時は、少し巻戻る
「…ふぅ」
舞踏会の音楽が聞こえてくる
ホールの、バルコニーの下で…ロングビルは、小さくため息をついていた
舞踏会に出席するつもりには、なれない
ルイズの、力
…きっと、あれは妹が持っているのと、同じような力なのだ
(それじゃあ…ティファニアも、いつか…?)
体が、小さく震える
…いや、大丈夫
舞踏会の音楽が聞こえてくる
ホールの、バルコニーの下で…ロングビルは、小さくため息をついていた
舞踏会に出席するつもりには、なれない
ルイズの、力
…きっと、あれは妹が持っているのと、同じような力なのだ
(それじゃあ…ティファニアも、いつか…?)
体が、小さく震える
…いや、大丈夫
あの子は、己の力の使い方を、ちゃんとわかっているようだった
それに…ティファニアの傍には、あいつがいる
あの子が、呼び出してしまった…あの、男が
だから、大丈夫
きっと、大丈夫だ
ロングビルは、そう、自分に言い聞かせ続ける
それに…ティファニアの傍には、あいつがいる
あの子が、呼び出してしまった…あの、男が
だから、大丈夫
きっと、大丈夫だ
ロングビルは、そう、自分に言い聞かせ続ける
「…ここにいましたか。ミス・ロングビル」
「……?ミスタ・コルベール?」
おや、と
こちらに近づいてきた人影に、ロングビルは小さく首をかしげながら視線をやる
おたおたと、どこか緊張した様子のコルベール
…はて、どうしたのだろうか?
「舞踏会には、出席なさらないのですか?」
「…私は、オールド・オスマンの秘書にすぎませんから」
「や、しかし…」
……?
…あぁ、そう言う事か
何となく、コルベールの意図を感じ取って…ロングビルは、小さく笑みを浮かべた
「それでは…こんな場所で、こんな格好ではありますが。一曲…付き合って、くださるかしら?」
「え…」
ぱぁ、と
わかりやすく、コルベールの頭…じゃなくて、表情が輝く
まったく、わかりやすい男だ
それで、想いを隠しているつもりなのだろうか
(まぁ…そう言う馬鹿正直な男、嫌いじゃあないがね)
…ちょっとした、気まぐれだ
何となく憂鬱な、この気分
晴らすのに、付き合ってもらおうか
「……?ミスタ・コルベール?」
おや、と
こちらに近づいてきた人影に、ロングビルは小さく首をかしげながら視線をやる
おたおたと、どこか緊張した様子のコルベール
…はて、どうしたのだろうか?
「舞踏会には、出席なさらないのですか?」
「…私は、オールド・オスマンの秘書にすぎませんから」
「や、しかし…」
……?
…あぁ、そう言う事か
何となく、コルベールの意図を感じ取って…ロングビルは、小さく笑みを浮かべた
「それでは…こんな場所で、こんな格好ではありますが。一曲…付き合って、くださるかしら?」
「え…」
ぱぁ、と
わかりやすく、コルベールの頭…じゃなくて、表情が輝く
まったく、わかりやすい男だ
それで、想いを隠しているつもりなのだろうか
(まぁ…そう言う馬鹿正直な男、嫌いじゃあないがね)
…ちょっとした、気まぐれだ
何となく憂鬱な、この気分
晴らすのに、付き合ってもらおうか
かすかに、ちくり
…己の正体を隠したままである事に、罪悪感にも似た感情を、感じながら
頭上から聞こえてくる音楽を聴きながら…ロングビル、別名・土くれのフーケ
…そして、本名 マチルダ・オブ・サウスゴータは
目の前の初心な、ちょっと頭髪が寂しい変わり者のメイジを、ダンスに誘ってみたのだった
…己の正体を隠したままである事に、罪悪感にも似た感情を、感じながら
頭上から聞こえてくる音楽を聴きながら…ロングビル、別名・土くれのフーケ
…そして、本名 マチルダ・オブ・サウスゴータは
目の前の初心な、ちょっと頭髪が寂しい変わり者のメイジを、ダンスに誘ってみたのだった