あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

ぜろ☆すた ポケットきゃらくた~ず-01


「ねえ、見て見て。こんなに大きなぬいぐるみ、あたし初めて」
 大きな柱が高い天井を支えているとある部屋。 
 柱にもたれかかっているキュルケは、ひと抱えもあるぬいぐるみを抱き締めご満悦という表情だ。
「おー。凄いね、キュルケ~。でっかいじゃん」
「とても可愛いですね」
 ぬいぐるみを抱き締めているキュルケの可愛らしさにこなた・ロングビル共に魅了されていたが、ただ1人ルイズだけが冷静な声で、
「あー、ちょっと待ちなさい、あんた達……」
「ん? どしたの、ルイズ?」
 普段以上に真剣なルイズの声に、こなたは彼女の方を振り返った。
「1つ大きな間違いがあるから訂正するけど……、そのぬいぐるみが大きいんじゃなくって――私達が小さいのーっ!!」
 そう、ルイズ達4人が今いる場所は、ルイズの部屋に置かれているテーブルの足付近、天井と思われていたのは天板だった。

 前日の夜、ヴァリエール邸の一室。
「だあーっ!」
 ルイズは大きく息を吐き、半ば放り出すようにして部屋の床に荷物を置いた。
「重かったー……」
「みんな、お疲れ様~」
 自分も荷物を置きつつ、ルイズ達同様荷物を置いたキュルケ・ロングビルにねぎらいの言葉をかけた小柄な少女。
 彼女こそルイズが召喚し、使い魔としての契約を結んだ異世界の少女・泉こなただった。
「ったく、コナタ……、『ケバキーア街に行こう』だなんて急に言い出したかと思ったら、買い物の荷物運びさせるのが目的じゃない」
「いやー、あはは」
 ベッドにもたれかかるようにして座り込み文句を言うルイズに、こなたは荷物の中の袋から中身を取り出しつつ笑った。
「どうしても手が足りなくってね~。珍しくショップがポイント2倍セールやってて。これを逃がすと次いつになるかわかんないし」
「確かに特売は女の子にとって魅力的ですものね」
 微笑みつつロングビルがこなたにかけた言葉にキュルケも頷いていたが、
「ミス・ロングビル……、それちょっと違います……」
 ただ1人ルイズだけが冷静にツッコミを入れていた。
「あのね~、手伝ってほしいなら変な言い回ししないでちゃんと言いなさいよ。こっちは騙されたみたいで気分悪くなるじゃない」
「あー、じゃあ……」
 照れたような笑みを浮かべつつルイズに誘いかけるこなた。
「また手伝ってね、るいずん♪」
「断るわ」
 大粒の汗を1粒垂らして硬直していたこなただったが、
「嘘吐きー!」
「な……、誰も必ず引き受けるなんて言ってないわよ!」
 ぽかぽか両手の拳でルイズを叩きにかかるこなたに、ルイズは必死で反論する。
「でもほんとたくさん買ったわね、コナタ。こんなにいっぱい何を買ったの?」
 袋いっぱいに詰まった戦利品を覗き見つつ、キュルケが興味津々という様子で尋ねる。
「ん? ほとんど本とか食玩とか細かいやつかな」
「大きな箱もありますけど」
「あ、それはフィギュアだよ」
「えー、フィギュアの箱ってこんなに大きいの!?」
「見たい?」
「うんっ」
「じゃあ開けるよ」
 ぐったりした様子でベッド上に突っ伏しているルイズを後目に、こなたは喜色満面で紙袋から箱を取り出す。
「これが結構丁寧に梱包されててね~」
 箱の梱包を解くこなたの一挙手一投足に注目しているキュルケ・ロングビルの姿を横目で見つつルイズは、
「でも、私達が見てもわからないんじゃないの? 個人的な趣味の物なんだし……」
「いや、これは見たら驚くと思うよ~。今日変えたのが奇跡なくらいレア中のレアだからね~」
 と言ったが、こなたは自身満々な様子で箱を開ける。
「んっふっふ……、さあ見て驚け……」
 箱から出した中身を自分の体で隠しつつ、こなたは眼を怪しく光らせる。

「これだあ!!」
 そして盛大にフィギュアを3人に見せつけた。
 3人がどう反応したものか困惑していると、
「よし」
 とこなたは満足そうにひとつ頷いた。
「いや、わかんないわよ」
「とりあえず限定生産でなかなか手に入らないのだよー」
「ん~、まあそれでも凄さはわからないけど……」
 首を傾げるルイズとは裏腹に、キュルケ・ロングビルは興味津々という視線でフィギュアを眺める。
「何かかっこいいわね」
「でしょ~♪」
「こうして見るととても精巧にできてますね」
 手に持っていたフィギュアをテーブル上に置き、改めて胸を張るこなた。
「というわけで、大漁もあって今日の私は大満足なのだよ」
「……男?」
 するとそこでベッドにもたれかかりこなたの方を向くように座り直したルイズが、訝しむように呟いた。
「ん?」
「その人形、男……なのね」
 確かにルイズの知る限り、こなたが男性キャラクターのフィギュアを購入するのはこれが初めてだった。
「あー、うん、これは男性キャラだね」
「へえ、珍しいわね。オタク(コナタ)って美少女フィギュアしか買わないと思ってたわ」
「う~ん、それはかなり偏見だよ、るいずん……」
 歯に衣着せぬルイズの物言いに汗を垂らしていたこなただったが、その目の付け所に感心するかのように指を立てる。
「あ、でも良いとこに気付いたかも。実はこのフィギュアは2つで1つなんだよね」
「は? 2つで1つ?」
「そ。この少年と対になる女の子のフィギュアがあって、両方を揃えて初めて完成となるんだ~」
「何だ、じゃあそれ1つじゃ意味無いの?」
「んまあ、そういうわけじゃないんだけど……、このフィギュアには悲しい物語があってね……」
 小首を傾げつつ、こなたはフィギュアの背景となる物語を語り始める……。

「とりあえず2人は結ばれない運命にあるんだ」
「ええっ、そうなの!?」
 こなたの語り始めた物語に、キュルケはいち早く反応を示し瞳を涙で潤ませた。
「そう……、それはとてもとても悲しい物語……」
 不思議な力を持つ少女は、皆にまつり崇められていた。 
 2人は些細なきっかけでお互いを知り恋に落ちるが、住む世界が違う事からその後2度と会う事は無く、物語は気持ちだけを大きくしたまま終わりを迎える……。
「ただ本当は会える方法があったんだけど、気付きそうで気付かなかったりあとちょっとで上手くいかなかったりで、そのすれ違いやまどろっこしさやじれったさがまた堪らないんだよね」
「……でも、何だか可哀想ね……」
「うん。んで、物語を現実で再現したいからなのか人気があるからなのか、ファンの間でもこのフィギュアってほんと揃いづらくて、もし揃ったら幸福を呼んで願いが叶うって噂されるくらいレアなんだ」
 ロングビルは微笑みつつ、キュルケは祈るような視線でこなたに言う。
「フィギュア、揃うといいですね」
「コナタ、2人を一緒にしてあげてね」
「あはは~」
 そんな2人の言葉にこなたは笑みを浮かべ、
「で、今日揃った」
 と少女のフィギュアをテーブル上に置いたのだった。
「もう持ってるんかい!!」
 あまりにあっさり2体のフィギュアが揃ったために、ルイズは声を荒げて立ち上がった。
「な~んか、奇跡とか言ってたわりには簡単に揃ってない~?」
「あっはっは、私は幸せだよ?」
 呆れた視線のルイズをどこ吹く風と受け流し、テーブル上に置かれたフィギュアの前に座るこなた。
「ふふ~ん、ちょ~っとみんな見ててね~」
 そう言ってこなたは少女のフィギュアを台座から外し、少年のフィギュアの方の台座にセットして、少女が少年に抱き寄せられているような形を取らせた。
「ほいっ、できあがりっ」
「わあっ!」
「すっご~い、くっついたわよ!」
「なるほど、寄り添う形になるんですね」
 口々にその出来栄えに賞賛の言葉を上げたキュルケ・ロングビルに、こなたも満足そうな表情で語る。
「まあ何ていうのかな。造形師の心が表れてるというか、ファンの気持ちをわかってるというか。とにかくクオリティー高くて凄いっしょ?」
「あんたが作ったんじゃないでしょ」
 というルイズの冷静なツッコミをスルーしてこなたは、
「さあさっ、皆さん今日は疲れたでしょー。こちらへ来て2人の再会に乾杯しようじゃありませんか♪」
 いつの間にかテーブル上にお菓子の載った皿を用意し、ジュース入りの小瓶の蓋を開け、壁に「祝 2.5次元!!」と書かれた垂れ幕を掛けていたこなたが3人を誘う。
(これで私達に「ありがとう」の一言でもあれば、素直に喜んであげられるのだけどね……)
 歓声を上げつつテーブルに歩み寄るキュルケ・ロングビルに対し、ルイズは呆れた視線をこなたに向けていた。

「ルイズ、これ美味しいわよ」
「あー、ごめん、ダイエット中なの……。体重減るまでお菓子はいいわ……」
 皿に盛られたお菓子の1つを勧めるキュルケだったが、ルイズは固辞した。
「………」
 そんなルイズがふとこなたの方に視線を向けると、こなたはせっせと筆でフィギュアの埃を払っていた。
「コナタ、そういうのに関してだけは几帳面よね」
「いや~、基本だよ基本。『人形には魂が宿る』っていうの、フィギュアも例外じゃないと思うんだよね。特にこっちは女の子だからね、いつも綺麗にしてあげなきゃ可哀想じゃん」
 するとキュルケもこなた・フィギュアの方に視線を向け、うっとりした表情になる。
「コナタのフィギュアって、可愛い服が多いわよね。いいわねー、あたしもそんな服着てみたいわ」
「キュルケ! 駄目よ滅多な事言っちゃ! その一言でそっちの世界に行っちゃった人が何人もいるのだから!」
 慌ててキュルケを嗜めるルイズ。その背後では、こなたが目に怪しげな光を湛えていた。
「………」
 そして再度フィギュアを眺めていたこなただったが、ある事に気付いた。
 フィギュアの周囲を眺めるように視点を移動させてみたり、台座の裏側を調べるために持ち上げたりしている。
「?」
 立ち上がって棚に置かれた物の間や机の下を探し出すに至り、ロングビルは問いかけた。
「ミス・コナタ、どうかされたんですか? 何か探しているように見えますけど……」
「……無い」
 尋ねられた時の体勢のまま動きを止めたこなたがぽつりと呟き、
「はい?」
「パーツが無あああーい!!」
 頭を抱えて上げたこなたの絶叫に、2人で何やら話していたルイズ・キュルケもびくっとして振り返る。
「探して!」
 一大事とばかり3人に声をかけるも、
「は!?」
 当然ながらルイズには事の次第がまったくわからなかった。
「さ、探すって何をよ?」
「パーツだよ、パーツ! 2人を結ぶ重要な物なんだよ~!!」
「わ、それは大変だわ」
「私でよければお手伝いしますよ」
 快諾したキュルケ・ロングビルに対し、何を探していいのかわからなければ発見など到底不可能だという事に気付いているルイズは困惑の表情で、
「パーツって言われても……、コナタじゃないんだからどんなのかわからないと探しようが……」
 と言ったところ、こなたは手早くスケッチブックに紛失した部品の絵を描いてルイズに見せた。
 ……が、こなたの乏しい絵心で描かれたそれは、発見に有用だとはまるで思えない代物だった。
「いや……、図解は勘弁して」
 そこでこなたは、箱に掲載されている部品の絵を3人に見せる。
「ふーん、これね?」
「これを見つければいいのね」
 発見すべき部品の見た目を把握すると、ルイズは早速ベッドの掛け布団をめくってその下の捜索を開始する。

「もう、大事な物ならちゃんと管理しなさいよ! まったく……」
 掛け布団をめくったりベッドの下を覗き込んだりしていたルイズだったが発見する事はできず、顔を上げてこなたに話しかける。
「コナタ、別に今日でなくてもいいんじゃないの? 部品1個だけなんだし、今無きゃ駄目って物でもないでしょ?」
「るいず~ん、そんな事言ったらフィギュアの祟りに遭うぞ~」
 ルイズの言葉に彼女のすぐ近くで探していたこなたは、顎をその頭に乗せて抗議した。
「乗っからないで! っていうか、幸運を呼ぶんじゃなかったの?」
 一方、作り付けの棚の中を探していたキュルケはロングビルに声をかける。
「ミス・ロングビル、そっちはどうですか?」
「うーん、それらしい物は見当たりませんね」
 そう答えると目をこらして探していたロングビルは顔を上げて目を擦り、
「といいますか、最近また視力が落ちたらしく細かい物はよく見えなくて」
「大変ですね」
「はい、文字等も小さいと少し……」
 ――ポッ……
 窓の方から聞こえてきたかすかな水音に気付き、キュルケはそちらに視線を向ける。
「あ……、雨だ……」
 雨足はみるみるうちに強まっていき、たちまち小雨から本降りになっていった。
「雨の音って聞いてると眠くなってくるわ……。今日たくさん歩いたから疲れちゃったし……」
 そう呟いてキュルケは眠たげに目を瞬かせる。
 その後も捜索を続けていた4人だったが、いつの間にやら1人また1人と雨音を子守唄にして眠りについていたのだった……。

 翌朝。
 窓から差し込む陽射しと小鳥の囀りでルイズは目を覚ました。
(……ん、うわ……、いけない……、すっかり寝ちゃったわ……。疲れてたとはいえいつの間にか意識が飛ぶなんて)
 起き上がって背伸びをしたところで、ルイズは背後にある戸棚が遥か見上げるほどに巨大化している事に気付く。
「!? ……なっ、何よこれえええ!?」
 絶叫するルイズ。その体は人形並みの大きさにまで縮小していたのだった。
「ちょっとみんなこれ見て――って、嘘おおーっ!?」
 この事態をこなた達に伝えようとしたルイズだったが、3人も同様に縮小していた事に再度驚愕の叫び声を上げた。
「も~、るいずん、朝からどしたの?」
「眠い……」
 ルイズの声で起こされた事に不満を漏らしつつこなたが起き上がると、その隣でキュルケも目を覚ます。
「わっ、るいずんちっさ!!」
「あんたに言われたくないわ!!」
「うわ、鞄が大きい……。テーブルも……」
「そっちじゃないでしょー!!」
「まあ……、私達いつの間にこんな所へ?」
「違ーう!!」

 ……こうして現在に至る。
「……いや~、びっくりだね」
「そんなシンプルな感想で片付けないで!」
 ルイズがこなたにツッコミを入れる一方、キュルケ・ロングビルも顔を見合わせて対策を検討している。
「でもこんな夢みたいな事ってあるのね」
「本当にどうしましょう……?」
「と、とりあえずこの状況はまずいわ、好ましくないわ! 誰かに連絡して助けてもらわなきゃ! 『遠話の手鏡』とかなら使えるでしょ」
 最近になって流行し始めた、遠く離れた場所にいる相手とも会話可能になるマジックアイテムの存在を指摘するルイズ。
 安価な物ではない(というかマジックアイテムの中でも少々高価な部類に入る)が、実家との連絡が緊密かつ時間差無くできるとあって魔法学院生徒の父兄が子供に買い与える事が多いのだ。
 当然ルイズ・キュルケも持っている……のだが、
「手鏡はテーブルの上です」
「高いわね」
「ですね」
 現状においてそのありかはまさに手の届かない高みにあった。
「じゃあ……」
 するとそこに、
「コナタちゃーん」
 とこなたを呼ぶ少女の声と、扉を叩く音が聞こえてきた。
「あ、カトちゃんだ」
「よかった。これでひとまず連絡が……!」
 予想外の訪問者に安堵の呟きを漏らしたルイズ。そうしている間に、
「入るわよ? ねえ、昨日はみんなが遊びに来てたのよね?」
 そう言いつつ小柄な少女が部屋に入ってきた。
 ヴァリエール三姉妹の次女・カトレアだ。
「あら? いないのかしら?」
「おーい、カトちゃーん」
 もぬけの殻になっている室内を訝しがるカトレアの耳にこなたの声が飛び込んできて、思わず彼女はそちらに視線を向ける。
「やほ~」
 するとそこには、親しげに片手を上げて挨拶するこなた・懇願の表情で助けを求めるルイズをはじめ、彼女の妹・友人達が人形並みの大きさになって床の上にいた。
「あ、何だ、コナタちゃん達いたのね。こんな低い所に……」
 ひきつった笑顔のままそう答えたカトレアの体がゆっくり傾き、床に倒れ込んでしまった。
「わーっ、嘘ー!?」
「た、倒れちゃったわよ?」
「あ~、カトちゃんのスペックじゃ分析できなかったか~」
「驚かせてしまったようですね……」


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