あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

魔法少女リリカルルイズ04


光が顔に当たる感覚でフェレットは目がさめた。
まぶたを開けて首を動かし顔を上に上げると朝日が見えた。
今度は正面を見る。
するとジト目で睨みつけてくる巨大な人間の顔が見えた。
まあ、フェレットに比べればどの人間の顔も巨大なわけであるが。
「わああっ」
驚いて飛び起きるフェレットにルイズはやけに迫力のあるさわやかな挨拶をした。
「おはよう。よく寝てたわね」
フェレットが首をこくこくと何回も振る。
ルイズは動物の表情を見分けることなんでできないし、コントラクト・サーヴァントも使ってないからフェレットの仕草がなにを意味しているかは普通わからない。
でも、このときは何故かそのフェレットが人間であるように首を振る仕草が「はい」を意味しているのだとよくわかった。
「その……ルイズさん。ありがとう」
少し怯えながらフェレットはぺこりと頭を下げる。
きっとあれから、ずっと看病してくれてたんだろう。
よく観るとルイズの目の下にはくまができている。
体にも上手ではないものの丁寧に包帯が巻かれて薬も塗られていた。
「いいわよ。私の使い魔だもの。で……いろいろ話してもらうわよ」
妙に迫力があった。
「は、はい」
フェレットは緊張して背筋を伸ばした。
「じゃあ、まずは人間の姿になってみて」
「はい」
傷に障ったら大変だ。
ルイズは床に飛び降りようとするフェレットを止め、抱いて下ろしてやる。
床に立ったフェレットは体を発光させ、徐々に大きくなって
「やっぱりね……で、フェレットの時も人間の時もしゃべれるわけだ」
「は、はい」
人間に姿を変える。
それを見届けたルイズは少し離れて椅子に座った。
男の子を上から下、左から右にじっくり見つめる。
トリステインでは見ない刺繍や作りの服。
それに茶色いマントを着けている。
「あんた、1年生?」
生徒達の学年はマントで判別できる。
1年生は茶色だ。
「え?ちがいます」
「本当に?」
「本当です」
そうかも知れない。
フェレットに変身したり光の壁が作れるような一年生が居たら間違いなく評判になっているはずだが、そんな噂は聞いたことはない。
どうやら一年生を召喚したわけではないようでほっとする。
「次はあんたの名前を教えなさいよ」
「ユーノ・スクライアと言います。スクライアは部族名ですから、名前はユーノです」
ルイズはスクライアという部族を聞いたことがない。
もしかしたら辺境の方にはそういう部族があるかも知れないけど。
「部族名を名乗るって事は、ユーノは族長の息子かなにかなの?」
小さくても部族の長に連なるものならば貴族として扱うのが慣例である。
「いえ、そういうわけじゃないんです」
「じゃあ、ユーノは貴族とかそういうのじゃないのね」
「はい」
「平民か……喋るフェレットの部族の」
ルイズの最後のつぶやきはユーノには聞こえなかった。
「次。昨日のあれはなに?」
「あれは、ジュエルシードです。ジュエルシードは僕らの世界の古代遺産なんです。本来は手にした者の願いを叶える魔法の石なんですけど、力の発現が不安定で……夕べみたいに単体で暴走して、使用者を含めて周囲に危害を与える場合もあるし、たまたま見つけた人や動物が間違って使用してしまってそれを取り込んで暴走することもあります」
「そんなのがどうして学院の外の森なんかにあったのよ」
うつむいたユーノが言葉を続けた。
「僕のせいなんです。僕は故郷で遺跡発掘の仕事をして居るんです。それである日、古い遺跡であれを発見して調査団に依頼して保管してもらったんです」
「調査団……アカデミーみたいなものかしら」
ルイズはユーノの言葉を遮らない程度につぶやいた。
「運んでいた船が事故か……何らかの人為的災害に遭ってしまって21個のジュエルシードはこの世界に散らばってしまいました」
「ちょっと待って!」
ルイズが声を上げてユーノの言葉を止める。
「船の事故はユーノのせいじゃないんでしょ?}
「はい」
「だったらユーノは関係ないじゃない!」
「だけど、あれを見つけてしまったのは僕だから……全部見つけて、ちゃんとあるべき場所に返さないとダメだから」
泣いているような声が聞こえた。
「だから、ルイズさん。昨夜のこと、ありがとうございました。だから、いつか……お礼はします。必ずします」
当然よ。
ルイズは椅子の背もたれにふんぞり返る。
「でも、それはジュエルシードが集まるまで待ってください」
ルイズは2回相づちを打つ。
「僕はこれから探しに行きます。さようなら」
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょっと待ちなさい!!」
フライを使おうとしているのか窓に歩いていくユーノを引き留めた。
「ユーノは私が使い魔として呼び出したのよ!そんな勝手なこと許せるはずないじゃない!」
「使い魔?」
「そうよ。使い魔よ」
ユーノには心当たりがあった。
意識は霞んでいたが、突然ルイズが目の前にいたことは覚えている。
あれはルイズが突然現れたのではなく自分が召喚されたのかも知れない。
「ごめんなさい。使い魔はできません。僕はジュエルシードを集めないといけないから」
「それでもよ!」
「でも、ぼくが見つけてしまったから!」
「あぁあーーーーっ、もうっ」
ルイズが腕を振り回す。
「そのジュエルシード集め、これがいるん必要なんでしょ」
昨夜からずっと持っている赤い宝石──レイジングハートをユーノに突きつける。
宝石の名前は宝石自身が教えてくれた。
「返さないわよ!!!」
ユーノはレイジングハートとルイズを見比べる。
「それは……ルイズさんに差し上げます。昨日のお礼です」
「封印にはこれが必要なんでしょ?」
「それでも、やらないといけないから……何とかします」
「こ、こ、ここここ、この強情っぱり!!!いいわよ、ジェルシード集め。私がやってあげるわよ!!」
周りに響きそうなほどルイズが大声を上げる。
「え、でも、危険です」
「いいの!やるの!その代わり、ユーノ!!21個も集めるんだからお礼はレイジングハートだけじゃ足りないわ」
ルイズの細い眉がびっくりするほどつり上がっていく。
「は、はい」
「先払いしてもらうわ。あなたが私の使い魔になること!それがお礼よ!!!」
「は……はい」
気圧されるユーノにルイズが顔を近づける。
「使い魔って、わかってるんでしょうね」
「僕の世界にもあるから……だいたいは」
「だいたいじゃいけないわ。説明してあげる。まず、使い魔は目となり耳となるの。わかる?」
「うん、感覚を共有するって事ですね」
その的を射た返答にルイズは少し落ち着いた。
「次に、主人の望むものを見つけてくるのよ。例えば、秘薬の材料とか」
「……やってみます」
「それから、主人を守るの。その力で、主人を敵から守るの」
「わかりました」
ルイズは満足する。物わかりのいい子だ。
「あの、ルイズさん」
「なに?」
「いつまで使い魔をすれば良いんですか?」
ルイズの目がまたつり上がる。
それを見てユーノはあわてる。
「ぼ、僕の世界の使い魔は、大抵使い魔になる期間を決めるんです。1ヶ月とか、1年とか……なにか目標を達成するまでとか」
「ユーノの知ってる使い魔がどうかは知らないけど私の使い魔は一生よ」
「一生?」
「そう、一生。私かユーノが死ぬまで!今更嫌だって言うのは無しよ!これはもう決まったことなの。私はジュエルシードを探す。ユーノは私の使い魔になる!わかったわね」
ユーノは少し考える。
「どうしたのよ」
「わかりました。ルイズさんがジュエルシードを探してくれるのなら」
「一生よ!」
「はい」
「死ぬまでよ」
「はい。僕はルイズさんをずっと守ります」
ユーノがルイズを正面から見て宣言した。
ルイズはユーノの言葉に満足したが、正面から言われるとなんとなく意味が違うような気もして顔が少し赤くなった。
「いいわ。じゃあ、コンストラクト・サーヴァントを使うわ。その前に……」
「はい」
「ユーノ、昨日はもっと違う話し方してたでしょ。貴族に対する話し方は今みたいな方がいいけど、ユーノには似合わない気がするから私には昨日みたいに話して。良いわね」
「わかりました……じゃなく、わかったよルイズ。これで良いかな?」
ルイズは満足げに笑う。
「始めるわよ。ユーノ、まずそこに立って」
「ここだね」
ルイズはユーノと向かい合う場所に立つ。
「じっとしててね」
ユーノの方が少し背が低い。
ルイズはやりにくいので、ユーノの顎に手を当てて少し上を向かせた。
今度こそとユーノを見ると彼の目が間近から見えてどきっとした。
「ユーノ、ちょっと目を閉じて」
「え?」
「良いから閉じる!」
「はい」
あわてて目を閉じるユーノ。
「いくわよ……」
ルイズは息を大きく吸い込んだ。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」
「all right.」
レイジングハートの光をあびながらユーノにキス。
「ん……」
あわてて体を離そうとするユーノを押さえた。
今、離れられたら契約できない。


扉が開いた。そういえばルイズは帰ってきて鍵を閉めるのを忘れていた。
「おはよう。ルイズ」
扉の向こうから現れたのはキュルケ。
「どう?使い魔の様子は。コンストラクト・サーヴァントはもうすませ……」
キュルケの言葉と動きが止まる。
ルイズも視線だけを動かして、キュルケを見つめて動きを止める。
「ル、ル、ル、ルイズがおと……」
ルイズは扉の方にダッシュした。
すごい速度だ。
扉の端を掴み、渾身の力でキュルケにぶち当たれとばかりに扉を閉める。
「!!!!!」
何か変な声がした。
「ユーノ、フェレットに戻って。早く。早く」
「う……うん、でも、これ……」
ユーノの体は急に熱を持っていた。
苦しむ体を押さえながら、姿をフェレットに変えていく。
「大丈夫よ。ルーンを刻んでいるだけだから」
床に倒れたフェレットのユーノを抱き上げたとき、もう一度キュルケが扉を開けて入ってきた。
「なにするのよ!ルイズ」
「ご、ご、ごめんなさいキュルケ」
「ま、いいわ。それにしても驚いたわ。ルイズが部屋に男を連れ込むなんて。誰よ、紹介して」
「な、何の話かしら」
ルイズは明後日の方向を見てごまかそうとする。
「なに、照れてるの。確かここに……あれ?」
部屋を見回すがキュルケがいくら見ても誰もいない。
ついにはタンスを開いたり窓の外を見たりもしたがルイズは放っておいた。
「おっかしいわね……確かルイズが男の子とキスしてたんだけど……」
「あ、それね」
ルイズはユーノを見せる。
「今、コンストラクト・サーヴァントを終わらせたの。それを見間違えたんじゃない?」
「そう?」
「そうよ。そう、そうに決まってるわ」
まだ部屋の中を見回すキュルケを何とかするのにルイズは全力を尽くさなければならなかった。


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