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ヴァナ・ディールの使い魔-01


「いちち…ここ、何処だ?」

土煙が晴れて視界が開けたのを確認すると、プリッシュは手で頭を押さえがら周りをキョロキョロと見回した。
すると、魔道士らしき格好をした少年少女たちが自分たちを取り囲むように立っているのが目に入る。

(人…?俺とシャントットのオバさん以外に人がいるなんて…それに何か俺たちを見てびびってるみたいだし)

彼らのほぼ全員が自分たちに対して怯えの表情を見せているようであった。
その表情を見てプリッシュは一瞬眉を顰めたが、一先ず直前の出来事を思い出してみる。

(ええと…、確か俺とオバさんはいきなり現れた鏡の調査をしていて、俺がその鏡に触れようとしたら急にピカーって光った後、物凄い力で引きずり込まれて、それで…)

「ここへ出た、ということですわね」

突如背後から聞こえた声にプリッシュは思わずおののいた。
恐る恐る振り返ると、シャントットが目を半開きにしながらこちらを睨み付けている。

「オバ…じゃなくて、博士!?」
「プリッシュ!軽率な行動は慎みなさいと口が酸っぱくなるまで申し上げましたというのに、あなたという子は…」
「まー、まー、こうして二人とも無事なんだし、別にいいじゃねぇか!」

プリッシュが明るくそう言うと、シャントットは呆れたような顔で見つめる。
この見た目は小さな子供と変わらないシャントットは彼女たちがいたヴァナ・ディールという世界において、知る人ぞ知る伝説的存在であった。
どのくらい凄いかと言えば、下手すると彼女の機嫌一つでその辺一体が焼け野原になりかねないくらいである。
シャントットの恐ろしさを理解しているプリッシュは口では軽く言っていても、内心は冷や冷やであった。

「…どうやら言って利かないあなたには何かしらお仕置きを与えるべきなのでしょうね。精神的にも肉体的にも!」
「ひぎぃっ!?」

プリッシュは思わず頭を抱えて、その場にしゃがみ込んだ。
その様子を見てシャントットはやれやれと肩をすくめる。

「…ところで、そこの頭の寂しい殿方。わたくしたちに杖を向けるなんて、紳士の淑女に対する行動とはとても思えませんわね」
「!!」

シャントットの背後で何者かが彼女の言葉に反応する。
そこには、男がシャントットへ杖を向けながら周囲の少年少女たちを庇うように立っていた。
禿げ上がって地肌を露わにした頭頂部に多量の汗を滲ませながら男は二人を睨みつけている。
シャントットはゆっくり振り返ると、男に尋ねた。

「わたくしたちに何か御用でも?」
「エルフ…!私の生徒たちには指一本触れさせない!」

男は敵意むき出しに答えた。
プリッシュが反論する。

「ハァ?おっさん、何言ってんだ?別に俺たち何もしてねえだろ?何かする気もねえし!」
「…すまないが、エルフの言うことを簡単に信用することは出来ない」

男は二人へと杖を向けたまま答える。
杖を向けているとは言っても、あくまで牽制だけで、攻撃を仕掛けようという素振りはまだ見せてはいない。
しかし、こちらが何か不審な行動を見せれば、すぐにでも男は攻撃に移るだろう。
シャントットは一度ため息を吐くと、またも肩をすくめてみせた。

「やれやれ…こちらの言葉を聞こうともしないだなんて、とんだ野蛮人ですのね」
「…人間に友好的なエルフなど見たことが無いのです。警戒するのは当然でしょう?」
「あらまあ!もしかして偏見と先入観だけでわたくしたちに杖を向けていますの?」
「生徒たちに何かあってからでは遅いのです…!」
「生徒を守ろうとするその殊勝な態度は教師としては立派ですわ。ですが、わたくしに杖を向けてただで済むとお思いでしたら、それは間違いですわよ」

シャントットはそう言った後に「オホホホホ!」と高笑いする。
男は彼女の笑い声に寒気を感じると、思わず振り返り彼の生徒たちへ叫んだ。

「早く学院の中へ入りなさい!ここに居ては危険だ!」

男の言葉に従い、彼らは一斉に大きな建物の中へと走って行った。
シャントットは男に声を掛ける。

「あなたもお逃げになったら如何ですの?今なら見逃してさしあげてもよろしいのですけれども」
「…生徒を守るのが教師の使命です」

男はそう言って改めてシャントットへ向き直ると、杖を構えた。
それを見て、シャントットは何処からか身の丈程ある杖を取り出す。

「よござんす!再びわたくしに杖を向けるその勇気に免じて、一瞬で終わらせてさしあげますわ!」

小さな体から放たれる圧倒的な覇気に、男は体の震えを隠せなかった。
思わず、その場からみっともなく逃げ去りたい衝動に駆られる。
しかし、この命に代えても生徒たちを守りたいという思いが彼の足をその場に踏み留めていた。
そこにはまるで戦場さながらの空気が蔓延していた。

「ちょっとアンタ!」

突如、甲高い声が辺りに響いた。
桃色髪の少女が前へ出て来る。
彼女は何やら怒っているような顔でシャントットたちを睨み付けていた。

「み、ミス・ヴァリエール!?」

男は青ざめた顔で桃色髪の少女を呼び止めた。
しかし、彼女は止まらない。

「止めなさい!これは命令よ!」
「……」

シャントットは無言のまま横目でチラッと桃色髪の少女の顔を見た。
その後ろでは、プリッシュが「やっべー」と呟き、ゆっくりと後ずさっている。
男が必死の形相で桃色髪の少女に声を掛けた。

「ミス・ヴァリエール!下がりなさい!相手はエルフなんですよ!?」
「でも、私が喚び出したのだから、私の使い魔なんですよね?それならば主人である私が止めます!」

何処から出てくる自信なのか、桃色髪の少女はそうきっぱりと言い切る。
男の制止を聞かずに桃色髪の少女はシャントットの真正面に立つと、腕を組みながら言った。

「もう一度言うわ。止めなさい!」

男はますます青ざめ、プリッシュも開いた口が塞がらないといった表情で桃色髪の少女を見つめていた。
シャントットは無言で杖を構えている。
辺りにただならぬ緊張が走った。

「…興が削がれましたわ。闘争の空気ではございませんわね」

暫しの静寂の後、ようやくシャントットが口を開く。
手にした杖を仕舞い、背を向けた。
男は桃色髪の少女が無事に済んだことにホッとして、ついその場にへたり込んでしまった。
シャントットと対峙していた時間さえ、彼は生きた心地がしていなかったのだ。
自分の生徒が無謀にも彼女と対峙していた時間は、正に生き地獄であった。
そんな彼の苦労をつゆ知らず、桃色髪の少女は尊大な態度を崩さない。

「フン、分かればそれでいいのよ」
「おい、そこのちんちくりん!」

これ以上、シャントットを刺激すれば、何が起こるか分からない。
プリッシュは思わず桃色髪の少女へ声を掛けた。
桃色髪の少女はプリッシュの言葉に脊髄反射で反応する。

「だ、誰がちんちくりんよ!アンタだって私とそんな変わらないじゃない!…胸とか」
「胸のことは言うんじゃねえ!って、んなことはどうでも良くて…これ以上、オバさんに何か言うのは止めろよ!こっちの寿命が縮むだろ!」
「何よ!?いくらエルフでも、こんなチビがそんな凄いわけないじゃないの!」
「見た目で判断すんのかよ!?それにオバさんはエルフじゃねぇっての!」
「なら余計によ!エルフでも何でもないこんなチビを恐れる必要なんて無いわ!」

桃色髪の少女はそう言い切ると、腕を組んでシャントットを見下ろす。
シャントットは顔だけゆっくり振り向くと、桃色髪の少女とプリッシュを交互に見やった。
そして、重々しく口を開く。

「色々言いたいことはありますが…まずはプリッシュ!」

シャントットに名前を呼ばれ、プリッシュは思わず背筋を伸ばす。

「あなた、どさくさに紛れてわたくしのこと『オバさん』と何度も呼びましたわね?」
「あっ!」

プリッシュは一気に血の気が引いた。
シャントットは次に桃色髪の少女へ視線を移す。

「そして、そこのあなた!」
「何よ!?」
「わたくしも鬼ではありません。無知な者が無知であるが故に愚かなことを口走っても、いちいち気になどしませんわ。でも…」

シャントットは先程仕舞った杖を再び取り出した。

「それでも我慢の限界ってものはありますの…わたくし、ブチ切れますわよ!?」
「うわあああああああ!!」

プリッシュの悲痛な叫びが辺りにこだました。

数分後、プリッシュの必死の謝罪と説得により、シャントットは杖を仕舞った。
プリッシュはシャントットを止める間、まるで生きた心地がしなかった。
彼女が止めなければ、ブチ切れたシャントットがこの辺一帯を破壊し尽くすのに1分も掛からなかったであろう。
頭頂部の禿げ上がった男にはプリッシュの苦労が伝わったようで、彼女に同情と尊敬の眼差しを向けているが、桃色髪の少女は相変わらず冷めた目を二人に向けていた。
肩で息をしながらプリッシュは桃色髪の少女を見つめる。

(ゼー、ゼー…ったく、あのちんちくりん、いくらオバさんを知らねぇからって何つーこと言ってんだよ!そんでもって、まだあの態度!よっぽどの大物か大馬鹿野郎だぜ!)

プリッシュは額の汗を拭いながら心の中で桃色髪の少女に対し、悪態を吐く。
シャントットは納得はしていないという顔はしつつも、怒りの矛は何とか収めたようであった。

トリステイン魔法学院崩壊の危機はここに去った。

男は何とか気を取り直すと、シャントットとはなるべく目を合わさないようにしながら、プリッシュの方へ話し掛けた。

「…先程君が言っていたことだが、君たちはエルフでは無いのか?」
「ああ、俺はエルヴァーンだし、オバ…博士はタルタルって言う種族なんだ」
「エルヴァーン…タルタル…」

男はそれらの単語を口の中で繰り返す。
プリッシュの言葉に、男はまだ半信半疑のようであった。
だが、先程のプリッシュがシャントットを必死に止めようとする姿を思い出すとローブの中に杖を仕舞った。

「…先程までの無礼の数々を謝罪します」
「おっ?ようやく分かってくれたか!?」
「いえ、まだ警戒を完全に解いたわけではありません。ただ、対話する余地がまだあると判断しました」

男は口ではそう言いつつも、先程までの敵意は完全に失せていた。
どうやら、敵対の意志は無いようである。
プリッシュは取り敢えずホッと一息吐いた。

「まあ、要するにやり合う気はねぇってことだろ?取り敢えず一歩前進!ってわけだな!あんがとよ、おっさん!」
「おっさ…!オッホン、私はコルベール。ジャン・コルベールと言います」
「そっか!俺様はプリッシュ!それでこっちはシャントット博士。よろしくなコルベールのおっさん!」
「…まあ、いいでしょう」

コルベールと名乗った男はその呼び方で妥協したようであった。
プリッシュはコルベールに尋ねる。

「ところでコルベールのおっさん、ここって何処だ?」
「ここはハルケギニアのトリステイン魔法学院ですよ、ミス・プリッシュ」
「ハル…?トリ…ステ?」

プリッシュは頭の中に大きな?マークを浮かべた。
どちらも聞いたことの無い名前である。
思わずシャントットへ顔を向けて意見を求めるが、彼女も首を振って知らないというジェスチャーをした。
プリッシュは再びコルベールへ向き直り尋ねた。

「なあなあ、コスモス…もしくはカオスって分かるか?」

コルベールは少し考えた後、首を振ってから答えた。

「…すみません。心当たり無いですね」
「じゃ、じゃあさ、ヴァナ・ディールって名前は?」
「さあ…?聞いたことの無い名前ですね」

真顔でそう話すコルベールを見て、プリッシュはここが自分たちの知る世界では無いのではないかと思い始めていた。
よくよく周りを見渡すと、自分たちがよく知るヴァナ・ディールとも二柱の神々が終わらない闘争を繰り返すあの世界とも何処となく雰囲気が違うことに気付く。

「…どうやら、わたくしたちは異世界へ来てしまったみたいですわね」

シャントットはプリッシュにだけ聞こえるように言った。

異世界。

その言葉にプリッシュは戸惑いや不安よりも、好奇心を疼かせていた。
二柱の神々が終わりなき闘争を繰り返す世界でも、自らの主であるコスモス護衛の任務をほっぽりだして『冒険』をしていた彼女である。
異世界ともなれば、余計に『冒険』へと出掛けたくなる。

「プリッシュ。勝手な行動を取ったらお仕置きですわよ?」
「ギクッ!」

そんなプリッシュの表情を見て取ったシャントットが釘を刺す。
プリッシュが思わず引きつった笑いを浮かべると、シャントットはやれやれと肩をすくめた。

「…ここが何処かも問題ですけれども、それと同じくらい問題なのは、わたくしたちが何故ここへ呼び出されたか?ですわ」

そう言ってシャントットがコルベールを一瞥すると、彼の広いおでこは一瞬の内に汗で濡れてしまった。

「じ、実は我々はつい先程まで使い魔召喚の儀を行っていたところでして、ミス・プリッシュとミス・シャントットはそこのミス・ヴァリエールに喚び出されたのです」
コルベールは汗を拭いながら、桃色髪の少女へと視線を向けた。
シャントットは桃色髪の少女を一瞥した後、コルベールに再び尋ねる。

「召喚?何の為に?」
「ここトリステイン魔法学院では2年の進級時に試験として使い魔を得なければならないのです」
「愚の骨頂と言わざるを得ない儀式ですわね。何が喚ばれるか分からないような危険なことを生徒にさせる。教育者にあるまじき行いですわ」
「そ、それは…。お言葉ですが、今までも喚び出された使い魔は例外なく主に危害を加えることはありませんでしたもので…」
「あら?先程わたくしたちに杖を向けたのは何処のどなただったかしら?」
「うっ…!」

コルベールは何も言い返せず、がっくりと項垂れた。
二人の会話を聞いていたプリッシュは思わず口を挟む。

「使い魔…って、もしかして俺たちのことか!?」
「そうよ。本当はドラゴンとかグリフォンとかそっちの方が良かったけど、この際アンタたちで我慢してあげる。エルフは流石にアレだけど、亜人なら亜人で珍しい使い魔だしね」

プリッシュの問いに桃色髪の少女が尊大な態度で答えた。
彼女の物言いに、プリッシュも流石にカチンと来る。

「お前、何かムカつくなー。大体、俺たちはお前の使い魔になるだなんて一言も言ってねぇぞ!なる気もねぇしな!」
「な、何ですって!!」

プリッシュの言葉に桃色髪の少女は激昂する。
使い魔とは喚び出された時点で、無条件に主に従うものだと思っていただけに、拒否の意を示されるのは彼女にとっては許し難いことであった。
しかし、ここで意外な人物が桃色髪の少女を後押しする。

「プリッシュ。あなた、その娘の使い魔におなりなさい」

発言の主はシャントットであった。
思いもよらぬアシストにプリッシュは愕然とする。

「ええ!?何でだよオバ…博士!」
「あら?だって、面白そうじゃない。それにわたくしたちを喚び出したこの世界の魔法に興味が湧きましたの」
「だからって…」
「プリッシュ!先程からの失言、わたくしは許したわけではありませんのよ?」
「…わーったよぉ」

プリッシュは観念した。
シャントットの機嫌を損ねるよりは、不服でも桃色髪の少女の使い魔になる方がマシだと判断する。

「…ったく、分かればいいのよ分かれば」

そんなプリッシュの考えを理解する筈も無く、桃色髪の少女は仕方が無いといった感じで言った。
プリッシュは彼女に、何処となくシャントットに似たものを感じていた。

「そういや、お前の名前、まだ聞いてなかったっけ?」
「フン、どうせ使い魔になるんだから御主人様って呼びなさいよ」
「オホン、ミス・ヴァリエール」

コルベールが咳払いをして桃色髪の少女を諌めると、彼女は渋々答えた。

「ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールよ」
「そっか!じゃあ、ルイズ!これからよろしくな!」

プリッシュが握手しようと差し出した手を、ルイズと名乗った少女は取ろうともしなかった。
プリッシュは仕方なく手を引っ込める。

「…で、俺はどうすりゃいいんだ?」
「ちょっと顔をこっちに近付けなさい」

ルイズにそう言われ、プリッシュが身を少し屈めて彼女の顔へ近付くと、彼女は何やら呪文を唱えていた。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール…五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我が使い魔となせ」

チュッ。

一瞬、プリッシュは何をされたのか分からなかったが、それが口づけだと気付いた瞬間、思わず飛びのいて服の袖口で口を拭った。

「ちょっ!?な、何しやがる!?」
「うるさいわね!私だって嫌よ!でも、仕方ないでしょ?これが契約の方法なんだから!それに一応アンタ女でしょ?ならいいじゃない!」

それは自分に言い聞かせているようでもあった。

「あらまあ、今時キスが契約の条件なんて…ロマンチックですけど前時代的なやり方ですわね」
「全然ロマンチックじゃねぇ!!」

ニヤニヤとこっちを見ているシャントットに向かって声高にそう叫ぶと、プリッシュの左手が突然光りだし、同時に激痛が走った。

「いってぇええええええ!!!」

プリッシュは思わず左手を押さえた。

「何じゃこりゃあ!?」
「使い魔のルーンが刻まれているのよ。すぐに治まるからみっともない声出さないの!」
「出さないの!って、すっげぇ痛いぞこれ!」

ルイズの言った通り、左手の痛みはすぐに治まった。
プリッシュは恐る恐る左手を見ると、変な文字が刻まれている。

「これは…?」
「ほう、珍しいルーンだ。ミス・プリッシュ、ちょっとスケッチさせて貰ってもいいかね?」
「別に構わねぇけどよぉ…」

何時の間にか紙とペンを持って側に立っていたコルベールはプリッシュの左手に書かれた文字をさっと持っていた紙に書き写す。

「ふむ、有難う」
「なあ、コルベールのおっさん、これ何だよ?」
「先程ミス・ヴァリエールが言った通り、使い魔のルーンだよ。もっともこの形のルーンは珍しいがね」
「フーン、俺たちが別世界の住人だからかな?」
「?何か言いましたか、ミス・プリッシュ?」
「あ、いや、別に何でもねぇ」

コルベールが尋ねると、プリッシュは慌てて誤魔化した。
(俺とオバ…博士が異世界の者だってことはあまり言わねぇ方がいいかもな…言ったところで信じないと思うけど)
元々、コスモスに召喚されたことで異世界の存在を知ったプリッシュやシャントットとは違い、この世界の住人に異世界という概念は無いのかも知れない。
それならば余計なことを言って変に混乱させたりするのは得策ではないと彼女なりに思った。
(コスモス大丈夫かなあ…まあ、アイツがいれば大丈夫か)
カオスの神殿で見つけた、光り輝く戦士。
コスモスの元でその剣を振るう彼がいれば、自分たちがいなくても彼女を守ることは可能であろう。
とは言え、あまりほったらかしにするのも良くは無い。
(とっととコスモスのところに戻って、カオスとの戦いをちゃっちゃと終わらせて、そんで早く元の世界へ戻りたいぜ…その為には)
プリッシュは新たに自分の主となった少女を見た。
(ハァ、この先どうなるんだろ…?)
思わずため息を吐くプリッシュを余所に左手のルーンは堂々とその存在を主張していた。


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