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デュープリズムゼロ-11

第十一話『カノンオーブ』

ルイズはミントから預けられた紅蓮の宝珠の収められた箱を抱いてシルフィードの背中から森の中に潜んで居るであろうフーケをタバサ、キュルケと共に探していた。

「おい、嬢ちゃん見てみろよ、相棒の奴すげぇ事やってくれてるぜ!!」
「何よ?て言うかあんたもフーケ探しなさいよ。」
フーケの捜索に集中していたルイズの背中でついでに回収していたミントが使用を放棄したデルフリンガーがカチカチと鍔を鳴らす。
デルフリンガーの声にルイズはゴーレムと対峙しているミントへと視線を向けた。


「えっ?」

その視線の先にはミントは居なかった…
厳密にはルイズには見つける事が出来なかったのだ。
ミントの仕業なのかいつの間にかゴーレムの足下は真っ黒な煙の様な物で埋め尽くされ、
ゴーレムはその煙の中に残った右腕を突っ込んで闇雲にミントを探している様だった。



ミントはひたすら『ダークブレス』の魔法を撃ち出しながらゴーレムの周囲を走り回る。
紫電を帯びた暗黒の吐息はゴーレムの足下とその周囲を広く埋め尽くすとミントの姿をフーケから隠し、同時にそれ自体がことゴーレムに対して凶悪な攻撃手段になる。

そしてそれは直ぐに目に見える形で効果を現した。

『ドスン!!』
「何?」
衝撃音が響くと同時に足下が悪いのかゴーレムがバランスを崩す。
何が起きたのか分からないままにフーケはとにかくゴーレムで足下の煙をかき回す。

ついさっきまでゴーレムの足は足首の辺りまでしかダークブレスに隠れていなかったが今はすねから下までが煙に捲かれている状態だ。


「ゴーレムが縮んだ…?」
上空から見ていたルイズが呟く…


「ちっ、闇雲じゃキリが無いね!!」
忌々しそうに言って異変に気付かぬままフーケはゴーレムでミントを踏みつぶす為、ゴーレムの足を大きく持ち上げさせた。

「何……だって…………」

フーケはそこでようやく気が付いた、ゴーレムの足首から先がまるで風化し朽ちたかの様にボロボロになって崩れ落ちてしまっている事に。
その瞬間また一段、ゴーレムの足下は崩れていった…


「やっぱり土や岩にはこれよね~。」
ミントはダークブレスに身を隠したまま意地悪くほくそ笑む。
『黒』の魔法の本質は破壊、それも無機物に対して特化した物…
ダークブレスはそれを広範囲に拡散させる魔法であり、爆発力や瞬間火力は無いがじわじわと浸食する様に対象を破壊する。
正直ここまで広範囲にダークブレスを展開する事が出来るとは思わなかった。偏にそれは泥まみれにされた事への恨みと左手のルーンの力でもある。
そしてこれはフーケのゴーレムにとって最悪に相性が悪い魔法だ。

慌ててゴーレムはダークブレスの中から抜け出そうと歩を進めるが、巨大なゴーレムの重量とその足にかかる負担は凄まじい。
蝕まれた足は自重を支える事も出来ず歩く事もままならない、それどころか下手に動かせばそこから崩れる始末。
ゴーレムの足を再構成しようにも既に周囲の土そのものがとてもゴーレムの材料に使える強度を維持していない。新たに練金などしようにもそれを実行すれば最早フーケの精神力ではそれ以外何も出来ない状態になりかねない。

もはや完全に詰みだ。
ゴーレムの膝から下が完全に崩れ落ち、そのままバランスを保てずゴーレムは前のめりに倒れ込む。
見えないとはいえ流石の質量にミントも危なかった。

「フフン…このミント様に挑もうなんて百万年早いわ。」
勝利の余韻に緋色の髪をミントは掻き上げる。

立ち上がろうとする度そこから崩れて行く為ゴーレムはもはや為す術無くそのままジタバタと藻掻きながらミントのダークブレスに分解されて行った。


「すごい……」
土煙と共に崩れ落ちるゴーレムの姿を見つめながら思わずルイズはそう呟いた。
完全にゴーレムが崩れ落ちたのを確認しシルフィードを下降させながら同じくキュルケとタバサも思わずその光景に言葉を飲む。
徐々に煙が晴れていくそんな中、ミントはゴーレムの残骸の上でまだ怒りが治まっていないのか地団駄を踏んでいる。

「ミント!!」
「呆れるわね、あなた結局あのゴーレムを一人で倒しちゃうなんて。」
そんなミントにルイズとキュルケが駆け寄り、タバサは周囲に警戒を続ける。
「まぁね~、それよりフーケは居たの?」
「ごめんミント、見つけられなかったわ。」
申し訳なさそうに言ってルイズが項垂れる。
「多分、フーケもゴーレム壊されたから今頃逃げ出してるでしょうね。」
キュルケは周囲を一度見回して溜息混じりに言う


「皆さん、ご無事ですか?」
と、がさがさと草木を掻き分け森の中からロングビルが姿を見せると息を切らせながら駆け寄る。
「皆さん申し訳ありません……私巨大なゴーレムが現れてから恐ろしくて恐ろしくて隠れている事しか出来ませんでした。まさかアレをお一人で倒してしまうとは…所でミス・ヴァリエールが持たれている小箱。その中に紅蓮の宝珠が?」
「はいその通りですミス・ロングビル、フーケは取り逃がしたかも知れませんが紅蓮の宝珠は確かに取り戻しました!」
ルイズがそう言って胸を張ってロングビルに箱を差し出す。
「それは素晴らしい。では…」
ロングビルは微笑みながらルイズから箱を受け取ると同時にルイズの手を強引に引き、自分の元へと乱暴に引き寄せる。

『ルイズッ!!』
三人の声が重なる。

「全員杖を捨てて腕を頭の上に乗せな!!」

ロングビルは今までの態度を一変させルイズの喉元にナイフを突きつけてみせるとミント達を鋭く睨んで言い放った。
「ミス・ロングビル何故あなたが…」
杖を手放しながらキュルケがロングビルに問いかける。
「彼女がフーケ。」
「フフフ…ご名答その通りだよ。」

フーケはニヤリと笑いながらタバサとミントが杖とデュアルハーロウ手放したのを確認する。
「で、そのフーケが何でまたこんな手の込んだ真似したわけ?とっととお宝持って逃げれば良かったのに。」

「まぁ確かにそうなんだけどね…ミント、あんた馬車の中で紅蓮の宝珠について何か知ってる様な感じだったわね?紅蓮の宝珠を盗んだは良いものの使い方やそれが何なのか分からないと高く売る事が出来そうに無いからね…教えてもらえるかい?でないと…」
フーケは三人に見せつける様にルイズの喉元にナイフを押し当てる。
「………知ってるわ。」
ミントはしばらく思案した後、両手を広げお手上げのジェスチャーをしてみせる。
そしてミントの返答にタバサとキュルケは思わず驚いた。
「そいつは紅蓮の宝珠なんて名前じゃ無いわ。そいつはカノンオーブっていうアイテムであたしも前に必要だったから持ってた事あるわ。」
「ほう、そいつは興味深いね。こいつは異国の品って訳かい…で、肝心の効果と使用方法は?」
一応ミントは学園の内部や周囲には異国のメイジとして通してある。
「待ちなさい、その前にルイズを解放しなさい!!」
キュルケが一歩前に出る。しかしミントは構わず言葉を続ける。
「カノンオーブは魔法機関の動力よ。」
「待ちなさいミント!!喋っちゃ…!!」」
今度はルイズがミントを止めようと勇気を振り絞り訴えたが今度はそれはフーケに阻まれる。
「おっとお嬢ちゃんは黙ってて貰えるかい?続けな。」
「分かってるわよ。そいつを埋め込んだゴーレムはカノンオーブからエネルギーを吸収して動ける様に成る。
今みたいにわざわざ魔力や精神力を使う必要が無くなるのよ。」
ミントは簡単ながら包み隠さず素直にカノンオーブがどの様な物かを説明した。
その説明にフーケは少々訝しんだがどうやらミントが嘘をついているとも思えないし何より手元には人質が居る限りミント達も下手な真似はしてこない筈だ。
「へ~あたしにとっては随分と魅力的なマジックアイテムの様だね~。さてそれじゃあ悪いけどこのままあたしは失礼させて貰うよ。追いかけてこない限りはヴァリエールのお嬢ちゃんは適当な所で解放してやるから安心しな。」
「くっ…」
ミント以外の三人が苦い表情を浮かべる。そしてミントはだけはフーケに対して今までとまるで変わらない様子で対応する。
「分かってるわよ、人質が居る以上こっちだってて…あ、空飛ぶカボチャっ!!」
と、突然会話の途中でミントが大声を上げて上空のあらぬ方向を指さす。

「えっ??」
当然その場の全員の視線がミントが指さした方向へと反射的に向けられた。


その一瞬の隙を見逃さずミントの瞳がキラリと光る…
「チャンス!」
「え……」
叫んだと同時にミントが跳ぶ…
フーケが空飛ぶカボチャ等という分けの分からない物に気をそらしていたのは本当に僅かな時間でしかなかったがそれでもミントの必殺の跳び蹴りが叩き込まれるには十分過ぎる時間だった。
そうしてフーケの顔面に強烈な衝撃が走る…眼鏡を事前に外していたのはフーケにとって不幸中の幸いと言えただろう。
「うわぁぁっ!!」

ルイズが解放されフーケはギーシュと同じく…いや、それ以上の強烈な勢いで吹っ飛ばされ地面に数度叩き付けられるとそのまま気を失ったらしく動かなくなった。
「よし、悪は滅びた!」

ガッツポーズを取って勝利を確信するミントに最早三人には言葉も無かった…





___魔法学園学院長室

フーケを捕らえてから学園に戻ったルイズ達は今まさにオスマンへと事態の顛末を報告していた。
報告を聞き終えたオスマンは実に苦しそうな表情で髭を摩る。
「まさかミス・ロングビルが怪盗フーケだったとはのぅ…あいやよくぞ紅蓮の宝珠を取り戻してくれたご苦労じゃったな。
それにしても紅蓮の宝珠がゴーレムの動力じゃったとは予想だにせんかったわい。
ミス・ヴァリエールとミス・ツェルプストーには儂の方から王宮にシュバリエの勲章をミス・タバサには精霊十字勲章を申請しておこう。」

「まぁ!!シュヴァリエ!?」
「あの…オールド・オスマン、ミントには何かして上げる事は出来ないのでしょうか?
先程の報告の通り最も今回の事件で活躍したのはミントです。」

ルイズは意を決した様に訴える。ミントが爵位に興味があるとは思えないが自分よりはミントがシュバリエを賜るのに相応しいとルイズは思う。

「しかしのうミス・ヴァリエール、彼女は使い魔じゃ…使い魔の手柄はメイジの物として扱われる。それではいかんかの?」
「先程申し上げた通り今回の件、私は何一つ役には立てずあまつさえフーケに人質にされました。そんな私にはシュバリエを承る資格はございません。」

ルイズは真っ直ぐに問い掛けてきたオスマンを見つめてはっきりと言った。
そのルイズの言葉にさっきまでシュバリエの話に乗り気だったキュルケが一歩前にでてチラリとルイズに視線を送ると高飛車に微笑んだ。

「では私もシュバリエのお話、辞退させて頂きますわ。元々私はルイズが行くと言ったから参加した訳です…私だけとは行きませんわ。」
「同じく。」
タバサもキュルケに便乗して小さく言う。
「なんと、君達もかね…?」
オスマンはルイズに続いて二人に驚愕し、目を見開いた後で心底満足そうな表情を浮かべる。
「あい、分かった。その素晴らしい高潔な精神を持つ君達こそ真の貴族じゃ。さて、それでは今夜はフリッグの舞踏会、フーケを見事捕らえた君達の手柄皆に聞かせるとしよう。今夜の主役は君達じゃ。」


オスマンが言って話を終わらせると人一倍舞踏会を楽しみにしていたキュルケは「そう言えば!おめかししなきゃ!!」と思い出した様に言ってタバサの手を引き学院長室を慌てて出て行った。


「それじゃあミント私達も行きましょう。」
ルイズはミントに声を掛け、学院長室のソファから立ち上がろうとしたがミントは立ち上がろうとする気配も無くオスマンと机の上に安置されたカノンオーブに対して何やら胡散臭げな視線を送っていた。
「ミント?」
「ねぇじいさん、ちょっと聞きたいんだけどさ紅蓮の宝珠…ていうかカノンオーブ、あれどこで手に入れたの?あれはあたしの世界のマジックアイテムよ、ハルケギニアに同じ物があるとは思えないわ。」
ミントの言にオスマンは興味深げに髭を摩る。
「あたしの国故郷では無く世界とな?」
「あの…オールド・オスマン実は…」
ここでルイズはミントの同意の下、オスマンにミントの正体と召喚されてからの経緯を説明した。


「…成る程のぅ…ふむ分かった送還方法については儂の方でも調べておこう。しかしまさか異国の王女殿下じゃったとは世の中何が起こるかわからん物じゃのう…」
「すいません!!」
話を聞き終えたオスマンは流石に頭を抱えた…その向かいの席でルイズは心底申し訳なさそうにオスマンに頭を下げる。
「で、カノンオーブはどこで手に入れたの?」

「おぉ、そうじゃったな。あれは十数年前に儂が偶然ふらりと立ち寄ったある村で貰ったんじゃよ。
村の守り神の石像に固定化を掛けて欲しいと請われたので引き受けたのじゃがその礼にと依頼主の老人が儂に寄越したのじゃよ。
曰く世に二つと無い炎の宝玉だと言ってな…成る程、異世界のマジックアイテムならば確かに唯一無二じゃて…」
オスマンは懐かしむ様に言って手の上に乗せたカノンオーブを見つめた。

ミントはオスマンの話に表情を渋くする。
今度はカノンオーブを差し出した老人がどの様な経緯でそれを手にしたのかが分からない。そもそも価値が分かっていたならそうホイホイ他人には譲らない筈だろう…
しばらく考えたがそれも取り敢えずは意味が無い事だと結論づけてミントは一つ溜息をついた…

この後ミントはオスマンから左手のルーン『ガンダールブ』についての簡単な説明と帰る方法が見つかるまでの間ルイズと共に居て欲しいという話を聞かされた。
是非も無い…ミントの帰還にはデュープリズムとルイズの力は絶対に必要なのだ。
ミントはそんな事はおくびにもにも出さず交換条件として遺産もしくはそれに準ずる物の情報提供をオスマンに要求して学院長室から離れた。


「あ~…疲れた。今日は早く寝よっと…」
ルイズと共に部屋への通路を歩きながら疲れた様子でミントはそう漏らす。
「はぁ?今日はフリッグの舞踏会よ。あんたも主役なんだから絶対参加。ほら急いで!」
「えぇ~…」

ルイズに手を引かれながらミントは露骨に顔をしかめた後、花の様なルイズの笑顔に観念したかの様にぎこちない笑顔で共に走り出した…

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