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ゼロの黒魔道士 Another Note-09


――と、いうわけで、ジョゼット姫にとって、最初の恋は悲恋に終わったのでありま……

んあ?あ、あれ?ここは……
っ痛つつ……あぁ、飲みすぎましたな、こりゃ。
いやはや、飲み屋でつぶれるとは、久しぶりに舌が弾みすぎました……

あ、お姉さん、ここに座ってた……あ、帰った?まぁそりゃそうですなぁ。
ま、クレームのフォローとしては、上々ですかな。
舌先三寸で今日もごちそうさま……あぁ、すいませんお姉さん、こちらの話です。えぇ。

え?お勘定?もう閉店?ありゃありゃ……そんな時間ですか……
はいはい、伝票どうもっと。
えーっと、おいく……は!?え、なな、いやいやいや!?ちょっとお高くな……
えーと、はい、はい、ワインはまぁ……こっちのお肉は?
連れ……あぁっ!?払わないで帰ったのですか!?
く……や、やられましたなぁ……まさかこの私が酔い潰されるとは……

まぁ、美味しい店だったので良いのですが……
ねぇ、お姉さん、これが不味い店だったら怒るところですよ。
しかもお姉さん方みなさんお綺麗ですし……
また来ますよ。
お店の名前、『魅惑の妖精亭』でしたっけ?ですよね、えぇ。
これで足ります?……あ、お釣りはできれば新貨幣の方で……
はいはい、どうもー。

……あー、こんちきしょい。
思わぬ散財だっての。
まぁ、良い店見つけたからまぁ良しと……
あー、くそ、くそ、くそっ!
またどこぞの貴族騙して金稼がねぇとなぁ……
あー、憎ぃほど朝日がまぶしいねぇ、こんちきし……
ふ、ふ、フエックショッ!?
う~、寒ぃ……帰ろ帰ろ……



           ゼロの黒魔道士 Another Note
           ~第玖篇~ 親愛なる友へ


親愛なるシエスタ様へ

元気してる?
こっちはみんな元気です。
(まぁ、特に誰が元気かは書かなくても分かると思います。
 相変わらず無駄テンションな毎日です、あの人は)

この間貸した小説どうだった?
個人的にはラストがイチオシ!です。
語り合いたいので、最後まで早く読んじゃってください。

ところで、話は変わるけど。
私、また夢を目指そうかなと思います。
そう、小説家の夢です。
ちょっと、面白い話を聞きかじったので、創作意欲がわいちゃったの。

ねぇ、シエスタ。『異世界』って信じる?
こことは別の空が、別の大地があって。
色んな人(亜人、も含んじゃって良いわよね?イケメンなら私はアリだと思うわ)がいて、
そこでは全然違う物語があって……ワクワクするわよね?

なんでこんなこと急にまた言い出したかと言うと、
この間来たお客さんをちょっと酔わせたら、
その『異世界』から来たって人達の話を教えてもらったからです。
(悲恋でした。でもそんな恋もアリだと思います、私は。)
で、その『異世界』の一人がね……なんとトリステインに来ていたのです!
そのお客さんの屋根裏に隠れて泊っていたんですって!
(どうやって聞きだしたかは企業秘密です。酒場の女のテクは万能なのです。エッヘン)

で、直接会って色々話を聞いたりしたんだけど……
びっくりよ?
シドお爺ちゃんの言ってたことは嘘じゃないんだなって、初めて分かりました。
今まで、半分馬鹿にしてたわ(シエスタ、お爺ちゃん好きだったよね?ゴメンなさい)。
もうねー、創作心を刺激されまくりっ!
もうねー、書くしかないかなって思います。
やっぱり冒険物かしらねぇ?
男の子と女の子がいて、世界を包むインボーに立ち向かうー、みたいな……

シエスタも、会いに来れば?白くてモフモフで可愛いから、このお客さん!
(そう言うと照れるのがまたキュートなのっ!!)
こーゆーお客様だったら、タダでもいいわ。
あと、あなたも知ってるとんがり帽子のカワイコちゃんとかね?

今度の休日、是非お茶でもしましょう。
バカリンゴのアップルパイを作って待ってます。
とんがり帽子のカワイコちゃんもよかったら連れてきてください。
騎士様にならせられた彼を、久々にからかいたいです。

それじゃ、今度のお休みに。

                     あなたの従姉妹にして未来の大小説家
                                ジェシカより

親愛なるジェシカ様へ


元気そうで何よりです。
こちらも元気いっぱいで、やっております。

この間借りた小説は、あともう少しで読み終わります。
今度の休日までには読み終わるので、その時語っちゃいましょう。
(個人的には、ラブシーンはもっと激しくても良いと思いました)

そうそう、『異世界』からのお客さんですって?
ほら、シドお爺ちゃんは嘘つきじゃないって、言ったでしょ?
私は最初っから信じていました。
お爺ちゃん、変な人だったけど、絶対嘘はつかない人だって!

今度のお休みは、来週の週末に取れそうです。
その『異世界』からのお客さんに会えることを楽しみにしております。
『騎士にならせられたカワイコちゃん』はお忙しいので、お連れできるかは分かりませんが……
是非、誘ってみますね。

小説家の夢、再燃したようで喜ばしい限りです。
今度はお終いまでしっかり書いてくれることをお祈り申し上げます。
もう、ヒロインが死のピンチに――とかで終わらせないでください。
未だにモヤモヤしています。
では、来週。

                あなたの従姉妹にして、大小説家様の最初の読者
                                シエスタより

追伸:
先ほど、『騎士にならせられたカワイコちゃん』に、
このお手紙の話をちらっとしたら、
その『異世界』からのお客さんに大変興味をもたれたようです。
もしかして、その真っ白でモフモフのお客さんとやらは、
頭の先の方に真っ赤なリンゴみたいなポンポンがぶら下がっていませんか?
もしそうなら、ビビさんがご存じの方達の一人かもしれません。
なんか、素敵ですね、そういう偶然って。
もしかしたら、来週のお休みにはビビさんもお連れするかもしれません。
お連れしても、あまりいじめてあげないでくださいね?
ジェシカってそういうところありますもの。
ほら、何年も前だけど、
拾った子猫も可愛がりすぎて逃がしてしまったでしょ?
そういうのはダメですよ?

追伸の2:
追伸ばっかりですいません。
ビビさんを見て考えたんです。
考えたっていうのは、もちろんジェシカの書く小説のことです。
『異世界』から使い魔として男の子が召喚されるって話はどうでしょう?
とっても意地悪な魔法学院に通う貴族の女の子に……
それで、それを優しく慰める学院付きのメイドとの禁断の恋があって、
あとそれから――
(以下、余白を埋め尽くすように妄想が続いている)



カーテンの隙間から、彼女を起こすよう太陽が促した。
瞼の内からも見えるような、暖かな光。

「ふ……ん~……もう朝?」

ゆるゆると、女性はベッドから起き上がる。
髪の毛の色はハッとするようなブルー。
とはいっても、貴族と縁も何も無い。
お姫様役は、よく舞台で演じているというぐらいだ。
この地では、髪の色などと家柄は何の関係も無い。

「あ~……昼やなー。アカンアカン!寝すぎたー!アカンよー!」

時計の針が、とうの昔に一番上の正午を通り過ぎているのを確認し、
彼女はピシャンと自分の頬を叩いた。
昨夜は、初演の舞台が成功裏に終わったとはいえ、飲みすぎた。
猛省し、自戒める。
良い女というものは翌日のことも考えて節制すべきである。

「まぁ、言うても今日はお休みや。
 それでも、時間は有限や!無駄にしたらアカン!うん!」

カーテンを景気良くピシャッと開いた。
良い天気。
剣の形をしたお城に、青空が映り込んでいる。
それが、温かみのある赤屋根の家々に囲まれて、
一層誇らしげに、スッと背筋を伸ばしている。
良い景色だ、そう彼女は思った。
以前はリンドブルムに比べてこんな田舎の国、と思ったものだが、
住めば都というものだろうか。
長く住めばそれだけ愛着もわく。

またこの地はお芝居好き、というのも彼女に幸いした。
役者として、常に見られる場があることは、
替える事の出来ない喜びなのだ。
今や彼女は、実験的なお芝居を繰り返す小劇場のオーナーだ。
全部が全部好評というわけではないが、それでも一定の評価は得ている。
新しい趣向が好きな固定ファンも何人かついた。
毎日が刺激的で充実した日々を送ることができる。

「次のお芝居、考えたらななー。何ぞえぇネタ転がってへんねやろか……」

だが、実験的な芝居が好きという客は、飽きるのも早い。
日々新鮮なネタを作らなければ、すぐに取り残される。
また次の芝居を考えねば。

そんなことを考えながらベッドから足を落としたら、ネタでは無く酒瓶がコロンっと転がった。
ん?と疑問符を浮かべながら、部屋をぐるっと見渡せる。
小道具の多い芝居の楽屋裏と同様。
衣装と、酒瓶と、脚本と、化粧道具と、出前の皿が主役となっている。
借りっぱなしの本と、ファンレターは夢の共演を果たしていた。

そういえば、稽古の忙しさにかまけて何日か部屋を空けて……
いや、部屋にはいたはずだ。いなければ部屋は汚れまい。
しかし、彼女自身にはちっとも汚した記憶が無い。
記憶が無い、しかし部屋が汚れている。
いや、荒されているとも言って良いかもしれない。
まさか強盗か?はたまたストーカーか?謎が謎を呼んで……
と、下らない推理劇を脳内で繰り広げながら、とりあえず足の踏み場だけは確保した。
その分の面積は、ゴミ箱の上、歴史書に乗せられた。
まさに、歴史は積み重なってゴミになっていってしまうというわけだ。
次に掘りだされるときには、きっと偉大なる発見が伴うのだろう。多分。

「……よし!お掃除終わりっ!散歩やっ!散歩でネタを探すんやっ!」

ドアを閉めた瞬間、何かが崩れる音が部屋の中からした気もしたが、気にしない。
仕事のできる良い女は、細かい事は気にしないのだ。多分。
小劇場の二階から降りて、裏通りへ。
冬の寒さが鼻をくすぐる。
澄んだ空気が、脳を程良く冷やして、活性化させる。
彼女はとりあえず、本能のおもむく方向に歩いてみることにした。
ネタが浮かばないときは、あれこれ考えず、
何かしら『出会い』があることを期待して歩くことにしている。
インスピレーションとはそんなものなのだ。
必死に考えるよりも、何かがふってくることを待った方が、
よっぽど良いものができる。

「なんやおもろいことでも、あれへんか……あれ?」
「あ、ルビィさん!」
「クポっ!」

プルート隊のワイマールと、クポという名のモーグリ。
珍しい取り合わせだ。
クポは、この崩れた尖塔のところに住みついているからよく会うが、
ワイマールを昼日向の街中で見かけるのは珍しい。
武人というより、文官よりの彼は、基本は城で重要書類とにらめっこをしている。
そんな彼が外にいる。結構珍しい。

「なんやなんやー、サボりはアカンやろー!プルート隊員がー!」
「さ、サボりってひどいですよー!僕はこう、巡回を……」
「まぁ、そういうことにしとったろ。……見返りは高いで?」
「か、勘弁してくださいよー!?」
「プルート隊隊長さんに告げ口ックポ!」
「ちょっ!?ひどいですって!?」

からかえば、真面目に焦って返す。
初々しいではないか。ルビィは玩具としての彼を気にいっていた。

「ハハハ!冗談や冗談!自分、カワイーな!とてもあんな脚本書くように見えへんで?」
「褒めてるんですか、それ?」
「褒めとーよ!これ以上無いぐらい褒めとーで?」

また、文才豊富な彼は、裏の顔として脚本家という仮面を持っている。
非番の日や、深夜にこっそりと、芝居の脚本を練っては小劇場に持ってくるのだ。
大抵は身分違いの恋話。だがどれもなかなかの名作だ。
実際のところルビィは、玩具としての彼より、彼の文才を買っていた。
少なくとも、自分が目立つ芝居しか考えない自称スター野郎なんかより、ずっと。

「うー……でも今ちょっとスランプなんですよねぇ……」
「さっきからその悩みを聞いてたクポ」
「なんや、やっぱりサボりやん」
「そうとも言うクポ」
「ぐっ……ひどいですって……」
「しかしなんやなぁ、自分もスランプかぁ……新しいネタ無いかなぁ……」

スランプ、残念なことだ。
イザとなったらワイマールに頼って新ネタをひねくるつもりでいたのに。

「大変大変大変クポ~!!!」

と、残念がっていると、やかましいクポクポ声が鼓膜をぶったたいた。
モーグリの声なんぞ、昔は区別がつかなかったが、
最近はやっと分かるようになってきた。
こんな風に、慌てた高音を上げるモーグリなぞ、一匹しかいない。

「アルティミシオン、クポッ!」
「あぁ、モグネット配達員の?」
「なんや、えらい慌てて……すべすべオイルまた使てもーたん?」

ルビィにとっては、ただの美容品であるすべすべオイルだが、
モーグリ達にとっては、モグネットと呼ばれる手紙機構を支える、
重要な機械部品のための油であるらしい。
アルティミシオンは、それを自身の毛色のために使い込んだらしい。
褒められた話では無いが、同じく美を追求する身として良く分かる話だ。

「ち、ちが……いやまた足りなくなったんで融通して欲しいけれど……
 ってそうじゃないクポッ!お手紙!お手紙クポッ!」

モグネットの配達員をしている彼の手には、
いつものごとく手紙が握られていた。
今回のものはかなり分厚い。
誰からのものかは分からないが、どうやら大作らしい。

「手紙?誰からクポ?」
「スティルツキンからの手紙クポ~~~~!!!」
「あぁ、旅好きのあの子ぉか。クポクポ言いよらへん……」

モーグリにしては珍しく、孤独と旅を愛するニヒルな奴。
それがスティルツキンというモーグリだ。
旅先からの手紙か。何やら新ネタの香りがする。
ルビィはそっと舌舐めずりをした。

「そりゃ良いですね。何か新しいネタがあれば……」

どうやら、ワイマールも同じ匂いを感じたらしい。
兜の下の顔が分かりやすく綻んでいる。

「えぇのん書けたら、小劇場に回してな?」
「そりゃぁ、もう!」
「ネタどころじゃ無いクポッ!よ、読むクポッ!すぐ読むクポッ!」
「なんやねん、さっきから……旅先で事故でも会うたん?」

しかし、手紙が出せるということは、ある程度余裕のあってのことだろう。
何をそんなに慌てることがあるというのか。

「ん~と……どれど……
 ――
 ―――っ!?!?
 大変ックポ!これは間違いなく大変クポッ!?」

どうやら、本当に一大事のようだ。
手紙を読んだクポまでが騒がしくなった。
リアクション過多なモーグリにしても、あまりにオーバーである。

「なんやねん、さっきから。自分らだけ盛り上がらんとってんか?」
「よ、読めば分かるクポッ!」
「見してんか?どれど……」

流すように、ルビィは手紙を読み始めた。
何の気なしに。どうせ大したことは書いていないだろう、と。
だが、読み進めていくほどに、彼女の目は点に近づいていった。

「……は!?」

そしてついに、大きな声で叫んでいた。
そんなことが、そんなことがあるなんて。

「何が書いてあるんで……
 え!?」

横から覗き見るワイマールも同様の反応だ。
決してオーバーリアクションでない、全く同じ反応。


「ちょ、え!?これ、ホンマモンの手紙!?」
「ホンマモンもホンマモン、クポッ!」
「る、るるるる、ルビィさん!どどどどど、どないしましたらよろしいでありましょうか!?」
「言葉づかいぐちゃぐちゃや、自分!落ちつき!深呼吸っ!!」
「は、はいっ!!」

いつも沈着冷静なルビィさんも、ゆっくり深呼吸した。
ドえらいことが起こっている。こんなときこそ深呼吸だ。
大丈夫、たかだか何年か前の誘拐事件のときに、
仲間においてけぼりにされたときと同じぐらいのびっくりでは無いか。
そう考えると落ちついてきた。よし、大丈夫だ。
一大事だが大丈夫だ。多分。

「……知らせなアカンっ!!急いで皆に知らせるんやっ!!」
「は、はいっ!み、みみみ皆とはっ!?」
「アホぅ!考え!
 まずは外の大陸の黒魔村やっ!これはモグネット使うた方が速いなっ!?」
「く、クポッ!急いで知らせるクポっ!!」

黒魔道士達の村。あそこには真っ先に知らせなければなるまい。

「あとは皆やっ!えーと、リンドブルムの団長とブリ虫のおっちゃんやろ?
 あのちんまいおしゃまっ子ぉはブリ虫のおっちゃんに教えたらそれでえぇから――
 せや、ブルメシアや!竜騎士の姉ちゃんと旦那や!あっこの王子さんもやな!」

リンドブルムに、ブルメシア。
他国にもこの手紙は知らせなければならない。
それぐらい大変な手紙なのだ。

「は、はいっ!ほ、他はっ!」
「アホやろ自分っ!ひねれっ!ちゅうかすぐ気づきっ!
 自分らんとこの隊長さんと、その奥さん!お城の料理人やろ?
 ほんでもって、とーぜん!
 ウチらの王様とお姫様には教えなアカンやろうがっ!!」

そう、我らがアレクサンドリアの王とお姫様。
彼らはこの手紙を読めば、どう反応するだろうか。
喜ぶだろうか、泣くだろうか、どう反応するのだろうか。

「は、はいっ!!そのとおりでした!!」
「分かったらダーッシュ!!急いで城に報せに行きっ!!」
「は、はいぃぃいいいい!!!」

走るワイマールの背を見送って、ルビィは空を見た。
冬の空は、びっくりするぐらいの青空。
どこかに繋がっていると信じるに足る、そんな青空だ。

「えらいこっちゃで……おもろいことになりそーやけど……」

『出会い』は、突然降ってくる。
飛ぶ鳥の空の、そのまた向こうから、ずっと。
それは記憶かもしれない、それは運命かもしれない。
新しい冒険が、始まる。いや、もう始まっているのかもしれない。
いくつもの世界がつながる、そんな冒険が。
そんなワクワクに、ルビィは思わず身震いをした。
その手に、分厚い手紙が握られている。
一枚目は、簡素なスティルツキンからの生存報告。

そして、二枚目から後。

それは、こんな文章で始まっていた。

『目覚めた朝はいつも喜びを願うんだ。
 今日もいい日でありますようにって――』



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