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Ruina 虚無の物語-10


しばらくすると前方に鬱蒼と茂る森が見えてきた。
森の中は薄暗く、見通しが悪い事が不安を煽る。
「ここからは徒歩で進みましょう。」
森に入って少し進んだ位置で馬車を降りる。
「ここから先は一人だけで行動しない方がよさそうだね。」
ネルが剣の柄に手を掛け、辺りを警戒しながら皆に告げた。
「同意。」
「それもそうね。」
皆が同意し、ロングビルに案内されていった。
森の中を進む。
しばらくすると少し開けた場所が視界に入る。
開けた場所の中央には廃屋があった。
壁には竈が添えつけられており、炭を焼いていたのだと察せられる。
その近くには物置と思われるスペースがあり、かつてはそこに炭を置いていたのだろう。
いずれも朽ちているが、修理すればまた使えるかも知れない。
ロングビルがその廃屋を指さして告げる。
「私がきいた情報ですと、あの中にいるという話です。」
どうやらあの廃屋で間違いないようだ。
「誰かが偵察に行くべき。」
タバサは座り込み、杖で地面に簡単な絵を描いて作戦を説明し始めた、
まず偵察兼囮が先に廃屋を偵察し、フーケがいるようならば挑発しておびきだして出てきた所を魔法で攻撃、いないようならば合図を送るという作戦だ。
それを聞き、キュルケが疑問を口にする。
「それで、偵察兼囮はだれがするの?」
「すばしっこい人が行くべき。」
タバサが簡潔に答えた。
「あ、あの。なら私が行きましょうか?」
シエスタがおずおずと手を挙げた。
自分もそれに倣い手を挙げる。
するとネルが心配して声をかけた。
「フィーはともかく…シエスタは大丈夫?」
「これでも足の速さには自信があるのですよ?子供の頃は村一番でしたし。」
胸を張ってシエスタが答えた。
「それならいいけど、気をつけてね。」
ネルが言う。
それに笑顔で返事をして、そして自分とシエスタは廃屋へ向かった。
シエスタの忍び足は実に訓練されており、耳を澄ませても足音がほとんど聞こえない。
自分も、焦らず可能な限り注意して廃屋へ向かって歩く。
そして廃屋のすぐ近くまで到達すると、シエスタは短剣を取り出した。
磨きぬかれた刀身を鏡代わりに使い、手際良く廃屋内を確認していく。
一通り確認を済ませ、誰もいない事が判明してから合図を送る。
彼女の手際の良さに、待っていた6人は仰天しているようだ。
「今の凄かったわね……。」
キュルケの呟きが聞こえた。
同感である。


学院で働いていたメイド――たしかシエスタと言ったか――のあまりの手際の良さに呆然としていたが気を取り直して廃屋へ向かう。
使い魔のフィーも、シエスタが廃屋の中を偵察している間は周囲に気を配ることでフォローしており、役にたっていた事がほんの少しだけ嬉しかった。
その後、9人いるので役割分担をしようとタバサが言いだした。
廃屋の中を探索する者が3人。
廃屋の周囲を警戒しつつフーケを捜索する者が4人。
廃屋の入口で待機し、有事に連絡する者が2人と言う配分となった。
初めはフーケ捜索の担当を希望したのだが、フィーが危険な役目は使い魔の自分に任せてほしいと頼んできた。
使い魔だけに任せて自分は下がるなんて真似できる訳が無いわよと言い返す、すると自分達は精霊の箱を見た事が無いので探索役をぜひ手助けしてほしい、それにフーケを発見したら迅速に助力を願うと言ってきた。
そこまで頼まれたなら仕方ないと思い、廃屋の探索に行く事にする。


廃屋の中は、つい最近誰かが出入りした形跡があった。
埃に足跡が付いており、所々に濡れた跡がある。
ふと、何者かの視線を感じた気がするが、自分たち以外には誰もいない。
気のせいだと思い、そのままリビングと思わしき部屋に入る。
片隅にガラクタが積まれており、中央には机と椅子が配置されている。
――私は見られている
思わず振り返り、周囲を確認する。
一緒に入ってきたシエスタやネルも何かを感じてはいるようだが、それが何かまでは分からないようだ。
あれは何だったのだろう。
机の下の、異常に低い位置にて何かが蠢いていた気がした。
急いで駆け寄ったが、すでに何もおらず、ただ床に粘液のこびりついたような痕だけが残されていた。
何者かが這い寄ったような、そんな痕だった。
私は動揺して周囲を確認した。
それからの事だ、視線を感じるようになったのは。
――見ているよ
声が、聞こえた気がした。
――見ているよ
泣きたくなるのをこらえて、精霊の箱の探索を続ける。
――見ているよ
だが、見つかるのは“奴ら”の残した痕だけだ。
“奴ら”はいつも見ているのだ。
脳内で繰り広げられていく悪寒を振り切って探索を続ける。
数分後、遂に精霊の箱を見つけた。
―――箱の中には“奴ら”がみっちりと詰まっていた。

廃屋の中で悲鳴が響いた。



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