あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

手札0の使い魔-01


トリステイン魔法学院。
そこの中庭からはしばらく前から爆音が絶えなかった。
「宇宙の(ry」
呪文を唱え終わると再び起こる爆発。
原因は叫ぶように呪文を唱えて続けていたためか肩で息をしている少女だった。
「おいまたかよ、これで何度目だ」
「十回目からは誰も数えてないよ」
「いい加減にしろよゼロのルイズ!」
ルイズと呼ばれた少女は何も言わず息を整えると、杖を掲げもう一度呪文を唱え
ようとした。
「ミス・ヴァリエール」
しかし横から頭の可哀想な(頭皮的な意味で)中年の男がそれを止めた。
「授業時間がおしてきましたので、また次の機会にでも…」
「そ、そんな!…ミスタ・コルベール、あ、あと一度だけ、一度だけお願いしま
す!」
コルベールと呼ばれた男は少し考えるような顔をしてそれから「一度だけですよ
」と念をおして数歩下がった。
ルイズは深呼吸すると、厳しい目付きで呪文を唱えた。



今までよりも格段に大きい爆発が起こった。
ルイズは失敗したと思い膝をつきかける。
が、しかし、土煙の中に何かの影が見えた。
爆心地にいたのはボロボロのコートを纏って倒れている男だった。
「おい、あれ…」
「平民、だよな」
「…ハハハ!ゼロのルイズが平民を召喚したぞ!」
ルイズはしばらく呆然としていたが、ハッと我に帰ったようにコルベールに詰め
寄った。
「ミスタ・コルベール!やり直しをさせてください!」
「なりません」
「そんな!どうしてですか!」
「このサモン・サーウ゛ァントは生涯のパートナーを決める神聖な儀式です。一
度呼び出したものには責任を持たねばなりません。さあ、早くコントラクト・サ
ーウ゛ァントを」
「うぅ…」
未だに腑に落ちない表情のルイズだが、意を決したのかコントラクト・サーウ゛
ァントのルーンを唱え始めた。
そしてゆっくりと唇を重ねる。
男が小さく呻き声を上げると、その左手に微かに光るルーンが刻まれた。
「ふむ…どうやら成功の様ですね。では皆さん、教室に戻りますよ」
コルベールがそう言うと生徒達は各々杖を振り空へと飛び上がった。
「ルイズ、お前は歩いてこいよ!」
「空も飛べないゼロのルイズ!」
と、ルイズを貶しながら離れていった。
「~~~!」
ルイズはその場で地団駄踏みそうになるのを堪える。「さて、目も覚まさぬ様で
すし学院の医務室に運びましょう」
コルベールにそう言われて忌々しげに自分の召喚した男を見やる。
その顔には余計な手間を、と書いてあるような表情だった。
実際に運ぶのはコルベールの役目だったが。

* * * *


コルベールは今日の授業は使い魔との交流にあてると言い教室から去った。
生徒達が広場へ向かっていくなかルイズは医務室へ足を進めた。
「別段外傷は見られないので恐らくは召喚のショックで気絶しているのでしょう
。何分人間が召喚されるなど他に類を見ない状況どすからな」
コルベールはこう言うと男の左手に刻まれたルーンをスケッチして医務室を出て
いった。
ルイズは召喚された男の顔を見る。
顔の作りは悪くない。黄色い刺青の様なものがあるが、それを除いても整ってい
る顔である。
(でも平民じゃ役に立たないじゃない)

しばらくして男が目を覚ました。
ベッドから上半身を起こすとキョロキョロと辺りを見回す。
「ここは…」
男は見覚えのない場所に困惑しているようだ。
「やっと起きたのね」
側に座っていたルイズは起き上がった男に対して、立ち上がり腰に手を当てて尊
大に言った。
「…誰だ?」
「人に名前を聞くときはまず自分から名乗るものじゃないかしら」
「あ、ああ…俺は鬼柳京介」
「キリューキョースケ?変な名前ね。まあいいわ」
ルイズは仁王立ちから腕を組み、自らの名前を名乗った。
「で、ルイズ。俺は何でこんなところにいるんだ?」「…平民がメイジを呼び捨
てなんていい度胸ね」
「メイジ?何だそれは」
「はぁ?メイジも知らないの?とんだ田舎者ね」
ルイズは盛大に溜め息を吐くと長々と説明しだした。
曰くメイジが何であるか、貴族が何であるか、そして使い魔が何であるか。

話が終わる頃には既に日は沈んでいた。
「分かった?つまり私はあんたの御主人様。あんたは私の僕よ」
鬼柳はしばらく黙っていたが話が終わるとゆっくりと口を開いた。
「…つまり、俺はもう一生元の場所に帰ることが出来ずに、あんたの下で働かな
くちゃならないわけか?」
淡々と言う鬼柳に少し怯むルイズ。これで鬼柳が文句の一つでも言えば食ってか
かったかもしれないが、冷静に聞き返され、さらには一生帰れないなどという言
葉を聞かされて、ルイズも幾分かばつがわるくなってしまった。
「な、なにも一生なんてことはないわよ?里帰りくらいさせてあげるわ」
「…いや、どうやらそれは無理の様だ」
鬼柳は窓の外を見ながら言った。

* * * *


鬼柳は既に気付いていた。
ここが自分の知らない世界であると。

突然目の前に現れた鏡、聞き覚えのない言葉、極めつけに窓の外には赤と青に輝
く双月。
不思議と混乱はしていなかった。
シグナーとダークシグナーとの戦いという、知らない人が聞けば荒唐無稽な事に
当事者として関わっていたからかもしれない。

次に考えるのはクラッシュタウン…改めサティスファクションタウンのことであ
る。
街の再建も順調に進み、復興作業の途中で突然目の前に現れた鏡に吸い込まれて
気が付いたらベッドの上にいた。
鬼柳の頭にニコとウェストの顔が思い浮かぶ。
今やあの街は昔の様な死の街ではない。しかし、心配なものは心配だ。自分を慕
ってくれる二人に何も告げずに消えるなどあり得ない。
鬼柳の心は決まっていた。もとの世界に帰ると。

しかし、鬼柳はまた、ルイズがそう簡単に帰還を許してくれそうにない性格であ
ることも、先程の説明で分かってしまった。
そもそも異世界から来たなんて言っても信じてくれるかどうかすら怪しい。この
ことはひた隠しにすることにした。
「ちょっと聞いてるの!?何か言いなさいよ!」
はっと我に帰り慌てて取り繕う。
「いや、知らない地名ばかりだったんでな。恐らく俺の住んでいたところとは相
当離れているんだろう」
嘘は言っていない。その離れているというのが距離とかいう次元ではないが。
「そ、そう…」
どうやってルイズに認めさせようか鬼柳は考えたが、ふと、そもそも帰る方法を
知らないことに気付いた。さっきの説明から、自分がサモン・サーヴァントとい
う魔法で呼び出されたことは聞いた。
そして、「平民なんて使い魔にしても役に立ちそうもないけど」という言葉も一
応耳に入っていた。
つまり、鬼柳に不満を持っていたにも関わらずやり直さなかったと言うことだ。
鬼柳はそこまで思考を展開させる。しかし、これくらい直ぐに頭が回らないとプ
レイミスをしてしまうので決闘者として当然と鬼柳は思っているが、仮に苦労が
召喚されてもここまで考えが及ばないだろう。

閑話休題。
鬼柳としては一生ルイズに仕える気は勿論ない。
しかし、自分はここでは何の特権も持たない平民である。帰るための情報を得る
にも何も出来ない。
鬼柳は取り敢えずルイズの使い魔となることにした。

「と、当然じゃない!使い魔にならないなんて選択肢はないわよ!もう動けるな
ら行くわよ!」
そう言ってルイズはマントを翻し、鬼柳はコートを来て医務室を出た。


新着情報

取得中です。