あの作品のキャラがルイズに召喚されました @ ウィキ

計算外な使い魔-01


ここは地球とも、世界樹と「魔」が飛来したとある星とも異なる世界ハルケギニア。そして、その中の王国の一つであるトリステインに存在する魔法学院。
その名の通り、魔法を扱う者――――メイジたちの学院であるここでは今、メイジがその生涯を共にする存在である使い魔を召喚する、召喚の儀が行われていた。

「また失敗かよ!いい加減諦めろって!」

――――数度目の失敗、そして起こる爆発。
既に幾度も繰り返された失敗を見飽きたか、誰かが野次を飛ばす。

この儀の監督者たる魔法学院の教師コルベールは、現在使い魔召喚の魔法……
サモン・サーヴァントの失敗を繰り返している少女が、この儀式に際しどれ程の努力をしてきたかを知っている。
知っているが故に続けさせてやりたいと思ってはいるのだが、教師という立場上それは許される事ではなく。

「ミス・ヴァリエール。そろそろ次の授業もありますし、終わりにしますよ」

次の授業までの時間が押している以上、彼女一人を贔屓するわけにも行かず、そう告げる。
それは、この少女……ルイズにとって、死刑の宣告のようなものであり。
今ここで使い魔を召喚出来なければ退学、良くて落第。
そのようなことになっては、自分はおろかこの国でも随一の貴族の家系であるヴァリエール家の名にも泥を塗る事になりかねない。

「もう一度、もう一度だけやらせてください!」

そう必死に縋る。今までの失敗の連続だ、次に唐突に成功するなどと言う奇跡が起こるとは考えにくいし、ルイズ自身もそれは分かっている――――が。
それでも、一筋でも光明があるなら行う。何もしなければ、正真正銘成功の可能性は"ゼロ"だ。

「……分かりました。それでは、次で最後です。始めなさい」

あと一回だけなら、と。
時間が押している以上は本来ならばもう切り上げるべきなのだが、それでもあと一回だけなら、と。
努力家の彼女に最後の機会を用意しても問題は無かろうと、コルベールはそう判断し告げる。

『宇宙の果てのどこかにいるわたしの下僕よ!』

『神聖で美しく、そして強力な使い魔よ!!』

『私は心より訴えるわ! 我が導きに答えなさい!!!』

……そして、再びの爆発。
最後の機も失敗に終わったか――――と、誰もが思った時。
周囲で見ていた生徒の誰かが、爆発で巻き起こる土煙の中に何かを見、叫んだ。

「ゼ、ゼロのルイズが召喚に成功した!?土煙の中に影が見えるぞ!!」

信じがたいものを見た、と言わんばかりの叫びを受け、その場にいた全員が土煙の中を凝視する。

其処に浮かぶのは、人型の影。
亜人か何かを召喚したのかと誰もがその正体を空想する中、ついに土煙が晴れる。
「――――なに、これ?」

人型の、影。
その正体は、亜人でも、はたまた平民やメイジ、人間ですらなく。
謎の材質の金属のようなものでできた、人型の「なにか」だった。

「人形、というのは考えにくいな。しかし生物にも見えない……ゴーレムか、動いていないが、ガーゴイルか?
 しかし、それにしては精巧すぎる……頭部はまるで人と区別が付かないし、それにこの身体の材質はなんだ?」

右側で括られた、夜空のような青みがかった紫色の髪。ゴーレムなどとは明らかに違う、人と見分けが付かないような顔。
顔を見る限りは、無機的な尖った赤い耳を除けば、それはまるで人のようで。
しかし、素材の分からない金属じみた装甲や露出している胴部の骨格、胸の部分にある赤い核の存在はあまりに人とはかけ離れた姿だった。

「ねぇ、あれって人じゃないわよね?
 ガーゴイルか何かの類かしら。それにしては随分と造りが細かいけど……」

「ガリアにも、あのようなものは存在しない……恐らく、未知の技術か、存在」

遠巻きに見ていた、赤と青の対照的な髪色、そして体型をした少女二人が言葉を交わす。
召喚された"それ"は、この場の誰もが知らない謎の存在だった。

「……っと、おめでとう、ミス・ヴァリエール。
 召喚されたその……彼女は動かないが、恐らくゴーレムやガーゴイルか何かの類だろう、契約があれば動くかもしれない。
 さあ、コントラクト・サーヴァントを行いたまえ」

身体はあくまで人型を取っているだけで人とも思えないが、かろうじて女性的と見る事ができる体型。
そして、人間の女性のような顔をしたその存在を"彼女"と指し、コルベールが召喚の儀の続行を促す。

「はい……分かりました」

召喚された"もの"の正体はよく分からない。だが、召喚に成功したのは紛れもない事実だ。
動かないのが不安だが、まずは使い魔の契約まで行ってから、と。
ルイズは、使い魔との契約の魔法――――コントラクト・サーヴァントを行う。

『我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール』

『五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ』

杖を召喚された"もの"の額へと当て、そのまま口付けを交わす。
唇を離し、数瞬の後。使い魔としての契約のルーンが、その左手に当たる部分に刻まれる。

「これは……見ないルーンだな。後で調べておこう」

他の使い魔に刻まれる者とは異なる、特異な形状のルーン。
何時の間に近づいたか、コルベールがその左手を間近で興味深そうに眺め、スケッチを取り始めると。
今まで動かなかった、その使い魔の瞳が開かれた。

「………起動、完了」

唐突に発せられた無機質な声に、その声が聞こえる範囲にいたルイズとコルベールは同時に使い魔の顔を見る。

「私は……オランピア。
 世界樹の指令により生まれた魔を狩るための機兵……だった」

オランピアと名乗る、その使い魔は。

「あなたの使い魔となる。それが、私の新たな役目……」

ルイズの方へと歩き目前で跪くと、冷たく、何処か抑揚のない声でそう告げた。

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「ええと、ミス……で良いのか分かりませんが。
 ミス・オランピア。その、機兵……というのが、貴女なのですか?」

唐突に口を開き、謎の言葉と名前を告げたオランピアに、コルベールが質問する。

「そう。私は、迷宮の奥に眠る、今は滅びた魔を討つ為に世界樹により生まれた機兵。
 深都では、私のような機兵を『アンドロ』と……そう呼んでいる」

先に述べた内容と同じような旨を、オランピアは答える。
しかし、質問をしたコルベール……否、この場にいるオランピア以外の誰もが、その説明では一切理解出来ない。

コルベールやそのそばで聞いていたルイズは、単語の意味は何も分からないまでも、
何かと敵対している存在が戦闘用に作り出した、意志を持ち動く魔法人形……ガーゴイルだろう、と大雑把に理解する。

「それで、"マ"っていう相手との戦いが理由で作られたけど、今は私の使い魔なのが役目、ってこと?」

およそ、今まで聞いた範囲で分かることから、そうルイズが確認する。

「そういうこと。
 海都の冒険者達によって魔は討たれ、役目を終え活動を停止していた私はあなたに召喚された。
 今は、この契約の証により貴女の使い魔としてあるのが私の役目」

"海都"と、またルイズ達にすれば意味の分からない単語……恐らく地名が出たが、
既に大雑把にしか理解の出来ない話である以上また一つ謎の単語が出たところで大して気にする事もなく。

世界樹より遙か離れた地だからか、使い魔のルーンの影響からか。
記憶は失われていないまでも、その使命は既に果たされた魔の撃破から、ルイズの使い魔として生きる事へと書き換えられていた。

「それでは……ミス・ヴァリエール。
 ミス・オランピアに使い魔としての仕事を伝えておいてください」

大きな疑念は残るが最低限の認識は行えたと判断したのか、コルベールはそうルイズへ告げ、周囲にいた生徒達に撤収を促す。

「おい、お前は歩いて帰れよ!」
「なんたって、"フライ"も"レビテーション"もまともに使えないんだからな!

次々に空中へと浮かんだ生徒達は、去り際にルイズへと罵声を残し、去っていく。

(人が、それもこの人数が空を飛んだ……? 占星術師の使うような、何かの術式の類?)

去りゆく生徒達を見、思案するオランピアと、冷静に罵声に対し無視を決め込むルイズ。
あのような中傷を受けようと、最早関係はない。
自分は、なんだかよく分からない存在だが使い魔の召喚に成功したのだ。もう、ゼロではない。ゼロとは呼ばせない。

「さあ、私たちも戻るわよ」

オランピアと名乗った、使い魔の少女?を連れて。
二人は、学院へと向かった。


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