あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ときめきメモリアル0-6

フリッグの舞踏会が始まってから二時間が経とうとしていた。ぼくはバルコニーの枠にもたれ、華やかな会場をぼんやりと見つめていた。春の風が、ワインを頂いたぼくのほてった頬に優しく吹きすさぶ。
中には着飾った生徒や教師達が、豪華な料理が盛られたテーブルの周りで歓談している。
ルイズは、クラスメートの男子と軽やかにダンスを踊っていた。
その光景を見つめていると、なんだか面白くない。
ぼくはワインをさらにかっ喰らう。


気付けば、隣にギーシュがいた。
「唯一のダンス相手が盗られてしまったみたいだな、コナミ」
ギーシュの口から、宝塚女優のような声がでてきた。短髪のかつらを被り、いつもの様に青年を装っているのだ。
「良かったら、ぼくが一緒におどってやろうか?」
ぼくは小さく笑った。
「何が悲しくて男同士で踊んなくちゃ、ならないんだよ。言ったろ?ぼくは何も見てないし、何も聞いてない」
「……モンモランシーの件といい、きみは本当にお人良しんだな」
「それくらいしか、取り柄がないんだよ」
彼女は微笑むと、ぼくの耳に囁いた。
「十分、恰好良いと思うわよ、コナミ」


ぼくは顔をしかめた。
「まだ、解毒剤を飲んでないのか?」
彼女の顔が蒸気する。
「ばか。飲んだわよ。今のはたんなる褒め言葉。勘違いしないでほしいわ」
「そっか…」
顔を上げると、満天の星空が目に映った。
ぼくの良く知る春の星座達がきらきらと輝いている。
ルイズが言うには、ぼくはハルケギニアの遠い過去か、遠い未来に存在した地球の日本から召喚されたようだ。
召喚魔法の絶対的前提条件に、【ハルケギニアに棲息する生物】という一件があるらしい。つまり、ぼくに作用したのは【空間転位】ではなく【時間跳躍】だったというわけだ。
ぼうっと空を眺めるぼくに、ギーシュが腰に指していた片刃の長剣を差し出した。
「なに、これ?」
「剣さ。つまり武器だ。平民達が、せめてメイジに一矢報いようと磨いた牙さ」
「だから、なんだよ?」
その時、差し出された剣から声がした。低い男の声だった。
「おでれーた。お前、使い手じゃねーか」
「剣がしゃべった……」
ぼくは呆然と剣を見つめた。ギーシュが笑う。
「意志を持つ剣、インテリジェンスソードさ。きみにやろう。なにせ、きみは弱すぎる。剣を振るって少しは鍛えなよ」


ギーシュの言葉は見当外れだった。
ぼくは、銀河征服を目論む強大な宇宙人勢を単身でしりぞけた伝説の英雄だ。本気をだせば、ギーシュなどぼくの相手にはならない。
だけど、せっかくの厚意を無下にするのもなんなので、ぼくは素直にそれを受け取った。
「ありがとう、最高のプレゼントだよ」
「気にするな」
きざったらしく笑うギーシュの姿を眺め、ぼくは少しだけ複雑な気分になった。ピエロを演じ続ける彼女の心境はいかなるものなのか。それが、気になって仕方なかった。「それより、今度、ラ・ロシェールの森まで、遠乗りに行かないか?」
「ラ・ロシェールの森?」
「トリステインの観光名所さ。心が安らかになる場所だ」
そういえば、トリステインに来てから観光らしいことをしたことなど、一度もなかった。ある意味、海外に来ている様な状況にも関わらずだ。
ぼくは恭しく一礼をすると口を開いた。
「喜んでお付き合い致します。ミス・グラモン」
ギーシュの整った顔に赤みが増す。

「ばか…。なにを言うのよ…」

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