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デュープリズムゼロ-09

第九話『土くれのフーケ参上』

ミントを召喚してからルイズの周りには少しずつではあるが確実に変化が起きてきていた。
今までルイズをゼロと罵っていたクラスメート達はギーシュとミントの決闘を見た事によってルイズの使い魔の力をその目に畏怖の心と共に焼き付けた。
メイジの実力を計るなら使い魔を見ろと言われるがミントの力を見ればその主であるルイ
ズは只者では無い事になる。
その為公然とルイズを蔑む様な真似をする様な者は明らかに減っていた。
またそのミントが意外にもキュルケやタバサを始め、他の生徒や使用人達にも交友関係を地味に広げているのだ。
ただしミントに喧嘩を吹っかけたりその逆鱗に触れた事でボコボコにされた生徒も何人かはいるが…
またルイズの方でもミントを介してキュルケとタバサと過ごす時間が増えた為今までの様にくだらない揉め事を起こす機会も減っていた。

そして…


「デル・ウインデ!!」
呪文の詠唱と共に起きる爆発…
授業が終わり、日が暮れてからここ最近は毎日中央塔の真下の広場で断続的な爆発が続いていた。
「相変わらず駄目駄目ね、ルイズ。」
「煩いわね、自分でも分かってるわよ。」
爆発の原因はやはりルイズでありそれに駄目出しをしているのはキュルケだ。
しかしルイズはもうキュルケに爆発を笑われても気になどしない。
ミントが以前言った様にこれはあくまでも爆発魔法の成功なのだ、かと言って系統魔法の使用を諦めた訳でも無い。
とにかく周りを見返すにはこの爆発を完璧にコントロールするか普通に魔法を成功させるしか無い、そう結論づけて以来ルイズはめげる事無く毎日こうして魔法の特訓に明け暮れていた。
「ファイアーボール!!」

そしてまた爆発。

その間ミントは何をしているかと言えばそれは意外にもタバサと読書である。
しかしミントはハルケギニアの文字が読めなかったのだがここで意外な解決策があった。


「で、ブルミルが残したのが四つの国にそれぞれ伝わる指輪と秘宝なんだとよ…」

「ふーん…あたしの経験と勘じゃそれって多分何かの封印とかの解除の鍵ね。それにしてもあんたを買って正解だったわ。」

そう、デルフリンガーである。

デルフに本を朗読させてミントは本の内容を頭に入れる。
「俺は今お前に買われて逆に失敗だったって思ってるぜ相棒。ひたすらブリミルの伝説や財宝に関する本を読まされ続けるなんて生まれて6000年想像だにしてなかったぜ。」

「はいはいご苦労さん。」
愚痴るデルフを鞘に収めてミントは本を閉じる。正直こういう勉強のような事は性に合わないが今は必要な事だと割り切る事にする。

「おーいルイズー、そろそろ上がるわよ~。」
「そうね…今日はここまでかしら。」
日も沈み、きりも良い頃だ。
幾らタバサが周囲にサイレントの魔法を掛けていてもそろそろ爆発の光と振動に文句を言う生徒も現れる頃だ、ミントの切り上げを促す声にルイズも額の汗を拭って答える。


そんな四人の様子を草むらの影から覗いていた人物が居た。
(さて、やるなら今夜かね?)
その人物の名はミス・ロングビル、又の名を怪盗土くれのフーケと言う。

ここ数日のルイズの魔法特訓の事は最早学園中に知れ渡っている、
つまり例えフーケが巨大なゴーレムを使って中央塔の宝物庫の壁をぶち破ろうとした所で目視で無い限りはルイズの訓練の一環と周囲は思うだろう。
こんな強引な手は避けたかったが魔法学園の宝物庫は掛けられたロックの魔法と固定化の魔法が強固過ぎてフーケの練金ではどうにもならない、
コルベールから引き出して得た情報では突破はやはりゴーレムによる壁の破壊しか無い。
フーケ個人の都合として早く仕事を終えて待たせている妹のような少女の元に戻らなければならない以上決行は早い方が良い。

様々な思いと思考が巡る中ロングビルことフーケが杖を抜き放ち地面に向かって詠唱を始めると地面が盛り上がり、あっという間に広場に巨大なゴーレムが現れた。




「何あれ…」
一番最初にそれに気が付いたのはタバサだった。
だがそれを口に出したのはミント、次いでミントの一言にルイズとキュルケも月を隠す様にそそり立つゴーレムを見上げる。
「何ってゴーレムよね…」
呆然としながらルイズが呟いた瞬間、巨大なゴーレムはその手を大きく振り上げてその拳を中央塔の宝物庫の壁に叩き付けた。
振動だけの音の無い轟音が数度響く、既にタバサはサイレントを解除している以上それは明らかにゴーレムを嗾けている者の仕業だ。

「あれってもしかしなくても最近街で噂の土くれのフーケって賊じゃ無い?」
キュルケの指さした先には成る程、暗い色のローブで全身を隠した人物がゴーレムの肩に立っている。
「取り敢えず逃げるわよ!!あんなのに踏みつぶされたりしたらたまらないわ!」
ミントの提案にタバサとキュルケが頷くとゴーレムの足下から全力で離れる様に走る。

だがルイズだけは違った。

「学園に賊が侵入してるのよ。逃げるなんてあり得ないわ!!食らいなさいファイアーボール!!」
一心不乱に壁に拳を叩き付けるゴーレムに向かってルイズは勇ましく駆け寄ると呪文を唱えて杖を振る。
その爆発はさっきまで壁を叩いていたゴーレムの右拳を爆散させた。

「やったわ!!」


その光景を間近から見ていたフーケは思わず舌を巻いた。
話程度にはルイズの爆発の事は聞いた事があったが予想していたよりも遙かにその威力は強力だ。
「鬱陶しいね、小娘が…」
あれをそう何度も叩き込まれたら溜まった者では無い、万が一自分に命中したらそれこそ命に関わる。
フーケは即座にゴーレムの攻撃目標をルイズへと切り替えた。

こんどは無事なゴーレムの左手の平が振り上げられるとルイズに向けて振り下ろされる。
フーケ自身これを当てるつもりは無い、あくまでルイズの戦意を折る為の威嚇の為の目の前への叩き付け。


その叩き付けとほぼ同じタイミングで二度目のルイズの魔法が爆発を起こした。
「きゃっぅ………」
ルイズ自身は叩き付けられた掌の衝撃の余波に吹き飛ばされ気を失って土煙に撒かれながら地面を転がる。
『ルイズッ!!!』
ミント達は悲鳴にも似た叫びを上げると慌ててルイズの元へと駆け寄った。
「あいつっ!!」

そしてゴーレム自身には全くダメージは無い
それもその筈、ルイズの魔法の爆発は今度はゴーレムに命中する事無く宝物庫の壁を爆破していたのだ。
頑強な宝物庫に入ったひびを見てフーケは思わず笑顔を浮かべる。
「アハハ何て偶然だい、感謝するよお嬢ちゃん。」

フーケはそのひびをゴーレムの拳で打ち抜くと素早く宝物庫に入り込み目的の品に手を伸ばす。
それは手の平だいの大きさの燃える様な色の不思議な宝玉。

「『紅蓮の宝珠』確かに頂戴致しましたっと。」

言うが早いか宝物庫の壁面にそう練金の呪文でメッセージを刻みつけてフーケは掌に収まった緋色の宝玉を見つめてほくそ笑む。
だがのんびりともしていられない、思考を切り替えてフーケは再びゴーレムに飛び乗ると
ミント達を見下ろした。
するとミント達は気を失っているルイズを回収し既にゴーレムからは離れている。

(あっちもあの様子じゃ無茶な追跡をする気も無さそうだね。)
唯一タバサが使い魔と共につかず離れず自分を追跡してきているがそれは予想の範囲内、撒く自信はある。
学園の外にゴーレムの歩を進ませながらフーケは安堵の溜息を吐く。




「意外ねミント…あなたの事だから戦おうとすると思ったわ。」
フーケのゴーレムの姿が消えてキュルケはミントにどこか皮肉混じりに言う。
「こいつが居たからね……ったく、引く時は引くってのは戦いの基本だってのに。」
言いながらミントは気を失ったままのルイズの脇腹を軽く足で蹴飛ばす。

「同感ね…この子ったらプライドばっかり高くって困った者よ。」
仮にも主人であるルイズへのミントの仕打ちに呆れた様子でキュルケはルイズをレビテーションで浮かせてやると寮塔まで運んでやる事にした。
既にフーケの追跡をしていたタバサもフーケを見失った為、魔法学園に向かって帰還している。


そうしてフーケ襲撃事件の夜は明けていった。



翌朝。魔法学院では、朝から蜂の巣をつついたような騒ぎが続いていた。
巨大なゴーレムで壁を破壊するという派手な方法で『紅蓮の宝珠』が盗まれたのだ、それも当然である。
既に破壊された宝物庫には学院中の教師が集まりざわめいている。
そして当然と言うべきか昨晩現場に居合わせたルイズ達も事情の聴取の為この場に呼び出されている。

しかしルイズ達の目の前で教師達は事情の聴取どころか何と責任の押し付け合いを始めていた。

「このような事が我が魔法学園で起きるなど…あぁ困った…」
「これだから平民の衛士等役にたたんのだ!当直の教師は誰かね!?何をしていたのだ!!」
一際声を荒げているのは教師疾風のギトー。そしてそのギトーの言葉に顔色を青くしたのはシュヴルーズだった。
「そ…その、当直は私でした。」
「ならばあなたは何をしていたというのだね!?いや、最早何をしていたか等関係は無いですな。」
「うむミセス、残念ながらこれはあなたの責任だ…」
「そ、そんな…」


(眠いわ…ったく人の事叩き起こしといて何なのよこいつ等は…)
ミントが不機嫌そうに重い瞼で教師達を見つめているとここでようやくオールド・オスマンがこの場に現れた…

「待たせて済まなかった。しかし先程から聞いて居れば情けない…教師の怠慢については我々全員が責任を感じ折り入って恥じるべきじゃろう!が、しかし、今はそれを議論する場では無いっ!!」
オスマンのその強い口調と気迫に教師全員が押し黙る。
「さて、目撃者の生徒は…フム、君達三名か、見たままで構わん説明を頼めるかの?」
オスマンは一転して柔らかくルイズ達に問いかける。
因みにミントはあくまでこの場では使い魔でしか無い為証人としては数には入れられていない。
そして、キュルケとタバサは面倒だと言っていたため、その場はルイズが代表として説明をする事になった。


~ルイズ説明中~



「……………という次第でフーケと思われる人物は取り逃がしてしまいました。申し訳ありません。」
ルイズは説明を終えて深々とオスマンへ頭を下げる。
「ミス・ヴァリエール顔を上げなさい。誰も君らを責めはせん。何より君等が無事で本当に良かった。」
オスマンは優しく諭す様にルイズに言って今度はキョロキョロと周囲を見回した。
「所でミス・ロングビルの姿が見えんの?誰か知らぬか?」
その問いに教師全員が首を捻っていると丁度ゴーレムによって開けられた大穴から何者かがフライの呪文を使用して宝物庫へ入ってきた。
それは丁度さっきまで話題に上がっていたロングビルだ。

「遅れて申し訳ありません。朝から急いで調査をしておりましたので。」
「調査とな?」
「はい、明朝にこの異常事態に気づいた為急ぎ近隣にて聞き込みを行って参りました。」
ロングビル曰く、学院近在の農民から聞き込みを行い、近くの森の中にある廃屋へと入っていったローブ姿の怪しい人間を見た、 という情報を得たらしい。
そして、そこがフーケの隠れ家ではないかという推測をオスマンらに伝えていた。

「ローブで正体を隠した人物?フーケです!間違いありません!」
と、話を聞いていたルイズが叫ぶ。
「成る程の…してそこは近いのかね?」
「はい。徒歩で半日、馬なら四時間といった所です」
努めて冷静にロングビルが報告を終えるとオスマンの後ろへと下がるとオスマンは教師達に改めて向き直り杖を高く掲げた。

「では、これより捜索隊を編成する。我こそはと思うものは杖を掲げよ」
オスマンの言葉に、教師達は困ったように互いに顔を見合わせるだけで誰も杖を掲げない。
「ん? どうした? フーケを捕えて名を上げようと思う者はおらんのか!?」
だが教師達は相変わらず互いに目配せをするばかりで一向に杖を掲げる気配すら無い。

そんな中一本の杖が堂々と高く掲げられる。
一瞬の内に宝物庫の中に居る全ての人物の注目はその杖を勇ましく掲げる人物に注がれた。

「私が行きます。必ずやフーケを捕らえ紅蓮の宝珠を取り戻します!!」

そう宣言したのはルイズだった。
「ミス・ヴァリエール、君は生徒ではありませんか!ここは教師に任せておきなさい。」
「誰も杖を掲げないでは無いですか!!」
「っ……」
シュヴルーズの制止にルイズは二の句も無く教師達を切り捨てる。
教師達も確かに我が身可愛さに誰も杖を掲げていない以上、何も言う事は出来ない。

そうしている間にもう一つ、杖が高々と掲げられた。
「ミス・ツェルプストーまで!!何を考えているのですか!?」

「私はヴァリエールにだけは負けるわけには参りませんので。」
胸を張りそう宣言し、キュルケは挑発的な微笑みをルイズに向けた。
すると再びもう一つ杖が掲げられた。
「ミス・タバサまで……」
タバサは無言のままその意思の堅さを示す様にまた一段と高く杖を掲げる。
「タバサ、これは私とルイズの問題じゃ無い…あなたまで危険な目に遭うのは…」
キュルケの言葉にタバサは首を横に振るとキュルケ、ルイズの順に指を指して小さな声ではっきりと言った。

「友達、二人が心配。」

タバサのその一言にルイズとキュルケは思わず感激に打ち震える。



「ねぇじいさん、ちょっと良い?」
と、ここで沈黙を守っていたミントが挙手しオールド・オスマンの注意を自分に向けた。
「ほっほっほ、何かね使い魔君。」
「ミントよ。ちょっと聞きたいんだけどさ土くれのフーケって有名な怪盗なんでしょう?捕まえたら賞金とか出たりする?」

ミントの問いに周囲から厳しい視線が注がれた。
唯のルイズの使い魔だと思っている人間にはこの尊大な態度は目に余るものがある。
ルイズはミントが本来王女である事を知っている以上正直あまりミントの態度や素行に対して口を出しづらい。
とりあえずオスマンはその様子に少々困り顔ながらも髭を摩って答えることにした。

「まぁ、出るじゃろうなぁ…恐らくは10000エキューはあるんじゃ無かろうか?」

オスマンの言葉にミントは上機嫌に笑うとその目に闘志を滾らせガッツポーズを見せた。。
「ぃっよし、ルイズあたしも行くわ!!報酬はあたしが7残り3があんた達!!」
「はぁっ!?明らかに計算おかしいわ!そもそも一応あんた使い魔でしょう?そこは私を助ける為に行くって言いなさいよ!」
「そうよ!!普通に考えて私たちとあんた達で5:5でしょうが。びっくりするわ…」
「これは酷い…」
平然とそんな無茶苦茶を言うミントにルイズとキュルケ、小さくタバサまでが流石に抗議の声を上げる。
「ちっ…………冗談よ。とにかくあたしも行くわ、あたしの目の前でお宝かっぱらって行くなんて真似されたんだもの…フーケって奴ボコボコにして地獄巡りさせてやるわ。」
(絶対本気で言ってた。)
三人は内心そう想いながら言っても仕方ないのでスルーする。


「ふむ…話は纏まったようじゃな。では諸君等に紅蓮の宝玉の奪還をお願いするとしよう。
うむ優秀なトライアングルのメイジが二人に………将来有望なヴァリエール家の息女、そしてドットメイジを容易く制したその使い魔殿。戦力的には申し分あるまい。
ミス・ロングビルは彼女達に同行してくれたまえ。」
「はい、もとよりそのつもりです。」
オスマンがそう言えば最早他の教師には口を挟む事も出来ない
コルベールもここはオスマンの判断を信じることにした、何せミントは伝説の使い魔の可能性がある、それをも加味すれば確かに戦力は十二分だ。



「では魔法学園は諸君等の健闘に期待する。」
「杖に掛けて。」
オスマンの言葉に三人が揃ってそう杖を掲げて唱和する、ミントは勝手が分からなかったので取り敢えず見よう見まねでデュアルハーロウを掲げて見る。

こうしてミント達はフーケの討伐へ向かう事となった。

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