あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ゼロのルイズと魔物の勇者-02



スラおは後悔した。
早く冒険に出かけたいと強く願っていた過去の自分を。
異世界にたった一匹、マスターなし。
それも目の前の少女は自分が新しいマスターだと言う。
「だから何度も言ってるけど、オイラにはもうクリオっていうマスターがいるんだよ!」
スラおはなんとかルイズに状況を分かってもらおうと熱弁する。
ルイズもまた今の状況を理解させるためにスラおに説明する。
「それでもあんたは私と契約を交わしたの。背中にルーンが浮かび上がったでしょ?それが証拠よ」
「でもそいつは消えちまったぜ?」
「あ、あんたがぶにぶにしてるからでしょ!私だって本当はあんたみたいな弱そうな使い魔嫌なんだから!」
「な、なんだとぉ!?」

場所はトリステイン魔法学院、ルイズの部屋。
夜も更け、二つの月が空を照らす。
スラおは自分が別の世界から来た魔物であること、自分の仲間のこと、マスターのことを説明した。
それでもルイズがスラおを使い魔にする決意は固く、逃がしてくれそうにない。
そしてルイズは自分達の世界のこと、貴族と平民の違いやメイジについてを詳しく説明した。

「全く信じられねぇな。オイラ以外にスライムが存在してないなんて・・・」
「どこかにいるかもしれないけど・・・少なくとも私は見たことがないわ」
「旅の扉もねぇんだろ?」
「ないわ。そもそも別の世界があるだなんて信じられない」
「ん~~、しかたねぇ。タイジュの国に戻るまではその使い魔ってやつになってやるよ」
「使い魔にしてください。ご主人様って言いなさい」
今まで散々クリオに文句を言ってきたが、ルイズよりは何倍も良いマスターだ。
元の世界に帰ったらクリオに優しくしてやろうとスラおは決めた。
しかし、肝心の元の世界に帰る方法が分からない。
「その代わりオイラが戻る方法を探してもらうぜ」
「まぁ、適当に調べとくわ。あんたが居なくなればもっと強い使い魔を召喚できるしね」
すごく不安だが、もしかしたらクリオ達がこの世界への旅の扉を見つけて助けに来てくれる可能性もある。
結局スラおは成り行きに身を任せることにした。
「あんたもちゃんと使い魔としての仕事をこなすのよ」
「使い魔の仕事?」
ルイズが言うには使い魔にはいくつかの仕事があり、いくつかの能力が与えられるらしい。
「まず、使い魔は主人の目となり、耳となる能力を与えられるわ」
「なんか見えるか?」
「全然見えない。これは無理みたいね・・・」
スラおは話を聞きながらルイズとモンスターマスターとの違いを少しずつだが理解する。
「それから、使い魔は主人の望むものを見つけてくるのよ。たとえば秘薬とかね」
「食い物なら見つけられるぜ」
「ま、まぁ、あんたにはこの世界の知識がないからこれも無理よね・・・」
スラおにとっては目となり耳となるのも、アイテムを見つけてくるのもモンスターマスターの仕事である。
それらをモンスターに押しつけてしまうとマスターの存在意義はなくなってしまう。
スラおは本当にルイズをマスターとして良いのか、今更ながら疑問に思った。
「あんた魔法が使えるんでしょ?だったら唯一出来る仕事があるわ。そしてこれが一番重要。」
それを聞いてスラおも何をやらされるのかピンときた。
「使い魔は、主人を守る存在であるのよ!私を襲う敵をバッタバッタとなぎ倒すの。まぁ、あんまり強そうじゃないけど・・・」
「そいつを待ってたんだ!」
冒険はすなわち強敵達と戦って勝ち進むことでもある。
スラおはそれを心待ちにしていたのだ。
「でも最後の一言は余計だっつの!オイラめちゃくちゃ強いんだからな!」
事実、スラおは他のスライムとは比べ物にならないぐらいの強さを持っている。
覚える特技の優劣こそあれ、その力はキングスライム並である。
特にスラおは極僅かなモンスターしか得とくしていないであろう、最強の特技を持っている。
しかし、その見た目故、ルイズはスラおの強さを信じてくれそうになかった。

「あ、それと洗濯、掃除、その他雑用もやらせてあげる」
「な、なんだってー!?」
急に思い出したかのようにルイズはそれらをスラおに押しつけた。
スラおを見て気持ち悪いとまで言ったくせに洗濯や掃除をさせるとは恐れ入る。
「私はもう寝るから」
ルイズはあくびをしてベッドに横になる。
「あんたのベッドはそこだから」
と、床を指さした。
そこには藁が敷いてある。
「ちょっと藁が少ないんじゃねぇのか?」
そう言いながらスラおは藁の上に飛び乗り目を閉じた。
普段牧場で寝泊まりしてるので藁の上で寝ることになんの抵抗もないのだ。

――――――――――――――――――――――――――


翌朝、目を覚ますとそこは地獄だった。
ルイズは自分で服を取ろうともしない。
流石に着せ方が分からないと言って断ったが、服を着せろとまで要求してきた。
そして籠に入った大量の服。洗濯しろということだろう。
一時的と言っても、一応マスターとして認めたのだから、命令には従うがどうも納得できない。

ルイズが部屋を出たのでそれについていく。
すると別の部屋から赤い髪の少女が現れた。
そしてその後ろには見たこともない魔物がついて歩いている。
「おはよう。ルイズ」
少女がルイズに声を掛けたが、ルイズはまるで出会いたくなかったと言わんばかりに顔をしかめる。
「おはよう。キュルケ」
「それがあなたの使い魔?意外とキュートじゃない」
どうやら馬鹿にされているらしいが、今のスラおにはどうでもいいことだった。
そんなことよりも気になるのはキュルケの使い魔のことだ。
「よう、見たことないモンスターだな。オイラはスラおだ。お前は?」
話しかけてみるが、巨大なトカゲの魔物は人間の言葉を話せないようだ。
名前を知ることはできないが、意思の疎通はできる。
どうやらマスターにはかわいがられているらしい。

「どう?私の使い魔はサラマンダーよ。フレイムって言うの。レアなのよ~」
「ふ、ふん、私の使い魔は喋れるわ」
「あらそう。それは尚更不気味ね」
「おい、お前さっきオイラのことキュートって・・・」
スラおが言いきる前にキュルケはルイズと勝手に話を終わらせて去って行った。
キュルケに馬鹿にされて、ルイズは不貞腐れてしまったようだ。
「気にすんなよ!あのフレイムとかいうのそんなに強そうじゃなかったぜ!」
「少なくともあんたよりは強そうよ・・・はぁ・・・」
ルイズは深いため息をつき、続けた。
「メイジの実力をはかるには使い魔を見ろって言うぐらいなのに・・・」
「だったら誇ってもいいんだぜ?だってこのオイラがルイズの使い魔なんだからな!」
励まそうとしたつもりが、ルイズはさらに機嫌を悪くする。
「まぁ、スライムがなめられるのにはある程度慣れてるけどよぉ・・・」
自分の実力を発揮する機会が訪れないことに、スラおもまたため息をついた。

場所は変わり、トリステイン魔法学院の食堂―――の外。
スラおは食堂の中には入れず、他の使い魔と同じ庭で朝食をとることになった。
「に、肉がねぇ・・・!」
ここは地獄だ。スラおは確信した。

その後も授業で錬金を失敗したルイズが大爆発を起こしてその後片付けをさせられたり、苦労が絶えない。
その時、スラおはルイズがゼロのルイズと呼ばれている理由を知った。
魔法の成功率がゼロだからだ。
馬鹿にしたつもりはなかった。
むしろ、爆発する魔法なんてカッコイイじゃねーか!と、思っていたぐらいである。
しかし、そのこと自体に触れることがタブーだったらしく、ルイズは今朝の件も相まって、かなり機嫌を悪くしてしまったらしい。
そのせいで昼食抜き。片づけをさせておいてあんまりである。
地獄。間違いなくここは地獄。肉もない。

スラおは途方に暮れていた。
他の使い魔から餌を奪い取ろうとも考えたが、問題を起こすとルイズに何をされるかわからない。
腹が減った時は、動かないのが一番。
無情―――それでも腹は鳴る。

「どうしたの?お腹減ったの?」
かなり大きな音が鳴ってしまったのだろうか。
そこには黒髪の少女が腰を低くして、まるで猫をあやすように喋りかけてきた。
「は、腹が減った・・・」
「しゃ、喋った!」
他の使い魔と同じように人の言葉を喋るとは思わなかったのだろう。
少女は驚いたが、すぐに平静を取り戻し、再び声を掛ける。
「賄いのシチューならあるけど食べる?」
「肉はねぇのか!?」
「えっと・・・ごめんね。お肉はないの」
「それでもいい!飯が食えるなら何でもいい!」
少女はスラおを抱き上げて歩き出した。

食堂の裏にある厨房――
どこよりもおいしい香りが漂うその場所で、少女は少し大き目の皿にシチューを注ぐ。
「うまい!肉以外でこんなにうまいもん食ったことないぜ!」
「よかった。おかわりもたくさんあるからね」
「ほんと助かったぜ。オイラ、スラおっていうんだ」
「私はシエスタっていうの」
シエスタは相変わらず猫をあやすように、いや、幼い子供をあやすように話す。
「ご飯貰えてないの?」
「そうなんだよ。ルイズのやつ、ゼロのルイズって呼ばれるとすぐ怒るんだ。クリオとはどんなに喧嘩したってこんな扱い受けたことなかったぜ」
「クリオ?」
「オイラのモンスターマスターだ。ルイズの使い魔になってるのは元の世界に戻るまでだ」
「そうなんだ」
色々と突っ込みどころは多かったが、シエスタはあえて何も聞かなかった。
スラおの言うことが本当かどうか確かめる術はないし、何よりもスラおは貴族の使い魔である。
余計な詮索をしてお咎めがないとも限らない。
「ぷはー。食った食った。なんか恩返ししないとな。オイラに出来ることならなんでもするぜ!」
「うーん。大丈夫。気にしなくていいよ。その代わり、このことは内緒ね」
確かに青色のぶにぶにした塊に出来ることはない。
少なくともデザートを運ぶなんてことは不可能である。
「じゃぁ、私はデザートを届けに行くね」
シエスタは大きな銀のトレイにデザートを並べると、それを持って食堂に向かった。
おわかりしすぎて満腹のスラおは、最初は何も考えずにお言葉に甘えたが、やはり納得はできない。
意地悪なルイズとは違って、シエスタは優しい。何か力になりたい。
でもスラおに出来ることは戦闘ぐらいである。
時間があるときだけでもシエスタを見守ろう。
そう決めて、スラおは厨房を出て、こっそりと食堂に向かった。

スラおはなるべく体をつぶして薄くなり、草に身を隠して全身する。
スライムなりの匍匐前進である。
食堂には着いたが、まさか正面ら入るなんてことはできない。
スラおは器用に食堂の壁を登って行き、少し高い位置にある窓を目指す。
「ふぅ~。お、いたいた」
食堂内には多くの人間が居るが、シエスタの服装は他の人間達とは随分と異なるものだったため、すぐに見つけ出すことができた。
しかし、シエスタはデザートをすでに配り終えた後だった。
にも関わらず、食堂から出ようとしない。
どうやら金髪の男に言い寄られているらしい。
それに対して、シエスタは困った顔をしている。
「こ、これはオイラの出番か!?」
スラおは無理やり窓を開け、食堂の中に入った。
「ちょーーと、待ったァ!」
急に降ってきた青色の物体に金髪の男は驚く。
「な、なんだ!君は!」
「ス、スラおさん!?」
シエスタもまた驚く。
周りに貴族が居るからだろうか、スラおの呼び方は"スラおさん"に決定したらしい。
「てめぇ!シエスタが困ってんだろ!?」
「い、いえ、私が悪いんです」
シエスタは俯いて、申し訳なさそうに言う。
どうやら言い寄られていたわけではないらしい。
「そうさ。彼女が二人の貴族の名誉を傷つけたんだ。まぁ、もう許してやろうとしたところだがね」
そうなると、勘違いして出入り禁止の食堂に突っ込んだ自分の立場が危うい。
大声で捲し立てたせいで、おそらく食堂内にいるルイズにも自分が居ることに気付いただろう。
般若のような顔でルイズが立っているような気がして、後ろを向けない。
「シ、シエスタが何したってんだよ!」
もう後には引けない。
「彼女が香水なんて拾ったせいで・・・」
「うるせぇ!お前が悪い!」
相手の言葉を遮るスラお。形振りかまってる暇はない。どっちが悪いかなんてもうどうでもいいのだ。
「そのとおりだギーシュ!お前が悪い!」
周りにいた人間がどっと笑った。
どうやら本当にこの男が悪いらしい。
「つ、使い魔のくせに貴族に対する口のきき方がなってないようだな」
男はキザったらしく薔薇を胸に当てて言う。
「うるせぇキザ野郎。その薔薇全然似合ってないぜ!」
まるで追い詰められた状況からの突破口を見つけたかのようにスラおは挑発を続ける。
「よかろう。君に礼儀を教えてやろう。ちょうどいい腹ごなしだ」
「おもしれぇ。やってやる!」
しかし、ギーシュはくるりと体を翻して去っていく。
「おい、逃げんのか!」
「ふざけるな。貴族の食卓を荒らすわけにはいかない。ヴェストリの広場で待っている。自分の主人にこのことを伝えてから来たまえ」
ギーシュの友人達は楽しげに彼の後を追う。
「だめ、殺されちゃう・・・」
シエスタの声は震えている。
「大丈夫だって。オイラ強いんだぜ?」
しかし、シエスタはその場を走り去ってしまう。
どの世界に行っても、スライムは最弱の魔物だと思われてしまう。
シエスタも、その小さな体や手足のない姿からそう思ったのだろう。

後ろからルイズが駆け寄る。
幸い、その表情は般若のようなものではなかった。
怒りというよりは焦りの表情だ。
「あんた!何してんの!勝手に決闘の約束なんてして!」
「だってよ、あいつが悪いんだぜ?たぶん・・・」
「た、たぶんって・・・謝ってきなさい。あんたじゃ勝てないわ」
「だらかオイラは強いんだって!あんな奴に負けるかよ!」
スラおはそう言い捨てて、ギーシュの向かった方へピョンピョンと跳ねて行ってしまった。
「あぁ、もう!使い魔の癖に勝手なことばっかり!」
ルイズはスラおを追いかける。



新着情報

取得中です。