「ふや~、凄い雪なのね!!」
冬のある日、魔法学院の中庭は一面銀世界になっていた。
「放課後みんな誘って雪だるま作るのね~♪」
そう呟きつつ廊下を歩くシルフィードの視界に、タバサの後ろ姿が入った。
「あっ、お姉様なのね」
声をかけようとしたシルフィードだったが、タバサの傍に立つ人影に気付いて動きが止まる。
シルフィード達の同級生・ブリジッタが、タバサに両腕を支えられるような形で立っていたのだ。
「ブリジッタ……。何で2人で……。嘘……」
冬のある日、魔法学院の中庭は一面銀世界になっていた。
「放課後みんな誘って雪だるま作るのね~♪」
そう呟きつつ廊下を歩くシルフィードの視界に、タバサの後ろ姿が入った。
「あっ、お姉様なのね」
声をかけようとしたシルフィードだったが、タバサの傍に立つ人影に気付いて動きが止まる。
シルフィード達の同級生・ブリジッタが、タバサに両腕を支えられるような形で立っていたのだ。
「ブリジッタ……。何で2人で……。嘘……」
「な……、何て寒さなんだろう……。早く寮に帰ろう……ん?」
震えながら雪の中を歩いていたあぽろは、前方に屈んでいる人影を発見した。
「シルフィードちゃん……」
近付いてみると、シルフィードは固めた雪に木の葉と木の実で何やら動物のように見える小さな雪像を作っていた。
「ねーねー、何してるの?」
「うさぎ作ってるのね」
「わわっ、手真っ赤だよー。早く教室か寮に帰ろうっ」
「いいのねっ! いいのね……、ほっといてなのね」
心配そうにそう言ったあぽろにシルフィードは強い口調で拒否したが、
「そう? じゃ私寒いし帰るね」
「お姉様がねっ!」
本当に放置して帰ろうとしたあぽろの襟首をがっしりつかんで離さなかった。
「お姉様がシルフィに酷い事したのねっ! だから凄く傷付いてるのね~!」
自分の胸の中に飛び込んできたシルフィードの頭部を、あぽろは優しく撫でる。
「あんまり泣いたら、ほっぺた涙で凍っちゃうよー」
そこでふと、あぽろはシルフィードの身に何が起こったかを妄想し始めた。
(それにしても酷い事って……。傷付く程のぬぷ――とか? ずぷ――とか?)
タバサ×シルフィードの教育上不適切な関係があぽろの脳裏に浮かび、
「うにゃー、それは羨ましいようなそうでないような!! いくら女の子同士でも限界ってもんがあるのに、タバサちゃんはわかってない!」
声を上げたあぽろが何やら誤解しているらしい事は理解できたものの、シルフィードはその意味が全くわからず首を傾げるだけだった。
「シルフィードちゃん! お股はもう大丈夫?」
「うん、お股……?」
「次はタバサちゃんが泣く番だよ!」
「ほんと!?」
「うんっ」
震えながら雪の中を歩いていたあぽろは、前方に屈んでいる人影を発見した。
「シルフィードちゃん……」
近付いてみると、シルフィードは固めた雪に木の葉と木の実で何やら動物のように見える小さな雪像を作っていた。
「ねーねー、何してるの?」
「うさぎ作ってるのね」
「わわっ、手真っ赤だよー。早く教室か寮に帰ろうっ」
「いいのねっ! いいのね……、ほっといてなのね」
心配そうにそう言ったあぽろにシルフィードは強い口調で拒否したが、
「そう? じゃ私寒いし帰るね」
「お姉様がねっ!」
本当に放置して帰ろうとしたあぽろの襟首をがっしりつかんで離さなかった。
「お姉様がシルフィに酷い事したのねっ! だから凄く傷付いてるのね~!」
自分の胸の中に飛び込んできたシルフィードの頭部を、あぽろは優しく撫でる。
「あんまり泣いたら、ほっぺた涙で凍っちゃうよー」
そこでふと、あぽろはシルフィードの身に何が起こったかを妄想し始めた。
(それにしても酷い事って……。傷付く程のぬぷ――とか? ずぷ――とか?)
タバサ×シルフィードの教育上不適切な関係があぽろの脳裏に浮かび、
「うにゃー、それは羨ましいようなそうでないような!! いくら女の子同士でも限界ってもんがあるのに、タバサちゃんはわかってない!」
声を上げたあぽろが何やら誤解しているらしい事は理解できたものの、シルフィードはその意味が全くわからず首を傾げるだけだった。
「シルフィードちゃん! お股はもう大丈夫?」
「うん、お股……?」
「次はタバサちゃんが泣く番だよ!」
「ほんと!?」
「うんっ」
しばらく後、ルイズ・キュルケ・タバサ・ブリジッタの4人も中庭に集合していた。
「ちょっと……、凄く吹雪いてるんだけど、雪!!」
「大変な用って何~?」
あまりの寒さに一同の頭部には早くも雪が積もり、ルイズは苛立たしげに、キュルケは震えつつあぽろ達に声をかけた。
「ふっふっふ、よくぞ聞いてくれたのね!!」
「みんなで雪合戦をしようかと……」
「今日こそグーで殴りたいわ……!!」
怒りに燃えるルイズとは裏腹に、あぽろ・シルフィードは雪面に図を描いて作戦会議を行っていた。
「いい、シルフィードちゃん? 雪合戦仲良くやってるふりして、タバサちゃんに雪投げまくるの! 大泣きよ」
「うん」
「たまに雪玉に石を入れて投げればなお良しだよ!」
「……うん。アポロ、ありがとー♪」
あぽろへ感謝の言葉をかけたシルフィードに、
「……シルフィード……」
とタバサが声をかけてきた。
「お姉様……」
「……シルフィード……一緒に組もう……」
しかしシルフィードはあぽろの手を握り、
「あっち行ってほしいのね!! シルフィはアポロと組むのね!! ブリジッタと組めばいいのねっ!!」
「シルフィード……」
タバサの声にも構わず、そのままシルフィードはあぽろの手を取って行ってしまった。
「……ん……わかった……後でね……」
(嘘吐き! 1番大好きだよって言ってくれたのに。だからもう知らないのねっ)
タバサが去った後、シルフィードはあぽろの胸に顔をうずめて泣きじゃくり始めた。
「タバサちゃんより先に、シルフィードちゃんが泣いちゃったねえ……」
「ごめんね、アポロ。シルフィ頑張るのね」
あぽろ・シルフィードがそんな会話を交わしているうちに、キュルケ達は雪合戦を始めていた。
「ちょっと……、凄く吹雪いてるんだけど、雪!!」
「大変な用って何~?」
あまりの寒さに一同の頭部には早くも雪が積もり、ルイズは苛立たしげに、キュルケは震えつつあぽろ達に声をかけた。
「ふっふっふ、よくぞ聞いてくれたのね!!」
「みんなで雪合戦をしようかと……」
「今日こそグーで殴りたいわ……!!」
怒りに燃えるルイズとは裏腹に、あぽろ・シルフィードは雪面に図を描いて作戦会議を行っていた。
「いい、シルフィードちゃん? 雪合戦仲良くやってるふりして、タバサちゃんに雪投げまくるの! 大泣きよ」
「うん」
「たまに雪玉に石を入れて投げればなお良しだよ!」
「……うん。アポロ、ありがとー♪」
あぽろへ感謝の言葉をかけたシルフィードに、
「……シルフィード……」
とタバサが声をかけてきた。
「お姉様……」
「……シルフィード……一緒に組もう……」
しかしシルフィードはあぽろの手を握り、
「あっち行ってほしいのね!! シルフィはアポロと組むのね!! ブリジッタと組めばいいのねっ!!」
「シルフィード……」
タバサの声にも構わず、そのままシルフィードはあぽろの手を取って行ってしまった。
「……ん……わかった……後でね……」
(嘘吐き! 1番大好きだよって言ってくれたのに。だからもう知らないのねっ)
タバサが去った後、シルフィードはあぽろの胸に顔をうずめて泣きじゃくり始めた。
「タバサちゃんより先に、シルフィードちゃんが泣いちゃったねえ……」
「ごめんね、アポロ。シルフィ頑張るのね」
あぽろ・シルフィードがそんな会話を交わしているうちに、キュルケ達は雪合戦を始めていた。
「んしょ、んしょ」
雪で作った遮蔽物の後ろで、シルフィードは雪玉製作に勤しんでいた。
「アポロ、雪玉できたのねー♪」
しかしあぽろはそんなシルフィードの言葉も届かない様子で、遮蔽物の影から前方の様子を伺っている。
「アポロ……」
「馬鹿者ーっ! 今は敵の攻撃が来ているのだぞ。頭を伏せるのであります!! 悲しいけど、これ戦争なのよね」
笑みと共に言った名台詞はシルフィードには意味不明だったようで、
「アポロ、これ雪合戦なのね」
とツッコまれたのだった。
雪で作った遮蔽物の後ろで、シルフィードは雪玉製作に勤しんでいた。
「アポロ、雪玉できたのねー♪」
しかしあぽろはそんなシルフィードの言葉も届かない様子で、遮蔽物の影から前方の様子を伺っている。
「アポロ……」
「馬鹿者ーっ! 今は敵の攻撃が来ているのだぞ。頭を伏せるのであります!! 悲しいけど、これ戦争なのよね」
笑みと共に言った名台詞はシルフィードには意味不明だったようで、
「アポロ、これ雪合戦なのね」
とツッコまれたのだった。
一方、タバサ・ブリジッタ組は……。
「……シルフィード……どうしたんだろう……」
かすかに沈んだ表情を浮かべるタバサ。
「何か怒ってたねえ」
「……うん……今日シルフィードの下着洗い忘れた事……怒ってるのかな……」
「そんな事してあげてるの!?」
タバサ・シルフィードの日常に、ブリジッタは思わず驚愕の声を上げた。
「……シルフィードは私の理想だから……何でもしてあげたい……笑ってくれたら嬉しい……泣いてたら笑わせてあげたい……」
「な……、何か妖しいよっ」
「……決めた……」
思わず赤面したブリジッタをよそにタバサはおもむろに立ち上がり、
「……シルフィードに聞いてくる……」
「えっ」
そう言い残し駆け出していってしまった。
「えっ、ええ、今!? 今なの!? 1人にしないでーっ!」
取り残されたブリジッタもタバサを追って駆け出したが、
「あーっ!」
たちまちのうちに雪玉の集中砲火を浴び、その体は雪の小山にうずもれてしまった。
「タバサのアホーっ!」
後に残ったのはブリジッタの悲痛な叫び声だけだった。
「……シルフィード……どうしたんだろう……」
かすかに沈んだ表情を浮かべるタバサ。
「何か怒ってたねえ」
「……うん……今日シルフィードの下着洗い忘れた事……怒ってるのかな……」
「そんな事してあげてるの!?」
タバサ・シルフィードの日常に、ブリジッタは思わず驚愕の声を上げた。
「……シルフィードは私の理想だから……何でもしてあげたい……笑ってくれたら嬉しい……泣いてたら笑わせてあげたい……」
「な……、何か妖しいよっ」
「……決めた……」
思わず赤面したブリジッタをよそにタバサはおもむろに立ち上がり、
「……シルフィードに聞いてくる……」
「えっ」
そう言い残し駆け出していってしまった。
「えっ、ええ、今!? 今なの!? 1人にしないでーっ!」
取り残されたブリジッタもタバサを追って駆け出したが、
「あーっ!」
たちまちのうちに雪玉の集中砲火を浴び、その体は雪の小山にうずもれてしまった。
「タバサのアホーっ!」
後に残ったのはブリジッタの悲痛な叫び声だけだった。
その頃あぽろ・シルフィード組はというと、
「できた♪ ねえねえ! 雪玉のお城できたのね~」
そう自慢げに言ったシルフィードの視線の先では、雪合戦に飽きてしまい寒さに耐えられなくなったあぽろが雪上に突っ伏していた。
「アポローっ」
とシルフィードが駆け寄り抱き起した時、何者かの気配を感じ振り返った。
「あ……」
するとそこには、雪玉を両手に持って仁王立ちするルイズの姿があった。
「追い詰めたわよ! ここまで近付いて玉投げたら痛いでしょうねえ……」
「ふえ……」
ルイズの凄まじい気迫に震えるあぽろ・シルフィード。
「ふふふ……」
「お――」
シルフィードがタバサを呼ぼうとしたその時、もの凄い速度で駆け寄ってきたタバサがシルフィードをかっさらうようにして連れて行ってしまった、
「――ねえさ……」
突然の事に、あぽろ達はその後ろ姿に声をかける以外不可能だった。
「おーい」
「雪合戦はー?」
「愛感じちゃうね」
「できた♪ ねえねえ! 雪玉のお城できたのね~」
そう自慢げに言ったシルフィードの視線の先では、雪合戦に飽きてしまい寒さに耐えられなくなったあぽろが雪上に突っ伏していた。
「アポローっ」
とシルフィードが駆け寄り抱き起した時、何者かの気配を感じ振り返った。
「あ……」
するとそこには、雪玉を両手に持って仁王立ちするルイズの姿があった。
「追い詰めたわよ! ここまで近付いて玉投げたら痛いでしょうねえ……」
「ふえ……」
ルイズの凄まじい気迫に震えるあぽろ・シルフィード。
「ふふふ……」
「お――」
シルフィードがタバサを呼ぼうとしたその時、もの凄い速度で駆け寄ってきたタバサがシルフィードをかっさらうようにして連れて行ってしまった、
「――ねえさ……」
突然の事に、あぽろ達はその後ろ姿に声をかける以外不可能だった。
「おーい」
「雪合戦はー?」
「愛感じちゃうね」
「本当なのね? 本当なのね?」
「……うん……」
雪合戦会場から少々離れた木立の中、タバサ・シルフィードは向かい合って話していた。
「あの時、ブリジッタちゃんが転んだから起こしてあげただけなのね?」
「……理由無しでシルフィード以外の手は触らない……」
「………」
シルフィードは無言でタバサの掌に頬をすり寄せ、
「うん、信じるのね。困った人を助けるお姉様は素敵なのね」
「シルフィード……」
タバサがそう言葉をかけた時、
「あー、タバサちゃんシルフィードちゃんいたー!」
2人の姿を発見したあぽろが声を上げつつ駆け寄ってきた。
「走ったら危ないわよっ」
そのルイズの言葉通り、
「うみゃあっ!」
と間抜けな声を上げ転倒してしまった。
「助けてあげて、お姉様!」
「……うん……」
ところがタバサがすぐ傍まで来た時にあぽろが、
「いたあ……」
と呻き声を上げつつ立ち上がろうとしたため、タバサは曲がったあぽろの膝につまずいてしまった。
「……うわっ……」
「わっ!」
そのままタバサはあぽろの上に倒れ込み、
「……ひいっ……」
「んんっ……」
転倒した拍子に濃厚なディープキスをしてしまった。
あまりの展開にルイズは目を覆い、シルフィードは大声で叫ぶ。
「お姉様の馬鹿ーっ!!」
「……何で……」
「……うん……」
雪合戦会場から少々離れた木立の中、タバサ・シルフィードは向かい合って話していた。
「あの時、ブリジッタちゃんが転んだから起こしてあげただけなのね?」
「……理由無しでシルフィード以外の手は触らない……」
「………」
シルフィードは無言でタバサの掌に頬をすり寄せ、
「うん、信じるのね。困った人を助けるお姉様は素敵なのね」
「シルフィード……」
タバサがそう言葉をかけた時、
「あー、タバサちゃんシルフィードちゃんいたー!」
2人の姿を発見したあぽろが声を上げつつ駆け寄ってきた。
「走ったら危ないわよっ」
そのルイズの言葉通り、
「うみゃあっ!」
と間抜けな声を上げ転倒してしまった。
「助けてあげて、お姉様!」
「……うん……」
ところがタバサがすぐ傍まで来た時にあぽろが、
「いたあ……」
と呻き声を上げつつ立ち上がろうとしたため、タバサは曲がったあぽろの膝につまずいてしまった。
「……うわっ……」
「わっ!」
そのままタバサはあぽろの上に倒れ込み、
「……ひいっ……」
「んんっ……」
転倒した拍子に濃厚なディープキスをしてしまった。
あまりの展開にルイズは目を覆い、シルフィードは大声で叫ぶ。
「お姉様の馬鹿ーっ!!」
「……何で……」