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ソーサリー・ゼロ第四部-10

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一四四

 君たちの乗る『ロリアン』号は無事にロサイスに入港し、『桟橋』――鉄骨を組み合わせて建てられた巨大な塔――に吊り下げられる。
 ようやく肩の荷が降りたといった様子の船長は、君たちに別れの挨拶をする。
 『ロリアン』号でラ・ロシェールに戻るアンリエッタ王女も、君たちの道中の無事を祈ってくれるが、その声は消え入りそうに弱々しい。
 今の彼女の心の中では、君たちに対する罪悪感と、ウェールズ皇太子に会いたいという未練がましい思いが、複雑に入り混じっているのだろう。
「ルイズ……本当にごめんなさい。あなたたちの邪魔をするつもりはなかったのです。わたくしはなんということを……」
 悔いるアンリエッタに向かって、ルイズが口を開く。
「姫さま、どうかご心配なく」
 密航が明らかになって以来、ルイズが王女に話しかけるのはこれが初めてだ。
 ルイズは表情をきっと引き締める。
「わたしたちは、必ず任務をなしとげてみせます。誰ひとり失うことなく、全員で無事に帰ってきます。それに、ウェールズ殿下も……
殿下も、きっとご無事です。任務が終わってアルビオンが平和になったら……」
 そこで言葉を切り、笑みを浮かべる。
「すぐに姫さまのもとへとお連れいたします――無理やりに引っ張ってでも!」
「まあ! そんな乱暴な」
 アンリエッタは困ったように眉を寄せるが、すぐに笑いだす。
「だから姫さまは、トリステインにお戻りになったうえで吉報をお待ちください」
 アンリエッタはこくりとうなずく。
「ルイズ、あなたは変わりましたわね。ただ自分の系統に目覚めたというだけではなく、昔に較べてこう、大胆になったとでも申しましょうか。
頼もしい使い魔さんの影響かしら?」
 ルイズは顔を赤くして、
「何をおっしゃるのです、姫さま! この粗野で下品な使い魔は関係ありません!」と叫ぶ。
 アンリエッタの密航で雲行きの怪しくなったふたりの信頼関係だったが、無事に持ち直したのを見て君はほっとする。

 陽が低く垂れ込めた黒雲にさえぎられているため、アルビオンの空は暗い。
 遠くからは、低い雷鳴が聞こえてくる。
 周囲を漂う空気はじめじめしており、君は不快な蒸し暑さを覚える――前に来た時は涼しく爽やかだったのが、嘘のようだ!
 『桟橋』を下りてアルビオンの地に立った君は、港から少し離れたロサイスの市街に目をやる。
 『ロリアン』号の船長が言っていたように、町から煙が上がっているが、それは一つや二つではない。
 火の手はいたる所から上がっており、それがただの火事でないことは、誰の目にも明らかだ。
 ルイズは不安げな表情を浮かべる。
「やっぱり襲撃を受けてるみたいね。敵は≪門≫を使ったのかしら」
 君は、そうに違いないと答える。
 クロムウェルの恐るべき兵器である≪門≫の前には、戦の常識など通用しない。
 どれだけ強固な城壁を築こうが、どれだけ戦場から離れようが、安全な場所など存在しえぬのだ。
「町は大変な事になってるみたいね」
 キュルケが鼻に皺を寄せる。
「物が焼け焦げるにおいが、風に乗ってここまで漂ってくるわ。それに、太鼓と角笛の音も」
 キュルケの言葉につられて耳を澄ますと、彼女の言ったとおり、荒々しく不揃いな音色が聞こえてくる。
 その野蛮で力強い響きは、洗練された文化をもつハルケギニアにはおよそ不似合いなものだ。
 君は不安に襲われ立ちつくす。
 敵は、どれほどの兵力をロサイスに差し向けたのだろう?
 はたして、混乱の真っ只中であろうロサイス市街を、無事に突破できるのだろうか?
 ルイズとキュルケも君と同じ不安を覚えたのか、町への一歩を踏み出せずにいるが、カリンがそれを追い越す。
「急ぎましょう」
 振り向きざまにカリンは告げる。
「ここでぼんやりしている暇はありません。とにかく市街を突っ切って、ロサイスの外に出なければ」
 その言葉にうながされて君たちは足を動かす。二九五へ。

二九五

 ロサイスは堂々とした石造りの建物が並ぶ、大きく立派な町なのだが、今はぶざまな混乱の只中にあり、まるで魔女の鍋だ、と君は思う。
 どの通りも右往左往する兵士や荷役夫、町民でごった返しており、遠くから角笛や太鼓の音が響くたびに、人々はおびえて首をすくめる。
 カリンは、目の前を急いで横切ろうとした兵士のひとりを引き止め、
「状況はどうなっているのです? 敵の規模は?」と尋ねる。
「わからんが、そこらじゅうから押し寄せてきているらしい。とにかく、やばい事は確かだ。早く町から抜け出さないと、殺されちまう」
 額に汗を浮かべた兵士は、早口に答える。
「町を出るにはどうすれば?」
「北と西に門があるが、この呪われたアルビオンにはもう、逃げ場なんて残っちゃいない。俺は船に乗る。あんたらも急いだほうがいい」
 そう言うと脱兎のごとく駆け出し、角を曲がって姿を消す。
 カリンは溜息をつく。
「規律も秩序もありはしない……もはや軍隊ではなく、ただの烏合の衆。トリステインの栄光が、こうもやすやすと地に堕ちるとは」と、
苦々しげに漏らす。
 キュルケは≪飛翔≫の術で二十フィートほどの高さに浮き上がると、町の北側と西側を交互に眺める。
 しばらくして地面に下りてきたキュルケは、
「西門のほうがここから近いけど、町の西側は火事の煙だらけ。敵も大勢いることでしょうね。北側はまだ敵の手が回ってないみたいだけど、
門までだいぶかかりそうよ」と言う。
 どちらへ向かう?
 西(一九一へ)か、それとも北(三七七へ)か?

三七七

 君たちは、互いにはぐれてしまわぬよう気をつけながら、北へ向かって走る。
 慌てふためく人々が行く手をさえぎるため、道ははかどらない。
 門や港を目指して逃げる者は、意外なほど少ない――それほど混乱しているのだ。
 ある十字路の真ん中では、ひとりの将校が頭上で杖を振りかざし、
「集まれ! 隊列を組め! 敵を食い止めるんだ!」と兵士たちに向かって呼びかけるが、
まったく相手にされていない。
 別の将校は魔法で屋根より高く飛び上がり、空から逃げようと試みるが、そこに翼をもつ大きな影が飛びかかる。
 影は将校を捕らえると素早く飛び去り、犠牲者の悲鳴はすぐに聞こえなくなる。
「な、なによ、今の……」
 一部始終を見ていたルイズが青ざめる。
「≪フライ≫は、もう使わないほうがよさそうね」
 そう言って、キュルケは足を速める。

 ロサイスの路地は曲がりくねっているが、君たちは確実に北へと進んでいく。
 角笛と太鼓の音がだんだん大きくなっているのに気づき、君は小さく毒づく。
 敵はすぐそこまで来ているのだ。
 町の北側の壁まであと半マイルほどの所で、横あいの路地から町人の一団が飛び出す。
 彼らは君たちの姿を目にすると、口々に助けを求める。
「貴族様、化け物どもがすぐそこまで! ああ、き、来た!」
 町人のひとりが指さす方に目を向けると、甲冑をまとった背の低い生き物の群れが迫ってくる。
 それは、浅黒く醜悪な顔をしたオークどもだ。
 手に手に白刃をきらめかせており、見えるだけでも二十人はくだらない。
「皆殺しにしろ!」
 隊長格らしき大柄なオークが胴間声を張り上げるのを聞いて、君は身構えるが、カリンの反応はずっと速い。
 オークたちの隊列の中心に突然竜巻が現れ、怪物どもを吹き上げる。
 竜巻は数秒のうちに道幅いっぱいに膨れ上がり、やがて、オークたちの姿はどこにも見えなくなる。
 驚きと歓喜の声をあげる町人たちに、カリンは命じる。
「さあ、早く。あなたたちも来るのです」
 彼らは、君たちと一緒に北門へと向かう。

「ねえ、ちょっと」
 君の隣を走りながら、ルイズが話しかけてくる。
「あの亜人たち、人間の言葉を喋ってたわよね」
 君はうなずき、≪タイタン≫のオークは、ハルケギニアのオーク鬼より小さくて力も弱いが、頭の出来と手先の器用さはずっと上だ、と言う。
 オークは概して臆病で間の抜けた連中だが、貪欲かつ残虐であり、軍隊に組み込まれた時は油断ならぬ敵になる、と。
「そんな奴らが、今のアルビオンには何万もいるの……?」
 ルイズの声が震える。
 君たちの任務が失敗すれば、アルビオンだけではなくハルケギニア全域が、オークやその同類の怪物どもに踏みにじられることになるのだ。
五六六ヘ。

五六六

 その後も何度かオークやゴブリンの小部隊と出くわすが、カリンの魔法はまたたく間に敵を一掃し、わずかな撃ち漏らしも、
キュルケの≪火≫の魔法によって仕留められる。
「異世界からの怪物といっても、大したことないわね」
 額の汗をぬぐって、キュルケは余裕の笑みを浮かべる。
「油断は禁物です、ミス・ツェルプストー」
 カリンは周囲に目を光らせる。
「雑兵といえど、甘く見ていると足下をすくわれぬとも限りません。ましてや、敵は我らにとってまったく未知の相手……」
 そこで言葉は途切れる。

 カリンの視線の先に現れたのは、ひょろりとした体つきの三人組だ。
 暗い灰色の肌と尖った耳をもっているので、君には相手が黒エルフだとわかる。
 黒エルフたちは三人とも革鎧に身を包み、両手に短剣を握っているが、ひとりは腰から奇妙な物をぶらさげている。
 それは、太い針金を編んで作った小さな籠のようだが、中に何が入っているのかまではわからない。
 黒エルフたちは吊り上がった目を細め、にっと唇を歪めると、短剣を構えて君たちのほうへと突進してくる。
「愚かな」
 うんざりしたような口調でそう呟くと、カリンは杖を振るう……しかし、何も起きない!
 一瞬あっけにとられたカリンだったが、すぐにもう一度呪文を唱えて杖を振り下ろす。
 やはり術の効果は現れない。
「ここはあたしが!」
キュルケが呪文を唱えるが、炎どころか煙の一つも上がらない。
「ど……どうして?」
 ルイズが悲鳴じみた困惑の声を上げる。
 黒エルフは
「は!」と短く嘲笑すると間合いを詰める――三人で同時にカリンに斬りかかるつもりだ!
 すばやく決断しなければならない。
 武器を抜いてカリンと黒エルフの間に割り込むか(四九三へ)、黒エルフのひとりに向かって何か武器を投げつけるか(三三〇へ)?
 術を使うこともできる。

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