あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

Mission 20 <猛る閃光、吠えよ青銅、舞えよ雪風> 前編



翌朝、ニューカッスルの秘密の港ではイーグル号及び拿捕した輸送船、マリー・ガラント号に非戦闘員である女子供達が搭乗していた。
まもなく行われるであろう一方的な虐殺から逃れるべく、白い雲の中を潜り抜けてこのアルビオン大陸を離れていくのである。
その脱出船が出航する寸前、始祖ブリミルの像が置かれた礼拝堂では礼装に身を包んだウェールズと、
鉄兜で身を固めた十数人ばかりの衛士達が新郎と新婦の登場を待っていた。
扉が開き、その向こうから現れたのは二人の男女。ワルド子爵と、制服の上から純白の新婦のマントとヴェールを身につけたルイズであった。
二人を祝福する観客はたったの三人。キュルケ、ギーシュ、タバサである。

「へえ、結構似合っているじゃないか」
ゆっくりと入場し、祭壇までの道の両脇に控える衛士達の間を進んでいく二人の花婿と花嫁を見て最前列の長椅子に座るギーシュが嘆息する。
「フィアンセの子爵と結婚できるなんてあの子も満足でしょうね」
先祖代々、いがみ合ってばかりいたヴァリエール家であり、あれだけからかってばかりいたとはいえ
ルイズが結婚をするというのであればキュルケも素直に祝福をしていた。
「しかし、突然結婚式を挙げるだなんて、子爵もずいぶんと大胆だなぁ。おまけにその媒酌をウェールズ殿下に頼むとは……。
ああ、僕もいつかはこうしてモンモランシーと盛大に式を挙げたいよ」
ギーシュはトリステインに残している愛しの女性との結婚式を想像して、表情が綻んでしまう。
「そうしたいなら、浮気癖はやめた方がいいんじゃない?」
「い、いや……あれはだねぇ……!」
二人が小声で喋っている中、キュルケの隣に座っているタバサだけは己の杖を手にしたまま、黙々と本を読み続けていた。

一部を除き、二人を祝福してくれる人間達がいる中、当の花嫁であるルイズの表情はどこか浮かなかった。
朝早くいきなりワルドに起こされたルイズは意味も分からぬまま、妙に熱くなっている彼に連れられてここにいるのである。
彼は「これから結婚式を挙げる」と言ってきたのだが、あまりにも唐突な展開にルイズの頭は付いて行けずどう答えれば良いか分からなかった。
もっとも、ワルド自身はその沈黙の肯定と取ったのか、ほとんど一人で勝手に準備を進めていったのである。
……正直、こんな状況でこんな花嫁の姿をさせられても嬉しくも何ともない。
あまりに突然とはいえ、自分が結婚をするという話を聞いたギーシュは祝福の言葉をかけてくれたし、あのキュルケも素直に「おめでとう」と言ってくれたことには驚いた。

そして、スパーダも同様に祝福をしてくれたらしい。
らしい、というのはワルドが先日スパーダに結婚のことを話したら、「おめでとう」と言っていたことを伝えられたからであり、直接本人からは聞いていないのだ。
彼は今、ここにはいない。
ワルド曰く、ここの貴族に頼まれ事をされて外へ出ており、まだ戻らないらしいのである。一応、途中出席になるかもしれないと言っていたらしいが。
(……何でよ。何で、あたしには何も言わないの? あたしのパートナーでしょう?)
思えばスパーダとは離れ離れなってしまうことが多い。彼がモット伯の屋敷へ行った時も、一人で町へ行った時も、ラ・ロシェールで分かれた時も……おまけに今度はこれだ。
パートナーが自分に何の話もしてくれずに一人でどこかへ行ってしまうことが、ルイズにとっては結構なショックでもあった。
(もしかしたら、あたしを信用していないのかもしれない……)
パートナーに対する不安、そして先日見てしまった死を覚悟した者達の姿を見て傷心であったルイズを激しく落ち込ませていた。

「では、式を始める!」
いつの間にかルイズは祭壇に立つウェールズの前まで来ていたが、俯いたまま顔を上げようとはしなかった。
「新郎、子爵ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド。汝は始祖ブリミルの名において、この者を敬い、愛し、そして妻とする事を誓いますか」
「誓います」
ワルドは重々しく頷き、杖を握った左手を胸の前に置く。
ウェールズはゆっくりとルイズへと視線を移す。
「新婦、ラ・ヴァリエール公爵三女。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエール――」
朗々と誓いの詔を読み上げるウェールズ。
訳が分からず混乱したままとはいえ、今この瞬間が結婚式の最中であることを改めてルイズは実感する。
(ワルドと、結婚……)
その相手は幼き頃より憧れていた、頼もしいワルドだ。
彼のことは嫌いではない。むしろ好いているはずである。
なのに、どうしても今は彼と結婚する気になれない。喜ぶべきなのに、喜べない。

「新婦?」
ルイズが答えないためか、心配そうにウェールズの声がかけられた。
そんなルイズの肩を抱いてきたワルドが落ち着かせるように諭す。
「緊張しているのかい?しかし、何も心配する事はないんだ。僕のルイズ。君は僕が守ってあげるよ。永遠に。それをたった今、誓った。殿下、続きをお願いいたします」
(……そうよ。あたし、言ったじゃない)
ワルドがウェールズに言い、再度誓いの詔を読み上げる中、ルイズは何故自分が今この結婚を喜べないのかに気が付いた。
ラ・ロシェールでワルドに言ったではないか。自分はまだ、多くの人に認められるような人間ではない。だから吊り合わない、と。
それにワルドに今まで抱いていた思い。それは結婚とは全く違うような気がするのだ。
そうだ。自分は多くの人に認められる存在になりたい。
スパーダに、パートナーにも認められる存在にならなければならない。
「どうしたね、ルイズ。気分でも悪いのかい?」
「日が悪いなら、改めて……」
ウェールズの言葉の途中、ルイズは首を振り、毅然とした態度で口にした。
「ごめんなさい。ワルド、あたし、あなたと結婚できない」
突然の花嫁の否定の言葉に礼拝堂中がざわめく。観客であるキュルケ、ギーシュも唖然としていた。
同じように驚いたウェールズとワルドも目を何度か瞬かせて言葉を失う。
「ル、ルイズ?」
「新婦は、この結婚を望まぬのか?」
ワルドの顔が強張り、ウェールズは困ったような表情で問う。
「そのとおりでございます。お二方には、大変失礼をいたすことになりますが……」
そうルイズが答えると、ウェールズは納得したように頷きワルドの方を振り向く。
「子爵、誠にお気の毒だが、花嫁が望まぬ式をこれ以上続けるわけにはいかぬ」
残念そうにウェールズが告げる中、ワルドはそれを無視してルイズの肩を強く抱く。
それが少し痛くて、思わずルイズは僅かに顔を顰める。
「……ルイズ、緊張しているのだろう? そうでなければ、僕との結婚を拒むなどありえない」
「ごめんなさい、ワルド。昔はあなたに憧れて、恋をしてたかもしれない……。でも、今は違うわ」
「ルイズ!」
毅然としたまま拒むが、荒く叫ぶワルドは肩を掴む手の力をさらに強くしたため、今度ははっきりと顔を顰めて痛さに呻いていた。

「な、何だか意外な展開になってきたなぁ……」
「あら、結婚式にはこういうトラブルは付き物よ?」
客席で見物しているギーシュとキュルケがあまりに唐突な出来事に驚いていた。キュルケに至っては同時に、この状況そのものを少し面白がっているようだ。
そんな中、タバサはパタンと本を閉じると手にしていた杖を構えだす。その射貫くような瞳は、豹変したワルドへと向けられていた。
ワルドの顔は険しくつり上がり、瞳には冷たい光が宿っている。

「世界だ、ルイズ。僕は世界を手に入れる! そのためには君が、君の能力が、君の力が必要なんだ!!」
恐ろしい、とルイズは思った。これが、あの優しかったワルドなのか?
違う。ルイズが憧れたワルドはこんなものではない。
今までと雰囲気を一変させたワルドに詰め寄られ、ルイズは恐怖を感じながらも告げる。
「……いらないわ、世界なんて」
必死に食い下がるワルドの姿を見苦しく感じたのか、ウェールズがワルドを諌めようとした。
「子爵……君はフラれたのだ。いさぎよく……」
「黙っておれ!」
ウェールズの手をはねのけ、なおもワルドはルイズに迫った。
「ルイズ、いつか君に言ったことを忘れたか!? 君は始祖ブリミルに劣らぬ優秀なメイジに成長する!
ラ・ロシェールでも君の力を見せてくれただろう! その才能が、僕には必要なんだ!!」
だが、ルイズの答えは変わらない。それにあれは自分の才能なんかではないのだ。
「……わたし、そんな才能のあるメイジじゃないわ」
「だから何度も言っているじゃないか! ルイズ!」
ルイズは静かに首を横に振り、告げた。自分の才能だと思っているあの力を。
「いいえ。あれは才能でも何でもないわ。本当は、あれもただの魔法の失敗なのよ。
……あたしはあの失敗を全く活かすことはできなかった。でも、スパーダがあの失敗を活かせるように導いてくれたの。だから、あたしの才能ではないわ」
スパーダがいてくれなかったら、きっとあの失敗を活かせることなくこれからもずっと欝屈した道を進んでいたことだろう。
思えばスパーダは、決して自分を信用などしていない訳ではないことに気が付いた。そうでなければあそこまで自分を気にかけてくれはしなかったはずだ。
ルイズの口からスパーダの名前が出てくると、ワルドの眉間に皺が寄せられた。忌々しそうな表情で、彼は叫ぶ。
「あんなメイジでもない、どこの馬の骨かも分からない男のことなど気にするな!
奴は君の才能を失敗と思い込んでそんなことをしていただけだ! メイジでも、貴族でもないあんな男など気にする必要はないんだ!」

……あんな、だと?
あまりに酷い、スパーダを侮辱する言葉だった。
確かにスパーダはメイジでない、異国の貴族だ。
このハルケギニアにおいて魔法を使えない貴族など無価値な存在だと軽蔑されることだろう。
だが、魔法が使えないだけではないか? それだけで貴族として価値がないと言うのか?

彼は立派な貴族だ。他の貴族達が認めなくても、自分は彼を認める。
敵に後ろを見せずに立ち向かい、少しつっけんどんではあるが平民にも貴族にも関係なく分け隔てずに接し、
他の貴族達の蛮行さえも正したことがあるというのだ。
彼自身は極めて謙虚であり、そして公明正大である。
あれだけ貴族らしい貴族が、どこにいるのか。

だからこそ、ルイズの心には怒りが満ち溢れていた。パートナーを、そして自分自身を侮辱したこの男に。
「……そう。あなたが必要で愛しているのは、何の根拠もなくあたしにあるって思い込んでる、魔法の才能なのね。
そんな理由で結婚しようだなんて……。それに使い魔であり、大切なパートナーであるスパーダをこうも侮辱するなんて……主であるあたしを侮辱するのと同じよ!!」
精一杯の力で自分の肩を掴むワルドの手を振り払い、怒号するルイズ。
「誰があんたみたいな奴と結婚なんてするもんですか!」
「なんたる無礼!なんたる侮辱! 子爵! 今すぐラ・ヴァリエール嬢から手を引け!
さもなくば我が魔法の刃が君を切り裂くぞ!」
ウェールズが腰に当てていた手で素早く杖を抜き、ワルドへ向けた。 他の衛士も同じく、一斉に。
客席に座る三人の生徒達も、同じように杖を構えていた。

だが、こんな状況の中、ワルドは突然落ち着きだすと優しい……優しすぎて作り物に過ぎない、悪魔のような冷たい笑みを浮かべて言う。
「こうまで僕が言っても駄目なのかい? 僕のルイズ」
「Nonsense. This's scum!!(ふざけないで。このひとでなし!!)」
不思議と、その口からはたまにスパーダが呟くことがある、異国のものと思われる言葉が出てきた。
何故、自分がこれを知っているのかは分からない。だが、あまりにも自然と出てきたことにルイズは驚いていた。

それを聞いて、溜め息を吐きながらワルドは天を仰いだ。
「やれやれ……この旅で君の気持ちを掴むために努力はしたんだが……仕方がない。
こうなったら……目的の一つを果たすとしようか」
「目的?」
困惑したルイズの呟きにワルドは答えなかった。
代わりに、ワルドは二つ名の「閃光」に相応しい速度と手際でレイピアの杖を抜き詠唱を完成させ、青白く光る魔力の刃をウェールズに繰り出して来た。

狙いは、心臓。

あまりの速さに、トライアングルの風メイジであるウェールズでも動きに対応できない。
だが、突風と共にワルドのレイピアの側面に真空の塊による一撃が叩き込まれたおかげで狙いは外れ、左肩を貫くだけに留めていた。
「ぐあっ!」
「何!」
ウェールズが呻き、ワルドが当惑の声を上げる。
「きゃっ!」
次の瞬間、フライによって素晴らしい速さで飛んできたタバサがルイズとウェールズを回収し、反転するとキュルケ達の元へと戻っていく。

「殿下ぁ!!」
「貴様ぁ!」
狙いが外れたとはいえウェールズが傷つけられたことに衛士が激昂し、ワルドに向かって魔法を放とうとする。
だが、ワルドは振り向きざまに杖を振ると、杖の先から鋭い雷鳴と共に嵐のような凄まじい稲妻を放ち、十数人の衛士達を一瞬にして全滅させる。
そこにキュルケがファイヤーボールの魔法を叩き込むが、風の障壁によってかき消されてしまった。

「き、貴様、レコン・キスタ……」
ルイズに支えられ、血が溢れ出る左肩を押えながらウェールズは呻いた。
「ワルド……!! あなた、アルビオンの貴族派だったのね!」
キュルケ、ギーシュ、タバサが二人を庇うように前へ立つ中、ワルドは平然とした態度で答える。
「いかにも。しかし、アルビオンの、というのは正確ではないな。我々レコン・キスタは国境を越えて繋がった貴族の連盟さ。我々に国境はない」
そして、ワルドはちっと舌打ちをしながら続ける。
「この旅における、僕の目的は三つあった。一つはルイズ、君を手に入れること。……しかし、これは果たせないようだね。
二つ目の目的は……ルイズのポケットに入っている、トリステインとゲルマニアの同盟を瓦解させるという手紙の入手。
そして三つ目、そこにいるウェールズ皇太子の命だ。それを邪魔しおって……」
忌々しそうにワルドはタバサを睨む。
それにしてもタバサの行動力の速さにはルイズはおろかキュルケ達も驚いた。
始めに放ったエア・ハンマーも、まるでワルドの行動を初めから予測していたかのような動きであった。

「何で! 何があなたをここまで変えてしまったの!?」
「あいにく、それに答えるほど暇ではない。全てはハルケギニア統一のため。
そして、ハルケギニアは我々の手で1つになり――始祖ブリミルの光臨せし聖地を取り戻す。そのために、お前達にはここで消えてもらわねばならん」
冷酷な笑みを浮かべ、ワルドはレイピアを構える。それに反応し、ルイズ達の前に立つ三人が身構えた。
「……まったくルイズ、君にも困ったものだよ。あんなどこの馬の骨とも知れん男を使い魔にするとは……。
奴を痛めつけて君に僕の力を見せつけようと思ったら下手に抵抗したし、そこの三人をラ・ロシェールへ置いていこうとしたのも邪魔してくれたし、おまけに君にも余計な入れ知恵をしてくれたおかげで全てが台無しだ。もっとも、その奴がここにいてくれなくて良かったよ」
そのワルドの態度にルイズは戦慄した。もしかして、スパーダがいないのは……。
「まさか……スパーダに何をしたの!?」
「さてね。先ほども言ったが、奴は野暮用とかでどこかへ行ってしまった。
朝までには戻ると言っていたが、まだ来ないようでは彼の助けは期待できんな」
目を細めてワルドは鼻を鳴らす。
「あんなメイジでもない、どこの馬の骨とも知れん平民上がりの没落貴族ごときでは君のパートナーは勤まらなかったようだな!」
再びスパーダを侮辱する言葉を吐き出すワルド。
ルイズはその言葉に対してさらに怒りを感じ、言い返そうとした。

「黙れ! 裏切り者め!!」
唐突に、ルイズのものではない怒りに満ちた叫びが礼拝堂に響き渡る。
その怒号を発したのは、何とギーシュであった。
普段のキザったらしい彼とは思えぬ堂々とした男らしい叫びにルイズはおろかキュルケでさえも呆然としていた。
表情や目付きまでも怒りに満ちて変化していたギーシュは床に落した造花の花びらを剣へと変え、それを手にするとワルドに突き付ける。
「スパーダは立派な貴族だ! 彼は僕らが目指すべき、真の貴族の姿だ! それを侮辱することは、彼の弟子であるこのギーシュ・ド・グラモンが許さん!!」
ギーシュにとって、スパーダは特別な存在だった。
初めはワルドが言ったようにどこの馬の骨とも知れない没落貴族などと軽蔑していた。
だが彼と剣を交え、その強さと人柄に触れていくことで、ハルケギニアの貴族とは全く違う異国の貴族としての風格に惹かれていった。
魔法こそ使えず冷徹で厳しい所もあるが、彼はまさしく本物の貴族なのである。
ギーシュにとってスパーダは尊敬すべき師であり、もう一人の父親とも言うべき掛けがえのない存在だったのだ。
それを侮辱されたことが、許せなかった。

ギーシュの怒りの言葉にワルドは一瞬、呆気に取られていたがすぐに嘲笑していた。
「おやおや、軍家たるグラモンの人間があのような没落貴族に惚れこむとは滑稽だな!」
「黙れえぇっ!」
ギーシュはワルド目掛けて突進し、後ろに引いていた自らの剣を勢いよく突き出した。
スパーダが使っていた技を見様見真似で放ったものであり、突進力や動きの鋭さなどは遠く及ばないが一応形にはなっていた。
ワルドはその突きをあっさりとレイピアでいなしつつギーシュの側面に回りこむ。振り上げたレイピアには、ブレイドによる魔力の刃が宿っていた。
ギーシュは即座に体を反転させ、振り下ろされたレイピアを受け止めて押し返す。
後ろへ跳んだワルドは祭壇の上へ身を翻しながら着地した。
そこへキュルケが杖を向け、魔法を放とうとしたがタバサが杖でそれを制してくる。
「二人を守って」
ちらりとタバサはルイズと傷ついているウェールズを振り向いた。
今ここで全員が戦えば、ワルドは隙を突いて二人を殺しにかかってくるだろう。
「もう少しすれば、彼が来る。それまで持ち堪える」
「タバサ。それ、どういうこと?」
ルイズが問いかけるが、タバサはそれ以上答えることなく両手で剣を手にして身構えているギーシュの隣まで歩み寄っていった。
「ん? 何だい?」
タバサがマントの裏から取り出した赤く光る星形の石を自分にかざしてきたため、ギーシュは戸惑っていた。
石が砕け散ると、ギーシュの全身は一瞬、赤い光で包まれてからすぐに収まる。
タバサはさらに星形の黄金に光る石を取り出して自分の胸にかざすと、今度は彼女の全身を黄金の光が包んでいた。
「何をしているか知らんが、こちらから行くぞ!」
ワルドが祭壇の上からウインドブレイクの魔法を放ってきたが、タバサも自らの魔力の全力を出した同じ技で相殺していた。
「うおおおっ!」
そこへギーシュが飛び掛り、大上段に振り上げた剣を叩き付けようとする。
ワルドは素早く杖をギーシュに向け、エア・ハンマーを放つ。
「何!」
直撃したはずのエア・ハンマーは彼を吹き飛ばすことはなく全身が一瞬、赤く閃光を発しただけで彼自身はまるで怯みもしなかった。
「ちっ」
ギーシュの剣をワルドはフライで飛翔することで回避した。
そこへタバサが次々と絶え間なくウインディ・アイシクルを放ってきたため、ワルドは礼拝堂内をまさしく閃光のような速さで飛び回ってかわし続けていた。
二人のメイジがスクウェアのメイジと激闘を繰り広げるのを、ルイズとウェールズ、キュルケは息を呑みながら見届けていた。



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