あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

雪風とボクとの∞-13

「く、来るなー!」
 強風吹き荒れる魔法学院の屋上で、柵を乗り越えたワルドが叫んでいた。
「……やめて……」
「いったい何があったんですか!?」
「ワルド子爵!!」
 今にも飛び降りんとするワルドをタバサ・ルイズ・三成が懸命に説得するものの、
「僕は取り返しのつかない過ちを犯してしまったんだ! 頼むっ、死なせてくれー!!」
 ワルドの死への決意は揺らぐ事は無かった。
「……早まらないで……ワルド子爵……」
「とにかく訳を聞かせてください!」
 2人の言葉にようやくワルドはわずかながら冷静さを取り戻し、
「……わかった」
 そう言ってワルドは事情を説明し始める。
「あれは昨日帰宅した時の事だ」
 ワルドが語り始めたその原因は、まさに戦慄すべきものだった。

「ただいま」
 帰宅したワルドを、老執事とメイドが出迎えた。
「お帰りなさいませ、坊ちゃま」
「ただいま、セバスチャン」
 そう言いつつ、ワルドは手にしていた鞄をセバスチャンに渡した。

「ちょっとストーップ!!」
 そこでルイズのツッコミが入った。
「執事の名前がセバスチャンって!」
 しかし三成は当然といった表情で、
「執事と言えば、『セバスチャン』か『ベンジャミン』だろう」
「……もしくは『ウォルター』……」
「うむ! そして『ロッテンマイヤー』も忘れてはならない」
「広げるの? 執事談義広げるの?」
 三成・タバサの口から次々出る執事の名前に目を輝かせていたルイズだったが、
「続きを話してもいいかな?」
「どうぞどうぞ」
 ワルドの言葉に続きを聞く事にした。
「部屋に戻った僕は、いつものように『召喚されし書物』を鑑賞する事にした」
「『召喚されし書物』って……、ベッドの下に隠してあるようなHなのですか?」
「ば、馬鹿にするなっ! ベッドの下に隠すのは平民、僕の場合は……」

 ワルドは本棚にずらりと並んだ本のうちの1冊を押し込んだ。
 すると本棚が音を立てて左右に動き、地下へと続く隠し階段が出現した。
 そこを降りて行ったワルドの先には、壁面全部に本棚が設置された大部屋があった。

「施設凄すぎ!!」

 そしてその本棚には、『巫女ミックス』『ブルマー星人』『ランドセル大運動会』『おしくらまんじゅう祭』『みるく天国』『跳び箱スペシャル』……と、題名だけでやばい内容とわかる物から題名から内容がわからないだけに余計やばく感じる物まで、多種多様な召喚されし書物が並んでいた。

「そしてラインナップ酷すぎ!!」
 ルイズからのツッコミを無視し、ワルドは常人にはうかがい知る事が不可能な深い話題を続ける。
「その日は『ファザー牧場乳搾りめがね○学生』シリーズを鑑賞する事にした」
「あの伝説の!?」
(……何をもって伝説と言うの……)
 あまりの深さに、今度はタバサも心中でツッコミを入れた。

 するとその時、
『お楽しみ中申し訳ございません』
 室内の遠見の鏡が、セバスチャンの姿を映し彼の言葉を伝え始めた。
『現在奥様がお部屋に接近中です。お気をつけくださいませ』
「む! 母に僕の秘密の趣味を知られる訳にはいかない! セバスチャン、いつも見張りご苦労!」
『勿体無きお言葉にございます』
 するとワルドは傍らに置かれていた机の天板に設置されていたボタンに、
「緊急システム起動!!」
 の叫びと共に激しく拳を叩きつけた。
 次の瞬間、ワルドが座っていた椅子がばね仕掛けで勢いよく上に飛び出し、その力を借りてワルドは天井に開けられた穴の中に舞い上がっていった。
 地上階にある自室にワルドが飛び出すと、先程彼が出てきた穴は巧妙に偽装された蓋で塞がれ、その痕跡はどこにも無くなった。
 同時に、自室の天井から多数の標的が垂れ下がってきた。
「ジャック、ちょっといいかしら?」
 遅れる事少々、金髪を縦ロールにしたワルドより年下に見えるほど小柄で童顔な女性が部屋に入ってきた。
 その時既に、ワルドは何食わぬ顔で標的を電光の弾丸で次々撃ち抜いていた。
「あら、ライトニングクラウドの練習中だったのね。ごめんなさい」
「いえいえ、かまいませんよ」
 と何事も無かったように電光を放つ手を止めるワルドに女性は、
「実は……、ジャックに相談があるの」
 そう言って少々困ったような表情になった。
「ひょっとして恋の相談ですか?」
「ち、違うわ! ジャックったらいつも私をからかうんだからっ! そんなジャック嫌いよ!」
 女性が声を荒げた拍子に彼女の縦ロールが勢い良く伸び、一拍置いて元に戻った。

「ちょっともういいですか!? もうツッコミきれないんですけど! というか、自殺の理由が全然出てこないんですけど!!」
 あまりに現状に至る経緯とは思えないワルドの話に、とうとうルイズはそう声を荒げた。
「それは……、この後訪れたんだ」

 部屋を訪れたワルドの母の相談とは、
「実は私最近……、視力が落ちてしまって。それで眼鏡をかけようか悩んでいるのよ」
「なにいっ!?」
 母の発言に、ワルドは雷に打たれたような衝撃を受けた。
(我が母が眼鏡を? 我が母がめがねっ娘に!? ああっ、シャイターンが! 僕の心の中のシャイターンが疼く!! このままでは僕は実の母に劣情を抱いてしまう!! が、しかし美しい母の眼鏡姿を見てみたい! ぜひ見たい!!)
 しばらく考えた末ワルドは、目・噛み締めた唇・爪を立てた腕から血を流しつつ、
「……コンタクトにしてください」
「ええ、そうするわ」

「どんな理由があるにせよ、『コンタクトにしろ』という呪いの言葉を発してしまうなんて! 万死に値する愚行だー!!」
「ワルド子爵~」
 そう言い残して飛び降りようとしたワルドのズボンを、三成はすんでのところでつかみその体を支える。
「死なせてくれ、ミスタ・ナグモ! 僕はシャイターンには勝ったが、眼鏡には負けたんだ!!」
「だがしかしあなたは漢です! あなたほどの漢を死なすわけにはいきません!!」
 ズボンをつかまれているため尻が半分ほど露出した間抜けな状態になっていたが、そんな事などおかまいなしに引き上げられたワルドは三成と熱く抱擁を交わす。
「ミスタ・ナグモ~!」
「ワルド子爵~!!」
「……男の友情って……素敵……」
「………」
 三成・ワルドと2人の姿に思わず涙ぐんだタバサを見ていたルイズは無言だったものの、その心中では、
(みーんな死ねばいいのにー!!)
 と絶叫していたのだった。


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