あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

Maximusな使い魔 第02話


「つまり…俺はその使い魔ってやつになっちまった訳か」

マキシマはクーラーボックスからアイスを一つ取り出し、シャリシャリと食べな
がら、ベッドの上でグッタリとしているルイズに問いかける。
「えぇ…残念ながら拒否権なんてないわよ?第一、帰る方法なんてないもの」
マキシマは固まってしまう。
首だけをルイズに向け、さらに問いかける。

「まってくれ。こっちにこれたってことは、あっちに帰る方法だってあるんだろう?」
「そんな方法ないわよ。そんな話聞いたことがないし」
なおも諦められないマキシマは、質問を止めない。
「嬢ちゃんが知らないだけで、送り返す方法があるかもしれないだろ?」
「だから無いんだって」
またもや即答されてしまう。

どうやら「帰る方法が見つかるまで」というのは、だいぶ先になってしまいそうだ。
「そんな方法を私は知らないし、先生達だって知らないと思う。まぁ、探すくらいなら手伝ってあげてもいいけど」

『使い魔が勝手に帰ってしまった』ということなら、サモン・サーヴァントの
やり直しの許可がもらえるかもしれないと思ったルイズは、マキシマが元の居場所に帰る
方法を探すことを、快く引き受けてくれた。

「でも、それまでの衣食住は誰が面倒を見ると思っているのかしら?」
その気になれば、彼ならこの世界でも余裕で暮らせるはずだが、彼自身も帰る方法を探すのに
専念したいし、学院ともなれば、情報の量も他とは比べるまでも無いだろうと考える。

「アンタの面倒を見るのは私なのよ?まさか平民が無償で貴族を働かせるつもり?」
その言葉に、マキシマはガックリとうな垂れる。
「ハァ…。それで、その使い魔ってのは何をやればいいんだ?」
その言葉に、ルイズは待ってましたと言わんばかりにふんぞり返る。

「まず一つ!使い魔は主人の目となり耳となる!」
ルイズがマキシマに向けてビシッと人差し指を立てる。
「そいつはつまり。俺が見たものや聞いたものを嬢ちゃんに伝えりゃあ
いいのか?」
「いいえ?ことば通りの意味よ。使い魔の見たものは主人である私にも見えるし
使い魔が聞いたものも聞こえる」
その言葉に、マキシマは眉をひそめる。

「つまり…なんだ。俺にはプライベートは無いと?」
「…安心しなさい。試してみたけど、なんにも見えないし、聞こえなかった」
そう言うルイズの声は、若干落ち込んだものだった。
「何でかしら?やっぱり魔力の無い平民じゃだめなのかなぁ…」

ルイズは首をブンブンと振って、今度は人差し指と中指突き立ててくる。
「二つ!使い魔は主人の望むものを見つけてくる!」
マキシマが 例えば何だ? と当然の疑問を投げかける。
「秘薬の材料になる物よ。例えば、硫黄やコケ、それから宝石とかね…でもアンタ、そんな物持ってこられないわよね。
この国の地理にも疎いみたいだし…」
「そうだな」
彼なら、データや地図があれば何とかなるだろうが、生憎ルイズは彼を「ちょっと体格のいい平民」くらいに
しか思ってないので諦める。

さらにルイズは落ち込む。
「それで一番重要なのが…」
ルイズはもう、マキシマに指を突きつける元気も無いようだ。
感情の起伏がずいぶんと激しい主人らしい。
「おい。一番重要なのは、何なんだ?」
枕に顔をぼふっと埋めながら
「主人を敵から守ること…でもアンタ、平民だし……無理でしょうね…」
ルイズは不貞腐れたように続けた。

『平民は貴族に勝つことは出来ない』と子供のときからずっとそう思っていた彼女にとっても、平民と
貴族の間を隔てる壁はとても高く、崩すことの出来ないものだと思っていた。
だから、彼の言った言葉が、すぐには理解出来なかった。

「なんだ。一番重要なんていうから、なんだと思ってみれば。そんな簡単なことでいいのか?」
「は?」
このモミアゲは一体何を言っているんだ? と言う目で彼を見ていると
「ようするに、嬢ちゃんが敵に襲われたりしたら、俺が相手をしてやればいいってことだろう?」

そんなこと。あの二人の世話をすることにに比べれば、なんてことは無い。
と、そんな事を思ってるマキシマに対し
「…ああ。アンタのいた所って、メイジがいないんだっけ」
そう呆れるルイズ。
魔法がどんなものなのかを知らない彼が、自信過剰になっているものだと思い込んだ。


「いい?平民じゃ、メイジには絶対に勝てないの。魔法が使えるって事は、それだけ差があるって事なのよ?」
「俺がいた所にも、魔法みたいな力を持った奴等が腐るほどいたんだがな」
その言葉に、ルイズはキョトンっとした顔をした。
「そういえば、アンタって何処から来たのよ。トリステインを知らないなんて、冗談なんでしょ?」
ルイズが頭に浮かんだ疑問を率直に投げかける。
使い魔のことに関して、何も聞いていなかったから当然と言えば当然だ。
「あー…。そのことなんだがな。」
「何よ」
言いよどむ彼に、ルイズは眉をひそめる。
「どうやら、俺は別の世界から呼び出されたらしい」
「…そう」
「あぁ。どうもそうらしい」
ルイズがベッドから降り、引出しの方に歩いていき、何かを取り出す。
辺りに、何かよくない空気が広がっていく。

「アンタ…。私のことを馬鹿にしているのね?」
そう言うルイズの手にあるのは、どうやら乗馬用の鞭だった。
「おいおい…。別に馬鹿になんかしてないぜ?本当のことだ」
「そんな馬鹿げた話に騙されると思ったの!!?このアホゴリラ!!」
ルイズの振るった鞭を右手で掴んで、マキシマは彼女をなだめる。
「落ち着きなって。あとゴリラは無いだろう!?」


――――――――――――――――――――――――

ルイズが落ち着きを取り戻した頃、ようやく話が前進した。

「ふ~ん…。で?何か証拠になるような物は無いの?」
まだ半信半疑なルイズが、証拠の提示を要求してくる。
マキシマは「そうだな…」と、少し考える。
何が一番信用に値する物か…。
「さっき乗ってきたバイクなんてどうだ?こっちには無いものなんだろう?」
その問いにルイズはう~ん…。と考え込む。
何せルイズにはディテクトマジックが使えない。

何かしらのマジックアイテムなのでは無いのか?という
ルイズの反応は必然であった。
「ガソリンを燃料に動いてるんだが…。そういやぁこっちにはガソリンはあるのか?」
「がそりん?何?それ」
このルイズの反応に、マキシマはため息を吐く。

どうやらこちらでの燃料の補給は期待できそうに無い。
なるべくバイクは使わないようにしなければ…。

バイクでこの反応となると、他の物もあまり証拠になりそうにない。
どうしたものか…。と考えつつ、クーラーボックスのアイスに手を伸ばす。
「ねぇ。さっきから何を食べてるのよアンタ」

なんということだ…。こっちにはアイスも無いらしい。
「なんてこった…。この世界は地獄か…?」
甘党の彼には、それは大げさなことではなかった。
いや。他人から見たら大げさなのだろうが…。
この世界には、他にも甘いものがあるだろうが、それとこれとは話が別だ。

少し。いや、かなり落ち込んだ彼の目に、瞳をキラキラと輝かせるルイズの顔が映る。


「ねぇ…。それ、一個ちょーだい?」
ルイズが、小さい子供のように、クーラーボックスを指差す。
(まるでうちのお姫様みたいだな)
そう思いつつ、アイスキャンディーを一つルイズに差し出す。
ルイズが包装のビニールに手間取っているのを微笑みながら見ている。

はたから見たら、まるで親子のようだっただろう。

やっとのおもいでビニールを剥がし、シャリッと一口かじる。
ひんやりとしたアイスの冷たさと甘さが、ルイズの口の中に広がる。

「何これ!!凄くおいしいじゃない!!」
どうやら気に入ったようだ。
クーラーボックスを閉めて。部屋の端に置く。
大量にドライアイスが入っているので、明日まではもつだろう。

「これも俺がいたところの菓子だ」
「う~ん。こんなお菓子聞いたことも食べたこともないわ…でも、う~ん…」

なおも納得がいかないらしいルイズだが、少しずつ信じてきてはいるらしい。

「信じてくれるなら、もう一本譲ってもいいんだが…」
「信じる!」

つくづくうちのお姫様みたいだ。

そういえばあいつらは大丈夫だろうか…。
クーラにはダイアナたちがいるから、まぁ平気かもしれんが…。
問題は相棒である。
金は地下金庫にあるとはいえ、心配である。
主に生活面で。

実に信用の無い元主人公であった。

そんな彼らの母のような事を考えていると、アイスを食べ終わったルイズがベッドに戻る。
「今日はもう疲れたから寝るわ…」
そう言って服を脱ぎだす。
どうやらマキシマは男と思われていないようだ。
その事にマキシマは今日何度目になるか分からないため息を吐く。
そしてあることに気が付いた。

「おい、俺は何処で寝ればいいんだ?」
ルイズがマキシマの足元を指差す。
その先にあるのは当然床だ。
「冗談だろ?」
「あら?気に入らなかったかしら、廊下でもいいわよ?」
マキシマが「やれやれ…」と丸太のような首を振り
せめて毛布くらいよこしてくれ、というと
当然と言えば当然だが、マキシマの体には不釣合いな毛布と、おまけで
下着が投げ渡される。
「明日洗濯しといて。それと朝になったら起こしなさい」

そういうと布団をかぶってしまった。
しかたがないので、壁に背を預け、膝の上に毛布を掛けて目を閉じる。


「ねぇ。そういえばあんたの名前を聞いてなかったわね」

「………マキシマだ」

「………変な名前…」

「ほっとけ」
ルイズは、今日あった事を思い出していた。

「ねぇ。マキシマ」

「何だ?」

「アンタの考える貴族って何?」

「…………納豆を食わないやつのことだな…」

「ナットウって何?」

「腐った豆だ」
そう答えた途端、枕が飛んできた。
「そんなもの平民だって食べないわよ!馬鹿ゴリラ!」

そういって、ルイズはぷいっと背中を向けてしまった。

「…………その枕、使っていいわよ。…感謝しなさい……」

「…そいつはどうも」
枕を背中の後ろにいれ、クッションにする。
案外やさしい子なのかもしれないな。


そう思いながら、窓からのぞく二つの月を眺めた。





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