わたしが目覚めて一番最初に目についたのは、桃色が混じったブロンドの髪を持った綺麗な女の人だった。
そういえば昨日召喚されて、一緒に眠ったんだっけ。それと回復の魔法を使ったけどソウルジェムが全く曇ってないのを確認する。
やっぱり変だ、グリーフシードの気配も感じられないし、ココはやっぱり異世界なんだろう。
キョーコやマミお姉ちゃんとはもう出会えないのかな。
そう思うと涙が出そうに鳴る。
わたしが動いたのを感じて、ルイズのお姉ちゃんが身動ぎした。
「目を、覚ましたのね……わたしも起きないと」
そう言って身体を起こす。
清々しい朝の日差しに包まれて、髪の毛がキラキラと輝く。
やっぱり綺麗な人だな、と思った。
「ねえ、ゆま、わたしの使い魔」
「うん!」
「……あなたに仕事を言い渡すわ、できるかしら?」
「がんばるよ!」
どんなことを言われるんだろう、ドキドキする。
ルイズのお姉ちゃんはひとしきり考えるような仕草をした後、タンスの方を指さした。
「あそこに私の下着があるわ、上下、取ってきなさい」
「わかった!」
簡単なお仕事でよかった!
コレで食事を用意しなさいとか言われたら、マミお姉ちゃんと一緒に習った、ティロ・ケーキ*お菓子作り*を使わないといけないところだった。
タンスの指さされたところには下着がたくさん入っていた、キョーコと同じくらいの大きさかな、マミお姉ちゃんに比べたらかなり小さい。
「下着、持ってきたよ!」
「ありがとう、そうしたら、そこに制服があるでしょう、取って頂戴」
「わかった!」
目に見える範囲にあった、昨日ルイズのお姉ちゃんが着ていた制服。
その途中に服と下着が用意してあった。
{{行頭下げ}}【ゆまたんへ あしながおねーちゃんより】
「ルイズのお姉ちゃん、これ、お姉ちゃんが用意したの?」
「何その服、ゆまたんへ? さあ、知らないわ」
「ととと、とりあえず制服を持って行かないとね」
とりあえず置かれた服を放っておいて、制服をルイズのお姉ちゃんに届けに行った。
「ゆま、その服をとりあえず来てみなさい、昨日と同じ格好では嫌でしょう?」
「うん! 着てみる!」
緑色を基調としたふりふりの憑いたワンピースの吹くと、リボンの付いたパンツだった。それを身につけると、ルイズのお姉ちゃんが可愛いわと褒めてくれて嬉しい。
「洗濯は……まあ、平民が入ってきて勝手にするでしょう、このカゴに二人分入れておきましょう」
二人で一緒に部屋を出ると、チョコレート色の木の扉が3つ並んでいた。
その扉の一つが開いて、キョーコと同じような髪と、マミお姉ちゃんと同じような胸を持ったお姉ちゃんが姿を表した。
わたしと比べるとすごく背が高くて、ルイズのお姉ちゃんよりも大きい、それにスタイルもよくてそれに自信を持っている様子だった、
その人はルイズのお姉ちゃんを見ると、ニヤリと笑った、
「おはようルイズ」
ルイズのお姉ちゃんは期限が悪そうに眉をひそめると、唇を尖らせながら挨拶を返す。
「おはようキュルケ」
そしてわたしのほうに優しげな表情を向けて、
「おはよう、ゆま、ステキな名前ね」
「おはようございます、キュルケお姉ちゃん?」
「ええ、あたしの名前はキュルケ、覚えておいてね」
そう言って優雅に微笑んだ。
ルイズのお姉ちゃんはわたしを守るように前に立つ。
「サモン・サーヴァントでそんなに可愛い子を呼ぶなんてすごいじゃないのルイズ」
「褒めてるのそれ?」
「褒めてるわよ、ま、あたしの使い魔は更に凄いけれど、フレイムー」
キュルケのお姉ちゃんは勝ち誇ったような声で使い魔を呼んだ。確か昨日教室で見た使い魔たちよりもすごいのかな、なんて思った。
部屋からのっそりと四つ足で登場をしたのは、巨大な爬虫類だった。魔女の使い魔とはちょっと違って、こちらは動物っぽい。
ただ尻尾は熱そうに燃えていて、こういうのは動物園にはいないなと思った。
「すごいね、でっかい、トカゲ?」
「んー、ちょっと違うわね、火トカゲよ」
「うーん、変身したら勝てるかな……ちょっと自信ない」
「あなた変身できるの? 不思議ね、まあ、使い魔っていうのは普通こういうのなのよ」
さすがに虎くらいの大きさのトカゲだから、火トカゲなんだろうか。
「それって、サラマンダー?」
「そうよ、見て、この尻尾。ココまで鮮やかで大きな炎の尻尾じゃ間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ、ブランド物よー? 好事家なんか見せたら値段なんかつかないわよ? ……まあ、人間の変身する使い魔も値段がつかないでしょうけど」
ちらちらと、別の扉を気にしながらキュルケのお姉ちゃんは言った。
「まあ、わたしの使い魔もステキだけど、よかったわね」
「ええ、私の属性にぴったり」
「あなた、火属性ですもんね」
「ええ、微熱のキュルケですものささやかに燃える炎は微熱、でも男の子はそれでイチコロなのですわ、あなたと違ってね」
確かにマミお姉ちゃんみたいな胸を大胆に露出させていたら、男の子の視線はその胸に向かうだろう。でも、マミお姉ちゃんと違って紅茶を入れるのが得意だったり、ケーキを買って食べさせてくれたり、料理が得意だったりとは違いそうだ。
「ゆま、火属性というのは、こんなんなのよ、あんまり近づかないようにね」
「失礼ねゼロのルイズ、まあいいわ、お先にー」
「悔しー! ……まあ、ゆまもいい使い魔だからいいか」
「ルイズのお姉ちゃんもフレイムみたいのがよかったの?」
「メイジの実力を見るには、使い魔を見よという言葉があるの、ゆまが変身できたりしても、見た目の差で、ちょっとこちらの負けかもね」
「うー、ゆま、頑張るよ!」
決意するわたしを、ルイズのお姉ちゃんは可愛い物を見るかのように目を細めて見つめていた。
そういえば最後に、キュルケのお姉ちゃんはゼロのルイズといった、ゼロってことはないってことだよね、きっと悪い意味に違いない、だから聞かなかったことにしようっと。
トリステイン魔法学院の食堂は、真ん中の本塔の中にあった。食堂の中にはすごく長いテーブルが三つ並んでいる、学年別に分かれているのかなと思った。百人は座れそうなテーブルの真中にルイズのお姉ちゃんの隣りに座った。
左のほうにあるルイズのお姉ちゃんより*キュルケのお姉ちゃんよりもお色気な人もいた*大人びた顔をした人たちは紫色のマントを付けて、左側の席に座っていた。
右側のテーブルに座った、ちょっと幼い顔の人たちは、茶色のマントをつけている、ルイズのお姉ちゃんとは違うものだから、きっと一年生だ。
一階のちょっと上になっている所に先生らしき人たちが見えた、どうやらココでみんな食事をとるみたいだ。
いくつものローソクが並べられて、花が飾られて、フルーツが盛られたかごが乗っている。キョーコがいたら、あれもきっと食べてしまうに違いない、食い物を粗末にすんじゃねえと言いながら、そしたらルイズのお姉ちゃんはどんな顔をするだろうか。
「トリステイン魔法学院で教えるのは、魔法だけじゃないのよ」
「ふえ」
「メイジはほぼ全員が貴族なの……まあ、ゆまみたいな例外もいるけれど、貴族は魔法を持ってその精神をなすのモットーのもと、貴族たるべき教育を存分に受けるのよ、だから食堂も貴族の食卓にふさわしいものでなければならないの、ちょっと難しかったかしら?」
「とりあえず、貴族らしーんだね?」
「ええ、本当は貴族ではないゆまはここには座れないんだけれども、わたしの特別な計らいでココに座れるの、感謝してよね」
と、いたずらっぽく言った。
「でも、ゆまどうしよう、こんなお料理、貴族らしく食べられるかな?」
「ふふ、取り分けてあげるわよ」
「いいの? 使い魔なのに?」
「使い魔だけど、妹分みたいなものよ」
私はルイズのお姉ちゃんの手の動きを眺めながら、いつかルイズのお姉ちゃんの手を借りずに食事ができるようにがんばろうと思った。
そういえば昨日召喚されて、一緒に眠ったんだっけ。それと回復の魔法を使ったけどソウルジェムが全く曇ってないのを確認する。
やっぱり変だ、グリーフシードの気配も感じられないし、ココはやっぱり異世界なんだろう。
キョーコやマミお姉ちゃんとはもう出会えないのかな。
そう思うと涙が出そうに鳴る。
わたしが動いたのを感じて、ルイズのお姉ちゃんが身動ぎした。
「目を、覚ましたのね……わたしも起きないと」
そう言って身体を起こす。
清々しい朝の日差しに包まれて、髪の毛がキラキラと輝く。
やっぱり綺麗な人だな、と思った。
「ねえ、ゆま、わたしの使い魔」
「うん!」
「……あなたに仕事を言い渡すわ、できるかしら?」
「がんばるよ!」
どんなことを言われるんだろう、ドキドキする。
ルイズのお姉ちゃんはひとしきり考えるような仕草をした後、タンスの方を指さした。
「あそこに私の下着があるわ、上下、取ってきなさい」
「わかった!」
簡単なお仕事でよかった!
コレで食事を用意しなさいとか言われたら、マミお姉ちゃんと一緒に習った、ティロ・ケーキ*お菓子作り*を使わないといけないところだった。
タンスの指さされたところには下着がたくさん入っていた、キョーコと同じくらいの大きさかな、マミお姉ちゃんに比べたらかなり小さい。
「下着、持ってきたよ!」
「ありがとう、そうしたら、そこに制服があるでしょう、取って頂戴」
「わかった!」
目に見える範囲にあった、昨日ルイズのお姉ちゃんが着ていた制服。
その途中に服と下着が用意してあった。
{{行頭下げ}}【ゆまたんへ あしながおねーちゃんより】
「ルイズのお姉ちゃん、これ、お姉ちゃんが用意したの?」
「何その服、ゆまたんへ? さあ、知らないわ」
「ととと、とりあえず制服を持って行かないとね」
とりあえず置かれた服を放っておいて、制服をルイズのお姉ちゃんに届けに行った。
「ゆま、その服をとりあえず来てみなさい、昨日と同じ格好では嫌でしょう?」
「うん! 着てみる!」
緑色を基調としたふりふりの憑いたワンピースの吹くと、リボンの付いたパンツだった。それを身につけると、ルイズのお姉ちゃんが可愛いわと褒めてくれて嬉しい。
「洗濯は……まあ、平民が入ってきて勝手にするでしょう、このカゴに二人分入れておきましょう」
二人で一緒に部屋を出ると、チョコレート色の木の扉が3つ並んでいた。
その扉の一つが開いて、キョーコと同じような髪と、マミお姉ちゃんと同じような胸を持ったお姉ちゃんが姿を表した。
わたしと比べるとすごく背が高くて、ルイズのお姉ちゃんよりも大きい、それにスタイルもよくてそれに自信を持っている様子だった、
その人はルイズのお姉ちゃんを見ると、ニヤリと笑った、
「おはようルイズ」
ルイズのお姉ちゃんは期限が悪そうに眉をひそめると、唇を尖らせながら挨拶を返す。
「おはようキュルケ」
そしてわたしのほうに優しげな表情を向けて、
「おはよう、ゆま、ステキな名前ね」
「おはようございます、キュルケお姉ちゃん?」
「ええ、あたしの名前はキュルケ、覚えておいてね」
そう言って優雅に微笑んだ。
ルイズのお姉ちゃんはわたしを守るように前に立つ。
「サモン・サーヴァントでそんなに可愛い子を呼ぶなんてすごいじゃないのルイズ」
「褒めてるのそれ?」
「褒めてるわよ、ま、あたしの使い魔は更に凄いけれど、フレイムー」
キュルケのお姉ちゃんは勝ち誇ったような声で使い魔を呼んだ。確か昨日教室で見た使い魔たちよりもすごいのかな、なんて思った。
部屋からのっそりと四つ足で登場をしたのは、巨大な爬虫類だった。魔女の使い魔とはちょっと違って、こちらは動物っぽい。
ただ尻尾は熱そうに燃えていて、こういうのは動物園にはいないなと思った。
「すごいね、でっかい、トカゲ?」
「んー、ちょっと違うわね、火トカゲよ」
「うーん、変身したら勝てるかな……ちょっと自信ない」
「あなた変身できるの? 不思議ね、まあ、使い魔っていうのは普通こういうのなのよ」
さすがに虎くらいの大きさのトカゲだから、火トカゲなんだろうか。
「それって、サラマンダー?」
「そうよ、見て、この尻尾。ココまで鮮やかで大きな炎の尻尾じゃ間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ、ブランド物よー? 好事家なんか見せたら値段なんかつかないわよ? ……まあ、人間の変身する使い魔も値段がつかないでしょうけど」
ちらちらと、別の扉を気にしながらキュルケのお姉ちゃんは言った。
「まあ、わたしの使い魔もステキだけど、よかったわね」
「ええ、私の属性にぴったり」
「あなた、火属性ですもんね」
「ええ、微熱のキュルケですものささやかに燃える炎は微熱、でも男の子はそれでイチコロなのですわ、あなたと違ってね」
確かにマミお姉ちゃんみたいな胸を大胆に露出させていたら、男の子の視線はその胸に向かうだろう。でも、マミお姉ちゃんと違って紅茶を入れるのが得意だったり、ケーキを買って食べさせてくれたり、料理が得意だったりとは違いそうだ。
「ゆま、火属性というのは、こんなんなのよ、あんまり近づかないようにね」
「失礼ねゼロのルイズ、まあいいわ、お先にー」
「悔しー! ……まあ、ゆまもいい使い魔だからいいか」
「ルイズのお姉ちゃんもフレイムみたいのがよかったの?」
「メイジの実力を見るには、使い魔を見よという言葉があるの、ゆまが変身できたりしても、見た目の差で、ちょっとこちらの負けかもね」
「うー、ゆま、頑張るよ!」
決意するわたしを、ルイズのお姉ちゃんは可愛い物を見るかのように目を細めて見つめていた。
そういえば最後に、キュルケのお姉ちゃんはゼロのルイズといった、ゼロってことはないってことだよね、きっと悪い意味に違いない、だから聞かなかったことにしようっと。
トリステイン魔法学院の食堂は、真ん中の本塔の中にあった。食堂の中にはすごく長いテーブルが三つ並んでいる、学年別に分かれているのかなと思った。百人は座れそうなテーブルの真中にルイズのお姉ちゃんの隣りに座った。
左のほうにあるルイズのお姉ちゃんより*キュルケのお姉ちゃんよりもお色気な人もいた*大人びた顔をした人たちは紫色のマントを付けて、左側の席に座っていた。
右側のテーブルに座った、ちょっと幼い顔の人たちは、茶色のマントをつけている、ルイズのお姉ちゃんとは違うものだから、きっと一年生だ。
一階のちょっと上になっている所に先生らしき人たちが見えた、どうやらココでみんな食事をとるみたいだ。
いくつものローソクが並べられて、花が飾られて、フルーツが盛られたかごが乗っている。キョーコがいたら、あれもきっと食べてしまうに違いない、食い物を粗末にすんじゃねえと言いながら、そしたらルイズのお姉ちゃんはどんな顔をするだろうか。
「トリステイン魔法学院で教えるのは、魔法だけじゃないのよ」
「ふえ」
「メイジはほぼ全員が貴族なの……まあ、ゆまみたいな例外もいるけれど、貴族は魔法を持ってその精神をなすのモットーのもと、貴族たるべき教育を存分に受けるのよ、だから食堂も貴族の食卓にふさわしいものでなければならないの、ちょっと難しかったかしら?」
「とりあえず、貴族らしーんだね?」
「ええ、本当は貴族ではないゆまはここには座れないんだけれども、わたしの特別な計らいでココに座れるの、感謝してよね」
と、いたずらっぽく言った。
「でも、ゆまどうしよう、こんなお料理、貴族らしく食べられるかな?」
「ふふ、取り分けてあげるわよ」
「いいの? 使い魔なのに?」
「使い魔だけど、妹分みたいなものよ」
私はルイズのお姉ちゃんの手の動きを眺めながら、いつかルイズのお姉ちゃんの手を借りずに食事ができるようにがんばろうと思った。
昨日も行った魔法学院の教室は、マミお姉ちゃんの学校とはまた違った感じだった。椅子がいっぱい並べられて、椅子もいっぱい並んでいる。
昨日も一緒に授業を受けたけれど、あんまり内容はわからず、ルイズのお姉ちゃんがところどころ分かりやすく説明してくれてやった少しだけ分かるくらいだった。
きっと、ルイズのお姉ちゃんは勉強がよく出来るに違いない。だからこそ初心者のゆまにしっかりと教えられるんだろう。
教室の中にはキュルケのお姉ちゃんがいた、男の人に取り囲まれている、本当だ男の人はイチコロなんだと思った。
不意に、誰かと目があった気がした、そっちの方向を見ると、赤いメガネのお姉ちゃんが無表情でこちらを見ているような? そんなことないか。
そして窓の外には巨大な蛇がいた、教室の中に入れない使い魔もいるんだね、猫とか、カラスとかフクロウとかもいるけれど。
あと、魔女の使い魔みたいな使い魔もいる、見た目がちょっと変な使い魔だ。ああいうのも優秀な使い魔なんだろうか、不思議な世界だ。
「ゆま、わたしの隣に座りなさい」
「うん!」
「それと、この紙、できるだけ先生の話をメモしてなさい、分からないところは昨日と同じように教えてあげるから」
ようし、がんばるぞ!
私は気合を入れて先生を待つ。
扉が開いて先生を待った。
おばさんだった、紫色のローブに身を包んで帽子をかぶっている。バザーでキョーコと喧嘩したおばさんとよく似ている。
きっと、あの人もメイジなんだろう、なんてたって先生だもんね、あんまり失礼な態度は取らないようにしないと。
「皆さん、春の使い魔召喚は大成功のようですね、このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に様々な使い魔を見るのがとても楽しみなのですよ」
その時、ルイズのお姉ちゃんがちょっとだけ俯いた。
「おやおや、変わった使い魔を召喚したものですね、ミス・ヴァリエール」
ミス・ヴァリエール……たしか、ルイズお姉ちゃんの名前だ。
ということは、変わった使い魔というのはわたしのことだ。
うー、わたしのことはいいけど、ルイズのお姉ちゃんを言うのは許せないなあ。
教室中が笑いに包まれて、ルイズのお姉ちゃんの顔が赤く染まる。
「ルイズ! しょうか!? ぐへぇ!」
なんだろうか、からかおうとした声が聞こえたような気がしたけど。
「げほっ、召喚出来なかったからって平民を連れてきたんだろ!」
「そんなことないわ! わたしはちゃんと成功したわよ!」
「そうだよ! ルイズのお姉ちゃんを悪く言うのはゆまが許さないよ!」
そう言ってソウルジェムを掲げて変身する。
すっかり姿が変わったわたしに、教室中が騒然とした。
「ゆま……あなた本当に変身できたのね……」
「ルイズのおねえちゃんを笑う人はゆまが懲らしめちゃうんだから」
そういって、からかっていた太っちょの人に向けてハンマーを向ける。
その時、何かの気配を感じて、杏子から習った結界を張った、ばちばちばち! とすごい音がする、目の前に赤土が落ちていた。
「……では、授業を始めましょう、使い魔さんも席について」
わたしはおとなしく席に座った。
これ以上喧嘩してたらルイズのお姉ちゃんに迷惑がかかっちゃうし。
「私の二つ名は赤土、赤土のシュヴルーズです、土の系統の魔法をこれから一年皆さんに講義します。魔法の四大系統はご存知ですね、ミスタマリコルヌ」
えーっと、先生は赤土。土の先生。っと。
「はい! ミセス・シュヴルーズ。火水土風の4つです!」
ということは、火の先生、水の先生、土の先生、風の先生がいると。
「今は失われた系統の魔法である虚無を含めて、全部で五つの系統があることはみなさんも知っての通りです。その五つの系統の中で土が最も重要なポジションであることを占めていると私は考えます。それは決して私は土系統だからというわけではありませんし、単純な身びいきでもありません」
あんまり説得力がないような気がした。
「土の系統の魔法は万物の組成を司る、重要な魔法であるのです。このような魔法がなければ重要な金属を作り出すことはできないし、大きな石を切り出して建物を建てることも出来なければ、農作物の収穫も今よりも手間取ることでしょう、このように土の系統はみなさんの生活に密接に関係しているのです」
ってことは、魔法がゆまたちの世界のノコギリとか、チェーンソーとか、釘とか、そういう道具に該当しているってことなんだ。
魔法を使えるってだけで偉いっていうのがなんとなく分かった気がする。でも、魔法を使わなくても生活している人もいるのにな、とも考えた。
苦労をすれば魔法も使わず、いろいろな技術が進歩するだろうに、魔法のせいできっとそれが遅れちゃってるんだろう。
「今から皆さんには、土系統の魔法の基本である錬金の魔法を覚えてもらいます、一年の時にできるようになった人もいるでしょうが基本は大事です、もう一度おさらいすることに致します」
錬金錬金っと、基本。っと。
先生は石ころに向かって魔法を使った。
光が収まると、ただの石ころがキラキラ光る真鍮に変わっていた。
「ゴゴゴ、ゴールドですか! ミセス・シュヴルーズ!」
キュルケお姉ちゃんが盛り上がっていたけど、真鍮と金だとだいぶその価値が違うと思う。
「いいえ、コレはただの真鍮です。ゴールドを錬金できるのはスクウェアクラスのメイジだけです、私はただの、トライアングルですから」
スクウェア? トライアングル?
「ゆま、スクウェアやトライアングルというのは、メイジのレベルのことよ」
わたしが質問する前に、ルイズのお姉ちゃんが説明をしてくれる。
きっと予測をしていたのだろう。
「先ほどの4つの属性を、足す火水土風ね、それぞれ同じ属性を足したりすることによって、強力な魔法が使えるように鳴るわ」
「トライアングルってことは、{{英数字}}3つってこと?」
「そのとおり、一つだと、ドット、二つだとライン、{{英数字}}4つでスクウェアね」
なるほど……。
「ミス・ヴァリエール、授業中に私語をするなら、錬金をやってご覧なさい」
しまった、ゆまとのおしゃべりのせいでルイズのお姉ちゃんが指名されちゃった。
どうしよう、私はキョーコにもマミお姉ちゃんにも錬金なんて習ってない、習ったのは分身魔法と結界と、銃の出し方と、大砲の出し方だけだ。
ティロ・フィナーレなんてしたら授業がめちゃくちゃになっちゃうし……。
「わかりました」
ルイズのお姉ちゃんが答える。
わたしは申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
そうして、教室の前に歩いていったお姉ちゃんは不思議と緊張をしている様子だった。
そして、他のクラスメートの人達も、なんでだろ?
「ミス・ヴァリエール、錬金したい金属を強く心に思い浮かべるのです」
目を閉じて呪文を唱え始めたルイズのお姉ちゃんはとても綺麗だった。
わたしを魔法少女にした、織莉子お姉ちゃんよりも、ある時突然消えてしまったほむらおねえちゃんと同じくらいに綺麗だった。
このクラスでは赤いメガネのお姉ちゃんと、キュルケお姉ちゃんくらいしか、ルイズのおねえちゃんと同じくらいに綺麗な人はいない。
そして、ルイズのお姉ちゃんは杖を振り下ろした。
その瞬間机ごと石ころが爆発した。私はキョーコに習った結界魔法を全開で使い自分自身を守ったけど、ルイズのおねえちゃんと先生は黒板に吹っ飛ばされた。
教室の中にいた使い魔たちが暴れだし、教室の中はすごい騒ぎになる。
――これなら、ティロ・フィナーレをしてたほうが良かったかも。
「怪我をした人はゆまに言ってね? 治してあげるよ!」
近くで傷を抱えていた使い魔や、メイジの人たちに回復魔法をかける、それでもソウルジェムは曇らない、大丈夫、どんどん使える。
そうだ、先生とルイズのお姉ちゃんは!
すすで真っ黒になったルイズのおねえちゃんがムクリと立ち上がり、ポケットから取り出したハンカチですすを吹きながら淡々とした声で言った。
「ちょっと失敗しちゃったみたいね」
「おねえちゃん大丈夫!」
「だいじょうぶよゆま、それよりも先生を回復させてあげて」
「うん!」
そうしている間にも教室中からゼロのルイズだの、
「いつだって魔法の成功率ゼロじゃねえかよ!」
といった声が聞こえてくる。
そっか、だからあの時ゼロのルイズってキュルケのお姉ちゃんは……って、大変、気絶した先生を回復させないと!
昨日も一緒に授業を受けたけれど、あんまり内容はわからず、ルイズのお姉ちゃんがところどころ分かりやすく説明してくれてやった少しだけ分かるくらいだった。
きっと、ルイズのお姉ちゃんは勉強がよく出来るに違いない。だからこそ初心者のゆまにしっかりと教えられるんだろう。
教室の中にはキュルケのお姉ちゃんがいた、男の人に取り囲まれている、本当だ男の人はイチコロなんだと思った。
不意に、誰かと目があった気がした、そっちの方向を見ると、赤いメガネのお姉ちゃんが無表情でこちらを見ているような? そんなことないか。
そして窓の外には巨大な蛇がいた、教室の中に入れない使い魔もいるんだね、猫とか、カラスとかフクロウとかもいるけれど。
あと、魔女の使い魔みたいな使い魔もいる、見た目がちょっと変な使い魔だ。ああいうのも優秀な使い魔なんだろうか、不思議な世界だ。
「ゆま、わたしの隣に座りなさい」
「うん!」
「それと、この紙、できるだけ先生の話をメモしてなさい、分からないところは昨日と同じように教えてあげるから」
ようし、がんばるぞ!
私は気合を入れて先生を待つ。
扉が開いて先生を待った。
おばさんだった、紫色のローブに身を包んで帽子をかぶっている。バザーでキョーコと喧嘩したおばさんとよく似ている。
きっと、あの人もメイジなんだろう、なんてたって先生だもんね、あんまり失礼な態度は取らないようにしないと。
「皆さん、春の使い魔召喚は大成功のようですね、このシュヴルーズ、こうやって春の新学期に様々な使い魔を見るのがとても楽しみなのですよ」
その時、ルイズのお姉ちゃんがちょっとだけ俯いた。
「おやおや、変わった使い魔を召喚したものですね、ミス・ヴァリエール」
ミス・ヴァリエール……たしか、ルイズお姉ちゃんの名前だ。
ということは、変わった使い魔というのはわたしのことだ。
うー、わたしのことはいいけど、ルイズのお姉ちゃんを言うのは許せないなあ。
教室中が笑いに包まれて、ルイズのお姉ちゃんの顔が赤く染まる。
「ルイズ! しょうか!? ぐへぇ!」
なんだろうか、からかおうとした声が聞こえたような気がしたけど。
「げほっ、召喚出来なかったからって平民を連れてきたんだろ!」
「そんなことないわ! わたしはちゃんと成功したわよ!」
「そうだよ! ルイズのお姉ちゃんを悪く言うのはゆまが許さないよ!」
そう言ってソウルジェムを掲げて変身する。
すっかり姿が変わったわたしに、教室中が騒然とした。
「ゆま……あなた本当に変身できたのね……」
「ルイズのおねえちゃんを笑う人はゆまが懲らしめちゃうんだから」
そういって、からかっていた太っちょの人に向けてハンマーを向ける。
その時、何かの気配を感じて、杏子から習った結界を張った、ばちばちばち! とすごい音がする、目の前に赤土が落ちていた。
「……では、授業を始めましょう、使い魔さんも席について」
わたしはおとなしく席に座った。
これ以上喧嘩してたらルイズのお姉ちゃんに迷惑がかかっちゃうし。
「私の二つ名は赤土、赤土のシュヴルーズです、土の系統の魔法をこれから一年皆さんに講義します。魔法の四大系統はご存知ですね、ミスタマリコルヌ」
えーっと、先生は赤土。土の先生。っと。
「はい! ミセス・シュヴルーズ。火水土風の4つです!」
ということは、火の先生、水の先生、土の先生、風の先生がいると。
「今は失われた系統の魔法である虚無を含めて、全部で五つの系統があることはみなさんも知っての通りです。その五つの系統の中で土が最も重要なポジションであることを占めていると私は考えます。それは決して私は土系統だからというわけではありませんし、単純な身びいきでもありません」
あんまり説得力がないような気がした。
「土の系統の魔法は万物の組成を司る、重要な魔法であるのです。このような魔法がなければ重要な金属を作り出すことはできないし、大きな石を切り出して建物を建てることも出来なければ、農作物の収穫も今よりも手間取ることでしょう、このように土の系統はみなさんの生活に密接に関係しているのです」
ってことは、魔法がゆまたちの世界のノコギリとか、チェーンソーとか、釘とか、そういう道具に該当しているってことなんだ。
魔法を使えるってだけで偉いっていうのがなんとなく分かった気がする。でも、魔法を使わなくても生活している人もいるのにな、とも考えた。
苦労をすれば魔法も使わず、いろいろな技術が進歩するだろうに、魔法のせいできっとそれが遅れちゃってるんだろう。
「今から皆さんには、土系統の魔法の基本である錬金の魔法を覚えてもらいます、一年の時にできるようになった人もいるでしょうが基本は大事です、もう一度おさらいすることに致します」
錬金錬金っと、基本。っと。
先生は石ころに向かって魔法を使った。
光が収まると、ただの石ころがキラキラ光る真鍮に変わっていた。
「ゴゴゴ、ゴールドですか! ミセス・シュヴルーズ!」
キュルケお姉ちゃんが盛り上がっていたけど、真鍮と金だとだいぶその価値が違うと思う。
「いいえ、コレはただの真鍮です。ゴールドを錬金できるのはスクウェアクラスのメイジだけです、私はただの、トライアングルですから」
スクウェア? トライアングル?
「ゆま、スクウェアやトライアングルというのは、メイジのレベルのことよ」
わたしが質問する前に、ルイズのお姉ちゃんが説明をしてくれる。
きっと予測をしていたのだろう。
「先ほどの4つの属性を、足す火水土風ね、それぞれ同じ属性を足したりすることによって、強力な魔法が使えるように鳴るわ」
「トライアングルってことは、{{英数字}}3つってこと?」
「そのとおり、一つだと、ドット、二つだとライン、{{英数字}}4つでスクウェアね」
なるほど……。
「ミス・ヴァリエール、授業中に私語をするなら、錬金をやってご覧なさい」
しまった、ゆまとのおしゃべりのせいでルイズのお姉ちゃんが指名されちゃった。
どうしよう、私はキョーコにもマミお姉ちゃんにも錬金なんて習ってない、習ったのは分身魔法と結界と、銃の出し方と、大砲の出し方だけだ。
ティロ・フィナーレなんてしたら授業がめちゃくちゃになっちゃうし……。
「わかりました」
ルイズのお姉ちゃんが答える。
わたしは申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
そうして、教室の前に歩いていったお姉ちゃんは不思議と緊張をしている様子だった。
そして、他のクラスメートの人達も、なんでだろ?
「ミス・ヴァリエール、錬金したい金属を強く心に思い浮かべるのです」
目を閉じて呪文を唱え始めたルイズのお姉ちゃんはとても綺麗だった。
わたしを魔法少女にした、織莉子お姉ちゃんよりも、ある時突然消えてしまったほむらおねえちゃんと同じくらいに綺麗だった。
このクラスでは赤いメガネのお姉ちゃんと、キュルケお姉ちゃんくらいしか、ルイズのおねえちゃんと同じくらいに綺麗な人はいない。
そして、ルイズのお姉ちゃんは杖を振り下ろした。
その瞬間机ごと石ころが爆発した。私はキョーコに習った結界魔法を全開で使い自分自身を守ったけど、ルイズのおねえちゃんと先生は黒板に吹っ飛ばされた。
教室の中にいた使い魔たちが暴れだし、教室の中はすごい騒ぎになる。
――これなら、ティロ・フィナーレをしてたほうが良かったかも。
「怪我をした人はゆまに言ってね? 治してあげるよ!」
近くで傷を抱えていた使い魔や、メイジの人たちに回復魔法をかける、それでもソウルジェムは曇らない、大丈夫、どんどん使える。
そうだ、先生とルイズのお姉ちゃんは!
すすで真っ黒になったルイズのおねえちゃんがムクリと立ち上がり、ポケットから取り出したハンカチですすを吹きながら淡々とした声で言った。
「ちょっと失敗しちゃったみたいね」
「おねえちゃん大丈夫!」
「だいじょうぶよゆま、それよりも先生を回復させてあげて」
「うん!」
そうしている間にも教室中からゼロのルイズだの、
「いつだって魔法の成功率ゼロじゃねえかよ!」
といった声が聞こえてくる。
そっか、だからあの時ゼロのルイズってキュルケのお姉ちゃんは……って、大変、気絶した先生を回復させないと!