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Prologue『死の宣告』

今日、私の愛した『人』が死んだ。
彼女は私の城から逃げ出し、自殺した。

「アセルス様は変わってしまわれました」
それが彼女の遺言。

自分の頬に流れるのが、涙なのか雨の滴なのかはわからない。
なぜ彼女が私の元を去ろうとしたのか私には理解できなかった。

私が変わった?一体何が?

確かに彼女と初めて出会ったのはまだ自分が妖魔だと言う自覚が少なかった頃だ。
半妖の私は人間の頃の感覚が捨てきれなかった。

人からは化け物と嫌悪されるか利用しようとする者しか近寄ってこない。
妖魔からは半人と蔑まれる。
半分人間、半分妖魔というこの世でたった一人の中途半端な存在。

人間として生きられないならばと、妖魔として生きる為に力をつけた。
そして私を半妖にした張本人『オルロワージュ』を討ち滅ぼした。

妖魔としてしか生きる道はない。
なのに今でも私の身体は半妖のまま。

半妖であることを蔑む妖魔を力ずくで屈服させてやる。
妖魔の血を畏怖する人間には妖魔として恐怖を与えてやる。
そうして私はあの人に代わる針の城の主となった。

最初の寵姫として私は彼女を愛した。

ジーナが私にとっての全てだった。
二人で永遠を手に入れられると思っていた。
数え切れない屍を築き上げ、私に味方はもう一人もいない。
ジーナも、私がかつて心の支えとしていた『白薔薇』も私の前から姿を消してしまった。

あの人の食い滓など興味なかったが、白薔薇は別だった。
オルロワージュを倒した後に闇の迷宮に向かったが、彼女はそこにいなかった。
白薔薇も私の前から姿を消してしまった。

私は今までオルロワージュが白薔薇を消したのだと思っていた。
だが、彼女もジーナのように自ら私の前から姿を消したのではないか?

空にはよどんだ灰色の夜空。
雨も止むことなく、時々稲光が鳴り響く。

ジーナに血を分け与え、蘇らせる事も考えた。
だが、そうする気になれなかった。

彼女が自殺する前に見せた表情。
あんな悲しそうな笑顔は見たことなかった。
彼女はもう二度と私に心を開いてくれないだろう。

オルロワージュの元を去った零姫が彼の元に戻る事がなかったように。
それだけは確信できた。

──なぜ彼女はあんな悲しんでいたのか?
──彼女を悲しませたのは私?
──私が変わったのが彼女を悲しませた理由?

──私の何が変わった?

思考が混沌として、何一つ答えは導き出せない。
誰かの声が聞こえるのも考えが浮かばない理由の一つだ。

「え?」
ようやくこの場に不自然な声に気付いた。
周囲には人影はおろか、動物の気配すらない。

ゾズマあたりが茶化しにきたのかと思ったが、声は少女のように鈴が鳴るような声だ。
ゾズマは私への反逆を企んでいたはずだが、もうどうでもいい。

ふと目を向けると私の前に鏡がある。
奇妙な力を感じることからただの鏡ではないだろう。
声の主は鏡の向こうにいる人物のようだった。

言葉は力強かったが、どこかか細かい。
私はその声になぜか懐かしさを覚えて鏡に手を伸ばした。

危険性を考えなかったわけではない。
だが、ジーナがいないこの城、この世界に私は何の価値も見出せそうにない。

鏡に手を触れ、アセルスは姿を消した。
この日以降、針の城で彼女の姿を見たものはいない……

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