あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

Call of Different ACT6


フーケが学院の宝物庫を襲った後

「相棒、死んでねぇか?!早速死なれたら困るぜオイ!」
デルフが馬鹿な事を言う
「あ、あぁ……」
ルイズが膝を付き目に涙を浮かべる、ローチが自分を助けるために怪我をした
「ローチ!おい!大丈夫か?!」
ゴーストがローチの元に走り蹲っているローチの肩を叩く
「っぐ…ぁ…ゲホッ!ゴホッ!…すっげぇ…ッづ!…暴徒鎮圧用のゴム弾を至近距離から…ゲホッ!
 ぶち込まれたみたいですよ…っはぁっ…!」
顔を上げてゴーストに向かって無理に笑顔を作る、場所が場所の為骨折はしていないだろうが酷い打撲と筋肉の断裂はしている筈だ
「ご…ごめんなさい…ローチ…私のせいで…!ごめんなさい…」
「あぁ?ごめんなさい、だぁ?オイ嬢ちゃん、オマエが何したか分かってんのか?謝って済む問題だと思ってんのか?
 ローチはあの時言ったはずだぞ?『俺達にはどうしようもない』ってよぉ、ちゃんと聞いてたか?
 けど嬢ちゃんが出たせいでローチは助けに行かざるを得なかった、しかもご丁寧に奴の足元で止まってよぉ!
 俺らで考えりゃぁ時速40キロオーバーで走る戦車の前にナイフ持って飛び出すようなクソ以下の行動だ、あぁ戦車はわかんねぇか
 んでバンバンとクソの役にもたたねぇ攻撃で見事に敵の注意を引いてよぉ、逃げりゃぁ普通に間に合うのにボーっと突っ立って
 挙句ギリギリでローチに助けて貰ってそのせいでローチが負傷だ、下手すりゃ二人とも今頃ミンチ肉だ分かってんのか?
 あぁそうだったな、わりぃ、わかんねぇからこんな事になったんだっけなぁ!あぁ?!」
「いいじゃないですかゴースト、ゲホッ、兵士で考えりゃぁ誰も死ななかった、それで勝ちですよ」
ゴーストがルイズに怒鳴るのをローチはゴーストの肩を掴んで止める
「…Shit…!!(クソッ)」
ゴーストが唾を吐き捨てるように言い黙り込む
ルイズは座り込んで顔を両手で押さえ泣きながらうわ言のようにただひたすら「ごめんなさい、ごめんなさい」と言い続けていた
タバサが杖をブンブンと振り回し駆け寄ってくる、ローチの顔を心配そうに覗き込んで一言呟いた
「怪我、見せて」
少し遅れてキュルケが豊満なバストを振り回しながら走ってくる
「タバサは風のトライアングルメイジだけど水もある程度使えるから治療するそうよ、ハァ…」
ローチが無言でベストを脱ぎ捨てBDUを脱ぐ
「ッ…、酷い…」
シャツの上からでも分かるほど負傷した部位が膨れ上がり血が滲んで、否、シャツの一部を血で染めていた
タバサがゆっくりとシャツを捲り上げる、途中で「にちゃっ…」と嫌な音がした、それでもローチは呻き声一つ上げない
「っ…うぇ…」
キュルケが口を押さえる、負傷した箇所は青紫に染まり酷い裂傷を起こし血が出ていた、それ以外にも体中に傷跡がある
「――――」
タバサが短くルーンを唱え目を瞑る、ローチの負傷した所をぽうっと暖かい光が包み傷が徐々に塞がっていく
しばらくすると腫れがある程度治まったところでストップした、額に汗を浮かべ「ふぅ」と一息つくと少し申し訳なさそうな顔をする
「ごめんなさい、私だとコレが限界」
シュンとして少し落ち込んだ様子のタバサの頭にローチが手を乗せ優しく撫でる
「もう全然大丈夫だ、ありがとうなタバサ、助かったよ」
「あぁ、本当に助かった、すまないなタバサ、もうオマエを怖がらせるような事は出来るだけしねぇよ」
ローチがルイズの方に向きしゃがみ込んでルイズの頭に手を置く、一瞬びくりと震え体を硬直させる
「ルイズ、今日はもう部屋に戻って寝るんだ、ほら、行こう」
「あ…ぁ…私……!私のせいでローチを…!」
「大丈夫だ、死んでいないさ、さぁ立って」
ルイズはよろよろと立ち上がりローチに体を支えて貰いゆっくりと歩いて寮に向かう
「ゴースト明日の朝一で起こるであろう事を説明して置いて下さい」
「わかったよ」

ルイズとローチが姿を消した所でゴーストは二人に向き直る
「さて、俺らは明日恐らく何があったかの証人として呼ばれる可能性がスゲェ高い
 でだ、もしかしたら俺らが尻拭いしなきゃなんねぇかも知れねぇ、そしたら後は俺とローチに成り行きを任せろ
 まぁならねぇにしても…ククッ」
「…なぜ?」
タバサが恐る恐るゴーストの顔を見て…すぐに顔を逸らす
「俺とローチは馬鹿にされてみすみす黙ってるような人間じゃねぇって事だよ」
ゴーストがタバサに目を逸らされた事に少しの悲しみを覚え、それとは別にニヤリと不敵な笑みを浮かべた(見えない)


トリステイン魔法学院 宝物庫     フーケ襲撃翌日早朝
ゲイリー・「ローチ」・サンダーソン軍曹 サイモン・ライリー「ゴースト」中尉

普段は入る事の出来ない学院宝物庫で数多くの人間が集まりパーティーのように騒がしい状態が続いている
その殆どがこの学院の教師達でありその中で何人かの生徒、およびそのうちの一人の使い魔、そして使い魔でもなければ生徒でも無い人間
教師以外の人間はルイズ、キュルケ、タバサ、ローチ、ゴーストの5人である、つまり現場を見た人間達だ
ルイズは俯きキュルケとタバサはいつもと同じように涼しそうな顔と無表情だ、ローチはルイズの肩に手を置きゴーストは半寝状態
ルイズは先日から全く喋っていない、ゴーストに怒鳴られたためだろうか

「土くれのフーケ!とうとう我が魔法学院に手を出したか!随分とナメた真似をしてくれるじゃないか!盗賊風情が!!」
「衛兵は何を考えてボケッと突っ立ってたんだ!!」
「衛兵も所詮は平民か、役に立たん奴らだ、それより当直は一体誰なのだ?」
ミセス・シュヴルーズがビクリと震える
昨日の当直は彼女だったのだ、しかし賊が襲撃して来るとは思わず他の教員がそうしているように早々に就眠してしまった
ちらと壁を見ると大きく文字が書かれている「破壊の杖、確かに領収いたしました 土くれのフーケ」と
そしてその言葉通り何かが置いてあるべき場所に隙間が開いている、動かぬ証拠である
「昨日の当直は貴女だったのではないのですか!ミセス・シュヴルーズ!!」
一人の教師が怒鳴る、その大きな声に反応してゴーストがビクリと反応し目を覚ました
「うっぜぇ…」
誰にも聞こえないような小さい声でゴーストが文句を言った、彼から言わせて見ればコレは意地汚い罪の擦り付け合いでしかない
そこに扉が重い音を立てゆっくりと開かれる、オールド・オスマンがゆったりとした足取りで入ってきた
「ふむ、全員揃っとるかの?」
「オールド・オスマン!なぜこんな時に落ち着いておられるのですか!」
先程怒鳴った教師が言う
「静かにせんか、今更慌てた所でどうにもならんよ、今は落ち着いて話し合うことこそ優先させるべきことじゃ」
オスマンが柔らかくも威厳のある声で言い返し先程の教師と他の教師を黙らせる
「よろしい、さて先程ミセス・シュヴルーズを攻め立てておったが実に下らん、聞くがこの中でまともに当直をこなした人間がおるかの?
 こんな話を聞いたことはないかね?一人の女性の罪人に多くの人間が石を投げておった、そこに一人の人間が現れこう言ったそうじゃ
 『この中で一度も罪を犯さなかった人間だけ彼女に石を投げなさい』と、すると今まで石を投げていた者は皆黙り去って行った
 まさに今がそうじゃよ、君らは人の事も言えんじゃろう、うん?」
ゴーストがそれを聞いてぼそりと呟く
「あれ?コレってキリストじゃね?イエス・キリストじゃね?」
ゴーストがキリストの話は異世界にも伝わっているのか、さっすが神様だな!なんて思ってうんうんと頷いていると
扉ではない方の仮設入り口(フーケの開けた大穴)から女性がフライで入ってくる、オスマンの秘書ロングビルである
「む?ミス・ロングビルではないか、一体何処におったんじゃね?わしはてっきり居るもんだと思っておったよ」
「申し訳ありません、朝起きて外に出ると宝物庫に穴が開いておりましたので中を見るとフーケのサインがありましたから
 急いで調査して参りました」
そう言うロングビルの顔は少し疲れたようになっておりよくよく見ると目の下にうっすらと隈があった
オスマンは感心し早速報告を聞こうとロングビルに尋ねた
「ほう!では早速報告してもらおうかの!さぁしっかりと聞かせてくれたまえ、ミスロングビル」
「はい、聞き込みをしましたところ村はずれの森の奥にある小屋に出入りするフードを被った怪しい男を見たと聞きました」
「…ローチ、ちょっと来い」
ロングビルの報告が始まってすぐにゴーストがローチを呼ぶ、ローチがゴーストの横に移動する、ゴーストの居る場所は宝物庫の隅で
小声で話をするにはなかなか持って来いの場所だった
「どうしました?ゴースト」
「いやな、中々にキナ臭ぇぞ…昨日の夜遠かったが俺はフーケの横顔を、正確に言うと口元だが見たんだ」
「…それで?」
「アレは女の筈だ、だが報告では男と言っている、それにな…男にはねぇもんがちゃんとあった筈だ」
「…」
「胸だ、いやそんな目で見るな、確かにあったんだから仕方ねぇだろ」
ローチは変な所を見やがって…なんて思いながら話を聞いていた
「して、ミス・ロングビル、大まかな位置はどこかね?」
「はい、徒歩で半日、馬で約4時間の所です」
「ではすぐに王室に報告しましょう!王室衛士隊に頼んで、兵隊を差し向けて貰わなくては!」
ローチとゴーストがピクリと反応して視線を交わし小さな声で会話する
「決まったな、ローチ」
「えぇ、唯の一点の曇りも無い美しい黒ですね」
「往復馬で8時間を朝から調べているなんて凄ぇなぁ…なぁローチ?今何時だ?」
「大体6時ぐらいじゃないでしょうか?昨日の夜10時が朝だなんてここの時間概念ってどうなんでしょうか…?」
「昨日事の起こったのがガキ共の部屋に篭っている時間だから8時ぐらいで…4時間走って2時間仮眠そして4時間走る、ぴったりだな?」
「見て下さいよ、実に眠そうじゃないですか」
ローチとゴーストが早々に犯人に目星をつける、誰かは言わないが、言わないが!
そうこうしていると丁度フーケ討伐隊の勇士を募っている真っ最中であった、どうやら教師達は口ばかりの根性無しのようだ
ゴーストはニヤリと笑い(見えない)悠々と手を上げる、それと同じようにローチも手を上げる
「ん?君達は…ミス・ヴァリエールの使い魔と…ともに召喚された者かね、ホレ見なさい、彼らでさえこれ程の勇気があるのじゃ
 それに比べてお主等教師は皆肝っ玉の小さい…しかし使い魔君、コレは君達が関与することでは…」
すると杖を抜いて高く上げる者が現れた、ローチの主であるルイズである、足は少し震えているもののしっかりと腕を伸ばしている
「君は生徒ではありませんか…ここは教師達に任せて…」
「誰も杖を掲げていないではありませんか!」
漸く出番の回ってきたコルベールの言葉にルイズは反論する、正にその通りである、教師達の内誰一人として行こうとする者はいない
それどころか顔を逸らす者まで居る始末だ、確かにそれならば志願したルイズを選ぶしか無いだろう、が
「勇気と無謀を履き違えるな、嬢ちゃん 死んでも栄誉は得られねぇ、残るのは死体だけだ」
ゴーストがルイズの元に歩み寄り睨みながら(そう見えるだけで実際は睨んで無い)言う
ルイズは「う」と言葉に詰まり下を向く
「だがその根性は気に入った、どこぞの口だけのクソどもよりは遥かにいい、どうだ?オスマンさんよぉ、俺らは志願したルイズの連れだ
 それなら関与がどうとかって話じゃぁねぇだろうよ?」
「勿論俺は使い魔としてルイズについて行く、どうだ?」
そこでスイッと一つの杖が掲げられる、キュルケの杖である
「キュルケ…アンタどうして」
「ふふーん、私はツェルプトーよ?ヴァリエールには負けられませんわ」
というのは建前でルイズが心配なので着いて行くのである、憎まれ口を叩くのはアレだ、きっとツンデレ的な何かなんだ、うん
続いてタバサがひょいっと杖を掲げる、持ってる所がやや下なので重さによるもので微妙にプルプルしている
「タバサ、貴女はいいのよ、私が勝手に決めた事なんだから…」
キュルケがプルプルしているタバサの杖を支えながら言った
「心配」
タバサ嬢は何時も通りの無表情で答える、ちなみに心配している人の中にローチが混ざっている

「ふむ!よろしい!ならばおぬし等に破壊の杖奪還の任を与えよう!」
オスマンがバッと手を斜め上に突き出し言い切る、パッと見ナチス式の敬礼に似てる
「お待ち下さい!オールド・オスマン!!私は反対ですぞ!」
コルベールはオスマンを止めようと抗議する
「むぅ、細かい事を気にしおってからに…ハゲるぞ?ミスタ・コルベール」
「既に手遅れです!ハゲてますッ!!」
「むぉ?!ひ、酷い自虐を見た…なに、心配要らんよミスタ・コルベール、彼女らはしっかりと敵を眼に焼き付けとるし
 ミス・タバサは若くしてシュヴァリエの称号を持つ騎士だと聞くではないか?」
教師達とキュルケ、ルイズが一斉にタバサを見る、心なしかタバサが少し恥ずかしそうにもじもじしている
コルベールはしぶしぶと納得したようだ
「ローチ、シュヴァリエって何だと思う?俺は食い物だと思う、てか腹減った」
「何をどう転んでも称号が食い物になることは無いと思います、MG○(×タルギアオンライン)の称号みたいな物じゃないですか?
 ヘッドショット率で付いたり~とかの」
「オマエ…他社どころか他国の作品持ってくるのは反則だと思う、あと腹減った」
「そうですね行くにしてもまず腹ごしらえをしないといけませんね」
そんな話をゴーストとローチがしているとこんな声が聞こえてくる
「そうですぞ!何せ彼はガンダー…むぶっ?!」
変な状況らしい、それを聞いたゴーストが口ずさむ
「まだ怒りにー燃ーえるー闘志がー」
「ジャパンで人気のあったアニメですね」
そうこうしていると話が纏ったらしい、ルイズたちが「杖にかけて!」と唱和してスカートの裾を摘み一礼していた
ローチが一応しておくかと足並みを揃え敬礼をする、実に美しい敬礼だ
聞いた話だが敬礼には種類があり陸海空でそれぞれ差があるそうだ
陸は普通の敬礼で皆が知っているであろう敬礼だ、海は潜水艦等で横に当たったりして邪魔にならない様角度がほぼ直角らしい
空は映画でも良く目にするビシッとやってピッとする奴だ、絵に描いたりしない事には非常に説明し辛い
ローチがしているのは陸軍式敬礼である
一方ゴーストは別に上官じゃねぇしなぁなんて思いながら今一度宝物庫を見渡していた

急いで腹ごしらえを終えた5人の内3人はさぁ行くぞ!と言わんばかりに張り切っていたが
「俺とゴーストは装備を整えないと駄目だから少し待っててくれ」
と言われ早速出鼻を挫かれた気分になった

待つことおよそ10分
「よしOKだ、待たせたな、行くぞ」
ローチとゴーストが大荷物を持って走ってきた
キュルケとタバサが目を丸くして二人を見る、二人ともローチが決闘で使っていたゴーレムを凄まじい轟音と共に削り取っていった物
つまりM240(※1)を持っていたのだ、そんな恐ろしい物が二つもあることに驚愕する
一方ルイズは決闘を見ていなかったので今一つ驚く事は無い、大荷物に少々驚いた程度だ
フーケが出入りしていたと思われる小屋までは馬車で行くことになる、その馬車を操るのは場所を知っているロングビルだ
ローチとゴーストが馬車にゴトゴトッと銃を置き中に入り込みフーッと一息ついた

「ミス・ロングビル、手綱引きなど付き人に任せてしまえば宜しいのではなくて?」
キュルケが身を乗り出してロングビルに訪ねる
「いえ…私は…貴族の名を無くした者ですから」
そう答えるロングビルの顔はどこか少し哀しそうだ、コレはコレで美味そうだとはゴーストの感想である
「貴女はオールド・オスマンの秘書なのでは…?」
「あの方は貴族や平民なんて拘らないお方ですわ」
スケベなのが無くなれば非の打ち所が無い素晴らしい御方なのですけれど、と言いたそうなのは置いておこう
「差し支えなかったら、事情をお聞かせ願いたいわ」
ロングビルはそれに対し何も答えずただ苦笑いする
「言いたく無いなら、仕方ありませんわね、無理に聞く事もありませんし」
キュルケはあっさりと引き下がり次はローチとゴーストの横に置いてある銃に興味を持ち始める
二人の目を盗むようにこっそりと手を伸ばしじっくりと見ようとするが
「下手に触らない方がいいぞ、その状態で暴発すればオマエがまるで食肉加工所で手を施されたミンチ肉になる」
ローチがキュルケにM240の恐ろしさを説明する、マガジンも抜いてあるしセーフティも掛けてあるが如何せん銃口がキュルケに向いている
勿論弾が出ることは無いがそんなの事は全く知らないキュルケからしてみればとても恐ろしい事この上ない
なにせ目の前で青銅で出来たゴーレムが粉砕されたのだ自分があのターゲットになんてなりたくは無い
ヒッと驚いて手を引っ込める、ルイズはきょとんとした顔になりタバサは冷静に見えてゴーストの銃口がこちらに向いている事に気が気ではない
ゴーストはそれに気付いて寝かせてあったM240を馬車の端に立てかけて銃口を上に向ける、タバサはほっと一息ついた
ローチも同じようにM240を立てかける、キュルケもほっと一息ついた 一方ロングビルは眠そうにあくびをしていた
「ミス・ロングビル、目的地の小屋まではどう進めばよろしいのでしょう?」
ゴーストが身を乗り出し優しい物言いでロングビルに尋ねる
「ん、えっと…もう曲がる所は終わりましたので後は3時間半ほどこの道を真直ぐ進むだけですわ」
「ほう、お疲れでしょう、よろしければお変わりしますよ……ローチが」
「えっ、ちょっ…俺?!」
「ですが…私は…」
「いえ、コイツの事はお気になさらずあと3時間半ほど休眠を取っては如何ですか?せっかくお美しいのですからしっかりと休んで下さい」
「うわぁ、誰だこの人…俺の先輩がこんなにキモイ訳が無い」
ローチが引いているとゴーストがひょいとロングビルの隣に移り有無をも言わさず抱きかかえる
「え、きゃっ」
「変われ、ローチ」
「ああクソ、分かりましたよ…動かし方なんざ分かりませんよ!」
ゴーストがロングビルを抱きかかえたまま馬車内部に戻り入れ替わるようにローチが馬車の前に移動して手綱を握る
「えと、その…」
ロングビルが頬を少し染めてあたふたする、ゴーストは優しくゆっくりと今までローチが座っていた所(ゴーストの横)にロングビルを置く
「さ、後は任せてください……ローチに」
「あぁ、そうですよね!俺ですよね!畜生!」
「は、はい、ではお言葉に甘えさせて頂いてよろしいでしょうか…?」
ローチが馬を刺激しないように四苦八苦しながら手綱を動かす中ゴーストの提案についてロングビルが尋ねる
「えぇ、構いません、どうぞお休み下さい」
とても優しく、男であるローチから見れば吐き気を催すほど優しくロングビルに接するゴースト
それをぽかんと見続けるルイズ、キュルケ、タバサの生徒三人組

しばらく走っているとローチが慣れたのか幾分か落ち着いて手綱を操作する、コツさえ掴めば割と楽に動かせるらしい
キュルケとルイズは朝早かったからだろう、何故か仲良く二人寄り添って眠っている
ロングビルは何故そうなったのか皆目見当付かないがゴーストの膝枕で眠っている
「これ勃ったらどうなるんだろうな、ローチ」
「まだ起きている女の子が居るんだからアホな事言わずに大人しく休んでて下さい、ゴースト」
「バッカお前そういうのがいるからこそこんな話が面白いんじゃねぇか」
ゴーストは手綱を握るローチと会話をしながら馬車の旅を楽しんでいる
タバサはいつの間にやらローチの隣に陣取って手綱の操作方法をレクチャーしていた
「こっちを引けば右に曲がる、こっちは左、乗馬も大体同じ」
「ん、なるほど…ありがとうなタバサ」
ローチはタバサの頭をわしわしと撫でる、タバサは相も変わらず無表情だが内心狂喜乱舞していた
「ローチ…後方上部にデカイ何かが追ってきてるぞ」
「…何だアレは…?」
ゴーストの声に反応して後をちらと見たローチは疑問の声を上げる
「ヒャッホー!久しぶりに俺っち登場だぜ!ありゃぁ風竜だな、まだガキだが戦うとなっちゃあ相棒もちっとばかしキツイかも知れねぇ
 やり過ごすのが無難だな、まぁ俺らを標的にしてるなら戦うしかないが」
「逃げれないのか?デルフ」
「無理だな、風竜は竜族でもブッ飛んで速ぇんだ、時速100リーグ以上は余裕で出るぜ?……あっと、やべぇな…確実に俺らを追ってるぜ
 どうする?地上に引き摺り下ろして俺っちでぶった切るしかできねぇぞ?それか風竜にダメージを与えれる強さの遠距離武器だな」
「M240は温存したかったが仕方ねぇか…」
「待って」
ゴーストが手をM240に掛けたときにタバサが止める
「アレは私の使い魔、風竜のシルフィード、危険じゃない」
タバサがそう言うと無言でシルフィード(仮定)と目を合わせる、するとシルフィードが徐々に降下して馬車のすぐ上の高さになる
「きゅいきゅいっ!」
シルフィードがその巨体に合わない可愛い鳴き声を出す、ローチとゴーストはポカンとシルフィードを見つめていた
「すっげぇ…マジ物のドラゴンだ…フィクションでしか見た事ねぇぞ俺…」
「メイジの実力を知るには使い魔を見ろ…だったか、タバサは凄いんだな…」
ゴーストは本物のドラゴンに目を奪われローチはタバサの実力に驚く
「(やったぁ!ミスタ・ローチに褒められた!ありがとっ!シルフィ!)」
「(きゅいっ!お姉様が嬉しそうで何よりなのねっ!)」
傍から見れば無言の見つめ合いだが使い魔と主の意思疎通内ではこんなやり取りが行われていた
ちなみにこの風竜のシルフィード、正確には風竜ではなく風韻竜と言って人語を喋る事ができ
先住魔法と言われる魔法を使える非常に頭の良い種族である、ハルケギニアの人間からしてみれば昔に絶滅した種族と思われており
もし見つかったらアカデミーと呼ばれる所へ連行される可能性が非常に高い、故に風韻竜である事は内緒にされている
余談だがローチ達はタバサの使い魔を街から帰る時に一度も見ていなかった
学院に着いてからもローチ達は後ろから馬で追いかけて来たと思っていた

3時間半後
「ほら、起きるんだココからは徒歩じゃないと行けないぞ」
「とっとと起きろ、置いてくぞ?」
ローチとゴーストが馬車を止め深い森の中で寝ているロングビル、ルイズ、キュルケを起こす
「ふ、あ~ぁ」
「っく~っ」
「ん、ふぅ…ぁ」
三人が体を起こし欠伸をしなり体を伸ばしたりと様々に目を覚ます
脳が覚醒したであろう頃合にローチが最善に出てM240とは別のF2000-Themal-Sight(※2)を構えながらロングビルの指示に従いゆっくりと移動する
ゴーストは最後尾でACR-ACOG-Sight(※3)を構え1メイル程の間隔をあけて移動する、ルイズ達もそれに倣い杖を抜き警戒しつつ移動する
「ありました、あそこです」
ロングビルが開けた所にポツンと立つ小さな小屋を指差しながらローチ達に教える
木の後に隠れながらローチとゴーストが目を合わせる
タバサが杖でガリガリと地面に絵を描きながら口を開く
「作戦会議」
しかしゴーストとローチが腰に手を回しながらにやりと笑い声を合わせる
「「俺達に任せろ」」
ルイズ達がそれを聞いて何を言っているんだこいつらはと言うような顔で二人を見る
「ローチ、サーマルで周囲に人がいるか確認」
「了解」
ローチが体を木から出しF2000のサイトを覗いてぐるりと周りを2~3度見回す
「クリア」
「先行してトラップを確認」
「了解」
ローチが匍匐前進し、地面を警戒しながらゆっくりと確実に前に進む、ゴーストはACRを構えながらローチの見えない所を警戒する
しばらくローチが進んだ後にローチがゆっくりと膝を付くように座り左右の地面を見る、その後ハンドシグナルで異常なしと伝える
「待ってろ」
ゴーストがそう言って姿勢を低くしたままローチの移動した所を進む
「何よあれ…」
「洗練された兵士みたい、かっこいい」
「私の十八番がタバサに取られちゃったわ」
「……」
ゴーストがローチの隣に移動し肩を叩く
「他にトラップはあるか?ローチ」
「いえ、地雷なんてあるはず無いですしブービートラップの心配も無さそうです、一旦後退しましょう」
ローチが警戒し続けるゴーストの肩を叩いてルイズ達のいる所へ戻り始める
数秒後ゴーストも警戒方向を変えず後退する、一足先にルイズ達の所へ戻ったローチはすぐさま木の後ろに隠れ周りを警戒する
ゴーストも戻り一息ついた二人はトラップ等が確認出来なかった事を伝える
「そう、もう引き払っちゃったのかしら…」
「…フーケはアレか、もし居たら生きて捕まえなきゃならないのか?」
「いえ、その必要は無いと思うわ…」
「なら話は早ぇな、行くぞローチ」
「了解、確認ですね」
そう言うと二人は先程とは打って変わって堂々と小屋と森の間の距離まで歩いて行き腰に付けている短い筒に何か金具が付いた物を手に取る
フラッシュバンである、二人は同時にピンを引き抜き小屋の窓に向かって投げ入れる
瞬間、小屋から凄まじい光が一瞬溢れ耳が潰れんばかりの音が響く
「きゃっ!!」「っ…」「何?!」「っくぅ…!」
女性陣は反射的に耳を塞ぐが一瞬の事なので耳を塞いだ時には既になり終わっているのだ、既に遅いが鼓膜が破れる程の音ではない
続いてローチが腰につけているもう一種類のグリーンの筒を手に取りピンを抜きもう一度窓に投げ入れる
スモークグレネードである、小屋から白い煙が溢れ小屋の中を白く染める
ゴーストとローチが同時にM240を手に取りコッキングレバーを引き腰だめに構える
「くたばれぇ!!」
ゴーストの声で二人同時に引き金を絞りM240の銃口から火花を散らし銃弾を撒き散らし薬莢をばら撒く
見る見るうちに轟音と共に小屋の壁に穴が空き、空いた穴から煙が漏れ出て見るも無残な姿になっていく
中に人が居れば伏せでもしなければ今頃ぐちゃぐちゃの肉片となって小屋の中に散らばっているだろう
数秒だろうか、それとも十数秒だろうか、良く分からないが遂に銃口から火花も出ず、轟音も響かぬようになってしまった
ゴーストは上部を開放しマガジンを外し横に放り投げ新たなマガジンを差し込み残った薬莢を弾き上部を閉じてコッキングレバーを引く
ローチはF2000に銃を持ち替えスコープを覗く
「…内部に人は確認できません、恐らく死体か無人かでしょう」
「よし、いいぞローチ」
ゴーストはそう言うとゆったりとした足取りで女性陣の元へ戻る
続いてローチもF2000を小屋に向けたまま戻ってくる
「終わったぞ、中を確認してみよう」
ローチがにっこりと女性陣に話しかける、たった今とてつもない事をした割にはケロッとした声だ
「う…酷い…中に人が居れば……」
「ミンチ肉」
「流石の私もコレは引くわぁ…」
「べ…別にココまでする必要は無かったのでは…」
ゴーストが人差し指を立ててチッチッと振る
「いやいや、ミス・ロングビル…なんとフーケは俺の親友に大怪我を負わせたのですよ…
 ひっ捕まえて四股を切り落として目を抉って殺してくださいと懇願しても自然に死ぬまで放置してさえお釣りがきます」
「俺は指一本ずつ切り落としていって泣き叫ぶのを見るのも良いと思いますがね」
ゴーストとローチがケラケラと笑いながら楽しい拷問談義に花を咲かせる
ルイズとキュルケは「うっ」と口を押さえタバサは何時も通りの無表情に眉間のしわを追加
ロングビルは顔面蒼白にして汗を額に浮かべる、目は焦点があっていない、こんな生々しい話を聞いたのは初めてなのだろうか
「まぁそんな事ぁいい、小屋の中を見に行くぞ」
ゴーストが指をパチンと鳴らし全員の注意を自分に向ける
「で、では私が外を見回りますわ」
「いや、ミス・ロングビルだけじゃぁ警戒し切れねぇ俺も外の見回りをする」
「了解ですゴースト、じゃぁルイズ、キュルケ、タバサは俺と一緒に小屋の中を調べるぞ
 フーケが生きていて負傷していたなら捕獲、死んでればそれでよし、負傷もしてなければ直ぐに攻撃だ、居なければ何もしなくていい」
「うっ…」
「ルイズ…貴女ミンチ肉想像したでしょ…うっぷ」
「自分で言ってこれである」
ローチが3人を引き連れて小屋へ向かう、タバサとローチは警戒を解かずに慎重に移動、ルイズとキュルケは口を押さえて移動
「ミス・ロングビル、俺はあっち側を見てくるからこちら側はお願いします、何かあったらお呼び下さい
 すぐに駆けつけます、なぁに女性をお守りするのは男の…イギリス紳士の義務ですから」
キリッと効果音が聞こえてきそうな非常に似合わないセリフがゴーストの口から漏れ出てくる
ローチが居たら顔を真っ青にしてオ゛エ゛ェ゛ェェェ!!と言って物陰に歩いて行くだろう
「は…はい…」
ところがどっこいロングビルは顔を少々赤らめている、青くしたり赤くしたり実に忙しい人だ
「ではお気をつけて」
ゴーストがそう言い残してACRを構えながら森の中へ入っていく



新着情報

取得中です。