかビュウは知らないが、なるほどなかなか教育者らしい提案であるなあとは思う。
 悪くない提案じゃないか、とルイズを振り返ってみたビュウだが、そこで彼が目にしたものはキョトンとした顔をしている主の姿だった。

「ルイズ、どうかした?」
「え? ううん、どうかしたってわけじゃなくて、あの、オールド・オスマン?」
「なにかね、ミス・ヴァリエール?」
「えっと、すいません、競技会ってなんですか? いえ、何かを競い合うっていうのは分かるんですけど、何をやるんですか?」

 どうやらルイズも競技会で何をやらされるのか知らなかったらしい。
 ビュウは両隣のタバサとキュルケにもそれぞれ視線を送ってみるが、双方とも、首を横に振って知らないというジェスチュアを返された。
 あえてギーシュの様子は確認しなかったものの、このルイズにキュルケ、タバサまでがこうであるなら、かの少年がそれを知っているとは考えづらい。
 オスマンは「もっともな質問じゃ」と頷いて、場の全員に説明を始めた。

「昔、といっても数十年前じゃが、それくらい前までは使い魔お披露目の品評会の代わりに行われていたものでの。簡単に言ってしまえば、使い魔とその主がペアになって参加する障害物競走のようなもんじゃ」

 障害物競走。
 そう言われてもピンと来ない、という顔をしているルイズのために言葉を砕く。

「ミス・ヴァリエールは乗馬を趣味としておったの? あれにも障害競技というのがあるじゃろう。あれと同じじゃ」

 乗馬の障害競技と異なるのは以下の二点。
 一つは競技に参加する相棒が、馬ではなく己の使い魔であるということ。
 そしてもう一つは用意される障害は四系統魔法の火・水・風・土、それぞれ一つずつをテーマにした四つの障害であるということだ。
 火の系統を代表する大地炎熱の間。
 水の系統を代表する水竜の揺り籠。
 風の系統を代表する風渡しの回廊。
 土の系統を代表する土人形の要塞。
 これら四つの障害を持てる知識と力の全てを動員して踏破し、競技相手より先にゴールするのが目的である。

「あら、なかなか面白そうですわね」

 楽しそうに相槌を打ったのはキュルケだ。
 タバサも少し興味を引かれたのか、オスマンの持つ本に視線を寄せる。
 競技に興味があるのか、本の方に興味があるのかは定かではない。

「じゃろう? 実際なかなか白熱しての。観戦する方も観戦するだけで面白い。ただまぁ、面白すぎるのが玉に瑕でのう。昔はこれを出身地ごとに東西の二軍にわけて競わせとったんじゃが、このときの東軍西軍という考え方を大人になるまで引きずる者が多くてのう」

 学生時代の東軍西軍の区分けを大人になって仕事にまで持ち込んだ者たちが、派閥に別れて様々な面でいがみ合うようになってしまったのだ。
 特に軍関係が最悪で、一時期は目も当てられないほどに仲が悪かった。
 統率もまともに取れないほどで、当時の元帥は就任二ヶ月で胃を病んで辞任したという。

「おかげで競技会は我が学院の年中行事から姿を消し、それに代わって今ある使い魔お披露目の品評会が開催されるようになった、というわけじゃ」

 オスマンの説明にひとまず納得する一同。
 その反応に満足そうに頷いたオスマンは、続けて「何か質問はあるかね?」とまるで教師のように振舞う。
 そこで挙手をしたのは普段から質問慣れしているルイズであった。

「ほい、ミス・ヴァリエール」
「はい。あの、ことの当事者が言うことじゃないかもしれませんけど、そんな事情があって廃止されたものを、こんな程度の出来事のために復活させていいんですか?」
「ん~、構わんじゃろ。やるのはお主とミスタ・グラモンの二人だけ、それも一回こっきりで後腐れなしの最終決戦じゃしの。
 それに元々誰かの命令で廃止にされた、というわけでもないんじゃ。ワシが自分の判断で自粛しただけなんじゃよ。
 あれからもう何十年も経っとるし、一回くらいなら王宮の盆暗どもも喧しいことは言うまいて」

 いまいち納得し切れていない様子だが、オスマンの言葉にルイズは着席した。
 続けて挙手をしたのはキュルケである。

「ほい、ミス・ツェルプストー」
「はーい。何だか面白そうだし、私も参加したいんですけど」
「うむ、悪いが却下じゃ」
「あら、どうしてですの?」
「そりゃお主、ミス・ヴァリエールとミスタ・グラモン、この二人の諍いを白黒はっきりつけるために開く競技会なんじゃぞ? お主が乱入してお主が勝ってしまったらどうする、決着がつかんではないか」
「じゃあこの二人とは別に、タバサを相手にやるってのはどうかしら?」
「勝負になるんならそれでも構わんがの。風竜が使い魔のミス・タバサとやりあってみろ、相手は風竜の背中に乗って全部の障害を飛び越え、遊覧気分で難なくゴール。
 一方そのころお主は地を這いずり回ってひーこら言いながら障害と悪戦苦闘しておるのじゃ。お主に勝ち目はないぞ?」
「じゃあシルフィードは飛行禁止で」
「風竜の最大の長所をいきなり潰してどうする、そんなハンディキャップマッチに勝って、それで嬉しいのかね?」

 ムッとする。
 馬鹿にしないで欲しい、そんなに安いプライドの持ち主ではないのだ。
 かといってそんなことを言葉にして舌に乗せればそれこそ誇りを貶めることになる。
 キュルケはただ肩を竦めてそのまま腰を下ろした。

「分かれば結構じゃよ。気持ちは分からんでもないが、今回はお友達の応援という形で参加したらええ。他に何か質問のある子はおらんかね?」

 促す声に答える者はいない。
 ルイズたち女性組はもう聞くべきことは聞いたという態度だし、ギーシュは最初から興味がないように見える。
 ビュウは難しい顔をしてオスマンを正面から見据えていた。
 その視線の険しさにオスマンは内心ぎくりとするが、年の功とはこういうものである、表情には一切出さなかった。

「ギーシュ・ド・グラモン、君は何か質問しておきたいことは無いのかね? 先ほどから随分と静かだが」
「いいえ、なにも。ことの決着がどのような手段によるものであれ、勝利とは常に正しき者の頭上にのみ輝くものなのです。
 それが分かっていればこの場で泡を食って質問の矢を飛ばすなど、己の正当性に自信の持てない疚しき性根の表れと言えましょう」
「ほ、随分な自信じゃの。流石はグラモン元帥の子息と言ったところか。その自信が過信でないことを祈っておるぞ」
「ご心配なく。僕は未だ未熟なドットのメイジに過ぎませんが、それでもドットとゼロの間には越えられない壁があるということを、ミス・ヴァリエールには教育してご覧に入れましょう。
 その壁は貴族と平民の間に横たわる、決して崩れず越えることも叶わない壁と同じく、高く分厚いものであるということを、ね」

 ちらりとルイズを見やり、ギーシュは鼻で笑う。
 完全に見下した、侮蔑以外の感情が篭っていない視線だった。
 ルイズの感情が波立つのが、背中越しのビュウにも分かる。
 ギーシュは「失礼する」とそのまま学院長室を後にし、その場には少女三人とオスマン、そしてビュウが残される。
 それにしてもルイズをこれだけ怒らせるだなんて、あの少年も何を言ったんだか、とビュウは嘆息した。

「さて、ミスタ・グラモンは行ってしまったが、ビュウ殿からはなに質問はないのかね?」
「ないですよ。言いたいことは山ほどある気もしますが、今は言うべき時でもないでしょうし」
「理解のある使い魔殿で助かることじゃ」
「あなたの使い魔ではないのですけどね」

 不機嫌さを隠しもせずに言い切ったビュウに、オスマンは口元だけを笑みにして返した。


 変なことになってしまったなぁ、とルイズは頭を抱えていた。
 学院長室での話し合いの後、午後の授業に遅れて参加したルイズたちだが、そのルイズはと言えば午前のそれが比較にならないほど上の空で授業を受ける羽目になっていた。
 ギーシュに平手打ちを喰らわしてやったことについては後悔も反省もしていない。
 二股を掛けるなんて不誠実は許せないし、女性に対しては最大級の侮辱だ。
 一定の地位を持つ妻帯者が妾を持つというのであればまだ許せる部分はある。
 妻に対し、そして妾に対して男が取るべき道徳的、経済的責任を取っているのであれば、100%寛容になれるわけではないが、それでも男の甲斐性として認められる部分もないわけではないのだ。
 しかしギーシュのあれは単なる浮気性でなんの責任も取っていない。
 だから許せないし、それに、あの男は自分だけならまだしも使い魔のビュウまで侮辱した。

『竜騎士竜騎士というがね、彼はどこの国の竜騎士でいったいどんな英雄さんだというんだね? カーナ? 悪いが僕はそんな国は知らないし、ここにいる誰だってそんな国は知らないだろう。適当なことを言って誤魔化されてるんじゃないのかね?』

 そんな発言、許せるわけがないのだ。
 だから貴族の男の面体に手をあげるということの意味を知っていて、理解した上で平手を喰らわしてやったのだ。
 決闘沙汰になるのも覚悟の上での行動だった。

 それで実際ギーシュは決闘を挑んできたわけだし、そこまではルイズの考え通りだったのだ。
 しかしそこから先、事態は完全にルイズの手を離れた。
 競技会、障害物競走。
 使い魔と協力してゴールを目指すと聞いた時点で、ルイズは気が遠くなるような思いになった。

 だってまだ、自分はビュウと十分に打ち解けられていないのだ。
 そこのところが上手く行っていなかったから、あのツェルプストーにまで知恵を借りていたというのに、色々な諸々をすっ飛ばして初めての共同作業である。
 とてもじゃないが、上手く行かせる自信がない。
 自信がないのに、しかしギーシュに負けるわけには行かないのだ、己の名誉だけでなく、ビュウの名誉の為にも。

 それを考えると気が重くなって、胃がなんだかシクシクと痛むような心地にさえなる。
 ちらりと横に座るビュウに視線を向けてみた。

「……」

 ビュウは無言で授業に耳を傾けている。
 その横顔から彼が何を考えているのか、想像するのは難しかった。
 ただ彼は竜騎士ではあるが魔法は一切使えないらしく、魔法の授業は聞いていてもさして面白くはない、ということは以前にも言っていた。
 その面白くもない授業をこれだけ真面目そうに聞いていられるのだから、そこは本当に大したものだと思う。

 ルイズはビュウから視線を外して嘆息した。
 その後はもう何を聞くということでもなく、ただボウッと授業を聞き流していた。
 そんな風にボウッとしていたから、授業がいつの間にか終わっていたことにさえ、ルイズはなかなか気づかなかった。
 ルイズが授業が終わっていたことに気づいたのは、いつの間にかタバサを引きつれルイズの席の前に立っていたキュルケが、こんなことを言って、それでようやくだった。

「それじゃルイズ? 競技会に向けての作戦会議を開きましょうか!」

 ハッとして我に返ったルイズは、そんなことを言ったキュルケの表情になんだか既視感を覚えて、なんとも言えない微妙な気持ちになった。


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