教室はルイズお姉ちゃんの爆発魔法で大変な騒ぎになっていた。
他の生徒さんたちは別の授業に行ってしまい、わたし達は片付けを言い付けられてしまった。
わたしが魔法で先生を直したからか、魔法禁止ということはなかったので、マミお姉ちゃんに習ったリボンと治癒魔法で壊れた窓や瓦礫を集めていく。
ルイズお姉ちゃんは雑巾で治った窓を拭いたり、煤を掃いたり、おしゃべりしながら片付けていくと自然とても早く進んだ。
この左手のルーンっていうんだっけ、それは不思議だ。
魔法を使えばソウルジェムがドンドンと曇っていってバンバン使えないのに、ルーンがあるせいか全く曇らないし疲れもない。
習ったばかりの頃は全然上手に使えなかった、マミお姉ちゃんのリボンや結界も不思議とキョーコやお姉ちゃんのように使えてしまう。
わたしがすごくなったのか、それともこのルーンの影響なのかはわたしにはわからなかったけれど、とりあえずルイズお姉ちゃんが喜んでくれると私も嬉しい。
めちゃくちゃになった教室の片付けが終わったのはちょうど昼食の時間の前あたりだった。前のとおりピカピカというわけには私の力不足で出来なかったけど、ルイズお姉ちゃんは私の頭を撫でながら褒めてくれた。
食堂にたどり着くと、朝と同じように豪華な食事が並んでいた。
わたしはルイズお姉ちゃんと隣同士に座り、食事を始める。やっぱりすごくおいしい、マミお姉ちゃんの料理よりもすごい。
一体どんな人が作っているんだろうな、と思った。
「でも本当、ゆまが働いてくれて助かったわ」
「使い魔だからね」
「いい使い魔を召喚したものだわ」
「あらあら、現金ね罰掃除させられてたのに」
キュルケお姉ちゃんに呆れられてしまっても、二人は笑顔だった。
食事はおいしいし、給仕の人の仕事は手早くて、なくなったお皿に食事が並べられるし、飲み物も用意されていく。
「お姉ちゃん、給仕の人って平民の人なの?」
「そうね」
「わたしは平民だけどそういう事しなくてもいいのかな?」
と聞くと、ルイズお姉ちゃんは考えるような仕草をする。
するとなにか思い当たったのか。
「いけない、次の授業の予習をしなくちゃいけないわ」
「それは大変だ!」
「ええーっと、そこの黒髪の給仕! ちょっとこっちへ」
そう言われて、黒い髪の短髪で鼻のあたりにそばかすがある、ちょっと胸の大きい給仕の人がこちらにやってきた。
「お呼びでしょうか?」
「この子に仕事の手伝いをさせて欲しいの、できるかしら?」
「おまかせください、ミス・ヴァリエール」
「頼んだわね」
そうして私は給仕さんに預けられることになった。
名前はシエスタさんというらしい。
素朴な感じの印象で、カチューシャでまとめた髪が可愛らしい。
「こちらにいらしてください、ゆま様」
「ゆま、でいいよ、シエスタさん」
「そう、ですか? ではゆま、仕事の説明をしますね」
厨房にはたくさんの給仕さんとシェフの人たちが忙しそうに働いていた。
今では食事もほとんど終わりデザートのケーキを配っているみたいだ。
「ゆまは魔法を使えるようですが、メイジなんですか?」
「ううん、シエスタさんと一緒の平民だよ」
「そうなのですか、貴族の方には家柄や決まりごとなどお忙しいですからね、私にはよくわかりませんが、魔法を使えても平民という方がいても不思議でないかもしれませんね」
と、ここで一呼吸をおいて。
「ただ、貴族の方に逆らってはいけません、殺されても文句は言えないのです」
シエスタさんに頼まれた仕事をマミお姉ちゃんのリボンも上手に使いながら、無難にこなしてシエスタさんにほめられる。
そしてこのままメイドになってくれたらいいのにと冗談も言ってくれた。
大きな銀のお皿にデザートのケーキが乗っている、私は両の手をいっぱいに広げて、真ん中辺りにリボンで支えてバランスをとっている。
そしてそのトレイに乗ったケーキをシエスタさんがはさみでケーキを掴み配っていく、確かにお皿とかの回収はリボンでできるけどケーキを配るのは難しい。
と、ここで金髪の貴族の人の下に香水の小瓶が落ちているのが分かった。私はリボンを使ってテーブルに乗せてあげる。
「あれ、それはモンモランシーの香水じゃないのか?」
「そうだ! その鮮やかな紫色は、モンモランシーが自分のためだけに調合をしている香水だぞ!」
「それがギーシュの机の近くにおいてあるってことは、つまりお前は今モンモランシーと付き合っている、そうだな!」
クラスメートの人たちからの追求を受けて、金髪の巻き毛のお兄さんは
「違う。いいかい、彼女の名誉のために言っておくが……」
お兄さんが口を開いた瞬間、後ろの席に座っていた茶色のマントの女の人が立ち上がり、お兄さんの席に向かって歩いてきた。
栗色の髪をした女の人だった、他の人達よりも一回り可愛らしい人だ。
「ギーシュさま……」
そしてポロポロと泣き始めた。
「やはりミス・モンモランシーと……」
「違う。彼らは誤解をしているだけだ、いいかいケティ、僕の心のなかに住んでいるのはキミだけ……」
ケティと呼ばれた女の人は思い切り金髪のお兄さんの頬を叩いた。
「その香水が何よりもの証拠、さようなら!」
と背中を向けて去っていってしまった。
すると他の巻き毛の女の人がやってきて。
「モンモランシー誤解だ、彼女はただ一緒に、ラ・ロシェールの森へ遠乗りをしただけで」
「やっぱりあの一年生に手を出していたのね」
「お願いだよ香水のモンモランシー咲き誇るバラのような顔をそのような怒りで歪ませないでくれよ、僕まで悲しくなるじゃないか」
モンモランシーと呼ばれた女の人は、さっきよそいだばかりのワインを金髪の人の髪にドボドボとひっかけて。
「嘘つき!」
と怒鳴って走りっ去っていってしまった。
大変なことになったけど、わたしとしてはケーキを配り終わるほうが先だった。シエスタさんと一緒に仕事に戻ろうとすると。
「まちたまえ、ルイズの使い魔」
と、呼び止められる。
振り返ると、足を組んでポーズを決めながらハンカチで顔を拭いている、金髪のお兄さんと目があった。
「キミが軽率に香水の瓶を拾い上げたおかげで二人のレディの名誉が傷つけられた、どうしてくれるんだね?」
「……? ゆまが悪いの?」
小首を傾げる。
「どう考えても、お兄さんが悪いよ、二人の好きだっていう人にする態度じゃない、悪いのはお兄さん」
「そうだそうだ、ギーシュが悪いぞー!」
どこからか女の人の声が聞こえてきた。
「キミは、この僕に喧嘩を売ろうというのかい?」
「喧嘩? ゆまね、キョーコに習ってるよ」
そういってソウルジェムを掲げてから変身をする。
「売られた喧嘩は買えってね!」
ココで勝利したら、ルイズのお姉ちゃんの評判も上がるだろう、すごい使い魔を召喚したって、貴族って言ったって二股をかけるような人が強いわけないし、普通に女の人に殴られてたし。
「よかろう、キミに礼儀を教えてやろう、ちょうどいい腹ごなしだ」
他の生徒さんたちは別の授業に行ってしまい、わたし達は片付けを言い付けられてしまった。
わたしが魔法で先生を直したからか、魔法禁止ということはなかったので、マミお姉ちゃんに習ったリボンと治癒魔法で壊れた窓や瓦礫を集めていく。
ルイズお姉ちゃんは雑巾で治った窓を拭いたり、煤を掃いたり、おしゃべりしながら片付けていくと自然とても早く進んだ。
この左手のルーンっていうんだっけ、それは不思議だ。
魔法を使えばソウルジェムがドンドンと曇っていってバンバン使えないのに、ルーンがあるせいか全く曇らないし疲れもない。
習ったばかりの頃は全然上手に使えなかった、マミお姉ちゃんのリボンや結界も不思議とキョーコやお姉ちゃんのように使えてしまう。
わたしがすごくなったのか、それともこのルーンの影響なのかはわたしにはわからなかったけれど、とりあえずルイズお姉ちゃんが喜んでくれると私も嬉しい。
めちゃくちゃになった教室の片付けが終わったのはちょうど昼食の時間の前あたりだった。前のとおりピカピカというわけには私の力不足で出来なかったけど、ルイズお姉ちゃんは私の頭を撫でながら褒めてくれた。
食堂にたどり着くと、朝と同じように豪華な食事が並んでいた。
わたしはルイズお姉ちゃんと隣同士に座り、食事を始める。やっぱりすごくおいしい、マミお姉ちゃんの料理よりもすごい。
一体どんな人が作っているんだろうな、と思った。
「でも本当、ゆまが働いてくれて助かったわ」
「使い魔だからね」
「いい使い魔を召喚したものだわ」
「あらあら、現金ね罰掃除させられてたのに」
キュルケお姉ちゃんに呆れられてしまっても、二人は笑顔だった。
食事はおいしいし、給仕の人の仕事は手早くて、なくなったお皿に食事が並べられるし、飲み物も用意されていく。
「お姉ちゃん、給仕の人って平民の人なの?」
「そうね」
「わたしは平民だけどそういう事しなくてもいいのかな?」
と聞くと、ルイズお姉ちゃんは考えるような仕草をする。
するとなにか思い当たったのか。
「いけない、次の授業の予習をしなくちゃいけないわ」
「それは大変だ!」
「ええーっと、そこの黒髪の給仕! ちょっとこっちへ」
そう言われて、黒い髪の短髪で鼻のあたりにそばかすがある、ちょっと胸の大きい給仕の人がこちらにやってきた。
「お呼びでしょうか?」
「この子に仕事の手伝いをさせて欲しいの、できるかしら?」
「おまかせください、ミス・ヴァリエール」
「頼んだわね」
そうして私は給仕さんに預けられることになった。
名前はシエスタさんというらしい。
素朴な感じの印象で、カチューシャでまとめた髪が可愛らしい。
「こちらにいらしてください、ゆま様」
「ゆま、でいいよ、シエスタさん」
「そう、ですか? ではゆま、仕事の説明をしますね」
厨房にはたくさんの給仕さんとシェフの人たちが忙しそうに働いていた。
今では食事もほとんど終わりデザートのケーキを配っているみたいだ。
「ゆまは魔法を使えるようですが、メイジなんですか?」
「ううん、シエスタさんと一緒の平民だよ」
「そうなのですか、貴族の方には家柄や決まりごとなどお忙しいですからね、私にはよくわかりませんが、魔法を使えても平民という方がいても不思議でないかもしれませんね」
と、ここで一呼吸をおいて。
「ただ、貴族の方に逆らってはいけません、殺されても文句は言えないのです」
シエスタさんに頼まれた仕事をマミお姉ちゃんのリボンも上手に使いながら、無難にこなしてシエスタさんにほめられる。
そしてこのままメイドになってくれたらいいのにと冗談も言ってくれた。
大きな銀のお皿にデザートのケーキが乗っている、私は両の手をいっぱいに広げて、真ん中辺りにリボンで支えてバランスをとっている。
そしてそのトレイに乗ったケーキをシエスタさんがはさみでケーキを掴み配っていく、確かにお皿とかの回収はリボンでできるけどケーキを配るのは難しい。
と、ここで金髪の貴族の人の下に香水の小瓶が落ちているのが分かった。私はリボンを使ってテーブルに乗せてあげる。
「あれ、それはモンモランシーの香水じゃないのか?」
「そうだ! その鮮やかな紫色は、モンモランシーが自分のためだけに調合をしている香水だぞ!」
「それがギーシュの机の近くにおいてあるってことは、つまりお前は今モンモランシーと付き合っている、そうだな!」
クラスメートの人たちからの追求を受けて、金髪の巻き毛のお兄さんは
「違う。いいかい、彼女の名誉のために言っておくが……」
お兄さんが口を開いた瞬間、後ろの席に座っていた茶色のマントの女の人が立ち上がり、お兄さんの席に向かって歩いてきた。
栗色の髪をした女の人だった、他の人達よりも一回り可愛らしい人だ。
「ギーシュさま……」
そしてポロポロと泣き始めた。
「やはりミス・モンモランシーと……」
「違う。彼らは誤解をしているだけだ、いいかいケティ、僕の心のなかに住んでいるのはキミだけ……」
ケティと呼ばれた女の人は思い切り金髪のお兄さんの頬を叩いた。
「その香水が何よりもの証拠、さようなら!」
と背中を向けて去っていってしまった。
すると他の巻き毛の女の人がやってきて。
「モンモランシー誤解だ、彼女はただ一緒に、ラ・ロシェールの森へ遠乗りをしただけで」
「やっぱりあの一年生に手を出していたのね」
「お願いだよ香水のモンモランシー咲き誇るバラのような顔をそのような怒りで歪ませないでくれよ、僕まで悲しくなるじゃないか」
モンモランシーと呼ばれた女の人は、さっきよそいだばかりのワインを金髪の人の髪にドボドボとひっかけて。
「嘘つき!」
と怒鳴って走りっ去っていってしまった。
大変なことになったけど、わたしとしてはケーキを配り終わるほうが先だった。シエスタさんと一緒に仕事に戻ろうとすると。
「まちたまえ、ルイズの使い魔」
と、呼び止められる。
振り返ると、足を組んでポーズを決めながらハンカチで顔を拭いている、金髪のお兄さんと目があった。
「キミが軽率に香水の瓶を拾い上げたおかげで二人のレディの名誉が傷つけられた、どうしてくれるんだね?」
「……? ゆまが悪いの?」
小首を傾げる。
「どう考えても、お兄さんが悪いよ、二人の好きだっていう人にする態度じゃない、悪いのはお兄さん」
「そうだそうだ、ギーシュが悪いぞー!」
どこからか女の人の声が聞こえてきた。
「キミは、この僕に喧嘩を売ろうというのかい?」
「喧嘩? ゆまね、キョーコに習ってるよ」
そういってソウルジェムを掲げてから変身をする。
「売られた喧嘩は買えってね!」
ココで勝利したら、ルイズのお姉ちゃんの評判も上がるだろう、すごい使い魔を召喚したって、貴族って言ったって二股をかけるような人が強いわけないし、普通に女の人に殴られてたし。
「よかろう、キミに礼儀を教えてやろう、ちょうどいい腹ごなしだ」
ヴェストリの広場という場所は、魔法学園の敷地内、風と火の塔の間にある中庭らしい。
西側にある広場なので、そこは日中でもあまり陽は差さないみたいだ、火の塔の近くなのにとわたしは思った。
わたしが逃げ出さないようにするためなのか、噂を聞きつけてきたのか、周りには人であふれていた、魔法を使うときに気を付けないと。
「諸君、決闘だ!」
と、バラの造花を掲げた。
「こんな年端も行かない幼女と決闘なんてギーシュカコワルイ!」
先ほども聞こえた声がまた聞こえてきた。
「ギーシュが決闘するぞ! ……確かに相手はただの小さな子だが」
「……と、とりあえず逃げずに来たことは褒めてやろうじゃないか」
「逃げる必要なんて無いもん」
相手は確か魔法を使うって言ってた、シエスタさんも貴族に逆らうと殺されちゃうと言っていたから、殺してしまうような魔法を使うかもしれない。
とりあえず距離を取らないと。
わたしは飛んで、ギーシュさんから距離を取った。
「ふん、メイジとの戦い方はわかっているようじゃないか」
そういってバラの造花を振るう、花が一枚待ったかと思うと、甲冑を着た女の人の格好になった。あれは鉄製なのかな?
「僕はメイジだ、だから魔法で戦う、よもや文句はあるまいね」
「エイム……ファイア!」
とりあえず一本マミお姉ちゃんのマスケット銃を召喚して打ってみた。
腕に当たって貫通したけど、ダメージは少ないみたいだ。
「いい忘れていたな、僕の二つ名は青銅、青銅のギーシュだ。青銅のゴーレム『ワルキューレ』がお相手するよ」
そのワルキューレがこちらに向かって走ってくる。私のハンマーじゃリーチが短すぎて反撃を受けてしまいそうだ。痛いのには慣れているけど、ルイズお姉ちゃんを心配させるような勝利では意味が無い。
「キョーコ、力を貸して!」
キョーコの槍を召喚して武器にする。
するとルーンが光り輝いたような気がして、ソウルジェムの輝きも普段よりも増した。
コレなら行けそうな気がするよ!
ワルキューレの攻撃の前に、キョーコの槍を鞭のようにしならせて一刀両断する、半分になったワルキューレはさすがに動かなくなったみたいだった。
ギーシュさんは慌てて花びらを振って、何体ものゴーレムを出現させた。
「ゆま! ちょっとキュルケ、どういうことなのよ!」
「どういうことも何も、ギーシュとゆまが決闘をしてるのよ」
「はあ、何で止めないのよ!」
「止めないも何も、ゆまがやる気なんだから仕方ないじゃない!」
ルイズお姉ちゃんの声が聞こえる。
噂を聞いて駆けつけてきてくれたのかな。
「ルイズお姉ちゃんが来たなら、格好良いところを見せないとね!」
「余裕だな、ルイズの使い魔くん!」
「そうだよ! 余裕なんだよ!」
そういって私は叫んだ。
「みんな離れて! わたしの本気、見せてあげるから」
高く高く跳躍する。
そうしてマミお姉ちゃんみたいに大砲を出して、遥か下にいるワルキューレたちに向ける。
私の武器を見て他の貴族たちやルイズお姉ちゃんたちが蜘蛛の子を散らすように逃げていく、いや、そこまで本気でふっ飛ばすつもりはないんだけど……。
「ティロ・フィナーレ!」
その言葉と同時に巨大な爆弾が発射される。
落下した途端大きな爆発が起きて、バラバラになったワルキューレと一緒にギーシュさんが吹っ飛んでいく。
どうやらそれ以外に被害にあった人はいないみたいだ。
西側にある広場なので、そこは日中でもあまり陽は差さないみたいだ、火の塔の近くなのにとわたしは思った。
わたしが逃げ出さないようにするためなのか、噂を聞きつけてきたのか、周りには人であふれていた、魔法を使うときに気を付けないと。
「諸君、決闘だ!」
と、バラの造花を掲げた。
「こんな年端も行かない幼女と決闘なんてギーシュカコワルイ!」
先ほども聞こえた声がまた聞こえてきた。
「ギーシュが決闘するぞ! ……確かに相手はただの小さな子だが」
「……と、とりあえず逃げずに来たことは褒めてやろうじゃないか」
「逃げる必要なんて無いもん」
相手は確か魔法を使うって言ってた、シエスタさんも貴族に逆らうと殺されちゃうと言っていたから、殺してしまうような魔法を使うかもしれない。
とりあえず距離を取らないと。
わたしは飛んで、ギーシュさんから距離を取った。
「ふん、メイジとの戦い方はわかっているようじゃないか」
そういってバラの造花を振るう、花が一枚待ったかと思うと、甲冑を着た女の人の格好になった。あれは鉄製なのかな?
「僕はメイジだ、だから魔法で戦う、よもや文句はあるまいね」
「エイム……ファイア!」
とりあえず一本マミお姉ちゃんのマスケット銃を召喚して打ってみた。
腕に当たって貫通したけど、ダメージは少ないみたいだ。
「いい忘れていたな、僕の二つ名は青銅、青銅のギーシュだ。青銅のゴーレム『ワルキューレ』がお相手するよ」
そのワルキューレがこちらに向かって走ってくる。私のハンマーじゃリーチが短すぎて反撃を受けてしまいそうだ。痛いのには慣れているけど、ルイズお姉ちゃんを心配させるような勝利では意味が無い。
「キョーコ、力を貸して!」
キョーコの槍を召喚して武器にする。
するとルーンが光り輝いたような気がして、ソウルジェムの輝きも普段よりも増した。
コレなら行けそうな気がするよ!
ワルキューレの攻撃の前に、キョーコの槍を鞭のようにしならせて一刀両断する、半分になったワルキューレはさすがに動かなくなったみたいだった。
ギーシュさんは慌てて花びらを振って、何体ものゴーレムを出現させた。
「ゆま! ちょっとキュルケ、どういうことなのよ!」
「どういうことも何も、ギーシュとゆまが決闘をしてるのよ」
「はあ、何で止めないのよ!」
「止めないも何も、ゆまがやる気なんだから仕方ないじゃない!」
ルイズお姉ちゃんの声が聞こえる。
噂を聞いて駆けつけてきてくれたのかな。
「ルイズお姉ちゃんが来たなら、格好良いところを見せないとね!」
「余裕だな、ルイズの使い魔くん!」
「そうだよ! 余裕なんだよ!」
そういって私は叫んだ。
「みんな離れて! わたしの本気、見せてあげるから」
高く高く跳躍する。
そうしてマミお姉ちゃんみたいに大砲を出して、遥か下にいるワルキューレたちに向ける。
私の武器を見て他の貴族たちやルイズお姉ちゃんたちが蜘蛛の子を散らすように逃げていく、いや、そこまで本気でふっ飛ばすつもりはないんだけど……。
「ティロ・フィナーレ!」
その言葉と同時に巨大な爆弾が発射される。
落下した途端大きな爆発が起きて、バラバラになったワルキューレと一緒にギーシュさんが吹っ飛んでいく。
どうやらそれ以外に被害にあった人はいないみたいだ。
- ルイズ、ゆまに抱きついてすごいじゃないと喜ぶ。
地面に着地すると、ルイズお姉ちゃんが近づいてきて抱きしめてきた。
「すごいじゃないのゆま!」
「えへへ、召喚したルイズお姉ちゃんがすごいってことだよ」
「ほんとう……胸をはっていい使い魔を召喚したって言えるわ!」
暖かく抱きしめてくれる、マミお姉ちゃんを思い出す感覚に私は涙が出そうに鳴るのを我慢した。
「でも、あまり危ないことはしないようにね」
「うん!」
「……わかっているのかしら?」
やってきたルイズのお姉ちゃんと午後の授業に向かう。
予習が必要な授業ということで、内容は殆どわからなかった気がするけれど、真剣にペンを握るルイズのお姉ちゃんを眺めて、ルイズのお姉ちゃんが頑張ってるからゆまも頑張れるんだよと心のなかで応援した。
夜になって食事の後で部屋に戻る。
決闘の話のこと、給仕のお手伝いのこと、いろいろな話をする。
「でも、決闘なんて受けてはダメよ?」
「どうして?」
「ギーシュ以上に強いメイジなんていくらでもいるの、そういう人には殺されちゃうかもしれないのよ? だから、危ないことはやめてね?」
ルイズお姉ちゃんの言ってること、キョーコの喧嘩は買え主義。どちらを取るのかは難しいけれど、きっとその時にもよるんだろう。
それにこのルーン、武器を持ったときに今まで感じたことのないような力を感じた不思議なルーン。
これについてはまだわからないことが多すぎるけど、きっといつか分かるようになるだろう、この不思議な世界と一緒に生きてさえいれば。
ルイズお姉ちゃんと一緒のベッドで寝る、今日は寂しくない。
一人ぼっちじゃないような気がしたから。
「すごいじゃないのゆま!」
「えへへ、召喚したルイズお姉ちゃんがすごいってことだよ」
「ほんとう……胸をはっていい使い魔を召喚したって言えるわ!」
暖かく抱きしめてくれる、マミお姉ちゃんを思い出す感覚に私は涙が出そうに鳴るのを我慢した。
「でも、あまり危ないことはしないようにね」
「うん!」
「……わかっているのかしら?」
やってきたルイズのお姉ちゃんと午後の授業に向かう。
予習が必要な授業ということで、内容は殆どわからなかった気がするけれど、真剣にペンを握るルイズのお姉ちゃんを眺めて、ルイズのお姉ちゃんが頑張ってるからゆまも頑張れるんだよと心のなかで応援した。
夜になって食事の後で部屋に戻る。
決闘の話のこと、給仕のお手伝いのこと、いろいろな話をする。
「でも、決闘なんて受けてはダメよ?」
「どうして?」
「ギーシュ以上に強いメイジなんていくらでもいるの、そういう人には殺されちゃうかもしれないのよ? だから、危ないことはやめてね?」
ルイズお姉ちゃんの言ってること、キョーコの喧嘩は買え主義。どちらを取るのかは難しいけれど、きっとその時にもよるんだろう。
それにこのルーン、武器を持ったときに今まで感じたことのないような力を感じた不思議なルーン。
これについてはまだわからないことが多すぎるけど、きっといつか分かるようになるだろう、この不思議な世界と一緒に生きてさえいれば。
ルイズお姉ちゃんと一緒のベッドで寝る、今日は寂しくない。
一人ぼっちじゃないような気がしたから。