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デュープリズムゼロ-10

第十話『森の廃屋の死闘』

ルイズ達は現在ロングビルが手綱を握る馬車に揺られながら紅蓮の宝珠奪還の為に学園から離れた森を目指していた。
「ところでさー、紅蓮の宝珠って何な訳?」
荷台でシエスタに用意させた弁当をムシャムシャと頬張りながらミントは誰にと言う訳でも無く問いかけた。
「余り詳しくは分かりませんが私が学園長から聞いた話ですと宝石の様な物らしいですよミス・ミント。」
「まぁ、宝石ですの?詳しくお聞きしたいですわミス。」
ロングビルが後ろへと視線を送りそう答えるとキュルケが露骨に瞳を輝かせた。

「えぇ、らしいですわ。やはり私も土メイジの女性ですから宝石には興味がありまして学院長に色々と聞いてみたのです。
紅蓮の宝珠は強力な炎の魔力が込められているらしいのです。
でも誰がどの様に作ったかもその使用方法も一切分からない不思議な宝石らしいですわ。」

ロングビルはそう言って残念そうに溜息を吐く…
「用途も製法も不明なんて変わった宝石ねぇ…」
ルイズが首を捻る。
「はん、女ってのはどうしていつの時代も宝石なんて物に夢中になるのかね?
俺様にゃさっぱりわからねぇぜ。相棒もその口かい?」
ミントの背に背負われたデルフリンガーが鞘から刀身を覗かせて鍔を鳴らす。
「って…どうした相棒?」

ミントはデルフの声が聞こえていないかの様に何やら考え事をしているのか弁当を食べる手を止め思考に耽っていた。
ミントにはロングビルが紅蓮の宝珠の特徴として上げた条件に見事に当てはまるお宝を一つ知っているのだ。


「もしかして紅蓮の宝珠って………」


そのミントの小さな呟きは道を行く馬車の音に掻き消されたがその呟きを確かに聞き逃さなかった人物は直ぐ側に居た。


そうして馬車に揺られて数時間、ルイズ達はようやく土くれのフーケの隠れ家と目される森の中の廃屋に到着していた。


「作戦を立てる。」
草むらの影でタバサが杖を使って簡単な見取り図を地面に描く。
「先ずは偵察、これは私が…中にフーケが居れば全員で奇襲を掛けて一気に仕留める。」
タバサの提案に全員が頷いて肯定する。
「居ない場合は?」
「その場合は廃屋を調査してフーケの手がかりを探す。」
「オッケー、それで行きましょう。」
キュルケの問いに簡潔に答え、タバサとミントは立ち上がり廃屋を睨んだ。



素早く無駄の無い動きでタバサが廃屋の壁に背を預け、窓から中をのぞき込む。

「…………」
声を出さず事前に決めていたハンドサインを茂みに身を隠しているメンバーへ送る。


「居ないみたいね…」
「よし、あたしとキュルケで中を調べるからルイズとロングビルさん、
周囲の警戒をしといて頂戴。」
「あっ…ちょっ…」
「分かりました、お願いします。」
ミントは言うやいなやキュルケと連れだって廃屋へと掛けていく。
「ではミス・ヴァリエール、私は向こう側から警戒をしますので何かありましたら知らせて下さい。」
そう言い残しロングビルも移動を始めた。
(全くあいつったら…)
有無を言わさず置いてきぼりを食らったルイズは渋い表情を浮かべたがロングビルもミントやキュルケの判断に納得している様なので渋々周囲の警戒に移る。



___廃屋内部

三人はフーケの隠れ家と目される廃屋の中を注意深く調べて回る。
「テーブルと椅子にチェスト…変わった物も怪しい物も何も無いわね。」
「埃が大分積もってる…」
タバサはテーブルの上を指先でなぞる。成る程確かにタバサの指先は汚れていた。
「これは情報に踊らされたかもね…っと。」
ミントの視線は不意に小屋の隅に置かれた一抱えはある小箱に惹かれた。
よく見ればその小箱にだけは埃が被っていない。
「これは…」
恐れ無くミントが開いた箱の中に入っていたのは手の平大の大きさのオレンジ色の宝玉。
それはまさに一目見ただけで今自分達が探している紅蓮の宝玉だと分かった。

「紅蓮の宝珠。」
「嘘!?見つけたの?」
タバサとキュルケは慌ててミントの元に駆け寄るとその箱の中身を確認する様にのぞき込む。
そんな二人とは対照的にミントの視線は紅蓮の宝珠に釘付けになったまま思考はただ一つの疑問に埋め尽くされている。
(まさかとは思ってたけど…何でこれがこんな所にあるのよ…?)

「それにしても何でフーケはこんな所に折角盗んだお宝置いていったのかしら?」
キュルケは首を傾げる。
「確かに妙…」
同じくタバサもそれには疑問を抱いた。余りにこの状況は腑に落ちない。

「そのフーケってのがこいつを誰か横流ししてくれる奴に明け渡す為の指定の場所がここなんじゃ無いの?」
宝珠を箱に戻し小脇に抱えると、ミントは自分の考えを口に出す。
そのミントの言葉に納得すると同時にキュルケとタバサの表情に一気に緊張が走った。
仮にミントの仮説が正解ならばフーケは品物の取引の始終を見守る筈、だとするならば自分達の存在も行動も見られている可能性は十二分にある。
そして紅蓮の宝珠がこの無人の小屋で発見されている以上その推理は無いとは言いきれる者では無い。


『キャアァァァーー!!』
瞬間、三人の耳にルイズの悲鳴が聞こえてきた。
「伏せてっ!!」
ミントが叫び、三人が咄嗟に身を屈めると次の瞬間廃屋の屋根は昨夜見た巨大な土くれのゴーレムの腕によって木っ端みじんに吹き飛ばされた。
「逃げるわよ!!」
廃屋から飛び出す三人に待ち構えていた様にゴーレムの腕が振り下ろされる。
その一撃は紅蓮の宝珠を抱えたミントとキュルケ逹を分断させた。

「ゴーレムはあたしが引きつけるわ。あんた達はルイズ達と合流して逃げながらフーケを探しなさい!!」
言ってミントはデルフリンガーを抜くと素早くキュルケ達とは逆方向へと走った。


「へっ、出番みてぇだな相棒。」
「片手じゃあんたしか使えないのよ。」
左手に熱が走り、力が漲る…これならばゴーレムの攻撃から逃れる事は十分可能だ。

「無茶よっ!?」
キュルケがそう言って杖を振り上げたがタバサがそれを制してキュルケの腕を引き、指笛を空に向かって吹く。
「大丈夫…それより乗って。」
「しょうが無い、それにミントなら確かにいざとなったらあのまま紅蓮の宝珠持って逃げそうよね。」
そう言ってキュルケはタバサが指笛で呼んだシルフィードの背中に飛び乗ると注意深く森の中に居るであろうフーケを探す事にした。


先程悲鳴をあげたルイズはゴーレムに分断されて逃げたミントを目で追っていた。
ゴーレムは一瞬迷った様だがキュルケとタバサを放置し宝珠を持つミントを狙うつもりだ。
そのミントは片手で小箱を抱えて背中に背負っていたデルフリンガーを抜いて、ゴーレムの攻撃を巧みな身のこなしと剣術で何とかしのいでいる。
「ミント!!」
ゴーレムの叩き付けによって舞い上がる土埃にミントを見失いルイズは思わず悲痛な声を上げる。
「ルイズ、乗って!!」
そこに主とキュルケを乗せたシルフィードが飛来し、ルイズをキュルケのレビテーションを利用してその背に回収した。
「キュルケ、タバサ、ミントが危ないの…お願い、助けて!!」
「落ち着きなさいルイズ、ミントは私達に逃げながらフーケを探してといったわ。」
「ミントを見捨てるの?あんた人の使い魔だと思って!!最近少しは見直してきたと思ったのに!!」
「ちょっと、落ち着きなさいよルイズ!」
ルイズがキュルケに感情のまま掴み掛かる。そしてそれを制したのは意外にもタバサだった。
「…彼女はゴーレムを引きつけると言った。あなたは彼女を信じれない?」
抑制無く言ったタバサの視線は森を凄まじい集中力で捕らえ続けている。
「タバサの言うとおりよルイズ、私達の役目はミントが時間を稼いでる内にフーケを見つける事。」
「ミントが戦っているのに……私は…」
悔しさにギリと歯を食いしばりルイズは鋭い視線を眼下の森に落とす。こうなったら絶対にフーケは私が見つけてみせると決意して…


___森の中

フーケは正直焦っていた。

現在相手をしている生徒とその使い魔が予想を遙かに上回る厄介さなのだ。
慎重ながら大胆なタバサ、恐れを知らない勇猛果敢なキュルケ、爆発魔法に警戒が必要なルイズ、明らかにこういった状況に馴れた様子のミント…

そもそも当初の予定では捜索隊をゴーレムで蹴散らし、あくまでもフーケの拿捕に失敗したという事にして自分への疑いを完全に反らせるつもりだった。
欲を言えば道中で誰ぞ古株の教師を引っ張り出して紅蓮の宝珠の使用方法等を聞き出したかったと言うのもある。
彼女達の対応の早さに取り敢えず先に紅蓮の宝珠を確保しようとゴーレムをミントに差し向けたがこれが中々にしぶとい、その間にシルフィードと三人が自分を探している。
時間を掛けては非常に不味い。

(ちっ…搦め手で行かないと駄目みたいだね!!)

フーケは伊達眼鏡を外し、猛禽類の様に鋭い目でゴーレムを介しミントを睨んだ。



___廃屋周辺

しばらく時間を稼いでいたミントは突然ゴーレムの動きが鋭くなった事に気が付いた。
そしてゴーレムは思いも寄らぬ行動でミントの足を止めに来た。

振り上げられたゴーレムの左腕がミントの頭上に掲げられる。
これまではそこから叩き付けや掴み掛かりへと移行していたのだが今回はそういった行動は取らずあくまでミントの頭上を維持しまるで日よけの様に振る舞おうとしている。

(何する気?)
ミントがそう思った瞬間、ゴーレムの左腕が突然一気に崩壊し大量の土砂となってミントに降りかかる。

「やばいっ!!」

そう思った瞬間ミントの身体に激しい衝撃が襲いかかってきたのだった。


「ミントッ!!」
ルイズはその光景を丁度シルフィードの上から見て、衝動に駆られるままシルフィードの背中からミントを襲った土砂に向かって飛び降りた。
「ちょっとルイズ!!」
「………っ」
キュルケが手を伸ばすもその手は空を切る、だがタバサのレビテーションが何とか間に合いルイズは土砂の山の手前に無事降り立った。



「ミントっ!!返事して、ミント!!この、よくも!!」
ルイズは叫びながら土砂の山に駆け寄るとフライの呪文をゴーレムに向けて放った。
だが爆発はゴーレムの肩口に命中するもこんな時に限って威力が全然足りない。


ゴーレムはそんなルイズを確認すると残った右腕をルイズを捕まえる為に伸ばした…


しかし、その腕がルイズを捕らえる直前、ミントを覆っていた土砂の山が轟音と共に大きな爆発で飛散し、同時に飛び出してきたミントに寄ってルイズはその射程外に担ぎ出されてしまった。
意表を突かれフーケが集中を乱したのかゴーレムの腕が盛大に空を切りそのまま体勢を崩して膝を折る…



いつの間にか泥まみれのミントは魔法で土砂を吹き飛ばしたのか左手にデュアルハーロウを纏めて持ち、右手にデルフリンガーを持っている。
ルイズを放しミントは顔を伏せたままワナワナと肩を震わせる…ついでに言えばその背中からはドス黒いオーラが放出されているようにも見える。



「こいつぁすげぇ心の震えだぜ相棒!!そうだもっとだ、ガンダールブは心の震えで強くなる、お前の嬢ちゃんを助けたいって想いが強ければ…
「この泥人形!!よくもこのミント様を泥まみれにしてくれたわねっ!!!!完全に頭に来たわ!!先ずはあんたからボコボコの地獄巡りにしてあげるわ!!!」」
ミントの心の震えの大きさに歓喜の声を上げていたデルフリンガーの声を遮って、ミントが怒りの雄叫びを上げる。

そこにはルイズを助ける等という想いが微塵も無い程に自身を泥まみれにしたゴーレムとフーケへの純粋な怒りしか無い。

「ちょっとミント、あんた大丈夫なの??!!」
「大丈夫よ、ちょっとヘマしたけど…それよりルイズ、悪いけどあれ持って下がってて頂戴。」
ミントはデルフリンガーを地面に突き立ててデュアルハーロウを両手に持ち直すと土砂の跡を指さした。
「ちょっ…俺の出番終わり!?」
そこには土砂から紅蓮の宝珠の箱が僅かに顔を覗かせていた。
「嫌よ!私は貴族よ、貴族は敵を前にして背を向けたりしない、私も戦うわ。」
そう言って杖をゴーレムに向けて構えたルイズ。しかしその射線上にミントの背が割り込んだ
「駄目よ、こっからはあたしも本気出すから巻き込みかねないからね。ご主人様語るなら自分の使い魔の実力位、ふんぞり返って空から見てなさい。」



結局少々渋った物のルイズは素直に紅蓮の宝珠の箱を回収してタバサ達と合流した…
ゴーレムが再び起き上がって来た事に咥え、ミントが自分から自分の使い魔と言っていた…
本来王女である筈のミントにそこまで言わせてしまった以上最早ルイズも自分の役割を果たすしか無い。






「さて、行くわよ土くれ。」


ミントはデュアルハーロウを構え呟くと、破壊の魔法『黒』の光の螺旋を廻し始めた………

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