あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

[秩序]の守護者-02


結論から言おう
ルイズにとって、そのゴーレムは大いに期待はずれだった
ゴーレム―――ナインボールを連れて戻った当初はちやほやもされたし、ゼロの二つ名が撤回もされかけた
もともとルイズも20メイルを越えるゴーレムに家事や秘薬探しを任せようと思ったわけではない
しかし使い魔は主に絶対服従、反発などするはずもないと思っていたと言う点に関しては
大いに見通しが甘かったと言わざるを得ない

「アンタ、どこに行ってたのよ! 使い魔がご主人様の許し無く勝手に出かけていいわけないでしょ!」
『文字を覚えるために図書館に行っていた。それと、我々は[秩序]の監視者であって、君の奴隷ではない』
「なっ…………アンタねぇ!」
『それより時間はいいのか? そろそろ授業のはずだが』
「言われなくったって分かってるわ! アンタが起こしてくれればよかったのに!」
『君が寝坊して遅刻しようと、我々にはいささかの痛痒も無いのでな』

20メイルの使い魔に逃げられる情けない主として、再びルイズの二つ名はゼロに逆戻りしてしまったのだった
ちなみにナインボールは一日で一般書を読みこなすまでになり、タバサとは無口読書仲間になったとか
元々この世界の情報を収集するために始めた読書なのだが、まったく文字が分からない
それを最初に教えてくれたのがタバサだったため、ナインボールも彼女を邪険にはしないようだ
しかし巨体を折り曲げて実に器用に本をめくる姿のせいで、図書館からはタバサ以外がいなくなってしまったため
実に静かに本が読めると彼女からもありがたがられていたようだが

「もういいわよ。アンタには家事も身の回りの世話も薬集めの何も期待しないわ」
『我々はそんなものを期待されていたのか』
「でもね、私が危険に陥ったら助けなさい。そのくらいならできるでしょ?」
『それはその状況による。我々は[秩序]を守るためにのみ戦う。くだらない小競り合いに力を行使する必要を感じられない』
「…………」

決まった。私の使い魔は図体ばかりでかいただの役立たずだ
部屋に戻ってベッドに倒れこむ。なんだか妙に泣けてきた
まだ唯一の救いは、学校のみんなはこのゴーレムの役立たずぶりを知らないこと
せめてそれだけはバレないようにしよう

そう思いながら、ルイズは夢の世界に沈んでいった
ハスラー・ワンにとって、この世界はあまりに異様過ぎた
魔法があることは、生物ですらない彼らにとっては些事に過ぎない
アナイアレイターに敗北した彼らが、何故か無傷で施設ごとこの世界の地下に存在していることも同様である
元の世界には[彼らとは違う彼ら]がまだ存在し、特にレイヴンズ=ネストの彼らは決して負けないという自信があった
今ごろはここに来た彼らの代わりのモジュールが再構築されていることだろう
そのため、元の世界に帰るという必要性を彼らは可能性から排除していた
そんな中、彼らが最も困惑したことは(今のところ)この世界では戦争が起きていない、ということだった
元の世界では、主に企業間の戦争紛争小競り合いはほぼ毎日起きており、途絶えることは無かった
その世界において秩序を作り出す。そのための存在であるハスラー・ワンにとって、無戦争とは決してありえない事態だったのである

「……情勢を知るには、新聞が一番」
『すまない』
「…………」
『…………』
「あんたたち、少しは喋ろうとかないの!? 自己紹介とか、自分はどこから来た、とかさぁ!」
「キュルケ、図書館内は静かに」
『まったくだ』
「ムキーーーー!!」

少し前のルイズと同じような奇声を発して、タバサの親友である
キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーが走り去る
この静か過ぎる雰囲気と、一人と一機の無言の圧力に屈したのだろうか

「ルイズの使い魔なのに、いっしょにいなくてもいいの?」
「きゅいきゅい!」
「使い魔失格の役立たず……ってシルフィードが言ってる」
「きゅ!?」
『我々は使い魔では無いのでな。彼女は彼女。我々は我々だ』
「でも、その彼女ちょっとピンチみたい」
『と、言うと?』
「たった今決闘を申し込まれているのを見て来た、とシルフィードが言ってた」
『なるほど。しかしその龍が言ってたことはさっきと違うようだが?』
「………ちょっとした冗談」
『なるほど』
食堂に来たのは、機械にあるまじきことだがただの気まぐれだ。別に用事があるわけではない
しかしこの世界に戦争は無く、秩序が乱れてもいないのならもともと兵器である自分にはやることが無いのだ
機能停止していればいいのかもしれないが、地下の我々はまだこの世界のデータが足りないとせっついてくる
ならば文献を漁るか、さもなければ無為に歩き回り、見聞きしたことを全てデータとして送信するのが
地上に上がったナインボールのやるべきことだった

「ミス・ヴァリエール、もうしわけありません! わたしのために決闘をすることになってしまって!」
「あんたのためじゃないわ。貴族としての誇り、そして人の上に立つ者の良識の問題よ」

決闘がどうなのかは分からないが、どうやらあの女中に関係のあることらしい
もっと聞き出してみるかと近づくと、我々の足音に気が付いた二人が顔を向け――女中がひっくり返った

「……なによ、ご主人様を無視したと思ったらこんな時に帰ってきて。笑いに来たって言うの?」
『状況の説明を求める』

また怒鳴られて時間を浪費するか、とナインボールは思ったが、元気が無いようで案外素直に話し出した
どうやら決闘の相手もルイズと同じメイジ。しかも結構な使い手のようだ
そうなった経緯は、その貴族が女中を苛めたためらしい(長々と語っていたがナインボールにとってはどうでもよかったため割愛した)
しかし、彼らにはどうしても分からないことがあった

『状況はわかった。だが、それでどうして君が戦うことになったのかわからない』
「どうしてって……私がギーシュを止めようとしたからに決まってるじゃない」
『そこだ。君は我々に言ったはずだ。[貴族に逆らってはいけないというのが、この世界の[秩序]]だと
 ならばその女中を助ける理由など無いだろう。いや、それどころか君は、[秩序]を破壊しようとしたのだ』
「!!」

そこにいた女中がビクッと体を震わせる。そして何も言わず、ルイズは呪文を詠唱し

「レビテーション」
『!?』

ナインボールの足に小爆発を起こす。ダメージはほぼ0だが、初めて受ける魔法にほんのわずか戸惑った

「あんたはそうやって、[秩序]ばかり追いかけてるわね。でもね、私たちには、それだけじゃ計れないことが多すぎるのよ!」

吐き捨てるように、食堂から出ようとするルイズ。行き先は恐らく決闘の場所

『女中。相手は彼女よりも強いのか?』
「……はい。ギーシュ様はドットクラスですけれども、とてもお強いと聞いています」
『なるほど』

その言葉を聞いて、ナインボールはルイズの後についていく
思考機関に何らかのバグのようなものを感じたが、修正の必要は無いとしてそのまま片付けることにした


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