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デュープリズムゼロ-15


第十五話『ワルドのプロポーズ』

「止めて下さい!!死んでしまいます!!」
「痛い!!痛い!!」
「ありがとうございます。ありがとうございます!!」

すっかり日の暮れたラ・ロシェールへの街道沿いの崖の上に男達の悲痛な悲鳴と嬌声が響き渡る…

「ほら、ほらっ!だったら!素直に吐いて!!楽になりなさいよ!!何であたし達を襲ったのよ!?」
タバサ達と合流したミントは今先程捕らえた盗賊達を綺麗に横一列に並べ、自分達への襲撃について尋問を行っていた。
平手打ちにデュアルハーロウによる殴打、男の泣き所への容赦の無い蹴り…
既に何人かは泡を吹いて意識を手放していたり恍惚の表情でぼんやりとしていたりする。

「ハァ…ハァ…こいつら意外と口が堅いわね。」
ちょっと面白そうだからと言う理由でミントと同じく盗賊達を片っ端から平手でひっぱたいていたキュルケが盗賊の一人の顔をヒールで踏みながら顔を少し紅潮させ、舌で唇を艶やかになぞりながら呟いた…



そう……この少女達はドSなのである。




「ん?あれは…」
そんな盗賊達への尋問を男として直視出来ず周囲の警戒を行っていたギーシュは上空に見覚えのある幻獣を発見した。
それは紛れも無く自分達を放って先を進んでいたワルドのグリフォンだった。


「………あんた達一体何してるの?」
崖の上に降り立ったルイズが周囲の様子を見回してミントに訪ねる…何故キュルケ達が居るのかというよりもこの盗賊達の死屍累々の光景が余りに意味不明だ。
ギーシュも何故か内股で怯える子犬の様に縮こまってしまっている様に感じるし…
何が行われていたのかは何となく察しが付く為、ルイズは若干引いていた…平行世界では嬉々として恋人に鞭を振るっていた癖にである。
「襲撃を受けたのよ。明らかに待ち伏せしてたみたいだから万が一もあるしちょっと尋問してたの。」
不機嫌そうなミントの言にワルドの表情が一瞬強張る…それはこの凄惨な光景から男として感じ取る部分があったというだけでは無い。
「ミント君、それは結構な事だが我々は先を急ぐ身だ。唯の物取りなど捨て置こう。そしてそちらの二名の淑女は誰なのかね?」
「あら、素敵なお髭の貴族様、ねぇ情熱はご存じかしら?」
「ツェルプストー!!ワルド様から離れなさい!!」
早速キュルケがワルドの腕に抱きつき、その豊満な胸を押し当てそのキュルケを引きはがそうとルイズがヒステリックに叫んでワルドの身体はガクガクと揺さぶられた。

「二人ともルイズとギーシュの友達よ、朝出て行く所見られてて付いて来たみたい。
信用は十分に出来るしあたし達の馬も逃げちゃったからラ・ロシェールって街まではこの子の使い魔に送って貰う事にするわ。」
ミントはそんなワルドに気を遣う様子も無く、そう簡単に説明して暗がりにも関わらず本のページをめくり続けるタバサを指さす。

「どうやらその様だな…仕方あるまい。さぁ、先を急ごう。それとミス・ツェルプストー婚約者の前なので誤解を招きたくは無い。済まないが離れて頂けるか…」
言いながらワルドはやんわりとキュルケの身体を自分から引きはがすと全員に出発を促した…
「オッケー…分かったわ。でもその前に…」
ミントは出発を促すワルドに肯定してどす黒いオーラを放ちながら再びゆっくりと盗賊達の前に仁王立ちする。
「最後のチャンス位はあげないとね。」
纏うオーラに反して猫なで声でそう言って笑うミント。それだけで盗賊達の表情はまさに恐怖に染まって引きつってしまう…

「ちょっ…待って!!本当に唯の物取りでぶべっ!!」
「も、もう勘弁してほしいっす!俺達はラ・ロシェールで雇われただけなんす!アルビオンの貴族派の仮面を付けた男…」
隣の同僚が失神し、遂にミントの尋問に耐えられなくなり本当の事を白状し始めた男、しかしその男は証言の途中で言葉を永遠に失う事になる…

「ひぃっ!!」

悲鳴をあげたのはその盗賊の仲間達、見れば証言を始めた男の喉は鋭利な刃物で深く切りつけられた様にパックリと裂けていた。
ミントの目の前で血しぶきを上げて痙攣しながらドサリと崩れ落ちた男の死体の向こうには感情のこもらない様な冷徹な目をしてレイピア状の杖を構えたワルド。
「危ない所だったね、その男ナイフか何かを使って縄を抜けていた様だ。最もらしい話で君の注意を引いて隙を狙っていたのだろう…本当に危なかったね。」

確かにワルドの言う通り男を拘束していた縄も改めて確認すると鋭利な刃物に切断されている様にほどけてしまっている。

まるで男の喉を掻き切った鋭い風の刃で切ったかの様に…

「……………………殺す必要は無かったんじゃないの?」
男の死体から目をそらし、ミントが不機嫌そうに言う…
「生かしておく理由もまた無いさ。彼等はどうせ縛り首になる。さて、後は憲兵の仕事だよ、そして僕たちは僕たちの仕事をしよう。……………それとミント君、あんなやり方じゃ引き出した情報も信憑性に欠けてしまう、尋問から抜ける為にありもしない話を作るかも知れない…何よりあのような尋問など女性のする事では無いな。」
そう最もらしい事を言って半ば苦笑い気味に微笑むとワルドはその場の全員に出発を促しルイズと共にグリフォンで飛び立った…
ミントはそのワルドの背中を見つめ、先程の自分を説得して来た時と盗賊を殺害した時のワルドの目を思い返す…


(誰かに似てる目ね…何か嫌な感じ…誰だったかしら?)


漠然とした記憶を手繰りながらワルドから感じた奇妙な感覚にミントはモヤモヤとしたもの感じながらも考えていても仕方ないと気持ちを切り替え、タバサ達と一緒にシルフィードの背中に乗り込んだ…
多少トラブルには見舞われたが予定どおりもうじきラ・ロシェールにたどり着けるだろう…


ラ・ロシェールに辿り着いた一行は町の外の森にシルフィードを待機させ町一番の高級宿女神の杵邸のレストランにてルイズとワルドを除き食事と休息をとっていた。

因みにキュルケとタバサはついでとばかりに深く旅の目的は聞かずミント達に同行をしている。ミント達が無事この町を出るまでは観光でもしていくとはキュルケの談…
本来ならばルイズの婚約者であるワルドを誘惑してやろうと思っていたがキュルケはワルドにどこか酷く冷たい印象を受けてその興味をほぼ失っていたのだ。

「すまない、やはり船は明後日のスヴェルの夜までは出ないらしい。」

アルビオンへの船の手配にルイズと共に行っていたワルドがミント、ギーシュ、キュルケ、タバサの四人の元に戻って来るとお手上げだといった様子で肩をすくませる。
「迂闊だったわ…明後日がスヴェルの夜だったなんて…」

本来ならばこのままアルビオンへの定期船に乗って進みたかったのだが空を漂うアルビオン大陸がトリステインに最も近づくのはスヴェルの夜であり、基本的にその前後は燃料である風石の無駄になる為飛行船は出る事はまず無い。
「間抜けな話よね~…何の為にあたしとギーシュはあんなに急いで馬を走らせたのかしら。」

テーブルの上でへばるギーシュをちらりと見てミントはワルドに批難めいた視線を向けて嫌味をこぼす。
散々人を走らせておいた挙げ句の不手際の足止めである上、護衛の筈でありながら自分達が盗賊に襲われた時居なかった事も、その後の盗賊達への対応の事もあってはっきりいってミントはワルドに対しての評価を大幅に下方修正していた。
「それについては僕からはを謝罪するしか無い。本当に申し訳ないとは思う。さて、部屋の割り振りだが三部屋を確保できたからね。僕とギーシュ君、ルイズとミント君、キュルケ君とタバサ君の組み合わせになるが構わないかな?」
テーブルの上に鍵束を置いてワルドがその場の全員に尋ねると全員「OK」という素直な返事を返した。

「ただルイズ、君とは後で二人きりでゆっくりと大事な話をしたい。後で僕の部屋に来てくれ。」
「…わ…分かったわ。」
そう言って真剣な表情でワルドはルイズを見つめる。ルイズはその台詞と真剣な眼差しに顔を真っ赤に染め、小さく返事をしてただ頷くと俯いてしまった。
ワルドとしてはルイズと同室が望ましかったがルイズの使い魔であるミントは仮にも女の子であり一応VIPだ。ここでギーシュと相部屋で…等と言えば全員からかなりの批判を受けるのは自明の理である。それはワルドとしては避けたかった。
それ以前にそんな提案をしていたらミントの跳び蹴りが炸裂していただろうが…




「それで…大事な話って何、ワルド?」
ルイズは約束通り一人でワルドの部屋を訪ね、テーブルを挟んで向かい合う様にしてワルドと再会を祝した乾杯を交わしワイングラスを傾ける…
「君と僕のことさ…そして君の使い魔の事もね。」
意味深な表情でワルドは言ってルイズに微笑むとまるで子供におとぎ話でも聞かせるかの様な語り口調で話を始めた。

「君は始祖ブリミルの物語を知っているね?」
ルイズはえぇ。と答えて話の続きを促す。

「かつて始祖は四人の使い魔と共に東の砂漠へと聖地を目指して旅立った。そう、四匹では無く、四人のだ。
僕は君の使い魔が人であると噂で聞いた時、果たしてそんな事があり得るのかと興味を抱いてね、様々な資料を調べ直したんだ。そして今日君の使い魔のミント殿下を実際に見て確信を抱いた…」

ワルドは一層熱のこもった視線でルイズを見つめる。
「彼女のルーン…あれは間違いなくガンダールブのルーン、かつての始祖の使い魔の一角を担った伝説の存在だよ。
ルイズ、君は道中僕に自分は魔法が未だ成功しない落ちこぼれだと言ったね?僕が保証しようルイズ。 使い魔がメイジの格を示すなら君には素晴らしい才能が眠っているはずだ!きっと始祖ブリミルの様に歴史に名を残すだろう。」
熱く語るワルドの様子にルイズは正直困惑していた。悲しいかなコンプレックスの塊であるルイズがここまで他人に褒められ、ここまでの期待を掛けられた事は無いのだから。
「でも私は…」
ワルドはここで一度困惑した様子のルイズが落ち着くのを待って手を取って再び話を再開する。

「ルイズ、この任務が終わったら結婚しよう。」

「えっ?」

「忙しさにかまけてずっと君を放っていた僕だが君を想う気持ちはずっとあの頃のままだ。
僕はこのまま魔法衛士隊の隊長だけに治まるつもりは無い、いずれは国さえも動かす様な力を手に入れるつもりだ。」
ワルドは言ってルイズの身体を当然の様に抱き寄せ、唇を寄せた。だが顔を真っ赤にしたルイズはワルドの口づけを拒む様に身体を強張らせたままだった…

「あ、あの!ワルド様…結婚のお話嬉しいのですがあまりに急な話で私……それに私はミントを元の世界に戻すという約束も果たさなくては…」
やっとの思い出絞り出した様に慌てて早口にまくし立てたルイズにワルドは少し困った様な表情を浮かべるとルイズの腰に廻していた手を放した。
「ハハッ…急がないよ、僕は…」

そう言って優しくルイズに微笑むワルドは内心で歯がみした…


___女神の杵邸_修練場

ラ・ロシェールで一夜を過ごしたミントは翌朝朝一でワルドに呼び出されて女神の杵邸の中庭にある古い修練場に来ていた。
ワルドの用件はガンダールブとミントの魔法の力を実際に体験してみたいという事とアルビオンでの任務遂行の為の戦力の把握の為という名目での果たし合いだった。
そんな事は面倒くさいと普段のミントならば一蹴していただろうが思う所あってミントはワルドの誘いに乗る事とした。
既に一行は全員この場に居る。ルイズは話を聞いてこの場に来た時は何とかして果たし合いを止めようとしていたが当人達(主にワルド)に押し切られる形になっていた。

「無礼を承知で任務を確実に成功させる為、是非君の力を見せて欲しい。それじゃあ準備は良いかなミント君?」
ワルドは静かに風を切り裂く様にレイピア状の杖を抜き、ミントにその切っ先を向けると一分の隙も無い戦士の風格を纏った。
対してミントはワルドに向き直ると臆した様子も無くデュアルハーロウを構えるといつもの様に力む事無く構えをとる。
「いつでも良いわ。レッツバトルってね!」
その緊張感に思い出すのはあの年中金欠の赤毛の武器職人の戦士ロッド、思い起こせばカローナの街に居た時は随分と世話になった。(主に資金調達に。)

「…始め。」
立ち会いとしてその場に居たタバサの合図で二人の戦いは火ぶたを切って落とされる…


結果だけを言えばそう時間も掛からず決着は付いた。
ミントのバルカンを巧みなステップで回避し、一瞬の隙を突いたワルドの放ったエアハンマーの直撃を受けたミントが高く積まれた空箱等に叩き付けられ所で周囲が待ったを掛けたのだ。

「子爵、いくら何でも女の子のミントに対してやり過ぎですわ。大丈夫?しっかりしてミント?」
魔法が直撃し頭を打ったのかその場にフラフラと倒れ込んだミントを膝枕で支えるとキュルケがワルドを叱責する様に責め立てる。
「やり過ぎ…」
「子爵、僕も流石に味方内でこれはどうかと思います。」
そんなキュルケに便乗したのはタバサとギーシュ…
そんなに強烈な魔法では無かった筈なのだがワルドは三人にミントを不当に傷付けた大人げない鬼畜貴族の烙印を押されてしまった。その為思わずたじろぎルイズへと助けを求める様に視線を送る。

「ミント!!大丈夫!?酷いわワルド!!」
だがルイズは目を回したミントに駆け寄るとワルドを批難する様な怒気を含んだ視線を向けていた…
「ち、違うんだルイズ、僕はただ…」
ワルド自身ミントに戦いを挑んだ理由は表向きな物とは別にルイズの気を引く為に使い魔よりも自分の方が強く、あてになると示したかったからである。
それが今回完全に裏目に出てしまった…フーケを容易く捕らえたと聞き及んでいたにも関わらず予想を遙かに超えるワンサイドゲーム、これでは弱い者苛めだ。
「子爵…ここは私達でミントを介抱致します。あなたは一旦ここをお離れになってはいかがですか?お互い冷静になるまで、その方がお互いの為ですわ。」
キュルケの冷たい口調の提案にワルドはミントの余りの手応えの無さに困惑しながら思わず唸る…

「分かった…済まない、ミント君が目を覚ましたら教えてくれ。」
だが今ここで空気を読まず、ルイズに自分の実力をアピール等してしまっては逆に嫌われるだけだろう。そこまで考えてワルドはミントの介抱をキュルケに頼むと足早に宿の外へと出て行った。
次いでルイズが宿の人間に水を用意させる為修練場からかけだしていく。


「行った?」
ここでついさっきまで意識を失っていたミントがなんの問題も無い様にぱっちりと目を開いて軽やかに飛び起きると髪を掻き上げてキュルケに訪ねる。
「行ったわよ。ていうか何でわざわざこんな芝居をうった訳?」
 溜息混じりに答えたキュルケは特にミントが目覚めた事に疑問をもったりはしない。
何故ならばワルドから果たし合いの申し込みがあった後ミントはこの一連の流れを作る事を事前にキュルケ達にお願いしていたのだった。
「下手に勝ったりして王宮の人間なんて碌でもない奴らにあんまり目を付けられたくないのよ。それにしてもあいつ言うだけあって中々やるわね…」
ミントは悪巧みをする様に口元を歪めて言った。それは暗に本気ならば負ける通りは無いと言っている様でこの場に残った三人は思わず呆れてしまう。
「はぁ…全くワルド子爵には申し訳ない事をしてしまったね…」


(それによりにもよってあんな目をした奴に手の内見せる程あたしはお人好しじゃ無いのよ…)


昨夜ミントはルイズからワルドにプロポ-ズされたという話を聞きベッドの中でワルドに感じた既視感の様な物の正体を思い出していた。
ミントにはそもそもルイズなんかを望んで嫁に迎えよう等という考えが正気とは思えない。特殊な性癖でも無い限り必ず何か裏があるはずだ!!

かつて東天王国の宮廷魔術師として三人の腹心を抱え国政から遺産管理、その他あらゆる面から妹マヤの側近として行動していた男がいた。名を『ドールマスター』

そう…ミントがワルドから時折感じ取れる冷たく嫌な印象はデュープリズムを自らの使命の為に復活させようと主君であるマヤを裏切った彼から感じた物に非常に酷似していたのだった。


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