あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

使い魔は四代目-12


マルトーからの刺客とも言えそうなほど質量ともに(特に量が)圧倒的なデザートを見事完食した二人であったが、その代償として腹がどうにかなるまで食堂から動くに動けなくなってしまった。
そうなると、必然的に出来る事は雑談ぐらいしかなく、そうやって時間を潰していた。

「…実は先程お主の学友のギーシュとちょっと話す機会があってな。それで少し気になったのじゃが、どんな男なんじゃな?」
「唐突ねぇ…二つ名は『青銅』のギーシュ。土のドットよ」
「ドット?ドットとは?」
「まぁ、メイジの格というか、強さを表すものね。アレフガルドじゃどうかは知らないけど、こっちでは魔法は5つの系統に分かれているの。
で、それを幾つまで足せるかによって強さが決まるわ。一つならドット。で、ライン、トライアングル、スクウェアの順で強くなっていくの」
「ああ、そういえばシュブルーズがトライアングルとか言っておったわな。あの後の酷い騒ぎですっかり頭から抜け落ちていたわい」
「……」
「そんな顔をするでないわ。蒸し返して悪かったわい。難儀な娘じゃのぉ。で、続きは?」

むすっとした顔をしたルイズを軽くいなしてリュオが続きを促すと、

「…ま、まぁ良いわよ。えーと、ギーシュの話よね?その名の通り、青銅のゴーレムを操る事を得意にしているわね。アレはあれでも軍人の家系だからね。
見た目通りに軽い奴だけど、そういう修練は意外に真面目にやってるみたい」
「アレって…まぁええわぃ。ゴーレムをのぉ。それは凄い。ああ見えて相当にやる奴だったのか?」
「…?大げさな…ゴーレムなんてそう珍しくも無いじゃない」
「何じゃと?…ああそうか、ここではそうなのじゃな。いや、何でそんな事を言ったかというとじゃな…」

リュオにとって、ゴーレムといって真っ先に連想する物といえば曽祖父の竜王軍から城塞都市メルキドを護る為に、とある賢者が研究の末に作り上げたというあのゴーレムである。
その実力は凄まじく、さしもの竜王もまともに倒す事を諦め、魔法で混乱させてゴーレム自身にメルキドを破壊させる、という搦め手を使わざるを得なかった程だ。
そして、その目論見は半分成功し、半分失敗した。
確かに魔法は効いたが、それはゴーレムの行動が「メルキドに攻めてくる魔物を撃退する」から「城門に近付くものを撃退する」に変わっただけだった。
これ以降、メルキドの城門を通った者は人間、魔物の区別なく勇者アレフが現れるまで誰もいなかったのである。

そんな物を使役できるとなればリュオのギーシュに対する見方も丸きり変わろうというものであったが、どうもルイズの話を聞くに、違うようだ。
リュオの態度に怪訝そうな顔をするルイズに、リュオは簡潔にメルキドのゴーレムについて説明した。

「なるほどね。そういう話ならゴーレムを操ると聞いては驚くのも無理はないと思うけど、ギーシュのゴーレムじゃぁどう考えてもそこまで強くはないわね。
というか、本当にそんなゴーレムいるのかしら…噂に聞くフーケのゴーレムならやれるかしら。30メイルはあるという話だし…」
「まぁ、疑うのは無理も無いかも知れぬが本当の話じゃよ。ところで、そのフーケとは何ぞや?」
「ええ、最近巷を騒がす怪盗よ。神出鬼没、大胆不敵。闇にまぎれて人知れず盗み出したかと思えば、白昼堂々とゴーレムを操って押し入ったり、派手に暴れているらしいわ」
「ほぉ。そこまで派手にやって捕まっておらぬとは中々のやり手の様じゃな」
「全くだわ。勿論狙われるほうも色々手を打ってはいるみたいだけどそれを掻い潜って盗みを成功させるんだから相当なものよね。
きっと魔法だけでなく、頭も切れるんだと思うわ」
「そうじゃろうな。実力もあって頭も切れる。一番厄介な手合いじゃな…さて、ようやく動けそうになってきたわい、ルイズはどうじゃ?」
「そうね、これならどうにか…。じゃぁ、そろそろ始める?」
「おお。それでは倉庫に案内してもらおうか…うっぷ」

そうして何とか復活した二人が、ルイズを先頭にようやく倉庫を目指しのろのろと動き出した。

「ああ、変な事で時間を取ったわ。明るいうちに終わるかしら」
「なぁに、今度はわしもおる。そう悲観する事も無かろう」
「…だと良いんだけどね…また何かが起きそうで…」

そうこぼしたルイズの勘は実際正しかった。倉庫へ向かう途中で、二人は呼び止められた。

「あー、呼び止めて済まないが、ミスタリュオ。少し時間を戴けないだろうか。先程貴方が拾われた瓶の事なんだが…」

二人を呼び止めたのはギーシュであった。リュオは、手形と引っかき傷で赤く化粧されたギーシュの顔を見て、大体の事情を了解した。

「おや、ギーシュか。…ちょっと見ないうちに面白い顔になったな」

うぐ、と渋い顔をするギーシュに更に追い討ちをかけた。

「当ててやろうか。あのケティとかいう娘にやられたのじゃろう。しかしそりゃ自業自得というものじゃ」
「いや、ケティとの後にモンモランシーにも…って、そんな事はどうでもいいんだ。とにかく、その瓶を返して頂けないかと」
「おやおや?お主、先程自分の物ではないと言い切ったではないか」
「い、いやそれは…。勘違いしていたんだ、うん。だから返してはもらえないだろうか」
「本当にお主の物なら勿論返すぞ。返すが…どうもお主は嘘吐きのようじゃからなぁ、信用して良いかどうか…」
「そ、そこをどうか…。そ、そうだルイズ、君からも一言頼むよ」
「そう言われても私は事情を知らないから言い様が無いわよ。一体どういうことなのかしら?」
「い、いや、それはだね…」

言葉を濁すギーシュに代わり、リュオは食堂での一件を簡潔に語った。それを聞いたルイズの返事は実に簡潔だった。

「駄目」
「そ、そこを何とか頼むよ」

あっさり切り捨てられてすがるギーシュに、嫌そうにルイズは答えた。

「今の話だと、どう聞いてもあんたが嘘吐いたのが悪いんじゃないのよ。ついでに何で私が二股の片棒担がなきゃならないのよ」
「ふ、二股なんて事、僕はだね…」

痛いところを付かれてしどろもどろになるギーシュをルイズは冷徹に一瞥すると、

「とにかく、そんな理由じゃお断りよ。自分でリュオを説得して頂戴」
「…まぁ男なら口よりも態度で示してもらおうかの。というわけでルイズ、思わぬ形で人手が一人増えたぞ」
「え…?ああ!そういう事。それならいいわ。じゃぁギーシュ、ちょっとついて来てくれるかしら」
「な…何をさせようというんだい…?」

恐る恐る尋ねたギーシュに、にっこりと笑ってルイズは答えた。

「心配は要らないわ。教室を片付けるだけの簡単なお仕事です」

ギーシュがなかまにくわわった!

学院の一角に倉庫はあった。流石に学院本体の様な豪華な造りにはなっていないが、それでも普通の家よりはしっかりとした造りになっているあたり、ある意味徹底している。
中は当然真っ暗であったが。ルイズが指を鳴らすと壁につけられた魔法仕掛けの明かりが点灯し、作業には充分なだけの明るさになった。

「便利な物じゃな。部屋にあったのと同じ物かな?」
「多分ね。倉庫だから実用本位にはなっていると思うけど、まず原理は同じはずよ。
…さて、それにしても…」
「やれやれ、コルベールも言っておったが、本当に散らかっておるな。これでは何を探すにしても一苦労じゃわい」

三人は揃って溜息をついた。埃っぽい倉庫の中はお世辞にも片付いているとは言いがたかった。ある程度整理がついた区画が入り口付近に多少ある程度で、
大部分はあらゆる物が何の法則性も無く乱雑に積み上げてあるだけであった。それは奥に行くに従って段々酷くなるようである。

「正直、長居したくないわね。空気も悪いし。まぁ…倉庫だし仕方ないのかもね。それはそうと、まずは教壇よ。大きい物だしすぐに見つけられるとは思うけど」
「うむ、厄介事は手早く片付けるに限るな…と、これかな?後で備品の持ち出しの報告が必要にな
るのかな?」
「まぁ、それはミス・シュヴルーズかミス・ロングビルに言っておけば大丈夫でしょ。よし、じゃぁ、目指すは教室ね」
「うむ。邪魔になりそうな物があったら退けておいてくれ…というわけで、ほれ、お主の出番じゃぞ、ギーシュよ」

余りの乱雑ぶりに呆然としていたギーシュの反応は鈍かった。

「へ?あ、ああ。何をすれば良いのかな?」
「何を聞いておったんじゃ。この教壇を、教室まで持っていくんじゃよ。年寄りに肉体労働をさせるでないわ」
「わかったよ。ミスタ・リュオ。魔法を使っても構わない、よね?」
「ああ、別に構わんじゃろう」
「あれ、シュヴルーズは魔法を使うなと…」
「ルイズよ、それはお主に向けて言った言葉じゃろう?自発的に手伝いを申し出た友人思いの若者には言っておらんのじゃないかな?」
「ああ、確かにそうかもしれないけど…う~ん…ま、いっか?」

ルイズは今一つ釈然としなかったが、無用に時間をかけたくない事もありここは妥協する事にした。
どうやらルイズが納得したらしい、と見て取ったギーシュは、

「じゃあ、構わないね」

そう言って教壇にレビテーションをかけた。魔法がその力を現し、教壇がふわりと浮き上がる。そのままルイズを先頭にして三人は出口を目指した。
リュオとルイズがまず道を作り、その後を教壇がフワフワと、そしてその後を教壇を操りながら指揮者の如くギーシュがついて行く、といった按配で倉庫から出て行った。
奇妙な事に、そのすぐ後で乱雑に物が積まれた一角からガタゴト音が鳴り出したのだが…
既に倉庫から出ていた三人がその事に気づく事は無かった。

教室に着いた三人は、早速後始末の残りに取り掛かった。リュオに加えて予想外の助っ人、ギーシュが加わった事もあり、リュオが言ったように作業は何とか明るいうちに終わった。
とはいえ、食堂で時間を取られた事もあり、既に日が沈み始めてはいたが。

「うむ。こんなものじゃろう。完璧だとは言わんが、これで充分じゃろ?」
「そうね。じゃぁ。これで終わりということで。ん~、疲れたぁ~」
「…やれやれ、仕方なかったとはいえ、貴族のやる事じゃぁないね。」

やっと後始末から解放されて伸びをするルイズ達だった。その表情には、やっと作業から解放されたという喜びが溢れている。

「何を言っておる。倉庫に戻るぞ」
「え…?あぁ、そうか…でも、もう日も暮れるし、明日にしない?」
「まぁそういうな。ちょっとだけじゃて。大して時間は取らん。それに、今の状態で夕食が入るか?わしゃまだ満腹じゃ」
「う…確かに…」
「じゃろ?腹ごなしの散歩のようなものじゃと思ってちと付き合うのじゃ。まぁ、散歩にしては空気が悪いがな。
ああ、ギーシュや、ご苦労じゃったな。ほれ。全く、最初から正直に言っておれば良いものを。今度は精々落とさぬようにすることじゃな」

そう言いながら、リュオは香水をギーシュに渡した。

「ああ、ありがとう。肝に銘じておくよ。…ところで、こんな時間にこれから倉庫で何をする気なのかな?」
「なあに、このルーンがな…どうも面白い意味がありそうなんでちょっと確かめてみようかと思ってな」

そういって、リュオはギーシュにルーンを見せた。

「…よく分からないがそれは何か面白そうだね。ついでだし、僕も一緒に行って良いかな?」
「わしは別に構わんぞ。では行くか」

倉庫に入るなり、三人は顔を見合わせた。


先ほどと変わらぬ倉庫である。相変わらず、雑然と物が置かれている。
だが。その一角、まるで地層の様に様々な物が積まれた区画の下の方が何やらガタゴトと揺れていた。そしてそこから…

「おい!出せ!出してくれって!」

そうわめく声が聞こえていたのだった。



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