ゼロと魔王 第3話 魔王との決め事
ラハールはルイズの部屋でいろいろと説明を受けていたが、コルベールがラハールを呼び出し学院長室の前まで連れてこられた。
始めはルイズも付いて来ようとしていたが、コルベールに止められたため部屋に戻っている
始めはルイズも付いて来ようとしていたが、コルベールに止められたため部屋に戻っている
「・・・この中にいる奴がここで一番偉い奴か?」
「ええ、何百年生きているのかわからないご老人ですがね」
「ほ~う・・・」
「ええ、何百年生きているのかわからないご老人ですがね」
「ほ~う・・・」
普通数百年生きていると言われれば、もうちょっと驚くのだろうが、悪魔でありラハール自身が1000歳オーバーなので、『人間にしては長生きだな』程度にしか感じていない。
「まあ、廊下で話すよりまず先に中に入りますか。オールド・オスマン入りますがよろしいか?」
すると扉の向こうから承諾の声が聞こえたので、コルベールとラハールは扉を開け中に入った。
「ようこそトリステイン魔法学院へ魔王殿。立ち話もなんじゃし、そこに椅子をご用意した。どうぞお掛けになってください」
「何か仕掛けておらんだろうな?」
「何か仕掛けておらんだろうな?」
シャスが魔王城にいる時には、毎日遊びと称して死ぬギリギリの罠にかけられていたり、自分の家来であるはずのエトナに、椅子の下に爆弾を仕掛けられ爆破されたことのあるラハールは、一応罠が無いか疑ってかかった。
「そんな事はしませんよ」
ラハールは完全に信じたわけではないが、相手が座って話すのに自分が立っているのは気にくわないと思い腰を掛けたが、何もなさそうで安心した。
「それで?話とは何だ」
「その前に幾つか伺いたいがよろしいか?」
「よかろう」
「それではまず、あなたは本当に悪魔であり、魔王なのですか?」
「いかにも!オレ様が史上最凶の魔王ラハール様だ!」
「そうですか・・・それでは2つ目、あなたは人間をどう思っていますか?」
「悪魔のような人間や天使のような人間もいたりして面白いと言えば面白いが、まあ愚か者どもが多いぐらいにしか思わん」
「これはまた手厳しい答えですがその通りですじゃ。それでは最後ですが、あなたはヴァリエール嬢の使い魔になったと考えてもよろしいかな?」
「・・・・」
「その前に幾つか伺いたいがよろしいか?」
「よかろう」
「それではまず、あなたは本当に悪魔であり、魔王なのですか?」
「いかにも!オレ様が史上最凶の魔王ラハール様だ!」
「そうですか・・・それでは2つ目、あなたは人間をどう思っていますか?」
「悪魔のような人間や天使のような人間もいたりして面白いと言えば面白いが、まあ愚か者どもが多いぐらいにしか思わん」
「これはまた手厳しい答えですがその通りですじゃ。それでは最後ですが、あなたはヴァリエール嬢の使い魔になったと考えてもよろしいかな?」
「・・・・」
ラハールは少し考える。当然ラハールに使い魔になったつもりもなるつもりも無い、起きたら不当な契約をさせられていた状態だ。
それでラハールが納得するかと言われれば、それは絶対に無い。
もっと言えば、ラハールが使い魔になる事は絶対に無いだろう。
だが、ここは自分の知らない異世界で加えて力が制限されている、この状態で下手な事を言えばどうなるかわからない。
だがラハールは、嘘でも誰かに使われる事を了承するのが嫌でこう答えた。
それでラハールが納得するかと言われれば、それは絶対に無い。
もっと言えば、ラハールが使い魔になる事は絶対に無いだろう。
だが、ここは自分の知らない異世界で加えて力が制限されている、この状態で下手な事を言えばどうなるかわからない。
だがラハールは、嘘でも誰かに使われる事を了承するのが嫌でこう答えた。
「そんなわけなかろう。オレ様が誰かに使われるなどありえん」
「そうか・・・」
「そうか・・・」
こう言ってしまった以上、何があってもいいように身構えるラハールであったが、オスマンは以外にもこう答えた。
「うむ、その答えを聞いて安心したわ」
「はぁ?お前頭大丈夫か?」
「いや何、人間というのは巨大な力を持つと野心なんかを持つ。ヴァリエール嬢がそうならんとも限らん以上その答えの方が安心出来るというものですじゃ」
「オレ様はあいつを殺すかもしれんぞ?」
「それならとうの昔にやっておるはず。ですがあなたは殺していない・・・それはどうしてですかな?」
「はぁ?お前頭大丈夫か?」
「いや何、人間というのは巨大な力を持つと野心なんかを持つ。ヴァリエール嬢がそうならんとも限らん以上その答えの方が安心出来るというものですじゃ」
「オレ様はあいつを殺すかもしれんぞ?」
「それならとうの昔にやっておるはず。ですがあなたは殺していない・・・それはどうしてですかな?」
質問された時、ポワワ~ンとしたフロンの顔が浮かんだが、あれのせいではないと言い聞かせこう答えた。
「・・・別に深い意味は無い」
「それはそれでかまいません。ヴァリエール嬢は生きている、その結果がすべてじゃ」
「勝手に言っておれ。さあ、質問には答えたぞ、話とは一体なんだ?」
「ふ~む、まずあなたの左腕に出来たルーンじゃが・・・それは何か知っておりますかな?」
「それはそれでかまいません。ヴァリエール嬢は生きている、その結果がすべてじゃ」
「勝手に言っておれ。さあ、質問には答えたぞ、話とは一体なんだ?」
「ふ~む、まずあなたの左腕に出来たルーンじゃが・・・それは何か知っておりますかな?」
ラハールは、ちらりと自分の左手の甲に出来たルーンを見てみるが、少なくとも自分が知っている文字ではないためなんと書いてあるかわからない。
「全く知らん」
「それは、伝説の使い魔『ガンダールヴ』のルーンですじゃ」
「伝説の使い魔?」
「始祖ブリミルが呪文を発動させる為に長い詠唱を行う間、無防備になる体を守る事に特化した使い魔と言われ。そして、あらゆる武器を自在に扱い、その強さは千人の軍隊を一人で壊滅させる程だったという。まあ嘘か本当か、そんな使い魔の事ですかのう」
「オレ様の手に出来たこれは伝説の使い魔のだとして、なぜオレ様にそんなものが?」
「そこがわからんのですよ。そして召喚して契約したのはあのヴァリエール嬢・・・一体何が何やら」
「・・・あいつがそのきょむだったか?その使い手という事はないのか?」
「それは、伝説の使い魔『ガンダールヴ』のルーンですじゃ」
「伝説の使い魔?」
「始祖ブリミルが呪文を発動させる為に長い詠唱を行う間、無防備になる体を守る事に特化した使い魔と言われ。そして、あらゆる武器を自在に扱い、その強さは千人の軍隊を一人で壊滅させる程だったという。まあ嘘か本当か、そんな使い魔の事ですかのう」
「オレ様の手に出来たこれは伝説の使い魔のだとして、なぜオレ様にそんなものが?」
「そこがわからんのですよ。そして召喚して契約したのはあのヴァリエール嬢・・・一体何が何やら」
「・・・あいつがそのきょむだったか?その使い手という事はないのか?」
ルイズの事をよく知らないラハールだからこそこの考えに行きついたが、ルイズの今までを知っている者にとっては絶対にたどり着かない答えだろう。
その答えに対してのオスマンの反応は・・・
その答えに対してのオスマンの反応は・・・
「第0の系統『虚無』、それについて知られている事は殆どと言っていいほどありませんが・・・ヴァリエール嬢の魔法は失敗ばかり、普通に考えればそれはありえんのですよ」
「普通ならばな、だがあいつは普通ではない魔王であるオレ様を呼んで。さらに伝説の使い魔のルーンがオレ様についた・・・ならば普通ならという答えは通用せんのではないか?」
「・・・とりあえず、これはおいおい調べていくとでもしますかな」
「普通ならばな、だがあいつは普通ではない魔王であるオレ様を呼んで。さらに伝説の使い魔のルーンがオレ様についた・・・ならば普通ならという答えは通用せんのではないか?」
「・・・とりあえず、これはおいおい調べていくとでもしますかな」
オスマンは完全に納得したというわけではないが、普通ではない事が続いている今の状況から一応調べてみるつもりになったらしい。
「しかし、なぜオレ様にこんな話を?」
「あなたも今の状態というものを知ってもらおうと思いましてな。ちなみにこの事が他所に漏れると、あなたはアカデミーという所に連れて行かれて徹底的に調べられてしまうかもしれんから、しゃべらん方がいいでしょう」
「・・・そんなの冗談ではないぞ」
「あなたも今の状態というものを知ってもらおうと思いましてな。ちなみにこの事が他所に漏れると、あなたはアカデミーという所に連れて行かれて徹底的に調べられてしまうかもしれんから、しゃべらん方がいいでしょう」
「・・・そんなの冗談ではないぞ」
とりあえず、この事は絶対に誰にも話さないようにしようと決めたラハールであった。
「他にも色々説明やら聞きたいことがあるがよろしいか?」
「ああ、かまわん」
「それではまず、あなたは一応東の方のメイジという事にしてもらいたい」
「なぜだ?」
「魔法を使えるのはメイジと、あと先住魔法を使えるエルフなんかですじゃ。あなたの魔法は詠唱が無いですから先住魔法に近いのですがな・・・その場合じゃといろいろ面倒くさい事になる可能性があるためですじゃ」
「つまり、オレ様はこれから何者かを聞かれた時、東のメイジだと言えばいいのか?」
「そうですじゃ。大体の奴らは魔法を使っても、疑問をもちはしても、問題はそこまでないでしょう」
「ああ、かまわん」
「それではまず、あなたは一応東の方のメイジという事にしてもらいたい」
「なぜだ?」
「魔法を使えるのはメイジと、あと先住魔法を使えるエルフなんかですじゃ。あなたの魔法は詠唱が無いですから先住魔法に近いのですがな・・・その場合じゃといろいろ面倒くさい事になる可能性があるためですじゃ」
「つまり、オレ様はこれから何者かを聞かれた時、東のメイジだと言えばいいのか?」
「そうですじゃ。大体の奴らは魔法を使っても、疑問をもちはしても、問題はそこまでないでしょう」
本当はかなり際どいが、新種の魔法だとか、東の方の魔法だとか言えば少なくとも学院の生徒は騙せる・・・はず・・・とオスマンは考えている。
「他には?」
「それでは、『エクスカリバー』という剣を知っておられるか?」
「エ・・・クス・・・カリバー・・・だと・・・」
「それでは、『エクスカリバー』という剣を知っておられるか?」
「エ・・・クス・・・カリバー・・・だと・・・」
その剣の名前を聞いて、ラハールは凍りついた。
それはそうだろう、その剣に関わって今までろくな目に遭っていないからだ。
それはそうだろう、その剣に関わって今までろくな目に遭っていないからだ。
「その反応は知っているという事で間違いないですかな?」
「知っているも何も、あれの所有者はオレ様だからな、しかしなぜエクスカリバーがこの世界にある?」
「うむ、あれは数十年前にワイバーンに襲われた時に、助けてもらった二人組の一人に預けられた物なんじゃが。しかし、なぜあなたの所有している物が?」
「知っているも何も、あれの所有者はオレ様だからな、しかしなぜエクスカリバーがこの世界にある?」
「うむ、あれは数十年前にワイバーンに襲われた時に、助けてもらった二人組の一人に預けられた物なんじゃが。しかし、なぜあなたの所有している物が?」
実際問題、ラハールはエクスカリバーの所有者であるが、自分には合ってないという理由で使っておらず城の武器庫に適当に入れている。
まあそのせいで色々面倒な事が起るのであるが・・・
まあそのせいで色々面倒な事が起るのであるが・・・
「そんな事は知らん」
「ふむ、とりあえずその人物は、これから現れるであろう魔王が本当の所有者だからそれに渡してやれと言いおって、助けられた手前断わるわけにもいかずに今まで預かっておったのですじゃ。相当力を持っている剣ゆえ、誰に使えんように封印しておるが・・・返そうか?」
「・・・いや、遠慮する。それはお前が持っておいてくれ」
「ふむ、とりあえずその人物は、これから現れるであろう魔王が本当の所有者だからそれに渡してやれと言いおって、助けられた手前断わるわけにもいかずに今まで預かっておったのですじゃ。相当力を持っている剣ゆえ、誰に使えんように封印しておるが・・・返そうか?」
「・・・いや、遠慮する。それはお前が持っておいてくれ」
確かに今の状態でも、エクスカリバーを持っていればかなり戦えるだろうが・・・エクスカリバーに関わってろくな事になったためしが無いため断った。
ちなみに、さっき魔王剣を出そうとした時には出てこなかったため、使うかどうか本気で迷ったのはここだけの話である。
ちなみに、さっき魔王剣を出そうとした時には出てこなかったため、使うかどうか本気で迷ったのはここだけの話である。
「それは構わんが・・・しかしなぜ?」
「・・・気にするな。だがどうしても必要になった時には返してもらう」
「わかった。それまで預かっておこう」
「話はそれだけか?」
「うむ、もう結構じゃ。何か困ったことがあれば言ってくれれば用意するが?」
「・・・」
「・・・気にするな。だがどうしても必要になった時には返してもらう」
「わかった。それまで預かっておこう」
「話はそれだけか?」
「うむ、もう結構じゃ。何か困ったことがあれば言ってくれれば用意するが?」
「・・・」
ラハールは少し考えた、何かいるものがあったかと思い出してみるが思い当たらない。
(いや、そういえば・・・)
「それなら、棺桶をくれ」
「棺桶?用意することは簡単じゃが・・・なぜそんなものが?」
「オレ様が寝るのに使う」
「・・・変わったおりますな」
「それなら、棺桶をくれ」
「棺桶?用意することは簡単じゃが・・・なぜそんなものが?」
「オレ様が寝るのに使う」
「・・・変わったおりますな」
オスマンは少し笑いが引きつっていたが、相手が人間ではない事を思い出し、そんなものなのだろうと適当に思っておくことにした。
「それでは、コルベール君や、棺桶のある場所まで連れて行ってやりなさい」
「はい、わかりました。さあ、こっちですぞ」
「はい、わかりました。さあ、こっちですぞ」
そう言い、コルベールは廊下に出ていき、その後にラハールが付いて出て行った。
「・・・ふ~う、緊張したわい。しかし、あの者は昔助けられた2人組の1人に似ておるな・・・まあ、気のせいかの」
「・・・中身が入っていないとはいえ、持って歩く物ではないな」
ラハールは女子寮の中を棺桶を持って歩いていた。
それというのも、女子寮の前までコルベールが浮かせて持ってきていたのだが、女子寮の前でここからは、持って行ってくれと言われたためだ。
歩いていて少し迷いそうだったが、内装がそれほど難しい造りではなかったので、部屋の前に何とか着いた。
それというのも、女子寮の前までコルベールが浮かせて持ってきていたのだが、女子寮の前でここからは、持って行ってくれと言われたためだ。
歩いていて少し迷いそうだったが、内装がそれほど難しい造りではなかったので、部屋の前に何とか着いた。
「ようやく、着いたか・・・」
1回棺桶を下して、ドアを開け中に入ってみると、ルイズは寝ていた。
今日1日いろいろあったために疲れが出たのだろう。
起こす必要性も感じなかったため放っておくことにして、棺桶をどこに置こうかと考えた。
結局、なぜか藁が敷いてある場所に置くことにして、やることが無い上に自分も少し眠くなったので寝ることにした。
今日1日いろいろあったために疲れが出たのだろう。
起こす必要性も感じなかったため放っておくことにして、棺桶をどこに置こうかと考えた。
結局、なぜか藁が敷いてある場所に置くことにして、やることが無い上に自分も少し眠くなったので寝ることにした。
「ハァ~、これからどうしたものか・・・」
そう呟き、睡魔に身を委ねるラハールであった。