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ゼロのペルソナ 第2章 皇帝 前半


皇帝 意味…意思・傲岸不遜

太陽が地平線から姿を現して間もない時間に完二は起きた。
「下着……。ああ俺、別世界に来ちまったんだったけか……」
完二は自分の近くにあった女物の下着を手に取りブツブツとつぶやいた。
そう彼はテレビの中の世界に行こうと大型テレビをくぐったら全く未知の世界にたどり着いたのであった。
そしてどういうわけか、ありえない髪の色をした少女にパシリ扱いを受けているのが現状だった。
完二に対して親分ヅラをしている少女の名はルイズというらしい。実際はもっと長ったらしい名前だったような気もするが完二には思い出せないし思い出す気もなかった。
そのルイズという少女は無闇に偉そうで完二としては気に入らないタイプの女子であったが
食事を人質に取られてしまっているために彼女のいうことを聞かなければならないのだった。
完二は自分の悲運とのん気そうに寝ているご主人様とやらを呪いながら洗濯物を脇に抱えて洗濯場を探しに出た。
「ドコにあんだよ、いったい……」
完二はあてもなしに廊下を歩く。昨日はタバサという小柄な少女の部屋とルイズの部屋に行っただけで洗濯場の場所など教えられていない。
もっとも昨日は突然の出来事に混乱していたためその通った道のりすら覚えていないのだが。
今完二は階数はわからないがけっこうな高さの塔にいた。生徒の私室がここらに固まっているしい。ちょうど寮の役割を果たしているのだろう。
とりあえず下りてみるか。
と、完二は考えて階段を見つけては下へ下へと下りていった。3階ほど階を下りてから、現在の階と洗濯広場がどこからか見えないかと外の光景が見える場所を探すことに決めた。
なぜならこういう世界では青々とした草原のようなところで視界いっぱいの白い布を干すものだからだ。
と、本気で考えたわけではないが完二は似たようなことを考えていた。
窓を探して廊下を曲がろうとすると完二は歩いてきた何かとぶつかった。


「きゃっ!」
廊下に響いたのは少女の声だった。大きな声ではなかったが朝方の静かな廊下にはよくその声は通った。
完二は廊下を曲がったときに洗濯籠を持った少女とぶつかってしまったのだった。
「わりい、だいじょうぶか」
尻餅をついた少女に謝っておく。ちなみに体格のいい完二は転ぶことはなかった。
少女は急いで立ち上がり慌てたように言った。
「いえ、こちらの不注意でした。どうかお許しを……あら、あなた貴族じゃないんですか」
完二の姿を見て少女の顔から慌てた様子は消えた。めずらしいのだろうか、完二の格好を興味深そうに見ていた。
「貴族だぁ…?一応、ルイズってヤローの使い魔だ」
「ああ、あの……。二人平民を召喚なさった人がいたって昨日から噂になってますよ」
「はー、もう噂になってんのかよ……。っといけねえ、なあアンタ」
「シエスタです」
「んじゃあ、シエスタ。洗濯場ってどこにある」
「わたしもいまから行きますからいっしょに行きましょうか」
「悪りいな、たのむぜ」
「ついてきてください」
「ちょっと貸せ」
歩いていこうとするシエスタから完二は籠を奪うようにして取る。
「持ってやるよ」
「ありがとうございます」
シエスタは感謝の笑顔を浮かべた。純朴でかわいらしい笑みに完二は戸惑ってしまう。
「べ、べつにいいんだよ、こんくらい」
「ふふ、ルイズさんの洗濯物もわたしがやっておきましょうか」
「いいのか!?」
完二の顔がぱっと明るくなる。彼は出会ったばかりの女に命令されることも、女の下着を洗うことも苦々しく思っていた。
シエスタという少女の提案はまさに渡りに船であった。
「洗濯物がちょっとくらい増えても変わりませんし」
「悪りいな」
「いえいえ」
「巽完二」
「へ?」
「巽完二。名前までいってなかっただろ」
「タツミカンジですか。変わった名前ですね」
「ルイズやキュルケも言ってったけどみんな言うんだな。こっちからすればおまえらのほうがヘンだっつの」
完二は名前が変だ変だといわれて不機嫌になる。
「カンジさんって呼んでいいですか」
「別にいいぜ」

起きろ起きろ。そう言われているような気がしてルイズは睡眠から目覚める。
ううんと漏らしながら目を開けると目の前にあったのは脱色した髪をオールバックにし、眉は剃られたいかめしい顔だった。
「んん、きゃあ!だれあんた!」
起きて初めて目にするものが完二のコワモテ顔でルイズは驚いた。
「テメエが召喚したんだろうが」
「ああ……。そうだったわね」
ルイズは寝起きで目つきの悪く、完二を見る。
なんでわたしが呼び出すのが平民なのよ。と心の中で文句を言った。
それを口に出さなかったのは完二のことを思いやってではなく起きてすぐで声を出すのも面倒だったからだ。
完二が呼び出されたことで平民を呼び出すことより屈辱な留年という事態が避けられたはずだがそんなことは彼女の思慮の外だった。
ルイズは着替えをすませ朝食をとりに食堂に向かった。
食堂には幾つかの長いテーブルが置かれている。ルイズは自分の学年のテーブルへといつもどおり足を向ける。
「すっげえ、映画みてえだ」
完二は食堂の豪奢な装飾に感嘆しているようだった。きゅろきょろと視線をあっちこっちへやっている。
完二がそこらじゅうに意識をやっているときにルイズは一人の給仕を捕まえてあることをオーダーした。
それが終わってからルイズは席に着くことにした。
「イスを引きなさい」
「お、おお」
完二は素直に言うことを聞いた。抵抗する無意味を悟ったのか、他のことに意識がいっているためなのかどちらかはわからない。
ルイズがイスに腰かけると完二も当然といように隣の席にどっかりと腰かけた。
「すっげえ朝メシだな。あ、んだよ?」
はしゃいでいる完二をルイズは指でつっつき、そのまま指を下に向けた。
指の先には薄い一枚のパンと具のないスープが一皿置かれていた。ルイズが先ほどメイドに命じさせたものだ。
「あんたは床」
「ハア?」
「平民はふつうここに入れすらしないのよ。床ででも食べられるだけありがたいと思うのね」
「ふざけんじゃねえぞ!」
完二の怒声に反射的にルイズはビクリとしてしまう。完二はイスを蹴り飛ばすように立ち上がり、入り口へと戻っていく。

「ちょっとどこいくのよ!あんた!?」
驚いていたルイズだったが使い魔が去ろうとしていることに気付いて呼び止めようとする。さきほどの驚きで心臓はうるさいくらいの鼓動をしていたが。
「んなの食えっかよッ!」
完二は吐き捨てるように言って、食堂からでて行った。
完二と入れ替わりになるようにキュルケとクマ、タバサと陽介がやってきた。
「ちょっと、あなたの使い魔怖い雰囲気で出ていったけどどうしたの?」
キュルケはそういいながら席に着いた。その隣にクマが座る。
「知らないわよ、あんなやつ。というか、ツェルプストー、あんたこそなにふつうに使い魔を座らせてんのよ?」
「この子が人間の食べ物が食べたいっていうから」
「ゴチソークマー。ゴチになるクマー」
「あんた、人間以外をいれていいと思ってんの」
「んー、思ってるかもしれないけどそうじゃなくても問題ないんじゃないかしら」
キュルケはチラッとクマを見た。
「どういう意味よ?」
「そのうちわかるんじゃない」
「お、キュルケチャン、クマに熱い視線を送ったクマか。んもう、クマは大きな男だからもっとじっくりみてくれてもかまわないクマよ」
「あーハイハイ。とりあえずクマ、お祈りがあるまで食べちゃだめだからね」
キュルケがクマにいいつけをしている横でタバサも陽介を貴族と同じように席に座らせていた。
「あんたたち使い魔を貴族と同じテーブルにつけていいと思ってるの」
「もう朝からうるさいわねー。もしかして床においてあるこのパンとかって、えっとカンジだっけ?彼に食べさせようとしたの」
「え、マジ?」
完二と同様に食事に目を奪われていたらしい陽介の視線がルイズの方を向く。
「そうよ、当たり前じゃない」
「俺、タバサに召喚されてよかったー」
「なに?」
ルイズは陽介に射殺さんばかりの気迫の視線を送る。
「すいません。なんでもありません」
フンッとルイズはそっぽを向いた。
「あんたのプライドもわかるけど、使い魔に逃げられちゃしょうがないわよ。食事くらいいっしょに食べさせてあげたら?」
「なんであんな雑用もろくにできない使い魔に」
「いいじゃない。というか、あなた雑用させてたの?ワタシはなにもさせてないけど」
「あんたのは人間じゃないし」
「タバサもさせてないわよね」
タバサは首肯する。
「ホラ」
「うるさいわねー」
なによ。あんたたちの自覚がなさすぎるだけじゃない。平民を同じ席につかせるなんてありえないわ。というか、なんでわたしが使い魔のご機嫌取りをしなきゃいけないのよ。しかもあの使い魔、ご主人様に怒鳴るなんてどういうつもりよ。
ルイズは悶々としていた。

「ハラへったな。クソ」
あまりにひどい仕打ちに衝動的に食堂を飛び出したが、完二は空腹に苦しんでいた。昨日からなにも食べていなかったからだ。完二はもともと大食漢である。
昨日は異世界にきただの、魔法だので腹が減るのさえ忘れていたが、夕食、朝食と二食も抜けばひどい空腹にもなる。
「カンジさん。どうしたんですか」
することもなく、そもそもこの世界どころか学院のことすら殆どしらない完二は食堂の前で所在なさげにたっていると突然話かけられた。
「シエスタじゃねえか。どうした?」
「いえ、それはこちらが聞きたいんですけど。朝食の時間に何をなされているんですか」
「ああ、きいてくれよ。ルイズのやつが床で食えっつうんだぜ。しかもあいつは朝からゴウセイなモンくってるくせにおれはスープとパンだけだぜ」
「まあ。だけどしかたないですよ。平民は貴族さまと同じ部屋で食べることすらふつうないことですから」
シエスタは同情の色を含みつつも、擁護したのはルイズのほうだった。
「チッ、なんなんだよ、貴族だの平民だの」
ルイズのことを肯定するようなシエスタの言葉に完二は苛立った。
「あのよろしければ何か食べますか」
「え、マジか!?」
不機嫌さは表情から消え、喜びと期待が完二の顔に浮かぶ。
「ええ、貴族のみなさまが食べてるのとは違う平民の使用人が食べるまかない食ですけど」
「マジで恩にきるぜ!」
完二は意気揚々とシエスタに続いて厨房に入っていった。

朝食の時間は終わり生徒たちは授業を受ける時間である。
教壇が最も低い位置にある段上になっている教室。段上にある机には生徒たちが座り教壇には豊かな雰囲気の女性シュヴルーズが立っていた。
「召喚の儀式はみな上手くいったようですね。私は毎年皆さんがどのような使い魔を召喚するかを楽しみにしています。ただ今年は少し変わった使い魔もいたようですね」
シュヴルーズの言葉に生徒たちは反応し視線は珍獣を召喚したキュルケ、平民を召喚したタバサ、同じく平民を召喚しなぜか今その使い魔がいないルイズに三等分された。
一応動物っぽいんだけど、やっぱヘンなのかなーとキュルケも横目で自分の使い魔を見る。
「ふふん、注目がクマに集まっているクマね。やっぱりクマはスター性が違うクマ」
やっぱりヘンだ。キュルケは事実を認める。
「授業中だから静かになさい」
あんまりさわいで注目されたくないので釘をさしておく。
「授業クマか、クマ授業を受けるのは初めてクマ。センセー、クマエロマンガ島がどこにあるかわかるクマー」
口が開かないようにほんとうに釘をさしてやろうかしらとキュルケは思った。
「ヨースケに教えてもらったクマー」
「おま、なに言ってんだ!?」
「うふふん、このあいだ優しく教えてくれたじゃないクマ」
「言いかたがキモイわ!」
そんな使い魔の様子を見かねてシュヴルーズは杖を振りクマと陽介の口に土をいれ喋れないようにした。
「ミスツェルプストー、ミスタバサ。使い魔の管理はちゃんとしなければいけませんよ」
「すみません……」
キュルケは謝ったがタバサは自分の使い魔になにが起こってもわれ関せずというふうに無表情のままだった。
「ふががふががふが(なんでおれまで)!?」
陽介の抗議は当然のように無視された。誰も何を言ってるかわからないから当然だが。
殆どの生徒がクマたちを見て笑っているなか、そんな漫才よりもルイズの使い魔がいないことが気になっている生徒たちは
「ゼロの使い魔はどこいったんだ」「朝、どっか怒ってでていくの見たぜ」「ゼロは平民だって従わせることもできないのか」
とひそひそ話にしては大きな声で言った。声量を落とさないのはルイズに聞こえるようにであろう。
だがルイズはそんな会話も耳に入っていない様子だった。朝に出て行った使い魔カンジのことを考えていたのだった。

「はい、静かに授業はじめますよ」
シュヴルーズは授業をはじめ、笑い声も陰声も音を潜めた。
たがルイズはまだ朝食時の出来事を考えていた。
やっぱりいっしょにご飯食べさせたほうがいいのかしら。いや、そんなふうに甘くしてツケあがっちゃうわ。でも使い魔が逃げ出したなんてなったらなんていわれるか……。というかアイツどこいってんのよ。まさか、あれくらいでも逃げちゃったとか……?
「……エール、ミスヴァリエール」
「あ、はい」
思案にふけっていたルイズはシュヴルーズに当てられたことに遅まきに気付いた。
「いけませんよ。授業中にぼーっとしては」
「すいません」
「それではミスヴァリエール、錬金はあなたにやってもらいましょう」
教室が一気に騒がしくなる。
キュルケは立ち上がり「危険です、先生。やめてください」と抗議する。
「なにが危険なのですか。ミスヴァリエールは努力家だと聞いていますよ。できますよね」
「お願い、ルイズやめて」
キュルケの懇願を聞いてやめるどころかルイズは決心を強める。
「やります。先生」
ルイズは教壇へと歩いていく、ルイズが段を歩くごとに生徒たちは机の下に隠れていく。
「ふががふが?ふがほががふがが(みんなどうしちゃったクマ?タバサちゃんも教室でてったクマよ?)」
「ほが、ふががふがほがが(や、なにいってんかわかんねーから)」
事情を何もしらない陽介とクマは眉をひそめる。
ルイズはシュヴルーズの言うとおりにルーンを唱え石に錬金をかけようとした。
突如おきる爆発。ルイズが錬金をかけた石は変化せずに石を中心に爆風が巻き起きた。
生徒たちは机の下に避難していたが彼らの使い魔は突然の衝撃と爆音で混乱し暴れまわる。
シュヴルーズが爆発でのびたせいかそれとも今の爆発で直接破壊されたのか陽介とクマの口を塞いでいた土の塊はなくなった。
しかし陽介は頭を後の机にぶつけて頭を抱えて悶絶し、クマは突然の衝撃にノビていてなにも喋る余裕はなかった。
その後ルイズは気をとり戻したシュヴルーズに部屋の片付けを魔法なしで片付けるように言われる。
もっともルイズは魔法を使っても爆発しか起こらないのでなんの制限にもなっていないが。
魔法で掃除しようとすれば教室自体を粉みじんにすることになるだろう。それもある意味掃除になるかもしれないが。
ルイズの教室掃除は昼食の時間まで続いた。

ルイズが教室の掃除をしている間、彼女の使い魔である巽完二は朝食をキッチンで料理人などの学院の使用人たちと食事を共にした。
完二は恩を受けっぱなしでは悪いということで裁縫の腕を振るい、破れてしまったメイド服、コック服、テーブルクロスなど次々と直していき厨房の平民たちの注目を集めてきた。
「そんなゴツい体でこんな繊細な縫い物ができるなんて変わった奴だ!」
口は悪いがむしろ気に入ったというような口ぶりでコック長マルトーは笑う。
「私よりうまいですね。カンジさんすごい……」
シエスタは感心している。
周りから褒められ完二も悪くない気分だった。
「おっとそろそろ貴族の昼飯の時間だ」
「あっ!?もうそんな時間かよ」
「カンジ、その前に食ってくか?」
「いいのか!?あざーっす!!」
またも食事をもらえることに完二は喜色満面にし、マルトーはまたもその変わった使い魔が気に入った。

完二は早めの昼食を食べ終え、やっと昼食の席に着き始めた貴族たちのテーブルの間を歩いて回る。
今朝のことからルイズに会いたくなどなかったが、今後のことを話し合うため陽介たちと会う必要があった。
「にしてもどこにいんだよ?」
昼食に来るとしてもその食堂は広大でどこらへんに座っているかわからないため、探し回るのにも時間がかかる。
人も多すぎた。見渡す限り人、人、人でそれはメイド服を着ているか、マントを羽織っているかの二通りに分けられたがマントの方だけでも途方もない人数のように完二には思えた。
あてもなくうろうろしているとき、完二は人だかりを見つけた。
何かあったのかと思って人々の視線の先を見てみると、金髪の男の魔法使いの前に一人のメイドが座り込んで謝っているようであった。
そしてその少女は黒い長めのボブカットをしており、完二の世話を焼いてくれたシエスタその人であった。
「おい!シエスタ何やってんだ?」
平然と完二はシエスタと魔法使いの間に割って入った。
「カンジさん!」
「なんだね君は……」
わずらわしそうに声をかけてきた金髪の魔法使いを完二はその双眸で睨みつけた。
「テメーこそ何してんだ!ああ!?」
ドスの聞いた、それでいて音量のある声に対象者はもちろん、周りにいた見物人たちも思わずたじろぐ。
「やめてください!カンジさん!私が悪いんです!」
平民の気迫に驚いた金髪の魔法使いは、メイドの言葉を援軍にして態度を平静にする。
「彼女の言うとおりだよ、全ては彼女が気が利かなかったばかりに……」
よく言うぜ!二股してたお前が悪いんだろ!バレた腹いせかよ!と野次が飛ぶ。
完二は野次から状況を理解してタメ息をつきたくなる。要するに目の前の優男は二股をしていて、それがバレたのはシエスタのせいだと腹いせをしていたようだ。
「んだ、そりゃあ……んなのてめえの責任だろ……」
あまりの事態のくだらなさに思わず完二は脱力してしまう。
「おい、こんなバカ相手にしてもしょうがねえ、行くぞ」
完二は目の前の魔法使いに興味をなくしシエスタに言った。
興味をなくされた対象である金髪の少年は顔を赤くし、顔に明らかな怒気を浮かべている。

「これだから平民は……そういえば君はルイズの使い魔じゃないか?」
「ああ!んだよ、何か文句あんのか?」
「やっぱりゼロのルイズはダメだということさ!何をやってもダメで全く才能がない!君みたいな品のない者を呼びだして……」
べらべらとまくし立て続ける。頭に血が上っていてかすれ気味の早口だったがその言葉言葉には加虐的な愉悦があった。
完二は興味をなくしていた少年に敵意をもって睨みつける。
「テメエ、黙りやがれ……!」
声は先ほどより小さいが先ほどより低くドスが利いていた。
彼は目の前の少年の向けている悪意に気がついたからだ。それは完二ではなく直接的にはルイズに向かっているものだ。
だが完二には我慢ならなかった。ルイズが大切なご主人さまだからでは当然ない。目の前の男の悪意はかつて完二を襲ったものと同じものだからだ。
自分と違うものを攻撃し愉悦する最低の行為。言葉の意味がわからなくても、耳に触れるだけで不安になりおなかの底が冷たくなる非道。
金髪の魔法使い完二の平静を奪えたことに少し満足感を感じたのか口をゆがめるように笑った。そして喋り続ける。
「無能な者を無能と言って何が悪いんだい?黙らせたければ僕を倒してみるといい。僕の名前はギーシュ。君に決闘を申し込む!時間とばッ……!」
言葉は完二がギーシュの服の襟首を掴んで持ち上げたことで不本意な途切れ方をした。
「ゴチャゴチャ言ってるんじゃねえぞコラァッ!」
片手でギーシュを持ち上げながら完二は吠える。彼にはギーシュの回りくどいやり方に付き合う余裕など持ち合わせていない。
「う、くっ…」
ギーシュの顔からも余裕は消え、顔に恐怖の顔が浮かんでいる。実際にこの事態に陥って初めて彼は完二の危険性に気付いたようだった。
ギーシュはバラを取り出し宙につられたまま叫んだ。
「ワルキューレ!」
バラの一つの花弁が落ちるとそれを中心に金属の塊ができあがる。
それはなにかの像であるようであった。ただの像ではないことは動き出したことから明らかとなる。それは明らかな敵意を持って金属の拳を完二に振り下す。


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