あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

HUNTER×HUNTER×ZERO-01



ゴンとキルアは目の前の少女が自分たちに対して、何故これ程までに憤慨しているのか理解しかねていた。
その怒りの全てが自分たちだけに向けられているのではないというのは何となく分かったものの、
いきなりこんな見知らぬ場所へ連れて来られ、更に「何故来たんだ!」と逆ギレされれば、いくら二人でもムッとなる。
キルアが怒り半分呆れ半分で言葉を返した。

「ハァ?意味分かんねーよ。何でアンタがキレてんだよ?寧ろ、こっちがキレたいくらいなんだけど」
「うるさい!平民の子供のくせに貴族へそんな口利いて!?」
「平民?貴族?何だよ、それ?ホント、マジ意味分かんねーし」
「うるさい!うるさい!うるさい!」
「……とりつく島もねーな」

キルアと少女のやり取りを見ていた取り巻きの中から、再び声が飛んだ。

「おい、ルイズが使い魔……それも平民の子供に反発されてるぞ!」
「自分の使い魔さえも従わせられないなんて、流石はゼロのルイズ!」

それらの言葉に静まりかけていた笑い声が再びわき上がる。
ルイズと呼ばれた少女はその笑い声に対し、またも体を震わせ、
顔を更に真っ赤にさせて二人を睨みつけていたが、すぐに二人とは違う方向へと視線を向けた。
彼女の視線の先には、中年の男が立っていた。
一見すると冴えない風貌ではあるが、ゴンとキルアはその男がただものではないことにすぐに気が付いた。

「……ゴン。あのオッサンそこそこやるぜ」
「……うん」

男はただこの状況を傍観しているように見えるが、ところどころ見せる所作の中に実力者の片鱗を伺わせていた。
凡人であれば見逃しているところだが、既に凡人ではない二人はそれを見逃さなかった。
ルイズは男へ声を掛ける。

「ミスタ・コルベール!」
「何かね、ミス・ヴァリエール」

コルベールと呼ばれた男が聞き返すと、ルイズは言葉を少し詰まらせながらも答えた。

「あの、その、もう一回……もう一回だけ召喚させて下さい!」

しかし、コルベールは目を伏せると首を横に振った。

「それはダメだ。春の使い魔召喚は神聖な儀式。一度呼び出した使い魔を変更することは出来ない」
「でも、あれは平民で、しかも子供です!」
「例え平民だろうと子供だろうと、例外は認められない」
「そんなあ……」

ルイズはまるでこの世の終わりとばかりにその場へへたり込む。
コルベールがその様子を同情的な視線で見つめていると、キルアが声を掛けてきた。

「あのさあ」
「!」

まるで射抜くようなキルアの視線に思わずコルベールは身構えてしまった。
目の前の少年に対して、コルベールの頭の中で警戒音が鳴り響いている。

(……一体、どうした?相手は子供なのに、何を構えることがある?)

コルベールはまるで何か恐ろしいものと対峙したような錯覚を覚えていた。
だが、それを表に出さないように何とか取り繕う。

「な、何かね?」
「あの鏡、アンタの仕業?」

キルアがそう訊ねると、その何処か冷たく光るような視線に思わずコルベールは胸の鼓動を早めた。
自身が子供に怯えているなどとは認めたく無かったが、どうしてもキルアと目を合わせることが出来ない。
コルベールは少しだけキルアから視線を外しながら答えた。

「い、いや、私ではないよ」
「そっか。じゃあ、このピンク色の髪の女か」

キルアは視線を今度はルイズへと向けた。
コルベールさえも臆してしまうようなキルアの視線ではあったが、
ルイズはそれの恐ろしさに気付いている様子はなく、彼から視線を外そうとはしない。
寧ろ、やや胸を張った後に尊大な態度で答えて見せた。

「そうよ。私よ」
「ふーん。……じゃあ元の場所へ帰してよ」

キルアは簡潔にそれだけを言った。
その言葉にルイズは暫くぽかんとしていたが、すぐにまた顔を赤くして口を開いた。

「な、な、何言ってんのよ!?」
「何って、帰りたいから帰してくれって言ってるだけじゃん。何もおかしいことは言っていないと思うぜ?」
「こ、こ、この……」

すると、コルベールが先程のルイズの時と同じように首を振ってからキルアとルイズの間へ入り、代わりに答えた。

「……それは出来ない」

その言葉にキルアは怒りを露にする。

「ハァ?何でだよ?」
「し、しない、というわけではなくてだね、文字通り出来ないんだ。君たちを元の場所へ送り返す方法がない。召喚された使い魔を送り返すなんて例は今までに無いからね」
「何だよそれ?随分と杜撰な儀式だな」
「……方法は探そう。だから、それまでの間だけでも彼女と契約してくれないか?彼女の使い魔となれば、最低限の衣食住は約束しよう。どうかな?」
「うん、いいよ」

ゴンがあっさりとそう答えると、すぐにキルアが彼の頭を小突く。

「馬鹿野郎!!何言ってんだお前!?」
「だって、この人困ってるみたいだし……」

ゴンがそう言うと、キルアは再び耳打ちした。

「……あのな、ゴン。そもそも、あのオッサンの言ってることが本当なのかどうか分かんねーだろ?」
「あ、そうか!」
「仮にオッサンが本当に知らなくて、方法を調べてくれたとしても、今までに無かったとか言ってたもんがそんなすぐに見つかる筈が無いし、
 それだけの為にあの女と契約すんのは明らかにリスクの方が大き過ぎる。使い魔ってのが何を意味してんのか分かんねーけど、
 言葉通りの意味なら下手すりゃ洗脳されるかも知れねーしな。あのオッサンの提案は全て向こうに都合が良過ぎんだよ」
「確かに……」
「第一、使い魔っていうくらいだから、あの女の側にいなけりゃいけない筈なのに、俺たちを元の場所に帰しちまったら意味がないだろ?
 あのオッサンが言ってることはそもそも矛盾してんだよ。大体、あのオッサンは裏を返せば契約しなけりゃ情報も何もやらないって言ってるようなもんだぞ?
 んな、脅迫めいたやり方で強要する契約なんて、100パーろくなもんじゃねーよ」
「でも……」
「ゴン。お前、親父さんを探すんだろ?下手に契約して、ずっとここにいなきゃならなくなったらそれも出来なくなるんだぞ?」
「あ!」

ジン=フリークスの捜索。
それはゴンにとって、最大の目的であった。
これまでの旅、人々との出会いは全てそこへ繋がっている。
仮にゴンがルイズの使い魔となり、そのまま旅を終えねばならぬことがあれば、何よりもゴン自身が自分を許せないだろう。
ゴンはお人好しな性格ではあるが、他人の為に自分の夢や目標を捨てるような人間ではない。
それは奇しくも彼の父、ジン=フリークスと同じであった。

「……それじゃあ可哀想だけど仕方ないよね」
「可哀想?全然可哀想になんか見えねーけどな」

キルアはそう言うと、再びルイズと向き合う。

「……ってことで、俺たちはアンタの使い魔ってのにはならないから」
「な、な、何よ!!ふ、ふざけないでよ!!」
「ふざけてんのはどっちだよ?アンタらの都合を勝手にこっちに押し付けんなよ」
「貴族の使い魔になる。ということが、どれだけ素晴らしいことか分からないの!?」
「分かんないね。ざっと想像するだけでも、『自由の束縛』『元の場所への帰還不可』『洗脳の可能性』等々……デメリットしかねーな。
 ああ、あとアンタ、一緒にいると面倒臭そうな性格してそうだし、それも含めて嫌だね」
「……………………ッ!!」

キルアのハッキリとした拒絶の意思。
ルイズは顔を真っ赤にしたまま、キルアを睨みつけ、そしてそのまま黙り込んでしまった。
プルプルと震えながら、手に持った杖らしきものをギュッと握り締める。
その様子を見ていた周囲から、またも笑い声がどっとわき上がると、流石のコルベールもその沈静へ動いた。

「ほらほら、既に召喚と契約を終えた者たちは自分の部屋へ帰りなさい。あとは自習とする!」

コルベールの鶴の一声に、他の者たちは不満げな声を上げながらも一人、また一人とその場から立ち去って行った。
その様子を見て、ゴンとキルアは新たな驚きを得る。

「キルア!見た?」
「ああ、奴ら……飛んでたぞ?」

自室へ戻ろうとする彼らの多くは、いきなり空へ浮かび上がると、そのまま建物の方へと飛んで行っていたのだ。
それは正に、グリードアイランド内で二人が見たスペルカードの呪文そのものであった。

「ここって、まさか……グリードアイランド?」
「いや、それは無いよキルア。あの人たち、カード使ってなかったし。それに、グリードアイランドのスペルカードの中には、
 ああやって自由自在に空を飛ぶような呪文は無かったから。第一、俺たちグリードアイランドは大体全部見て回ったけど、こんな場所無かったじゃん」
「それもそうか。じゃあ、念……ってそれも無いな。連中からオーラを全く感じないし」

二人は彼らが飛び去った瞬間から凝を行っていたが、それでも彼らからオーラを感じることはなかった。
彼らが仮に隠を行って念を隠していたとしても、凝ならばそれを見破ることが出来る。
つまり、凝でオーラを感知出来ないということは、彼らが飛んでいるのは念による力では無いということを示していた。

「君たち、魔法を見るのは初めてかい?」

そう二人へ問い掛けたのはコルベールであった。
二人は素直に頷く。

「そうか……。まあ、君たちくらいの子供であれば本物の魔法を見たことないのも無理がないかも知れないね。
 それに、君たちは平民だし」
「その平民って何なの?」

キルアはコルベールへ尋ねた。
ここへ連れて来られてから度々耳にする平民、貴族といった単語。
言葉の意味することは何となく察せられたが、その本質までは流石に分かりかねていた。

「まさか……!ここハルケギニアにいて平民と貴族を知らない者がいるとは……。いや、彼らは子供だし有り得ないことでは無いが」
「ハルケギニアって何?」

今度はゴンが尋ねる。
またも耳慣れぬ単語。
文脈から考えれば、この場所、または土地の名前であるだろうことは想像出来るが、そんな名前をゴンもキルアも聞いたことが無い。
自分たちが世界の全てを知っていると思っているわけでは無かったが、それでもその名前はやはり聞き覚えが無かった。

「……そうか、君たちは遠い場所からここへ連れて来られたのだね。ハルケギニアとは大陸の名前。そしてここはトリステインが誇る魔法学院だよ」
「トリステイン?魔法学院?……キルア知ってる?」
「いんや……」

キルアはふるふると首を振った。
コルベールが話す度、またも増えてくる新たな単語に二人は困惑を覚える。

(魔法、平民と貴族、ハルケギニアにトリステイン、極め付けに魔法学院ときた。
 いくら知らない場所とは言え、流石にここまで知らない単語が出て来るってことはもしかして……)

キルアが思い当たったのは、ここが異世界であるという可能性。
それも、遠い大陸の見知らぬ国では済まされない、全く別次元の話。
そう考えれば、あの誰かの念でもない奇妙な鏡にも説明が付く。

(……これはあくまで可能性。俺とゴンが知らないだけで、何処か遠い国って可能性もある。
 ……でも、そうなるとさっきの連中のアレについて説明が付かない。念で無いのならば、このオッサンの言う通り魔法って奴なのか?)

自分たちの見知らぬ存在。
その不気味さに、キルアは思わず身構える。
頭の中で「警戒しろ」と何かが呟くのが聞こえて来る。
それは恐らく幻聴なのだろうが、警戒しておくのに越したことはない。
相手の力を測ることが出来ないのであれば、いざという時にこちらが不利になるのだから。

そんなキルアの変調に、コルベールはゾッとする。
子供が発しているとは思えないくらいのこちらへの強い警戒心。
二人がただものではないということをようやく確信する。

「……立ち話もなんだ。契約についてももっと話し合った方がいいだろうし、一先ず私の部屋へ来るというのはどうかね、君たち?」

コルベールからの提案。
それを二人はあっさりと受けることにした。
ここに来て、色々と知らねばならないことが増えたからである。
出来得る限り情報を集めるのに、この誘いを断る理由は無かった。
コルベールはルイズの方へも顔を向ける。

「ミス・ヴァリエールもいいね」
「……………………はい」

ルイズはそう答えると、二人に見向きもせずに歩き出した。
どうやら、かなり心象を悪くしたようである。
尤も、二人は契約して使い魔になる気など毛頭になく、ある程度説明を受けたらここを出て行くつもりだったので特に気にしてはいなかったが。

コルベールの部屋へ向かう途中、ゴンはキルアへ声を掛けた。

「……大丈夫、キルア?」
「……ん?別に何も問題無いけど」
「さっきのコルベールさんの話を聞いてる時、まるで敵を見てるような目をしてたよ?」
「ああ、アレはオッサンを試してたのさ。オッサン気付いてたから、やっぱりああ見えてそこそこやるね、ありゃ」
「ふーん。それならいいんだけど」
「……………………」

キルアは心の中で舌打ちする。
それは、自分自身へ向けてのものであった。
魔法が如何に得体の知れないものとはいえ、自身に総合的な実力で劣るであろうコルベール相手に臆してしまったのだ。
それは、プライドの高いキルアにとってはとても許しがたいことであった。

キルアは歩きながら、コルベールをチラッと見る。
確かに隙は無い。
だが、キルアならば今から一瞬でコルベールの首をへし折ることは可能であった。
こっそりと頭の後ろに回していた片手を暗殺する時のように変化させる。

(……あのオッサンがどう抵抗しようが、今からなら簡単に命が取れる。そう、取れるんだ)

「……………………」

しかし、キルアの体は動かなかった。

(……ま、今殺す必要もねーし、それに、魔法も念と同じで、ある程度どういうものか分かれば、
 いくらでも対策の立てようがあるしな)

そう自分を納得させ、キルアは変化させた片手を元に戻す。

(……どうやら一筋縄じゃ行きそうに無いみたいだね、こりゃ)

キルアはそう思うと、ふと空を見上げた。
空は日が暮れ始め、大分闇を帯びてきている。
まるで、この先の二人を案じるかのように……。



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