あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

GOTHIC DELUSION ZERO01


「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン!我の運命に従いし、"使い魔"を召喚せよ!」

その日、トリステイン魔法学院では使い魔召喚の儀式の真っ最中であった。
使い魔召喚の儀式とは、この魔法学院に通う生徒達が2年へ進級するにあたって行われるものである。
同時に彼らのパートナーである使い魔を決める大事な場でもあるのだ。

使い魔は生涯をかけて主を守り、導き、そして共に歩む。
故に、使い魔召喚は神聖な儀式として、代々執り行われてきたのである。

そして、今その使い魔召喚を行っているのは桃色がかった髪の少女、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールであった。
ルイズが召喚の魔法『サモン・サーヴァント』の呪文を唱え、杖を振ると目の前に小さな爆発が起きる。
だが、もくもくと上がる煙が消え去っても、そこには何も無かった。

「また失敗かよ!!」
「何回目だっけ?」
「さあ?もう10回は軽く超えるんじゃないの?」

周りの級友たちの声がルイズの耳へと入る度に、彼女は腹を立て、ムキになって呪文を唱える。
そしてまた爆発を起こし、その回数だけを重ねていく。
そんなことの繰り返しに、周りの級友たちも流石に煽りだけではなく、本気の抗議の声を浴びせかける。

「いい加減にしろ!!」
「一体、何時までやってんだ!!」
「もう止めちまえ!!」

他の級友たちは既に使い魔を召喚し終え、契約まで済んでいた。
未だに召喚すら出来ていないのはルイズただ一人だけであった。
学院の教師の一人でこの場を監督しているコルベールはそんなルイズを見て、思わずため息を吐く。
コルベールはこの学院内ではルイズの努力を認めている数少ない人物であったが、流石に今の状態のまま続けていても埒が明かないと思い始めていた。

「……ミス・ヴァリエール。このまま続けていても同じことの繰り返しだ。今日のところは次の召喚を最後にしようじゃないか」
「……え?」

ルイズはこのコルベールの言葉に少なからずショックを受ける。
とうとう自分は見限られてしまったのだと。
彼女も彼女でコルベールのことを多少は信頼していたのである。
そんな信頼している教師から遂に最後通告を出されてしまった。
自分の不甲斐無さに思わず下唇を噛む。

(……させなきゃ。絶対に次で成功させなきゃ!!)

ルイズは強迫観念とさえ言えるほどの自己暗示をかけると、スッと目を閉じた。
そして意識を最大限に集中させ、呪文を唱え始める。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン!宇宙のどこかにいる私の僕よ!神聖で美しく、そして強力な使い魔よ!私は心より求め、訴えるわ!我が導きに応えよ!」

杖を振った瞬間、今までにない程の大爆発が目の前で起きた。
物凄い爆風が巻き起こり、思わずルイズは二、三歩後ずさってしまう。
しかし、その鳶色の目を閉じることは無く、大量の煙で覆われた場所をしかと見つめる。

(私の……私の使い魔!!)

ドラゴンやグリフォンとまではいかなくてもいい。
猫や犬……果てはネズミやカエルだって構わない。
ただ、そこに自分が召喚に成功したという証があって欲しいと願いを込めて凝視していた。

やがて、煙の膜が徐々に薄くなるにつれて、中に何かの影が見え始めた。
そのシルエットから察するに、そこそこ大型の生物のようである。

(やった……やったわ!!)

それまでの過程はともかく、召喚が成功した。
そして、使い魔もそこそこ大物である可能性が高い。
ルイズは湧き上がる喜びの感情を隠すことが出来ずにニヤけていた。

だが、その喜びも束の間であった。
煙が晴れて、その中の正体がハッキリすると、ルイズの顔が凍りつく。
級友たちの中の一人がするどくその正体を見とめると、大きな声を上げた。

「……ゼロのルイズが、平民を召喚したぞーーーーー!!」

その言葉が切っ掛けとなり、周囲に笑い声が巻き起こる。
中には、直接的にルイズを馬鹿にしたようなことを言ってのける者もいた。
だが、それらの言葉はルイズには届くことは無かった。
彼女は彼女で目の前の現実を受け入れきれずにいたのであった。

(何よ、これ?嘘、でしょ?え?)

何度目を擦って確認しても、そこにいるのは仰向けに倒れた平民と思われる傷を負った男。
身の丈はコルベールくらいあり、何やら上下にボロボロの黒い服を着ている。
髪型も特に癖っ毛ということは無く、セットしている様子も無く、ただストレートに伸ばしているだけ。
長過ぎず、短過ぎず、といったところか。
多少茶色掛かっているが、基本的には黒い髪である。
ここハルケギニアでは黒い髪というのは珍しく、ここトリステイン魔法学院でも使用人の中に一人該当する人物がいるくらいである。
だが、珍しいだけで存在はしているのだ。
顔は目を閉じてはいるものの、至って平凡。
特に美男子というわけでもない。

これがルイズの呼び出した使い魔の姿であった。
全身に傷を負ってはいたものの、致命傷という風には見えず、また普通に息をしている為、治療は後回しにすることとなった。

「……さあ、ミス・ヴァリエール。『コントラクト・サーヴァント』を」

コルベールは無慈悲にルイズへとそう告げる。
少しの間、その男を見つめていたルイズではあったが、すぐにコルベールへと向き直り、必死の形相で言った。

「ミスタ・コルベール!お願いです!!『サモン・サーヴァント』をやり直させてください!!」

しかし、コルベールは無言で首を振る。
更にルイズが食い下がると、コルベールは困ったような顔で言った。

「ミス・ヴァリエール……残念ながら『サモン・サーヴァント』のやり直しは許可出来ない。『サモン・サーヴァント』は神聖な儀式なんだ。やり直すということは始祖ブリミルへの冒涜にもなる」
「そんな……!?でも、平民を使い魔にするなんて聞いたこともありません!!」
「それでもだ。……分かって欲しい。それにもう一度『サモン・サーヴァント』を行って成功させる自信があるとでも言うのかい?」

最もな疑問であった。
此度の成功の前には、数多の失敗があった。
ルイズ本人でさえ、再び『サモン・サーヴァント』が成功するとは思っていなかった。
だが、それでも変えたかった。

彼女が望んでいたのは普通。
例え、ネズミやカエルだったとしても、それで良かったのだ。
ルイズは生まれてこの方、系統魔法をまともに成功させたことが無く、その為に周りから浮いてしまっていた。
せめて他で補いたいと、筆記などの実技以外の部分で好成績を修めても、その現状は変わらなかった。
それならば、使い魔だけは他の者と同じようなものでありたい。
そう願い、成功させたと思ったら、その使い魔が人間……それも平民である。

耐え難い事実。
それを受け入れるくらいなら、始祖ブリミルに背いてでももう一度召喚をしたかった。

だが、それが出来る筈もないのだということも頭のいい彼女には分かっていた。
暫くの間、コルベールと問答をしていたが、それも切り上げて、ルイズは渋々倒れている平民の男の元へと足を向ける。
そして、男の顔の側まで来ると、観念したかのように『コントラクト・サーヴァント』の呪文を唱え始めた。

(もう背に腹は変えられない。それは分かっている。でも……)

迷いを抱えたまま、半ば棒読みで『コントラクト・サーヴァント』の呪文を紡ぐ。

「……我が名はルイズ・ フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」

そうして、男の唇に自らの唇を重ねようとした。
その時であった。


「やめろ!!!!」


突如、舌足らずな子供のような、だが何処か威厳を感じる声が辺りに響いた。
その声に思わずルイズは男の唇に触れる寸前に止めてしまう。

コルベールや級友たちは声の正体を探して辺りを見回していた。
すると、再びその声が今度はルイズに向けて放たれた。

「たかみちはわたしの遂<ミニオン>だ!おまえのつかいまなどにはけっしてならない!!」

ルイズはその声の方へ目を素早く向けた。
他の者たちが声の正体を見失っているのとは対照的に、ルイズにはその声の主のいる場所がすぐに分かっていた。

視線を向けたそこには一人の小さな少女が立っていた。
美しい髪と満月のように丸く大きい瞳。
そして、まるで何処かのお嬢様だとしか思えないゴシックロリータの服装。

今、目の前で倒れている男の知り合いにしては、あまりに不釣合いな存在に見えた。

ルイズは少しムッとした表情で少女へ問い質した。

「……アンタ誰よ?一体何なの?」

少女はそんなルイズの視線をしっかり受け止め、寧ろルイズが怯みそうになるぐらいに強く睨み付けたまま言った。

「私の名はロー。ファルシュ・ドロレス・ヴァレンタインだ。ゴシックハートは<決して錆びぬ思い>。最上なる高貴、揺るぎなき誇りを掲ぐ<星の揺籃>の血と名を継ぎし者なり!!」


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