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ゼロのペルソナ 第5章 剛毅 後編


ルイズ、その使い魔完二、そしてなぜかクマまでトリステインの王女アンリエッタから依頼を受けた次の日の早朝。
トリステイン学院は人の肌を冷やす空気に覆われている。
そしてその肌寒い空気に晒されているのはルイズたちだけではなかった。
「クマはいいとして何であんたらもいるのよ!」
ルイズは頬をヒクヒクさせながら彼女の同行者のリストにはなかったものたちを怒鳴りつける。
ルイズの怒声を浴びているのはキュルケ、陽介、タバサたちだ。
朝早くから出かけようとしてみればいつの間に彼女らも合流していたのだった。
キュルケはしれっとして答えた。
「あら、クマはわたしの使い魔なのよ。クマが行くならわたしもというのは当然じゃなくて?」
「いやよ、あんたなんか連れて行くなんて!大切な任務なんだから!というかそれじゃあタバサたちは理由がないじゃない!」
ルイズはぎゃいぎゃいと吠えるように言うがキュルケはそれを流している。
一方で完二はクマと陽介に尋ねた。
「わかってんのかよ。内ゲバでドンパチしてて、マジでヤベえトコなんだぞ……?」
心配そうに尋ねられるが、クマは毅然として答える。
「完二は仲間だから。仲間を助けるのに理由なんていらないクマ。
それに完二は責任感が強いから絶対ルイズちゃんをほっておかないクマ」
「クマ……」
昨夜のふざけた様子とは天と地の差である。なにもお姫さまに撫でられたいから言ったわけではなかったのだ。
「ま、そう言うことだ。水臭いことは言いっこなしだぜ」
「センパイ……」
クマに続いて当然だというふうに答える陽介。完二は二人の友情に感謝した。
「おっ、なんだ?もしかしてお前感動して泣いてんのか?」
「バッ、そんなんじゃねえよ!」
陽介とクマは照れ隠しで怒る完二を笑った。
その様子をキュルケも見ていた。
「ま、つまりわたしも同じ理由ってことね」
「同じってなによ?」
キュルケがルイズを指差して言う。
「友達を助けるのに理由なんていらないってことよ」
ルイズは意味が分からないという顔からその言葉を理解するにつれ赤い顔にしていった。
「な、な、誰が友達だっていうのよ!?そんなのありえないんだから!」
ルイズを尻目にキュルケはタバサを振り返った。
「というわけで完全にわたしの個人的な理由だからあなたは付いて来なくていいわよ」
そう言われたタバサもキュルケを指差し「友達」と短く言った。
キュルケはその言葉に感激したようで、大きな胸で小さな友人を抱きしめた。
「それじゃあ、みんな覚悟は決まってるようだな?」
陽介は全員の顔を巡り見た。渋い顔を浮かべているのはルイズだけであった。
「それじゃあ、みんな行こうぜ!」
三つの声と一つの頷きが答えだった。
ルイズが「なんであんたが仕切るのよ」と文句を言ったが、彼女ももうこれ以上追及するのはやめたようだった。

しかし、それから数分後。
「イヤだクマー、脱がせないで-!セーラー服を脱がさないでー!」
「ワガママ言わないの!ていうかセーラー服って何よ?」
ゴネているのはクマで、そのクマをキュルケがたしなめていた。
何を争っているのかといえば、クマがその着ぐるみを脱ぐかどうかであった。
今回の移動手段はこの世界で最も一般的な移動手段である馬である。
使い魔たちは一人では馬に乗れないのでそれぞれ主に同乗することにしたのだった。しかしクマの丸い体と短い足ではそもそも馬にまたがれない。
キュルケはクマの中に人がいることを知っているので、脱げといっているのである。
しかしクマは意外と強情であった。
ちなみにクマの中に人がいることなど知らないルイズとタバサは、脱ぐ……?と不思議に思っているようだった。
「そんなに短い手足でどうやって馬にまたがるの?落馬し放題よ」
「んーでもでもこれはクマの一部クマ。それに危ないところに行くっていうならやっぱりこの毛皮を着てないと……」
クマが言うのは戦いの時は常にキグルミを来て戦っていたという。
クマの話を聞いた限り、これからの旅路は一筋縄でいかないほど危険なものとなるだろう。ならば戦い慣れた格好をやめさせるべきではないだろう。
キグルミを着て戦うなどバカげているかもしれないが、バカげているほど体の感じが変わるということであり、
本人が拒否する以上、戦いにおいて決して看過できる問題ではないのかもしれない。
もしや、もっと実用的な問題で鎧代わりになっているのかもしれないが……
「そうは言っても馬じゃ無理よ。何か大きな幻獣でもないと……」
その時、どこからかやってきた影が6人の前の地に降り立つ。
その影はグリフォン、鷲の頭と前足、ライオンの胴体と後ろ足を持つ幻獣であった。
その背にいる青年がまたがっている長い髪をして、ヒゲを蓄えているが若く、その顔はハンサムと言っていい。
その男はグリフォンの背から喋りかけてきた。外見を裏切らない耳どおりのいい男の声だ。
「久しぶりだねルイズ!さあ、ラ・ロシェールまで僕のグリフォンに乗って行こう!」
魔法学院の生徒と使い魔たちはその男とまたがっているグリフォンを見る。
「あら」
「クマ」
「すっげ」
「さすが魔法の世界」
「ワルドさま」
ルイズ以外はちょうどいいところに……という顔を浮かべた。
ワルドは妙な視線が集まるのを感じて首をかしげる。
タバサが呟く。
「大きな幻獣」

「むっほほーい!すっごいクマー!風のようだクマー!」
「はは…喜んでもらえてなによりだよ……」
はしゃいでるクマと乾いた笑いをしている魔法使いが乗っているのはグリフォンだ。
その足は馬より速く、風のように駆けるというのに、グリフォンの手綱を取る騎士――ワルド子爵はどんよりと気が重そうであった。
彼らの乗るグリフォンの後ろには三頭の馬が続いている。
一頭はキュルケが一人乗っている。別の一頭にはルイズが手綱を取って抱きつくようにして完二が乗り、
最後の一頭にはタバサと陽介が乗っている。無論、馬を操っているのはタバサである。
学生とその使い魔たち加わったワルド子爵はアンリエッタが推した信頼でき腕の立つ魔法使いだという。
ワルドはトリステイン王家直属の魔法衛士隊の隊長であり、ルイズの許婚であるのだ。
実力と信頼において、死地に行くルイズと共に行かせるならこれ以上の者はないというものであろう。
そしてワルドが面白くなさそうにしているのもこれに起因するのであろう。
彼は最初、許婚であるルイズをグリフォンの背に乗せようとしていた。
それがなぜか現在、彼と共にグリフォンの背にあるのはクマという謎の生物――少なくとも熊ではない――なのだ。
ワルドの機嫌がよくないのも当然と言っていいだろう。
ところでアルビオンに向かうはずの彼らは現在トリステインの首都に向かっている。
アルビオンに向かうならラ・ロシェールを訪ねるのが通常の旅路である。
ルイズたちもそれから大きく外れるつもりはない。ただ少し寄り道をするだけである。
王都へと立ち寄る理由は武器を買い求めるためである。当然、魔法使いであるルイズたちの武器ではなく、彼女たちの使い魔の武器だ。
ペルソナ能力があっても危険なところに行くならば武器は必須であるというのが完二たちの主張であった。
ルイズたちもこれから向かうところがどれほど危険かわかっているのでそれを了承した。
学院を出ておおよそ3時間して都に着いた。
武器を買い求めにルイズたちは武器屋へと向かったが、ワルドは一人自分達の乗ってきた
グリフォンや馬を見張るため残された。ワルドは溜息を吐きながら彼らを見送った。

ワルドに馬たちの世話を頼んで6人はトリステインの城下町を歩いた。ただし、完二は腰を抑えながら。
「あーヤッベ。マジいってえ……」
完二は歩きながら腰をさする。今まで一度も馬に乗ったことのない完二にとって馬で三時間というのは過酷過ぎたのだ。
最初はみっともないやら遠慮やらで馬の上でルイズに抱きつくのも遠慮がちだったが途中からそんな余裕はなくなったほどだ。
「数時間くらいならマシだろ。俺なんて数日間も馬に……イッテ!」
陽介は奇声を上げた。背中をタバサにつねられたからだ。
そういえばこのことは話してはいけないんだったっけ?と思い出し、つねられた背をもみつつもそのまま腰ももむ。
数日間の乗馬で慣れたとはいえ痛いものは痛いのだ。
「あ?ナンか言ったスか?」
「いいや、何でもねえ……。つかやっぱ腰痛てえし……」
「んもう、二人ったら本当に軟弱なんだからクマを見習うクマ」
自身で言うとおりクマの動きは完二や陽介に比べはるかに軽快であり、乗馬の疲れは見られない。
「テメーはキグルミなうえ、グリフォンなんてデカい背中にのってっからだろうが!」
陽介の反論にクマはやれやれとクビを振る。
「やーれやーれ、実際にのってみてもないのに……。ヨースケったメメしいクマ」
「じゃあ、お前乗ってみろよ!俺がお前のキグルミ着てやっから!」
「ちょっと静かにしなさい!」
ルイズは口論する陽介たちを一喝した。
「ここは城下町なのよ、変に目立たないで」
ルイズに言われたために使い魔たちは静かにすることにする。
そして口論をやめたのでそれまで気にしなかった周りを見渡す。人がいっぱいいて騒がしい。これだけ騒がしいなら多少騒いでも目立つこともないように思える。
「にしてもせめえ道だな。もうちょっとなんとかなんねえのか?」
それは使い魔たち全員が思っていたことだ。この世界に来る前に住んでいたのも田舎町だったのでそれほど大きな通りはなかったが、それよりもここは狭い。
「狭いですって?ここはトリステインで最大の通りよ」
聞き捨てならないというふうに言い返す。
完二はこの世界の町はこんなもんかと思い、陽介は以前見たガリアの首都はもっと大きかったと考えた。
この間の任務に関係のあることを言えばまたつねられるかもしれないので考えただけで、口には出さない。
6人で道を歩いて行き、完二たちが狭いと感じる表通りよりもさらに狭い路地裏に入ったところに武器屋はあった。
店内はいかにも武器屋という感じの手入れの入っていない店だった。ゲームに出てきてもおかしくないだろう。そこで彼らは何を買うか話しあう。
「あなたどんな武器を使うの?」
「んーとねー、こう、手に付けて、殴ったり斬ったりするやつ?カッコよく言うならベアークロー!みたいな?」
「お金あんまりない」
「心配すんな。ナイフ二本あればいいからさ」
「あんたは何使うのよ?」
「盾だ」
数分後にキュルケはクマがいうような鉤爪がなかったので手甲を、タバサは陽介に二本のナイフを買い与えた。
キュルケは潤沢な資金があったがクマの要望に応えられる物が少なくその中で最も高いものを買った。本来は防御用らしいが、代用できるだろうという判断だ。
それに対してタバサは給金を本で使い果たしているため資金が少なかったが、それで買える中で最も実用的なものを使い魔に見繕った。
その二組は支払いまで済ませたが、最後の一組はどのような武器を買うかすら決めていなかった。というより、そのことで言い争っていた。
「だからオレの得物は盾だっつってんだろ!」
「盾が武器って何よ!却下よ、そんなの!みっともない!」
キュルケが呆れたというように肩をすくめた。二人とも言い争い始めて数分以上。よくもそんなに大音声を続けられるものだ。
面倒なので割り込みたくないと陽介は思っていたが、自身の武器をすでに買ってしまったために二人を仲裁しなければいけなくなってしまった。
タバサは我関せずだし、クマは頼りにならない。そしてキュルケはどうぞ、というふうに手のひらをこちらに向けている。

「おい、お前ら……」
「おい、そこのデカブツと桃色髪!騒ぎてえってんなら外へ行きな!うるさくて辛抱ならねーや!」
陽介が二人に声をかけようとすると、それより早く別の声が二人を怒鳴りつけた。
「んだとコラア!」
「いったい誰よ!」
二人、いや6人の視線は声がしたほうへと向けられた。そこには安いつくりの剣が雑多に摘まれているだけで声の主は見えない。
「テメエ、姿見せろや!」
「見せてるじゃねーか」
その声は驚くべきことに剣の山から聞こえてきた。
完二は気付いた。その声が一つの剣から発せられていることに。
「んな、まさか……」
信じられないとばかりにサビの浮いたボロボロの剣を手に取る。
「何がまさかなんでい?」
完二の考えは正しいことが証明された。
みな驚いたように完二の手に握られた剣を見つめた。
「この世界の剣ってしゃべんの!?」
「インテリジェンスソード……」
タバサはポツリと呟く。
店主が説明を始めた。
「はいインテリジェンスソードでございまさあ。ただ口が悪いもので……もし買うなら安くしときますが」
「誰が買うかってーんだ、こんなモン」
「お前俺を買え」
完二が購買意欲を否定したというのにその喋る剣は自分を突然売りつけた。
「はあ?何でオレがオメーみてーなボロいのを買わねーといけねーんだよ」
「そりゃお前が使い手だからだ。まったくおでれーた。お前さんみたいなのが使い手とはな……」
「なーにワケわかんねーこと言ってんだオレは剣なんか……」
「買うわ」
完二の言葉を途中で潰したのはルイズであった。
「っておいルイズ!」
「うるさいわね、いいじゃないその剣買って欲しいらしい、安いらしいし」
「だーかーらー俺の武器は盾だって……」
「誰のお金だと思ってるの?」
うっ、と完二は言葉に詰まる。完二はこの世界においては当然のごとく無一文である。
なので完二の出費は全て主であるルイズから出るのだ。強く言えるはずがなかった。
ただルイズ自身、お金に困っているわけでもないので、安くてボロい剣を買い与えようとするのは
よく口答えする完二へのしつけの意味もあったのかもしれない。
「どうしても盾が欲しいって言うのなら自分で稼ぐことね」
言い捨てるとルイズは完二に背を向けて店の主人に支払いを済ませた。
勘定を済ませる主の背に何も言えない完二にその手にある剣は景気のいい声で語りかけてくる。
「よろしくな、相棒」
「うっせ」
完二の返事はたった今彼の持ち物になりつつある剣よりも景気が悪い。
「それにしてもまさか、こいつが……いや、こいつらが4種目の使い魔とはな……あいつらに対抗できんのか……?」
デルフリンガーがポツリがなにやら呟いた。
「あ、なんか言ったか?」
「いいや、独り言だ。気にすんな」

ペルソナ使いたちの胸には力の証明であるルーンが刻まれている。


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