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剣王ジョゼフ

「コンコン」
軽いノックの音が室内に響く
(―――あいつらか)
心中、ノックの主に見当をつけながら入りなさいと告げる、少ししてドアが開き遠慮がちに入ってきたのはまだ幼い二人の少女
「もう寝る時間だとこの前も約束したはずだぞ、イザベラ、シャルロット」
多少あきれた様子を見せつつ、軽く二人をたしなめる
「だって、眠くないんだもん」「それで、またこの前のお話を聞きたくて…」
仕方が無いなと苦笑して軽くかぶりを振り、二人を招き寄せて語りだす



(さて、何が出るやら)
特に何か胸に期する物があった訳ではない、そういえばまだこの魔法は試したことが無かったなと思いついただけの事であった
『サモン・サーヴァント―――偉大なる始祖ブリミルの名にかけて、生涯を共にする使い魔を呼び出す神聖なる儀式』
(この『無能』に呼ばれたのだ、さぞかし醜悪な怪物だろう)
そんな邪な期待を抱きつつ、部下にしつらえさせた祭壇を眺める
(アレは、人間か?)
年の頃は自分の父と同じかあるいは更に上といったところだろう、フードと一体化したマントが特徴的な老戦士がそこにいた
ジョゼフの深い見識を以ってしても、人間の使い魔というのは初めてのケースだったが―――
「賊だ」
(やはりそうそう、面白い事は起きぬ物だな)
心中でそう嘆息しながら部下を呼びつけ、『使い魔』を処理させようとするが―――
「…何が起こった?」
賊を捕らえようと武器を向けた部下達が、刹那の間に倒れ臥していた
老戦士の手には杖ではなく剣―――血が沸いた
天才の誉れ高き弟を超えようと、血反吐を吐くほど厳しく―――否、実際に吐いたのも一度や二度ではない―――修行した剣
果たして眼前の老戦士とどちらが上であろうか?
結論は一瞬だった、老戦士は自分からは背中すら見えないほど高く遠くにいる
大の字に倒れながら、差と呼ぶ事もおこがましい彼我の実力を思うと何もかもが馬鹿らしくなり―――
「ハ、ハハッ、ハハハハハ―――――!!!!」
倒れたまま、肺の中の空気すべてを搾り出すまで大笑いを続ける
そして呼吸を整えると立ち上がり、老戦士の前で地に頭を擦り付け―――
「力が欲しい、俺に剣を教えてくれ」


老戦士を迎え入れてからというものジョゼフは自邸に篭りきりになり、その知力や武勇故にジョゼフを推していた数少ない貴族達もついに諦めるしかないと感じ始めた頃
ジョゼフとシャルルによる御前試合の開催が布告された
病身の父王を激励するため、等と書いてはいたがこれはどう見ても次代の玉座をかけた決闘である
(兄さん、どうしてこんな事を…)


ジョゼフが魔法の一つでも覚えたのかと噂が流れたが、ジョゼフが身に帯びているのは杖ではなく剣だった
口さがない者達はそれを見て「自らが弟に劣る事を見せ付けて、世代交代が滞りなく進むようにしたのだ」「無能王子の癖に、なかなか気が利くじゃないか」等と周りの達者と話し合っている
「手加減など考えるなよシャルル、殺す気で来い」
「兄…」
(違う、兄さんはそんな事を考えてはいない!)
弟を見据える眼差しには、勝利への意思と確たる自信が輝いている
開始の合図を聞いてすぐ、弟は牽制に無詠唱の呪文を飛ばそうと杖をかざし―――それで終わりだった
兄の剣が己の杖を弾き飛ばし、更に喉元へとピタリ突きつけられている、シャルル自身を含む誰もが信じられぬ光景に息を潜める中、静寂を切り裂いたのは老王の宣言だった
「この試合、ジョゼフの勝利とする!」
宣言を受けたジョゼフは父に恭しく一礼を返した後、剣を掲げて驚きに揺れる貴族達へと宣言した
「我が名は剣王ジョゼフ!不満のある者はいつでもわが元を訪れるが良い!剣王の名にかけて逃げも隠れもせぬ!」
自らを無能と見下す貴族達へと宣戦布告した後弟へと手を伸ばし、声を落として話しかける
「苦労をかけたな」


「兄さん…」
聡明な兄は理解していたのだ、弟が次代の玉座など望んでいなかった事を、そしてそれを奪い取るだけの力を身につけてくれたのだ
「…ありがとう」


「そのお爺さんって、誰だったの?」「…気になる」
最愛の娘達の質問に、老戦士が最も得意としていた突き技の軌跡を思い出しながら答えるジョゼフ
「もしかしたら神の使いだったのかもしれない…そう、雷神の」

―Fin―


ファイナルファンタジータクティクスより、雷神シド召喚


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