マミお姉ちゃんに聞いたことがある。
国境のトンネルを抜けると、で始まる有名な小説があるって。
魔女との戦闘中に、結界内で鏡が現れて、次の階層へと向かうドアと思って飛び込むと、そこには抜けるような青空と、草原が待っていました。
周りには中世ヨーロッパのような建物が並んで、様々な生き物たちが、そこには非生物や何から何までわたしを注目しているのでした。
「あんた誰?」
その中でも一番注目をしていたのでしょう、ブロンドの桃色がかった、ふわふわの長い髪を持つ綺麗な女の人。私をまじまじと見つめながら口を開いていました。
織莉子お姉ちゃんとの戦闘で共闘したあと、唐突にいなくなってしまった色白のほむらお姉ちゃんと同じような肌を持つ女の人。
でも、おそらく日本人じゃない。
沢山の人から注目されてわたしは泣きたくなってしまいました。もともと心が強くない私はこういうふうに注目されることに慣れてはいないのです。
「うう……」
涙が出そうになるのを一生懸命我慢をします。
口を一生懸命に閉じて涙を出ないように。
すると桃色の髪の人が近づいてきて、頭をゆっくりと撫でるようにします。
やさしくやさしく。
「ああ、もう、あんた泣かないの……お名前は?」
「ゆまは……千歳ゆま」
キョロキョロと周りを見渡す。
桃色の髪のお姉ちゃんと同じ制服を着た女の子や、男の人たち。
そんな人達をきゅっとした厳しい瞳で、睨みつけている青色の短髪の眼鏡の人がいた。
とりあえず今はありがたい。
そういえばソウルジェムが曇っている。
使い魔との戦闘中に多少曇ってしまっていたらしい。
「お姉ちゃんの、名前は?」
「ルイズよ、あなた、平民?」
平民と言われちゃった。
平民といえばどんな人? と聞かれれば、キョーコやマミお姉ちゃんはなんと答えるのだろう。
キョーコはゆまの一番最初に出会った魔法少女。ママが魔女に殺された時に、その魔女を倒してくれたのがキョーコ。
それ以来ずっと一緒にいろんなことをした。
キョーコならきっと、「アタシは平民かもしれないけど、あんたにそんな事言われる筋合いはない」っていうだろう。
ゆまをキョーコと同じ魔法少女へ導いたのが織莉子お姉ちゃん。わたしにはその人の何をしようとしたのか、そういうのはよく分からないけれど。戦っている最中にほむらお姉ちゃんの大事な人を殺されてしまったし、織莉子お姉ちゃんも死んでしまった。
その織莉子お姉ちゃんとの戦闘の時に(本当はもうちょっと前に会っているんだけど)マミお姉ちゃんと仲良くなって、それ以来、マミお姉ちゃん、キョーコ、わたしっていうパーティを組んで魔女退治をしていたんだけど。
「これじゃあ、拉致があかないわね……ミスタ・コルベール!」
ルイズお姉ちゃんが怒鳴った。
たくさんの生徒たちの間から、中年のおじさんが現れた。
頭がちょっと寂しい感じ。
大きな杖を持って、真っ黒なローブに身を包んでいる。
「なんだね、ミス・ヴァリエール」
「あの、もう一度召喚をしなおさせてください!」
召喚? なんだろう。
ゆまは召喚されたんだろうか。
あ、そういえば戦ってたはずなのに今は普通の格好をしている。
ソウルジェムも胸元にあるし。
「それは駄目だ、ミス・ヴァリエール」
「どうしてですか!」
「決まりだよ、二年生に進級する際、君たちは使い魔を召喚する、今やっているとおりだ」
使い魔?
ゆまは使い魔として召喚されたの?
「それによって現れた使い魔で、今後の属性を固定し、それにより専門課程へと進むんだ。一度呼び出した使い魔は変更することはできない、なぜなら春の使い魔召喚は神聖な儀式なんだ。好む好まざる……このような幼子を使い魔にするのは心が痛むかもしれないが、彼女を使い魔にするしか無い」
「でも、平民を使い魔にするなんて聞いた事無いですよ!」
ルイズお姉ちゃんがそう言うと、周りがどっと笑う。
その際雪風が吹いてクラスメートが凍った……なんでだろ? 魔法かな?
「コレは伝統なんだミス・ヴァリエール、例外は認められない、彼女は」
コルベールと呼ばれた先生らしき人は一息ついて、
「ただの平民の子どもであるかもしれないが、呼び出された以上君の使い魔になるしか無い。古今東西、人を使い魔にした例はないが、春の使い魔召喚の儀式のルールはあらゆるルールに優先する、彼女には君の使い魔になってもらわなくては」
「そんな……」
ルイズお姉ちゃんは失望したように肩を落とした。
ゆまのせいでこうなっちゃったの?
お姉ちゃんを見上げる。
ルイズお姉ちゃんは首を振って、きっと前を向いた。
「さて、では儀式を続けなさい」
「はい」
その返事は力強かった。
「ゆま、あなたは平民でありわたしは貴族、本来ならばこんなことはありえないの」
お姉ちゃんはわたしに語りかけるようにつぶやいた。
そうして体を屈め、
「我が名はルイズ・フランソワーズル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。{{英数字}}5つの力を司るペンタゴンこの者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
朗々とゲームで見たような呪文を唱え始める。
そして、杖をゆまの額へとおいた。
ゆっくりと、唇を近づけて……重ねられた。
「わたし、女の子とキスをしたの初めて!」
「そう、私も小さい子でよかったわ」
そういって二人で笑う。
ひとしきり笑ったあと、ルイズお姉ちゃんは先生の方へ向きなおして。
「終わりました」
彼はまじまじと眺めて、わたしの方を向き直り。
「サモン・サーヴァントは何回も失敗したが、コントラクト・サーヴァントはきちんとできたね」
と、嬉しそうに言った。
「相手方だの平民だか!?」
「そいつが行為の幻獣だ!?」
野次を飛ばそうとした生徒たちの口に雪が詰められる。
いったいさっきから誰がやっているんだろう?
「いたたたたたた!」
わたしの全身が熱くなり、特に左手が熱い!
熱い痛い熱い痛い!
「あらあらあら。可哀想に、ゆま、大丈夫よすぐに終わるわ」
そういって頭を撫でてくれる。
こうされていると我慢が出来そうな気がする。
「うん……左手に宝石と、ルーンか……珍しい形だね」
「本当……ゆま、綺麗な宝石ね」
ソウルジェムのことを褒めてくれてる。
痛かったけど、こうして左手にはめ……はまっちゃったよ!?
しかもなんだかソウルジェムの汚れまで払われちゃってる!?
「平民がもつようなものじゃないけれど、ハマっているんじゃしょうがないわ」
「そうなの?」
「ええ、貴族のわたしから見ても、素晴らしい出来の宝石ね」
「さてと、皆教室に戻るぞ」
といって、先生が空を飛んだ。
他の皆も飛んで何処かへといってしまう。
空を飛べるの?
あの人達も魔法少女なの? でも、男の人もいたし?
何かマジックでも使ってるのかな?
「ルイズ、お前はあるへぶぅ!」
「あいつフライはおろか、レビィゲボォ!?」
またしても野次を飛ばそうとした人に雪が飛ばされる。
「……ルイズ、その子、きっとあなたにお似合いよ」
最後に飛んでいった胸の大きな褐色のお姉ちゃんが冷や汗をかきながら言った。
残されたのはわたしとルイズお姉ちゃんだけだった。
「ゆま、行きましょうか」
「ルイズお姉ちゃんは飛んで行かないの?」
「飛べないのよ……悔しいけどね」
その横顔は本当に悔しそうで、これ以上何もいえなかった。
「ねえ、お姉ちゃん、ここはどこ?」
「分からないの?」
「うん、ミタキハラってところから来たんだけど……」
「聞いたこともないわ……そのような田舎から来たなら、トリステイン魔法学院のことも知らないでしょうね」
トリステイン魔法学院とは、魔法を学ぶ場所。
今行われたのは春の使い魔召喚試験、二年生になると行われるみたい。
だからルイズお姉ちゃんは二年生ということになる。
そして私はその使い魔。
で、ルイズお姉ちゃんはご主人様ということになる。
「あ、そうだ、あの人達飛んでたよね、魔法少女なの?」
「魔法少女?」
「変身したほうが分かりやすいね」
そういってソウルジェムを前に差し出して変身する。
「姿が……変わった……? あなた、メイジなの?」
「ゆまは魔法少女だよ」
「……(ちょっと変わった平民といったところか)そう、わかったわ」
わたしは元に戻る。
「とにかく、平民とメイジ、貴族との間には絶対的な差があるの」
「差?」
「そう、私以外の貴族には気を許してはいけないわ、いいわね?」
注意される。
コレは気を付けなければいけない。
「うん、ゆまわかったよ!」
「ええ、いい子ね」
ただその表情は不安そうだった。
わたしたちは歩いて次の授業の場所へと向かい、一日中魔法のことについて学んだ、当然だけど平民のわたしにはよく分からない授業だった。
国境のトンネルを抜けると、で始まる有名な小説があるって。
魔女との戦闘中に、結界内で鏡が現れて、次の階層へと向かうドアと思って飛び込むと、そこには抜けるような青空と、草原が待っていました。
周りには中世ヨーロッパのような建物が並んで、様々な生き物たちが、そこには非生物や何から何までわたしを注目しているのでした。
「あんた誰?」
その中でも一番注目をしていたのでしょう、ブロンドの桃色がかった、ふわふわの長い髪を持つ綺麗な女の人。私をまじまじと見つめながら口を開いていました。
織莉子お姉ちゃんとの戦闘で共闘したあと、唐突にいなくなってしまった色白のほむらお姉ちゃんと同じような肌を持つ女の人。
でも、おそらく日本人じゃない。
沢山の人から注目されてわたしは泣きたくなってしまいました。もともと心が強くない私はこういうふうに注目されることに慣れてはいないのです。
「うう……」
涙が出そうになるのを一生懸命我慢をします。
口を一生懸命に閉じて涙を出ないように。
すると桃色の髪の人が近づいてきて、頭をゆっくりと撫でるようにします。
やさしくやさしく。
「ああ、もう、あんた泣かないの……お名前は?」
「ゆまは……千歳ゆま」
キョロキョロと周りを見渡す。
桃色の髪のお姉ちゃんと同じ制服を着た女の子や、男の人たち。
そんな人達をきゅっとした厳しい瞳で、睨みつけている青色の短髪の眼鏡の人がいた。
とりあえず今はありがたい。
そういえばソウルジェムが曇っている。
使い魔との戦闘中に多少曇ってしまっていたらしい。
「お姉ちゃんの、名前は?」
「ルイズよ、あなた、平民?」
平民と言われちゃった。
平民といえばどんな人? と聞かれれば、キョーコやマミお姉ちゃんはなんと答えるのだろう。
キョーコはゆまの一番最初に出会った魔法少女。ママが魔女に殺された時に、その魔女を倒してくれたのがキョーコ。
それ以来ずっと一緒にいろんなことをした。
キョーコならきっと、「アタシは平民かもしれないけど、あんたにそんな事言われる筋合いはない」っていうだろう。
ゆまをキョーコと同じ魔法少女へ導いたのが織莉子お姉ちゃん。わたしにはその人の何をしようとしたのか、そういうのはよく分からないけれど。戦っている最中にほむらお姉ちゃんの大事な人を殺されてしまったし、織莉子お姉ちゃんも死んでしまった。
その織莉子お姉ちゃんとの戦闘の時に(本当はもうちょっと前に会っているんだけど)マミお姉ちゃんと仲良くなって、それ以来、マミお姉ちゃん、キョーコ、わたしっていうパーティを組んで魔女退治をしていたんだけど。
「これじゃあ、拉致があかないわね……ミスタ・コルベール!」
ルイズお姉ちゃんが怒鳴った。
たくさんの生徒たちの間から、中年のおじさんが現れた。
頭がちょっと寂しい感じ。
大きな杖を持って、真っ黒なローブに身を包んでいる。
「なんだね、ミス・ヴァリエール」
「あの、もう一度召喚をしなおさせてください!」
召喚? なんだろう。
ゆまは召喚されたんだろうか。
あ、そういえば戦ってたはずなのに今は普通の格好をしている。
ソウルジェムも胸元にあるし。
「それは駄目だ、ミス・ヴァリエール」
「どうしてですか!」
「決まりだよ、二年生に進級する際、君たちは使い魔を召喚する、今やっているとおりだ」
使い魔?
ゆまは使い魔として召喚されたの?
「それによって現れた使い魔で、今後の属性を固定し、それにより専門課程へと進むんだ。一度呼び出した使い魔は変更することはできない、なぜなら春の使い魔召喚は神聖な儀式なんだ。好む好まざる……このような幼子を使い魔にするのは心が痛むかもしれないが、彼女を使い魔にするしか無い」
「でも、平民を使い魔にするなんて聞いた事無いですよ!」
ルイズお姉ちゃんがそう言うと、周りがどっと笑う。
その際雪風が吹いてクラスメートが凍った……なんでだろ? 魔法かな?
「コレは伝統なんだミス・ヴァリエール、例外は認められない、彼女は」
コルベールと呼ばれた先生らしき人は一息ついて、
「ただの平民の子どもであるかもしれないが、呼び出された以上君の使い魔になるしか無い。古今東西、人を使い魔にした例はないが、春の使い魔召喚の儀式のルールはあらゆるルールに優先する、彼女には君の使い魔になってもらわなくては」
「そんな……」
ルイズお姉ちゃんは失望したように肩を落とした。
ゆまのせいでこうなっちゃったの?
お姉ちゃんを見上げる。
ルイズお姉ちゃんは首を振って、きっと前を向いた。
「さて、では儀式を続けなさい」
「はい」
その返事は力強かった。
「ゆま、あなたは平民でありわたしは貴族、本来ならばこんなことはありえないの」
お姉ちゃんはわたしに語りかけるようにつぶやいた。
そうして体を屈め、
「我が名はルイズ・フランソワーズル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。{{英数字}}5つの力を司るペンタゴンこの者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
朗々とゲームで見たような呪文を唱え始める。
そして、杖をゆまの額へとおいた。
ゆっくりと、唇を近づけて……重ねられた。
「わたし、女の子とキスをしたの初めて!」
「そう、私も小さい子でよかったわ」
そういって二人で笑う。
ひとしきり笑ったあと、ルイズお姉ちゃんは先生の方へ向きなおして。
「終わりました」
彼はまじまじと眺めて、わたしの方を向き直り。
「サモン・サーヴァントは何回も失敗したが、コントラクト・サーヴァントはきちんとできたね」
と、嬉しそうに言った。
「相手方だの平民だか!?」
「そいつが行為の幻獣だ!?」
野次を飛ばそうとした生徒たちの口に雪が詰められる。
いったいさっきから誰がやっているんだろう?
「いたたたたたた!」
わたしの全身が熱くなり、特に左手が熱い!
熱い痛い熱い痛い!
「あらあらあら。可哀想に、ゆま、大丈夫よすぐに終わるわ」
そういって頭を撫でてくれる。
こうされていると我慢が出来そうな気がする。
「うん……左手に宝石と、ルーンか……珍しい形だね」
「本当……ゆま、綺麗な宝石ね」
ソウルジェムのことを褒めてくれてる。
痛かったけど、こうして左手にはめ……はまっちゃったよ!?
しかもなんだかソウルジェムの汚れまで払われちゃってる!?
「平民がもつようなものじゃないけれど、ハマっているんじゃしょうがないわ」
「そうなの?」
「ええ、貴族のわたしから見ても、素晴らしい出来の宝石ね」
「さてと、皆教室に戻るぞ」
といって、先生が空を飛んだ。
他の皆も飛んで何処かへといってしまう。
空を飛べるの?
あの人達も魔法少女なの? でも、男の人もいたし?
何かマジックでも使ってるのかな?
「ルイズ、お前はあるへぶぅ!」
「あいつフライはおろか、レビィゲボォ!?」
またしても野次を飛ばそうとした人に雪が飛ばされる。
「……ルイズ、その子、きっとあなたにお似合いよ」
最後に飛んでいった胸の大きな褐色のお姉ちゃんが冷や汗をかきながら言った。
残されたのはわたしとルイズお姉ちゃんだけだった。
「ゆま、行きましょうか」
「ルイズお姉ちゃんは飛んで行かないの?」
「飛べないのよ……悔しいけどね」
その横顔は本当に悔しそうで、これ以上何もいえなかった。
「ねえ、お姉ちゃん、ここはどこ?」
「分からないの?」
「うん、ミタキハラってところから来たんだけど……」
「聞いたこともないわ……そのような田舎から来たなら、トリステイン魔法学院のことも知らないでしょうね」
トリステイン魔法学院とは、魔法を学ぶ場所。
今行われたのは春の使い魔召喚試験、二年生になると行われるみたい。
だからルイズお姉ちゃんは二年生ということになる。
そして私はその使い魔。
で、ルイズお姉ちゃんはご主人様ということになる。
「あ、そうだ、あの人達飛んでたよね、魔法少女なの?」
「魔法少女?」
「変身したほうが分かりやすいね」
そういってソウルジェムを前に差し出して変身する。
「姿が……変わった……? あなた、メイジなの?」
「ゆまは魔法少女だよ」
「……(ちょっと変わった平民といったところか)そう、わかったわ」
わたしは元に戻る。
「とにかく、平民とメイジ、貴族との間には絶対的な差があるの」
「差?」
「そう、私以外の貴族には気を許してはいけないわ、いいわね?」
注意される。
コレは気を付けなければいけない。
「うん、ゆまわかったよ!」
「ええ、いい子ね」
ただその表情は不安そうだった。
わたしたちは歩いて次の授業の場所へと向かい、一日中魔法のことについて学んだ、当然だけど平民のわたしにはよく分からない授業だった。
魔女との結界の中に突然に現れた鏡。
次の魔女へと続く道だと思ってくぐったらトリステイン魔法学院というところへやって来てしまった。
キョーコやマミお姉ちゃんとは別れて。
「それ、本当?」
「うん」
「……魔女に使い魔……あなたも戦って……ふうむ」
そういって腕組み。
何かを考えている様子だ。
わたしたちはテーブルを挟んだ椅子に座っていた。
ここは、ルイズお姉ちゃんの部屋。キョーコと入ったことのあるホテルよりも広い部屋だ。南向きの窓に、西側に大きめのベッド、ちょうど二人で眠れそうなくらいだ。
「ああ、一つ注意をしなければいけないことがあるわ」
「他の人と仲良くしちゃいけないっていう?」
「それもあるけれど、あなたの田舎へ返す呪文はないわ」
「ゆま……帰れないの?」
涙目になる。
そうするとルイズお姉ちゃんがよってきて頭を撫でてくれた。
「本当はね、サモン・サーヴァントはこのハルケギニアの生物を呼び出すの、決してチキューだのミタキハラだのから呼び出す魔法じゃないわ」
ここで、一息ついて。
「それに、本当は幻獣や動物なんかを呼び出すの。人間を呼び出すなんて初めてよ、しかも変身する小さな子供なんてね」
ため息混じりにそういうのだった。
「サモンサーヴァントをもう一度使うには、あなたが死なないといけない、でも、私はあなたを殺したくなんて無い……そして、使い魔として扱うのも難しい」
「ゆま、できることをするよ!」
「使い魔は主人の目となり耳となる、けれど無理ね」
わたしもルイズお姉ちゃんが見えている景色は分からなかった。
「それから、使い魔は主人の望むものを見つけてくることができる」
「望むもの?」
「ふふ、いいのよ気にしないで」
そういう横顔は悲しそうだった。
ゆまができること、治癒魔法。
そして変身した時に使うハンマー。
戦闘くらいしか無いかな。
「そろそろ眠くなってきたかな、一緒に寝ましょう、ゆま」
「いいの?」
「あなたをわらで寝かせる訳にはいかないじゃない」
そういって布団に入る。
すぐにルイズお姉ちゃんの寝息が聞こえ始めた。
魔法というのは思ったより体力を使うみたいだ。
「ゆまが治してあげる」
治癒魔法を使う。
普段は治癒魔法を使うと、ソウルジェムが曇るけど、そんなことはない。
ルーンと一緒に入ってしまったソウルジェム、どうしてこうなったかはよく分からないし、私の能力もよく分からない。
「頑張るよ、キョーコ、マミお姉ちゃん」
そういってわたしも目を閉じた。
次の魔女へと続く道だと思ってくぐったらトリステイン魔法学院というところへやって来てしまった。
キョーコやマミお姉ちゃんとは別れて。
「それ、本当?」
「うん」
「……魔女に使い魔……あなたも戦って……ふうむ」
そういって腕組み。
何かを考えている様子だ。
わたしたちはテーブルを挟んだ椅子に座っていた。
ここは、ルイズお姉ちゃんの部屋。キョーコと入ったことのあるホテルよりも広い部屋だ。南向きの窓に、西側に大きめのベッド、ちょうど二人で眠れそうなくらいだ。
「ああ、一つ注意をしなければいけないことがあるわ」
「他の人と仲良くしちゃいけないっていう?」
「それもあるけれど、あなたの田舎へ返す呪文はないわ」
「ゆま……帰れないの?」
涙目になる。
そうするとルイズお姉ちゃんがよってきて頭を撫でてくれた。
「本当はね、サモン・サーヴァントはこのハルケギニアの生物を呼び出すの、決してチキューだのミタキハラだのから呼び出す魔法じゃないわ」
ここで、一息ついて。
「それに、本当は幻獣や動物なんかを呼び出すの。人間を呼び出すなんて初めてよ、しかも変身する小さな子供なんてね」
ため息混じりにそういうのだった。
「サモンサーヴァントをもう一度使うには、あなたが死なないといけない、でも、私はあなたを殺したくなんて無い……そして、使い魔として扱うのも難しい」
「ゆま、できることをするよ!」
「使い魔は主人の目となり耳となる、けれど無理ね」
わたしもルイズお姉ちゃんが見えている景色は分からなかった。
「それから、使い魔は主人の望むものを見つけてくることができる」
「望むもの?」
「ふふ、いいのよ気にしないで」
そういう横顔は悲しそうだった。
ゆまができること、治癒魔法。
そして変身した時に使うハンマー。
戦闘くらいしか無いかな。
「そろそろ眠くなってきたかな、一緒に寝ましょう、ゆま」
「いいの?」
「あなたをわらで寝かせる訳にはいかないじゃない」
そういって布団に入る。
すぐにルイズお姉ちゃんの寝息が聞こえ始めた。
魔法というのは思ったより体力を使うみたいだ。
「ゆまが治してあげる」
治癒魔法を使う。
普段は治癒魔法を使うと、ソウルジェムが曇るけど、そんなことはない。
ルーンと一緒に入ってしまったソウルジェム、どうしてこうなったかはよく分からないし、私の能力もよく分からない。
「頑張るよ、キョーコ、マミお姉ちゃん」
そういってわたしも目を閉じた。