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Ruina 虚無の物語-03


結局、命じられたのは雑用であった。
また、与えられた寝床は床であったため仲間の3人は寄り添うようにして眠っていた。
相手が貴族である以上、下手な文句で機嫌を損ねるのは躊躇われたからである。
それに野宿でないだけましである。
主人は学生であり護衛の必要が薄いのは幸いだ。
だが飛行の魔法すら使いこなすような術者を相手にする可能性が全くないとは限らないため、
深夜になってからこっそりと部屋を抜け出して中庭へ向かった。
中庭には先客がいた。


月明かりの下、距離をあけて案山子と対峙する。
自然体に近い構えから、一気に左右にステップを踏みながら前進する。
ステップを激しくすることで1人から2人へ、2人から4人へと残像を増やしていく。
故郷――タルブ村に伝わる分身の体術である。
それから懐に忍ばせていた短剣を標的に3本投擲し、姿勢を低くして加速する。
瞬時に詰め寄り、手刀で案山子を打ち貫く。
日課である訓練をこなしていると足音が聞こえたため、振り返る。
すると見覚えのない少女がこちらを見ていた。
薄暗いため確認し辛いが恐らくは白いであろう髪、左手には見た事のない紋章が刻まれている。
理解した、この少女が噂になっていたミス・ヴァリエールの使い魔だ。
「貴女がミス・ヴァリエールの召喚した使い魔さんですね?」
何故分かったのか尋ねられた。
「私たちメイドの間で噂になってましたから。と、申し遅れました。私はシエスタといいます。
この学院で貴族の皆様のお世話をさせてもらってます。
それとさっきの訓練はご内密にお願いしますね。日課でして、やらないと落ち着かないのですよ。
騒ぎになると皆様にご迷惑をおかけしてしまいますし。」
自己紹介しながらミス・ヴァリエールの使い魔となった少女を見る。
少女は自分の事や遠方から召喚されてきた事等を説明してきた。
その後、自分も魔法の訓練をしたいので案山子を借りてもいいかと尋ねてくる。
「あ、はい。貴族の使い魔の方の頼みでしたら。」
言いながら標的としていた案山子から短剣を回収する。
途中で、先程の体術は何所で学んだのかと聞かれたため、答える。
「ニンジュチュといいまして、故郷の村で曾祖父が広めた技なんですよ。」


ハルケギニアにも、かつての仲間である少女が使っていたような武術を使う者がいた事に驚かされる。
よく見るとシエスタと名乗ったメイドの髪は黒く、その少女――フランを思い出させた。
さておき案山子を借りる事が出来たので杖を構え、体内の魔力を練り上げる。
杖を構えた瞬間、体が軽くなった。左手のルーンが淡く発光している。
不思議に思いつつ、これまでに最も多く用いた魔法の詠唱を始める
魔力で矢弾を作り出して撃ちだす魔法。
大河流域では“矢の呪文”と呼ばれていた魔法である。
数語呟くと魔力により矢が形作られ、まるで稲妻の如く案山子へ迫り一撃で消し飛ばした。
「な……!?」
驚かれた。
「申し訳ありません、フィー様。まさかここまで強力な魔法を使える方だったとは……。」
自分はここの生徒のように空を飛んだりすることはできないと言う。
「ですが、あれほど強力な攻撃魔法を生徒の方々が使っているのは見た事がないですよ!」
力説された。
生徒が学院内で強力な攻撃魔法を使う機会なんてないだろうと説得を試みたが、完全には納得していないようだった。
ふと頭上を振り仰ぐと、色の異なる2つの月が美しい不思議な空があった。
自分の知る限り月は1つだったはずだ。
これは幻なのだろうか?
思わずシエスタに質問する。
「何を言ってるのですか、月は2つあるに決まってるじゃないですか。」
自分の生まれた地方では月は1つだった事を話すとさらに驚いていた。
さらに幾つか話す。
「それでは、流石に時間が時間なので戻りますね。」
奇妙な邂逅を終え部屋へ戻る。
短い間ではあったが、充実した時間を過ごせた。


使い魔となった韻竜に乗って飛行していると、中庭で奇妙な光景を目撃した。
黒髪のメイドが魔法を使うことなく、まるで偏在を使ったかのごとく分身したのだ。
そして用意した案山子に向かって短剣を投擲した後、高速で詰め寄って素手で案山子を貫いていた。
暫くすると、あのルイズが召喚した使い魔達の内の一人がそのメイドと会話した後、マジックアローを案山子に放っていた。
恐るべきことに、そのマジックアローにより案山子が跡形もなく消し飛んでいたのだ。
あれほどのメイジが、なぜ使い魔という身分に甘んじているのだろうか。
(彼女達は何者?要注意。)
自分には関係ないと思うが、用心だけはしておこうと決心して部屋へ戻った。


夜が明けて陽が昇る。
睡眠時間は短かった、活動に支障はない範囲である。
まずは洗濯をしようと石造りの廊下を歩き、見つけた階段を下る。
洗い場がどこにあるかは知らないが、外を歩いていればやがて見つかるだろう。
そう割り切って学院の構造を把握するために移動している途中で声が聞こえた
「フィー様。どうしましたか?」
シエスタが、洗濯物を入れた籠を持って立っていた。
主人に洗濯を命じられたはいいが、学院の構造や部屋の配置等を全く知らずに困っていた事を話す
「それなら案内しますね。」
足音を全く立てずに籠を持って歩く彼女に案内されながら、彼女にいろいろたずねる。
学院の大まかな部屋割りや貴族を相手にするときに気をつけている事について等である。
そして洗い場に着いた後は迅速に洗濯を済ませた。

部屋に帰ると、まだ寝ていた3人を軽く揺すって起こす。
「おはよ、フィー。」
「おはよう。」
「ぅう……。」
続いて、ご主人様となった少女に声をかけてみるが、起きる気配はない。
仕方がないので肩を掴んで軽く揺すってみるが、手を払いのけた後で寝返りを打っただけだった。
どうしようかと考えていると、背後から竜の如き咆哮が轟く。
寝ている所を起こされて不機嫌になったエンダが放ったものである。

外見はどう見ても人間の少女だが、実はエンダは竜である。
エンダは竜の卵から孵る時に人間から名づけられたせいか人間の姿をしている。
ただし、外見こそ人間だが食生活などは竜のそれに近い上、ブレスを吐く事も出来る。

咆哮によりルイズが飛び起きる。
「な、なによ今の!? ……ってあんた達誰?」
寝ぼけているようだ。
すかさず、昨日召喚された者だと伝える。
「あ、ああ。そういえば昨日召喚したのよね。たしかフィーとネルとキレハとエンダだっけ?」
頷く。
「は、はいっ。」
「ええ、そうなります。」
「そうだ。」
緊張しているネルと敬語を使って対応するキレハはともかく、いつもと全く変わらないエンダに苦笑する。
エンダの口調で思う事があったのだろう、ルイズが不機嫌そうな表情になる。
「まぁいいわ。フィー、服着せて。」
言われた通りに服を着せる手伝いをする。
ちなみに胸は自分と同じぐらいであった。


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