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糸色望の使い魔-4



「と言うことは何かな、この中に犯人がおると?」
学院長であるオールド・オスマンはそう言った。
ここ、学院長室にはオールド・オスマン、ミス・ロングビル、その他数名の先生と生徒、兵士が集まっていた。
「そんな、ここに居るのはみな家柄のしっかりし……てない人も居ますが」
と先生の一人が私の隣に居るイトシキを見て言った。
「あら、家柄で怪しむなら私も怪しいと言うことになりますわね」
そうロングビルが続ける。その一言でその先生は次の句が告げられずに黙り込んだ。
そもそも何故こんな状況になったのか。
それは数刻前に遡る。


ゴーレムを発見した私はとっさに駆け出していた。
杖を振りかざすとゴーレムの胴体を爆発させた。ゴーレムの身長は三階をゆうに超える巨体。命中精度が低い私の魔法でも十分に当たる。
何を目的にしているのかは分からないが、学院に向かって拳を振り下ろしている時点で攻撃を迷う必要は無い。
だけど私が魔法で破壊した穴は小さく、すぐさま塞がってしまう。
ゴーレムはこちらの存在など無いものと無視して壁を殴るのをやめない。
続けてファイアーボール(失敗しているが)を唱え続けた。
そうこうしている間に先生や一部の兵士が駆けつけてきた。
ゴーレムを取り囲むように展開すると、四方から魔法を浴びせかける。
多数の魔法を浴び、爆発と烈風によりゴーレムは横倒しにされた。
だが、ゴーレムは特に抵抗を見せないまま、そのまま土に還ったのである。
まだ暴れることができたはずなのにあっさりと引いてしまった。

その事に不信を覚えたオールド・オスマン学院長は殴られていた場所が宝物庫であることに気づいた。
すぐさま宝物庫に走る、ついていく先生や兵士に混ざって私も宝物庫へと走った。
螺旋階段を駆け上がると、そこには重厚な鉄の扉。学院の宝物庫には貴重で価値の高いものが保管されている。よってスクウェアクラスのメイジ数名によって封印がされている。
その扉のには張り紙がしてあった。紙には
『お宝はたしかに頂戴しました。土くれのフーケ』
と書いてあった。
これに驚いた学院長はとっさに呪文を唱えて鍵を開けた。
そのまま宝物庫になだれ込む私たち、一見宝物庫の中は変わった様子は無い。
そもそも入ったことが無かったので元の風景をしらないのだけれども。

フーケが隠れていないかと警戒しながら私たちは宝物庫を見回った。
この宝物庫は意外と広く、死角になる場所が多い。
全員で散って探したのだが怪しい人影はまったく見えない。
これはもう逃げたものと思い入り口に戻った。そうするとオールド・オスマンが全員を集めて話した。
大きな円筒状の杖を知らないかと。

これがゴーレム出現から破壊の杖が盗まれるまでの経緯であった。
ここから導き出された犯人の行動予定は、まずゴーレムで騒ぎを起こす。
そして偽の張り紙で学院長に鍵を開けさせて目当ての宝を盗み出す。といった所だったのだろう。
犯人にとっての予定外は、予想以上に人が宝物庫に駆け込んできたため、入り口はずっと兵士が見張っていたこと。
学院長が真っ先に無事を確認した破壊の杖が目的で、学院長が無事を確認したあとに盗み出してしまったこと。
そのため、犯人はあの時宝物庫に居た人間の誰かと言うことになった。
当然その場に居た人間全員の身体検査を行ったが何も出てこない。
さらにオールドオスマンと他一名が宝物庫を徹底的に探したのだが出てくることは無かった。


品評会は急遽中止、他の生徒は寮からの外出を禁止、姫様には速やかに王宮にお引取り願った。
そして怪しまれている私たちは学院長室に集められたわけである。
「そもそも、本物のフーケかどうかはともかく、ゴーレムを使っていたんでしょう? 私は関係ありませんわよ」
と赤い髪を揺らし、キュルケが言った。今回ばかりは同意する。彼女は火のメイジ、ゴーレムは作れない。
私も残念ながらあんなゴーレムは作れないし、キュルケの隣に居るタバサは確か風と水のメイジだったはずだから同様だろう。イトシキなんか魔法自体使えない。生徒とその使い魔は全員シロということだ。
「そうは思っておるが、事件があった時に同じ部屋にいたのじゃ。何か犯人を捕まえる手がかりを知っておるかもしれんじゃろ?」
「そうねぇ、私はゴーレムと戦ってる時からずっとタバサと一緒に居ました。杖についてはまず気にもしませんでしたわ」
タバサもコクリと頷いた。
「ヴァリエール嬢はどうかな?」
「私も特には……気がついたら杖が無くなったと聞かされただけで。杖がどこに保管されてたかも知りません。イトシキ、あんたは何か気づかなかった?」
と横に立って無関係を装ってた彼に話しかけた。
彼は青い顔をこちらに向けた。その顔は「何故話しかけたんですか」と言っている。
どうやら自分が濡れ衣を着せられるのではないかと怯えているようだ。何もしてないのだったら堂々としていれば良いのに。
その様子は周りからも不信に見えたらしく。
「顔が青いな、まさか貴様が……?」
と兵士がイトシキに問いかける。
「べ、弁護士を呼んでください!!」
と、またよく分からない事を叫んだ。
「またあなたたち軍隊は怪しいというだけで市民を引っ立てて無実の罪をなすりつけるつもりなんですね!」
「は? そんな事は一言も……」
「いいえ、口でそう言いながら心の中では私が犯人だと思い込んでるに決まってるんです。そうやって歴史はウソで塗り固められていくんです! もしかしたら●ットラーやス●ーリンは善人だったかもしれないじゃないですか。何故そう断言できるんです!」
「落ち着きなさい、バカ!!」
ロープを首にかけると思いっきり引っ張って締め落とした。そのまま簀巻きにする。
「お騒がせしました」
「ルイズ」
「なによ、キュルケ」
「なんでロープなんか持ってるの?」
「品評会の直前にイトシキから没収したからよ」

そのままでは埒が開かないので、学院長が一人ずつ尋問することになった。
待ってる間は別室で待機となった。
学院長室の真下の客間に私を含めて生徒三人、兵士が二人、先生が二人、そして各々の使い魔が詰めていた。
タバサの使い魔は窓の外を飛んでいるが。
今はコルベール先生が学院長室でオールド・オスマンと話している。
「本当にこの中に犯人なんか居るのかしら?」
あまりに手持ちぶたさのため単純な疑問が口から漏れた。
「人間、裏で何を考えているかは分かりませんからね。最近は温和な人ほど怖いということもあります」
イトシキの『最近』はあてにならないが、確かにそういうものなんだろうか。
「なに? タバサが怪しいって言いたいのかしら」
その発言にキュルケが噛み付いた。
「違います、私は私以外の全員を疑ってます!」
それはそれでどうなんだろうか。
「そもそも、学院長が取調べを行うのもどうかと思いますよ。彼が犯人だったらどうするつもりです。私なら虚偽の証言で誰か適当な人間を……そうですね、学院として傷が付かない兵士の方二人のどちらかを犯人に仕立て上げます!」
「そうかもしれん、だが『破壊の杖』は学院長個人の持ち物であると聞く。それじゃあ自分のものを事件を起こして盗み出したと言うことになるぞ」
イトシキの疑惑に先生が反論を立てる。
それもそうだ、学院長が犯人ならなんのためにこんな事をしたというのだろうか。
「保険金詐欺、が考えられますがこの世界にはありませんでしたね。でしたら破壊の杖を行方不明、盗賊の手に渡ったことにする。その後その杖を使って何か事件を起こせば盗賊に罪が降りかかります。十分メリットはあるでしょう」
「あんたの中で学院長はどんな極悪人になってるのよ」
「年を取った人はいつも悪いことを考えてるものです!」
あなたが言うな。
最近、このネガティブを矯正するのは無理なんじゃないかと思いはじめている。
「そう考えると辻褄が合います。まず学院長は品評会の前に宝物庫に行って偽の盗賊の書置きを残す。そしてゴーレムを遠隔操作で操り、倒された後はさも当然のように数人を伴って宝物庫に行く。そして盗まれたフリをして騒ぎを起こし、その間に破壊の杖を外に運び出すのです」
「面白い考えだけど、穴だらけよねぇ」
とキュルケが冷静に言った。
「そもそも学院長が犯人ならば、機会はいくらでもある」
とタバサが補足した。
それもそうだ、犯人にとってこれだけの人数が宝物庫に集まったのは予想外のはず。学院長が犯人ならこんな無理な条件でさらに計画を進める事は無い。
「まあ、面白い推理だったけどね。確かに盗んだフリをして実はまだ宝物庫にあるってのは……」
全員がはっと顔を上げる。
「ちょっとまって、宝物庫を点検したのは学院長よね?」
「いや、確かもう一人誰かが一緒に点検したはずだ」
と私の疑問に先生の一人が返す。
「ミス・ロングビル」
タバサがぽつりと言った。

客室に居た私たちは大慌てで学院長室になだれ込んだ。
中に居るのは、驚いた顔をしたコルベール先生と、片眉を上げているオスマン学院長。
ミス・ロングビルの姿は見えない。
「学院長、ミス・ロングビルはどうしました?!」
「どうしたんです、血相変えて」
「彼女なら、ちょい前にトイレに行ったぞい……そう言えば遅いの」
遅かったようだ。
その後、イトシキの推理を学院長に話し、先生を総出でミス・ロングビルを探した。
だが彼女は完全に学院から姿を消していた。
私たちを笑うように宝物庫には『今度こそ間違いなく、破壊の杖を頂戴しました。土くれのフーケ』と書置きだけが見つかった。

再び学院長室には男の先生と容疑者だった私を含める生徒三人と何故かギーシュ、それと使い魔が集まった。
兵士はもう居ない、城へ戻って彼女を指名手配するとの事だ。
「騎士団がフーケを追うと連絡があった……じゃが」
いつもとは違った厳しい表情を見せる学院長。
ここまで良いように盗賊にコケにされたのである。さすがに怒り心頭といったところであろうか。
「これは学院はじまって以来の事件、我々が解決すべきことじゃ。誰かフーケを追おうという者は居らぬか?」
私は迷い無く杖を上げようとした、が隣から伸びてきた手に妨害された。
「何のつもりかしら、イトシキ」
「手を上げるつもりでしょう」
「当たり前じゃない」
「ダメです!」
「何? 珍しく心配でもしてくれてるの」
「心配も何もあなた、私を当然のように連れて行くつもりでしょう。絶対にイヤです!」
「当たり前でしょう、主人に付き従わない使い魔がどこにいるのよ」
力づくで手を上げようとし、それをイトシキが押さえつける。
力が拮抗してるあたり男の癖に本当にひ弱である。
「ミス・ヴァリエール。保護者から預かってる、学生である君を盗賊退治に向かわせるわけにはいかんよ」
「ぉお、さすが学院長。PTAの事をよく考えられている」
イトシキを手を振り払うと、前に進み出る。
「では、先生方の中で名乗りを挙げる人は居るのですか?!」
全員が顔を背けた。土くれのフーケはトライアングルメイジと聴く。しかもあのゴーレムを操るのだ。
今度は昼のように戦いになれた兵士たちは居ない。怪我どころか命をかける仕事になるかもしれないのだ。しかもただの盗賊退治、名誉も何も無い。
だけど私たちは貴族だ。イトシキでは無いけれど、その物騒な名称の杖を使っていつ盗賊が国家に仇名すか分からない。早急にやれることをやるべきだ。
「だから私が行きます」
と、杖を上げると隣でもう三本の杖が上がった。
「私もいきますわ、ヴァリエールばかりに格好つけさせるわけにはいきませんもの」
「……心配」
「女性ばかりでは心配だ、僕もいこうじゃないか」
キュルケとタバサ、ギーシュだった。
だが学院長もこれには眉をひそめた。それもそうだろう、学生だけでいかせるにはいかない。
他の先生もそう考えているようでザワザワと騒ぐ。だが誰も杖をあげようとはしない。
「それでは、私が志願するよ」
とコルベール先生が杖を上げた。
それに続いてイトシキが手を上げた。
「はい、私はいきません!」
「行くに決まってるでしょ!」



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