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零魔法峠

「まさか、そんな野菜で僕のワルキューレを倒そうと思っているのかい?」

 ぷにえが魔法で生み出した、手足の生えたじゃがいもとにんじんを目にし、対手であるギーシュは腹を抱えて大笑いし始めた。
 当のぷにえは総勢七体のワルキューレを前に、穏やかに微笑みながら佇んでいる。

「行きがかり上決闘なんて事になったけど、頑張ってね、みんな♪」
「「おおーーーーっ!」」

 ファンシーな見た目に反し、凛々しい雄たけびを上げてぷにえに応える野菜達は、猛然とワルキューレの布陣のど真ん中を突っ切ろうとし、

「野菜が青銅をどうにかできるものか」
「「ぎゃぁぁぁ!!」」

 その全てがワルキューレによる攻撃の元に崩れ去った。そりゃ、野菜じゃしょうがない。
 目の前で同胞達をマッシュポテト及びサラダスティックにされ、ぷにえの下に侍っていた一人のじゃがいもが、血涙を流しながらワルキューレを睨む。

「ぷ、ぷにえ殿……我が軍、これにて全滅にござる……」
「私の野菜さん達がやられちゃった……」

 しゅんと首を垂れ、ぷにえは野菜達の死を悼む様に膝を付いた。
 それに庇護欲を駆り立てられたか、決闘の様子を眺めていた男子生徒達が、一斉にギーシュに対してブーイングを始める。

「ぷにえちゃんを悲しませるなんて、なんて事するんだー!」
「野菜相手に本気出す奴があるかー!」
「食べ物を何だと思ってるんだおまえは!」

 流石のギーシュもこれにはたじたじで、ぷにえに直接攻撃するのもはばかれる様だ。

「……あー、その、何だね。一応僕の勝ちって事で納得してもらえるかい?」

 おずおずとそう言い出したギーシュに、じゃがいもがかぶりを振って血涙を撒き散らし、こう叫んだ。

「ぷにえ殿が敵を前に背を向ける者か! ぷにえ殿! このじゃがいもめの死に花、とくとご覧……アッー!」

 最後まで言い切る事無く、じゃがいもは他ならぬぷにえの手にかかってその生涯の幕を閉じた。

「端からうぬらに期待などしておらぬわ。身の程を知れ」

 ゆらぁりと立ち上がったぷにえは、先ほどまでの穏やかで可憐な雰囲気を一転させ、さながら修羅か羅刹なオーラを纏ってワルキューレの前に立ちはだかった。
 ぷにえの擁護をしていた男達も、彼女の豹変にその顔色を変える。

「うぬの勝ちだと? 卑しいじゃがいもの言う通りだがな、この田中ぷにえがうぬの様なただ貴族であるというだけの下郎に、降伏などするものかよ。調子に乗るのも程ほどにしておけ」
「……え……」
「これより、肉体言語にて仕る。王者の技、その身に刻み込むがいい!」

 自身の魔法の杖を放り出し、単身ワルキューレの群れの中に飛び込む。
 一同が驚きのあまり唖然と固まる中、ぷにえは駆ける。
 彼女がワルキューレの元を通り過ぎる度に、それらが甲冑の関節をばらばらにされて地面に崩れては落ちた。

「これで終わりか?」
「…………あれ?」

 物の数秒で七体のワルキューレをジャンクと化したぷにえは、未だ呆然としたままのギーシュに、指の関節をバキバキと鳴らしながら言った。
 既にギーシュが扱える戦闘用の魔法は存在せず、後は降参するしかないのだが、この雰囲気では口を開く事さえ困難だった。ぷにえのオーラが彼に纏わり付き、体が酷く重い。
 彼は後じさりをしようとして、思わず尻餅をついた。

「逃げるなら逃げよ。そうでなくては狩りにならん」
「ひっ……!」

 最早決闘ですらない。
 ぷにえの手が、ギーシュの手に伸ばされる……

「プリンセス……スピニングトーフォールド!」
「ぎゃああああああああ!!」

 そして、響き渡る彼の悲鳴。

「……魔法必要ないじゃない」

 決闘の様子を眺めていたルイズの口から、ぼそっとそんな言葉が漏れた。
 そして、ほんの少しの羨望をぷにえに向けるのだった。

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