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ゼロのペルソナ 第7章 刑死者 前編


刑死者 意味……殉教・無意味な犠牲

完二とワルドの決闘騒ぎがあった夜、女神の杵亭は襲撃された。襲われたのは酒場だ。
不意を打った攻撃に、酒盛りしていたキュルケ、ワルド、ルイズはその場で応戦する。地面と一体化した石の机の足を折り盾とし、魔法を飛ばす。
タバサと完二、陽介、クマたちはそれぞれの部屋にいたが、騒ぎを聞きつけ一階に下りてきた。タバサはすでに寝ていたのかパジャマのままである。
「おいおいおいおい、いったい何がどーなってんだ?」
慌てた様子の陽介にキュルケは簡潔に説明する。
「2、30人の傭兵たちが突然、襲ってきたのよ。店の外にはもっと数がいるでしょうし、魔法使いまでいるわ」
「僕たちの任務を邪魔しようとするものがいるようだね」
「いったい誰よ!」
忌々しそうに唸るルイズをキュルケはなだめた。
「その詮索はあとよ、今は目の前のこいつらをなんとかしないと……」
喋っている間も矢は間断なく飛んでくる。たまに返事代わりに魔法を飛ばす。
「こういう任務の場合は半分でも目的地に着けば任務は達成されたものとされる」
「囮」
そう必要最小限の言葉で答えたのはタバサだ。ワルドは頷いて作戦を話し始める。
「半分が傭兵たちを拘束し、残り半分が船へと向かう」
クマは駄々をこねるようにその作戦に異議を申し立てた。
「誰かを置き去りにするってことクマか?いやクマよ!そんなの絶対ダメだクマ!」
キュルケが諭すように言う。
「クマ、言ってる場合じゃないわ、これは任務なのよ」
しかし完二もクマを援護した。
「いや、クマの言うとおりだ。そんなみっともねえマネできねえ」
「だからそんなこと言ってる場合じゃ……」
「あっ、そうだ!」
ルイズの発言を途中で切るように陽介が大声をだした。
さえぎられたルイズがジロリと陽介を睨んだ。陽介は少しビビりながら思いついたことを話始めた。
「なあ、あいつら追って来れなくすればいいんだろ?もしかしたら何とかできるかも」
ワルドは否定するように言う。
「かもじゃダメだ」
「一分、いや30秒あればいいから!」
ワルドは困惑した。少年が何をしようとするのか見当が付かなかったからだ。
しかし陽介の隣にいたパジャマ姿の彼の主人が「やって」と許可を出した。

「よし、わかった。ペルソナ!」
陽介の顔の前に黄金色のカードが現れ、それを陽介は握り潰すように砕いた。
彼の背後に彼の化身だというペルソナが現れた。
クマと完二は何度も目にしたことがある姿だった。しかしルイズ、キュルケ、ワルドは全くの初見であり、タバサも以前の任務で見たきりであった。
ペルソナ、スサノオはハルケギニアでは見ない青い生地で手足、胴体を包んでおり、その体の回りにはギザギザの歯の円形の刃が浮いていた。頭は燃え盛る炎のようだ。
スサノオは傭兵たちを見た。傭兵たちに動揺が走る。この世界でペルソナを見たことがある人物などいるはずもないから当然の反応である。
スサノオは力を貯めるように身を縮める。それから彼の周りを自転していた刃が天へと飛んでいくと同時に力が解き放たれる。
その力は傭兵たちを襲い、スサノオは役目を果たしたとばかりに姿を消した。
「どうだ、クマ?」
「ムムッ!半分は混乱してるみたいクマ」
クマはその大きな頭をひょこっとバリケードにした机から出しながら言った。
「よっしゃ!」
ルイズたちは陽介が何をしたのか、分からず、当惑していた。
「何したのよ?」
ルイズが代表するように尋ねる。
「テンタラフーっつう魔法でなあいつらを混乱させたんだ。半分くらいはかかってくれたらしい」
陽介の説明はあまりに要点を捉えすぎていて、その説明はルイズたちの混乱を解くには足るものではなかった。
だが実際に自分たちを襲ってきた者たちの姿がその説明を補強する。
気をつけながらテーブルから顔を出して見ると奇妙なことが起こっていた。
傭兵たちの中に攻撃の手を無駄に休めたり、味方を襲ったり、お金をバラめいている者が現れている。確かに混乱していると言う他ない。
「すごい」
「ペルソナってこんなこともできるの?」
キュルケが驚嘆して言う。
「クマはできんクマ」
「オレも出来ねえな」
「言ってる場合じゃねえぞ!混乱解ける前にさっさと行こうぜ!」
陽介に答えるようにみな頷き、女神の杵の裏口から飛び出した。
何人か襲ってくる者がいるが、軽く撃退していく。正気を保っている者も混乱した味方のせいで身動き取れなくなっているようだ。
襲撃者を置き去りにし、アルビオンへ向かう一行は船着場に向かう。

ワルドを先頭として駆けて行くうちに丘の上に着いた。その丘の上で、陽介たち異世界からの来訪者たちは息を飲んだ。
その丘からは非常に大きな木が見えた。山ほどもありそうで、その頂上は闇に隠れみることが出来なかった。
「でけえ……」
「見るクマ!船が木になってるクマ!」
見上げると確かに巨大な木の枝々に船があって、たしかに船がなっていると表現してもよい光景であった。
「別にあれはなってるわけじゃないわ。停めてるだけよ」
「それにしてもすげえ光景だけどな……」
ワルドは木の幹へと向かい、他もそれに従う。
木の根元には入り口が開けられており、中に入ると陽介たちは再び驚いた。中はくりぬかれたような空洞となっていたのだった。
そこが中心となり、船のある各枝へと入り口が通じているわけである。
それぞれの入り口にはプレートが付けられ、どの停泊所かわかるようになっていた。
ワルドは目当てのプレートを見つけたのか迷いない足取りで駆けていく。
それに続くと木の枝でできた階段の上へと出た。陽介、完二、クマは呻いた。
木の枝の階段は手すりが着いているとはいえその脇には何もなく、落ちれば真っ逆さまである。
さらに階段もさすが素材が素材だけあって歩むたびにしなり恐怖感が刺激された。
しばらく走って恐怖感が薄れたころ、単調に階段を上る作業に変化が訪れる。
何度目かの踊り場で最後尾にいたキュルケと完二は後ろから何者かが追ってきたことに気付いた。
振り向くと仮面をつけた妙ななりをした人物がいる。その姿とこの状況下で敵と判断するほかない。
しかし時既に遅く、それは呪文を完成させ、一番後方にいたキュルケに魔法を放とうとした。
「危ねえ!」
完二がそれをかばおうとキュルケと襲撃者の間に割って入る。
すると仮面の男は魔法を放つのをやめて、突き飛ばすようにキュルケ、完二の脇を抜けた。そしてルイズをつかんで階段から闇夜へと飛び降りる。
二人は魔法を撃つものと思っていたために完全に不意を突かれ、反応出来なかった。
しかし、反応出来た者もいた。タバサは氷の矢をすばやく作り、それを落ちていく襲撃者へと放った。
そしてワルドは飛び降りて、氷の矢を喰らい襲撃者が手放してしまったルイズを抱きフライで飛んだ。襲撃者は落ちていく。
「な、なあ、もしかしてアイツ落ちて死んじまったのか?」
陽介がためらいがちに尋ねる。
「いや、フライでも使って生き延びるだろう」
陽介は安心したようにほっと息を吐くと、ワルドは眉をひそめた。
「きみは我々を襲った者の命まで考えるのかね?」
「いや、そーいうわけじゃ……いや、やっぱそーですね。人に死んで欲しくないです。できればさっき混乱させてきた連中も……」
キュルケも呆れたように言う。
「でもあいつらはわたしたちを殺そうとしてるのよ」
「わかってるけど、それでも殺したくないし、死んで欲しくもねーんだよ」
少し強い口調で陽介は言った。
「よくぞ言ったヨースケ!」
「オレたちゃ別に人殺しのためにこの世界に来たわけじゃねーしな」
クマと完二も同調する。
この世界の魔法使いたちは彼らを甘いと思ったかもしれない。
しかし陽介たちの不殺はただの彼らの世界の一般論ではない。
誰も殺さないというのは彼らがかつての五里霧中の謎の中でたどり着いた答えの一つなのだ。
立ち止まって話をするのはそこまでにして再び一行は階段を駆け上がり始めた。
「そういえばカンジ、さっきはありがとうね。かばってもらっちゃって」
キュルケが礼を言うが、完二は憮然として答える。
「ああ?別にいいって。つか、結局あいつナンもしてこなかったし……」
ルイズも守れなかったしな。と完二は口の中で言った。
「なにか言った?」
「なんでもねえよ」

階段を登りきるとそこから一本の枝へ通じていた。
その枝に沿って一つの船がロープで吊るされていた。そのロープは上の枝から伸びているようだった。
「これが飛ぶのか……」
陽介たちがポカンとしている間に、ワルドは船員を見つけて声をかける。
「船長はいるか?」
「寝てるぜ。アルビオンまで行きたきゃ明日まで待つんだな」
小ばかにした顔をした船員に、ワルドは杖を見せびらかすように杖を抜く。
「き、貴族!」
「僕は船長を呼べと言ったんだ」
船員は船長を呼びに走っていった。
少し経って初老の男性が現れた。どうやらこの船の船長らしい。
「なんのようですかな?」
「女王陛下の魔法衛士隊の隊長、ワルド子爵だ」
船長は高位の人物だとわかり物腰を柔らかにした。
「これはこれは。して、いったいどういったご用向きで?」
「今すぐ出発してもらいたい」
船長が驚いた顔をする。
「無理です。風石が足りません」
「なんだ?その、風石って?」
尋ねた完二に、そんなことも知らんのかという顔を浮かべながら船長が答える。
「風の魔法力を貯めた石さ。それで船は浮くんだ」
それから船長はワルドに向き直った。
「明日、最もアルビオンは近づきまさ。その最短距離の分しか風石はありません。今から出たんじゃ途中で落っこちまいまさ」
「風石が足りない分は僕が補おう。僕は風のスクウェアだ」
船員たちは顔を見合わせ、それからワルドに向かって頷いた。
「料金は弾んでもらいますよ」
「積荷はなんだ?」
「硫黄です。新しい秩序を作ろうとしている貴族たちには黄金よりも欲しいものでさ」
「その運賃と同額出そう」
商談は成立した。
突然の出向となり、船の上はあわただしくなった。寝ていた船員たちも叩き起こされたようだった。
あわただしくなった船を俯瞰しながら完二は言った。
「これが飛ぶのか……」
「驚いた?」
ルイズが得意そうに言う。
「まあな。へへっ、でもちょっと楽しみだな」
「あんたってガキね」
「うっせ」
それから二人の間に沈黙が流れる。
「さっきは守ってやれなくて悪かったな」
完二の言葉を聞き、ルイズは驚いて完二を見つめた。いきなり顔を見つめられて居心地が悪くなる。
「な、なんだよ」
「いや、やけに殊勝じゃない。完二にしては」
完二はバツが悪くなり、ちっと舌打ちして顔をそらした。
「今度はちゃんと守ってよね」
ルイズは顔を背けたままの完二に言った。
「おう、任せろ」
顔を逸らしたまま完二は力強く答えた。
準備が整ってからルイズたちは乗船した。いつのまにか追いかけていたワルドのグリフォンもいた。
船が大海原ではなく天空へと漕ぎ出して行く。目的地は空に浮かぶ大陸アルビオン。


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