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ゼロのしもべ第3部-7

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 ここは梁山泊の最深部。忠義堂。晁蓋ことガリア王ジョゼフは腕組みをしてブレランドの報告を聞いていた。
「では予定通り、クロムウェルは。」
「はい。今回のドミノ作戦、クロムウェルに渡した命の鐘が鍵になります。それゆえ本人が陣頭指揮を執ることに決定しました。」
 すでにクロムウェル自身は作戦のため地上に降りております、とブレランド。目を閉じてそれを聞く晁蓋。
「だがクロムウェルは……」
「はい。すでに限界が近いと……」
 ブレランドが汗を拭きながら答える。
「あまりあれを長く使うのは危険だと説明しておいたのですが。今回の作戦、バビル2世を相手にする必要がある以上、確実に成功
させる必要がありますゆえ。」
「本人が強く希望したのか。」
 頷くブレランド。
「クロムウェルはここでバビル2世をしとめるつもりのようです。」
 ふーむ、と考え込む晁蓋。ブレランドはあいかわらず汗を拭っている。
「今回アンリエッタにしかける上屋抽梯の計、誘拐に成功しようが成功しまいがさほど影響はない。アンリエッタがクロムウェルに憎
しみを抱くかどうかが重要なのだ。そういう意味では、直に姿を見せ、怒りをあおるのは効果的かもしれない。」
「ですが、そのアンリエッタの前でバビル2世にクロムウェルが倒されれば、ドミノ作戦全体に影響があるやも知れませぬ。」
「その通りだ。」
 晁蓋が立ち上がり、人を呼んだ。
「これ、張飛殿をお呼びしろ。」
「はっ」と声がして、人の走り去る気配。やがて張飛が姿をあらわす。
「お呼びですか、晁蓋様。」
 山賊か夜盗かという大男が跪く。紛れもなく張飛であった。
「張飛殿。九大天王であるあなたを見込んで頼みがある。」
 晁蓋が、張飛の耳元に口を寄せた。

 というわけで(どういうわけだ)まずは水の精霊を襲う不埒ものを退治しようということになった。
「上手い具合に犯人が現れてくれればいいんだけど…」
 ルイズの危惧はもっともである。そんなに都合よく今日現れるとは思えない。
「長期戦を覚悟しなければいけないかもしれないな。」
 水の精霊に教えられた、襲撃者が水に入ってくるというガリア側の岸辺周辺に陣取る4名。ロプロスは湖の中に隠れさせた。これで
襲撃者が逃げようとしても即座に追いかけることができる。というか腰を抜かす可能性が高い気もする。
 襲撃者が来るのは深夜であるらしい。それまで少し時間がある。ここをうろうろしていて襲撃者に怪しまれれば元も子もない。仮眠
をして夜に備えよう、ということになった。
 仮眠をできる場所を探していると、まずルイズが
「ちょっとお花を摘みに…」
と森の奥へと姿を消した。よく考えたら朝、学院を出発してから一度もしてないことになる。ルイズの様子を見て、モンモンも催したの
だろう。
「わたしは珍しい薬草を見つけたから…」
とルイズとは別方向へ姿を消した。こういうとき女は不便である。なにしろ男はホースがついているのだ。
 しばらくして、モンモンが帰ってきた。なぜか顔が青く、震えている。
「で、で、で、でたでたでたでた……」
 ガチガチと歯の根が合わない。声も震えている。出たのは喜ばしいことではないだろうか、などと考えていると容赦なく平手打ちを
食らわせられた。いつの間に読心術を身につけたのだろうか。
「出たって、違うわよ!お化けよ、お化け!」
「お化け?」
「そう、真っ赤なお化けよ!」
 モンモンの話によるとこうだ。座って花を摘んでいると、突然真っ赤な幽霊が現れて、森の奥へと消えて行った。なぜ幽霊と判断した
のかというと、とつぜん足元からスーッと消えてしまったからだという。
「消えた?」
「そう、消えたのよ!おまけに鎧姿だったし!きっと大昔にこの辺りで死んだ騎士の幽霊よ!真っ赤なのは血まみれってことよ!」
 力説をするモンモン。ギーシュとバビル2世は困ったように顔を見合わせ。
「モンモランシー。水の精霊との交渉で疲れているんじゃないか。それで幻覚を見たんだよ…」
「そうだな。座り込んだ瞬間、つい寝てしまったのかもしれない。」
 2人とも内心「漏らしたのを誤魔化しているんだな」と考えていたが、触れないでおいてあげた。それが優しさというものだ。
「そ、そうかしら……」モンモンは未だに納得いかなそうな顔をしている。
「そうだよ。だから気にすることはないよ。」
 ギーシュの余計な一言はモンモンの拳を貰うに充分であった。
「何を気にすることがないですって?」
 ギーシュは吹っ飛んだままピクリと動かない。どうやら漏らしたのは間違いないらしい。
 そこへ、同じようにルイズが青い顔をして現れた。
「で、出た……。お、お化け……。」
 モンモンが硬直をする。バビル2世が目を瞬かせる。ギーシュが上半身を起こす。
「……まさか、赤いお化けかい?」
 まさかと思い訊くバビル2世。ルイズはかぶりを激しく横に振った。
「違うわよ!ウェールズ王子よ!ウェールズ皇太子の幽霊よ!」
 ガタガタと震えながら、ルイズは言った。
「うぇーるずおうじの幽霊?」
 バビル2世が思わず聞き返す。何を言ってるんだ。ウェールズ王子は生きているし、そもそも今タルブの村にいるはずだ。
 先日の闘いで鉄人28号を目撃した人間が数多くいた。王宮は直ちに調査団を派遣し、ショウタロウ一家はえらい騒ぎになっている
という。戦功があったとはいえショウタロウ老人は平民である。軍属ではない人間が戦闘に参加したことについて、扱いをどうすべき
かでもめているのだ。それに一部には、アルビオンの竜騎士を鉄人が無残な方法で殺したため、「ちょっとやりすぎじゃないか」との
声もある。名誉を重んじるメイジにとって、いくら戦場でも残忍な方法で殺すということは、場合によっては不名誉罪にあたるという。
殺したのはシエスタなのだが、ショウタロウ老人は罪をかぶるつもりでいるのだ。
 というわけで残月はショウタロウ老人を守るために奔走しているのだ。トリステイン王宮に、亡命政府から働きかけるように要請し、
自分が率いる裏の機関を使って工作活動を行う。そのかいあって全体的にはお咎めなしの方向に話は傾きつつある。
 そんなこんなで忙しい残月がここにいるわけはない。これこそ何かの見間違いに違いない。
「見間違いじゃないわ!あれだけ近くでご尊顔を拝見したのよ?見間違えるわけないでしょ!」
 青筋を立てて怒るルイズ。正直なところ幽霊よりもよっぽど怖い。
「ふむ。」
 ひょっとすると孔明の指示とやらでここまでやって来たのだろうか。だがそれならばなぜ覆面を外しているのかという疑問が浮かぶ。
でもまあ、孔明の策で外しているのかもしれない。
「わかった。それはルイズの言うとおりウェールズ王子の幽霊だろう。そういうことにしておこう。」
「……なんだか気に食わない言い方だけど、仕方ないわね。」
 ここは放置しておくに限る。いずれ残月に会うだろう。そのときに覆面を外していた理由を聞けばよいのだ。
「じゃあ、モンモンが見た幽霊はなんだったんだ?」
 やっぱり漏らしちゃったんだろうか?
「たぶん、アルビオンの亡霊がこのあたりをうろついているのよ!間違いないわ!」
 ルイズの証言で自信をつけたモンモンが、なぜか誇らしげに言う。別に自慢することではないと思うのだが。
「なぜこんなところをうろついているんだろうね?」
 もっともな疑問だ、ギーシュ。
「なにか思い出があるとかかしら……」とモンモン。
「すくなくとも幽霊がうろついていたんだから、何か理由があるはずだよ。」とギーシュ。
「………。」じっと遠い記憶を探るように黙りこくっているルイズ。
 結局、幽霊騒動で仮眠の件はうやむやになってしまったのだった。

 アルビオン湖湖畔の森の中を、1人の男が歩いている。
 たぶん、男であろう。全身を鎧で覆っているためよくわからない。
 人間ではなく生きた鎧だとか、ガーゴイル、ゴーレムといわれても納得するだろう。
 メイジなのかも知れない。なぜならマントを纏っているからだ。真っ赤な、血のように真っ赤なマントを。
 赤いのはマントだけではない。全身が赤一色であった。鎧が赤い。カブトが赤い。顔全体を覆うマスクも赤い。
 赤の中に、大きな目が瞬き一つせず浮いている。マスクに目玉を貼り付けたようであった。
 そう、モンモンの目撃した幽霊である。
 幽霊でないのは足音と、地面に映る影で明白。おまけに森の木をかきわけて進んでいるのだ。
 しかし、ならばなぜ消えたと証言したのだろうか。
 その男は地面を掘っていた。
 森の中、何のへんてつもない地面である。目印があるとか、特別な種類の土であるとか、そういうことはない。ただの土だ。
 変わったことがあるとすれば石や岩の多さである。ほんの少し掘っただけで、岩がゴロゴロ出てくるではないか。まるで掘るのを
妨げているかのようだ。いや、実際に妨げている。石が規則正しく、石垣のように整列しているのだ。つまり誰かがこの奥に何かを
埋めて、その上を石垣で覆っているということである。
 おまけにその石にはことごとく固定化の魔法がかけられている。いつごろにかけられた固定化なのかは不明だが、かなり古いこと
だけは間違いない。おかげで石の内側は魔法がかけられた当時のままを保っている。
 その石垣を平気で避けていくこの男は何者なのだろうか。
 石垣を避けると、今度は大きな平たい石が現れた。表面を鏡のように磨き上げた、宮殿にあってもおかしくないような大理石だ。
 男が腰から鞭を二本引き抜いた。そしてそれを大きく振りかぶり、岩めがけて叩きつけた。
 X字状に、何度も鞭を叩きつける。するとついには岩にひびが入り、音を立てて砕け散ったではないか。
 砕けた岩の破片を、男が避ける。避けたその下に、大きな棺のようなものが見えるではないか。
 棺を地上に運び出して、男が慎重に蓋を開ける。
 中には男が入っていた。
 奇妙な服装の男だ。バビル2世と1部で戦った阿魔野邪鬼が着ていたような服を着ている。肩まで伸ばしたザンバラ髪の長髪、腕
にはガントレットに似たものを嵌めている。死んでいるのか、ピクリとも動かない。だが死んでいるにしては妙に生々しい。蝋人形の
ようだ。
 男を掘り出した、鎧姿の男がどこからか剣を取り出した。それは人の背丈ほどもある、長大な剣であった。錆だらけで使い物になり
そうにない。どこかで、見たような剣だ。鎧姿の男はその剣を鞘から抜いて、棺の中の男に握らせた。
 握った瞬間、男に異常が起こった。
 左手の甲が眩いばかりに輝いたのだ。そしてルーンらしき文字が浮かび上がった。
 光に呼応するように、男の顔に生気が戻る。脈がなり始め、わずかではあるが呼気を始める。
 そして剣を握らせて10分後、棺の男がゆっくりと目を開けた。
 隻眼であった。
 左目だけが大きく見開かれた。
「おう、おう/」
と誰かが喚起の声を上げた。
「本当に、本当に蘇りやがった/オデレータ!/」
 剣だ。剣がしゃべっている。つまりこの剣はインテリジェンスソードだ。
「おい、前の相棒!/」
 剣が嬉しそうに、蘇った男に話しかける。
「なんでも、お前たちの力が必要なんだってよ/新しいブリミルの子孫に、必要なんだってよ!/」
 男の右手には、槍のような長い棍が握られていた。七節棍と呼ばれる武器であった。

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