あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

モンハンで書いてみよう 毒怪鳥編

ルイズ・フランソワーズ・ル・ブランド・ラ・ヴァリエールは自分が召喚した生物をじっと見つめていた。
とても喜ばしい事にそれは平民ではなかった。剣でもなければ本でもない。使い魔として呼ばれるべき野生の動物だろう。
だがコレはなんだ? 大きさはちょっと大きな鶏ほど。鶏と言うくらいだから羽根が生えていて、二本足で歩く。
ではコレは私が見たことがない鳥か? いや鳥には歯はないはずだ。同時に長い尻尾が鳥である可能性を否定している。
鳥ではなくて羽根が生えている生物……虫? それはないな……はっ! まさかドラゴン!?
さすが私! どうやら幼体のドラゴンを召喚したらしい。ゼロの使い魔・激終! 明日からアルティマメイジ ルイズが始まります!

しかし……『ア~』と奇妙な唸り声を上げて私を見ているソレを抱き上げた。もっとじっくりと検分してみる。
頭の突端には骨分で出来ていそうな突起が上顎から伸び、その後ろには取って付けたような砲弾状のトサカ。
微妙な曲線を描く口は絵に描いたように歯並びが悪く、ちろちろと覗く下の色は暗褐色。
そして最大の問題は持ってみて理解した。このドラゴンは鱗がない。独特の弾力があるこの感触は……ゴムだろうか?
翼を構成する皮膜は飛べるのか心配になるにほど薄く、やはりゴムのような手触り。
尻尾はドラゴンにとってバランスをとる重要な器官であるはずなのに、ぺちぺちと私を叩く感触は心もとなく、やはりゴム質。
体色は大部分が泥水のように濁った灰色、翼の皮膜は血管が走るような赤い斑が茶色地に走る。
腹から尻尾にかけては私の髪に埃を念入りに塗した様な何処となく桃色な気がしないでもない。
首の側面に僅かな光沢が見て取れるが、他の色はどうしようもなく地味で汚い。そして……目だ。
何年も倉庫に放り込んでおいた真鍮のボタンのように薄汚れた金色は死んでいるようでもある。

総合して評価しよう……カッコ悪い。



ドラゴンと言うのはやっぱりアレだ。先ほどメガネで小さなアノ子が呼び出したウィンドドラゴンみたいな奴のことを言うのだ。
この生物は……何かが違う。少なくとも私がイメージしていたドラゴンではない。周りの同級生達もどうリアクションを取って良いのか困っている
普通の生物ではないから貶すわけにも行かず、ドラゴンっぽくないから悔しがるには足りない。
まあ……仕方がない。使い魔っぽいじゃないか、謎の生物なんて。問題無い、問題無いと口の中で呟き、唱えるのはコントラクト・サーヴァントの呪文。
ほ~ら、近づいてきた私の顔を不思議そうに死んだ目をパチパチさせている様子は……やはり可愛くない。

口の先端にキスをして、唇を離そうとした瞬間。何かが流れ込んでくる感覚がした。
水っぽいソレは唾液? そう思ったのだが驚いて咳き込み、口の周りを塗らした液体は……禍々しい紫色。
口の中と食道、さらには胃へと凄まじい痛みが駆け巡る。ルーンが生成時の発熱に驚いて走り回る使い魔を見ながら、私は意識を手放した。


ルイズが召喚したのはとある世界で毒怪鳥と恐れられる鳥竜種。
湿地や沼に生息しゴム質の皮に覆われ、毒液を初めとしたある種セコイ攻撃が得意な「ゲリョス」……の子供。
その正体を知っていれば決してその口へキスなど敢行しようとは思わないのだが、異世界の事までは勉強熱心なルイズとて知らない。
もし毒液が成体のものだったら、もっと大量に飲み込んでしまっていたら。
間違いなくルイズは使い魔との契約が間接的原因として死亡していただろう。

つまり三日三晩、生と死の境でご先祖様に叱られたり、励まされたりした程度のルイズはラッキーなのだ。


『ルイズが壊れた』これは既に二年生の内では有名な噂だ。
もちろんこの私 キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーの耳にも届いている。
そして噂ではなく現実としてその『壊れっぷり』が目の前で展開されてもいる。

「アンジェ、とっておいでぇ~」
『アゥ~』
「は~い、良く出来ました。アンジェはエライですね~」
『アゥア~』

今は休み時間だ。各々が好きに時間を消費する事が許されている。つまり目の前で行われている主従の戯れも自由だ。
だが……正直言ってその戯れは気持ちが悪い。主は私のライバル ルイズであり、従はその使い魔……つまりアレだ。
契約時にルイズを殺しかけた不気味なドラゴンの子供。普通なら自分を殺そうとした相手に親しく接するのは難しいだろう。
だが目の前のルイズはどうだろう。そんな相手をアンジェなんてカワイイ名前をつけて、犬とするようなボール遊びをしていた。
ボールの代わりに使っているのは高価な銀のネックレス。ルイズ曰く『光る物の方がやる気になる』らしい。
その表情は本当に嬉しそうで、今にも蕩けてしまいそうな程に幸せをぶちまけている。
ゴムみたいな感触(ルイズ談)をギュッと抱きしめる様は私が恋人にする抱擁よりも熱い。
『何がそんなに良いのか?』と問いかけたら真面目な顔で『全て』と言われて私の方が凹んだ。
それに答えるドラゴンの幼体も歪な顔をさらに歪めて喜びを表現しているらしく、不気味である事この上なし。

つまり病的に可愛がっている……と言うよりも愛して止まないのではないだろうか?
授業はしっかり受けているし、態度も真面目そのもの。だが使い魔が関わると、全てを放り出してそちらを優先するのだ。
その激しい変化が原因で『ルイズは毒で頭がやられた』とか『使い魔に洗脳された』等と言った噂が飛び交っている。
外的問題は水の治癒魔法で直せるが、脳の異常は直せないらしい。しかもアレが素ならば打つ手は全くなしだ。

「もう~アンジェはカワイイでちゅね~」
「ギャウァ~」

どうやら強く抱きしめすぎたらしく、初めてドラゴンらしい威嚇音が上がる。
だがやっぱりルイズは怯まない。アレはアレで使い魔を使いこなす手法なのでは?と私は考えないでもない。




なにやら私が毒で頭をやられたと言う噂をよく聞く。失礼な話だ! 私は全く正常なのに。
正常に判断して……アンジェはカワイイ!(正式にはアンジェリカと言う。長いので短くしてみた)
まだ子供だから飛べないらしく、羽をパタパタさせながら私の後ろを付いてくる姿は可愛過ぎて規制に引っかかりそう。
ゴム質の体の感触も慣れると病み付きになるし、不細工な顔も愛嬌以外のナニモノでもない。
ソレラを想像するだけで昼食が何時もの何倍も美味しく感じるから、愛は魔法である。

「ア~」
「あら? お腹が空いたの?」

不意に背後から聞こえた声に振り返れば、そこには愛らしい私の使い魔が居た。
子供だからかもしれないが与えただけ食べる大食漢であるアンジェには、いつも私の食事も残してあげている。
今回もソレを催促しに来たのかと思ったが、どうやら違うらしい。口に咥えた小瓶がその証拠。

「また拾ってきてくれたの?」
「アゥア~」

受け取ったそれは香水のビン。アンジュはこういった光り物が好きらしく、どこからか咥えてくる。
勿論そのままネコババする訳にもいかず、アンジェのプレゼントは持ち主に返っていくのがとても残念である。

「これって確かモンモランシーの……」

匂いを嗅いで見てピンときた。あの金髪ロールが撒き散らしている匂いだったから。
最後に残しておいた白身魚のムニエルをアンジェの口に放り込んで、私は席を立つ。
これから残りの時間はアンジェとの触れ合いの時間に使うのだから、さっさと返してしまおうと思った。
だがそれが争いの元。一連の流れを会話だけで伝えると以下の通りになる。

「これ貴方のでしょ?」
「あっソレはギーシュにプレゼントした奴」
「えっ!? ミス・モンモランシーはギーシュ様と……」
「違うんだ、ケティ!」
「「二股か!? そんな男修正してやる!!」」
「ヒデブゥ!……なんだ、そのゴミを見るような目は……ゼロのルイズはデリカシーも無いらしいな!」
「アンジェの好意を無碍にするのは許さないわ、決闘よ!」
「アゥア~」

そんな感じで決闘などする事になってしまった。


「逃げずに良く来たね、貧相な使い魔とその使い魔に殺されかけたルイズ」

ギーシュの嫌味と周りのギャラリーから沸く嘲笑に、アンジェの魅力を三時間ほど語って聞かせそうになるのをルイズは我慢した。
この頃悟りつつある。他人にはどう伝えてもアンジェの素晴らしさは理解できないらしい。ならばその有能さを見せ付けてやらねばと決心する。

「名指しでバカにするんだから、こっちはアンジェが戦うって事でいいかしら?」
「構わないさ。どちらにせよ君には謝って貰うんだからね」

なにやらほざいているギーシュを素晴らしく無視して、ルイズはアンジェの耳元で愛の囁き……ではなく作戦を告げている。
先ほど閃いたアンジェリカの主としての特性 ゲリョスとしての特性の過程を試してみようと思ったのだ。
使い魔の契約として得た記憶には能力として物は無い。だが種としての血がその使い方を示しており、アンジェもソレを感じている。
ならば問題なく実行できるはずだとルイズは自分とアンジェに言い聞かせた。

「それじゃあ行くぞ!」
「遅いわよ!」

ギーシュが杖を振り、青銅の使い魔ワルキューレが現れた瞬間に、アンジェはしなる首を振り口から液体を吐き出した。

「ひっ! 僕を守れ、ワルキューレ!」

その正体がルイズを殺しかけた毒液である事はギーシュも当然知っている。反射的に呼び出したワルキューレに自分を守らせようとして、気が付く。
体が小さいからか毒液を押し出す内臓系の圧力が足りず、描かれた放物線はすぐさま地面に沈んでしまった。

「このっ! 驚かせるな!」

怒りに任せて振られた杖の先から零れた花びらが、さらに数対のワルキューレを精製。
それらが一斉にアンジェに飛びかかろうとした瞬間! 彼のトサカが閃光を放つ。
成体ならば屈強なハンターすら気絶させる威力を持つのだ。幼体でも一瞬だが目を使えなくするには充分な威力。

「クワァ!」

主に連動して動きを止めたワルキューレの間をアンジェは翼を羽ばたかせながら駆け、僅かだが確かに飛んだ。

「アンジェが飛んだ~!」

まるでどこぞの車椅子少女が立った時のような歓声をあげるルイズは決闘など既にどうでもいい事。

毒怪鳥ゲリョスの雛は初めて飛んだ勢いをそのままにギーシュに突っ込み、連続でついばんだ。

「ワァ! またしてもギーシュは敗北するのか~……ってアレ?」

運命付けられた負けフラグを呪っていたギーシュは自分の体に損傷も無い事に気が付いた。
何も感じなかったかと言えば、鶏ぐらいの生物に突かれたのだから嘘になるが、ただ本当にそれだけなのだ。
ちょっと手が痛いくらいで、当の本鳥? 本竜?は軽快な足取りでルイズの元へと返っていく。
どうやら今のがチンケなドラゴンの全力全開だったのだろう。ワッハッハ! このギーシュ・ド・グラモンには通じんぞ!
ステキな勝利宣言を心に秘めつつ、彼は杖を……

「行け、ワルキューレ!」

だがワルキューレは動かない。ギーシュを含めた多くが理解できないと首を傾げる中、ルイズだけがトコトコと帰ってきたゲリョスにあるモノを受け取る。

「私の使い魔は主人に花をプレゼントするセンスがあるの」
「「「「「はっ?……っ!?」」」」」

突然ボケた事を言い出したルイズに誰もが視線を注ぎ、愕然とする。彼女が握っているのはバラの造花。
間違いなくギーシュの杖だった。確かに彼のほうを見てみればその手にはあるはずの杖が無い。
当然魔法は働かず、動くどころかワルキューレは宙に崩れて消えた。

「ギーシュ、アンタはアンジェに杖を盗まれたのよ」
「そんな事があるか! 確かに近づかれたけど、僕は握った手を離していない!」
「残念! アンジェの……ゲリョスの盗みはどんな状態だろうと所持していれば奪えるの」

物理とか理論を超越したモンスターとしての特性。毒液、閃光に続くセコイ技第三弾。
たとえ成体の巨体でもハンターが持っているアイテムを器用に盗むのだ。手に持っている『だけ』の杖、盗むのは容易い。

「何てセコイ使い魔なんだ……」
「ゼロのルイズにお似合いだな」

そんな辺りのざわめきを主従揃って嘲笑し叫んだ。

「勝てば良いの!」
「アウァウア~」


これが伝説に名を残すメイジと使い魔の汚らしい初勝利だった。

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