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ラスボスだった使い魔-51a


 ドォ――――ンッ!! ドンッッ!!!
「ななな、何だぁ!?」
 大隊が駐屯地としているテントの一つで簡素な食事をとっていたギーシュは、外からいきなり響いてきた轟音に仰天した。
 驚いた拍子にスープの取り皿をひっくり返してしまい、その中身を地面にくれてやることになってしまったが、今はそんなことはどうでもいい。
 ギーシュはこの突然の轟音に、慌てて立ち上がろうとするが……。
「……落ち着いてくだせえ、中隊長殿。こういう時はむやみやたらに動き回るより、とにかく今の状況を把握することでさ。この場合は、差し当たって上からの連絡を待つことですな」
「う、うん」
 副官のニコラにいさめられ、ひとまずは落ち着くことにする。
 周りを見れば多少ザワついてはいるものの、確かに浮き足立って行動しようとしている人間など一人もいない。
 ……もっとも、そのことでド・ヴィヌイーユ独立大隊の兵士が歴戦の勇士ということになるのか、それともただ単に彼らのやる気がないだけなのかは判別しかねるところではあったけれど。
「しかし一体何だったんだ、今の音?」
「爆発ですな。方向からすると、街の中からのようですが」
「爆発? ……敵襲かな?」
「それでしたら、真っ先にそういう伝令があるでしょう」
「じゃあ、誰かが間違って火薬袋でも爆発させたとか」
「……………、『間違って』だといいんですがね」
「?」
 ギーシュがニコラとそんな会話をしている間にも、爆発音は鳴り続けた。
 しかも途中からは明らかに銃声と思われるものや、複数人の怒号まで混じっている。
「い、一体何なんだ?」
「……………」
「なあ、軍曹……」
 おっかなびっくりしつつ、いい加減に不安が高まってきたギーシュは、せめて外の様子だけでも見てくるべきかとニコラに相談しようとする。
 その時。
「反乱だぁーーーーっ!!!!」
 そんな叫び声が、駐屯地に届いた。
「え?」
 耳に入ってきた言葉が今ひとつ理解出来ず、首をかしげるギーシュ。
 なので、ここは頼りになる副長に尋ねてみることにする。
「……軍曹、今なんて聞こえた?」
「『反乱だぁ』と聞こえましたな。……ああ、それと失礼ですが、耳が悪いってのは戦場に出る人間に取っちゃ致命的ですぜ、中隊長殿」
「あ、うん、すまん」
 思わず素直に謝ってしまうが、それよりもだ。
「反乱って……、あの、反乱?」
「どの反乱かは存じませんが、自分が思うに、これは十中八九『味方が裏切った』って意味かと」
「だよね」
「そうでさ」
 あまりにも現実味がなさ過ぎ、そして突然過ぎる事態にギーシュは今ひとつ実感がわいていなかった。


 ロッシャ連隊、ラ・ロシェーヌ連隊などの街の西区に駐屯していた連隊、および一部のゲルマニア軍が、降臨祭最終日の朝に起こした反乱。
 これによって生じた被害は、以下のようなものである。
 まず、街の至る箇所で起こった爆発、および反乱を鎮圧するための連合軍同士の戦闘によってシティオブサウスゴータの被害は甚大。
 連合軍総司令官のド・ポワチエ将軍、ゲルマニアの将軍であるハルデンベルグ侯爵は戦死。
 これによって指揮系統は大混乱におちいり、連合軍はしばらくの間、現場の人間が場当たり的な対応を取るしか出来なくなる。
 だが対応を取ろうにも、相手は昨日まで笑いながら酒を酌み交わした仲間なのだ。
 躊躇なく攻撃の出来る人間は皆無で、しかも彼らは説得にも全く応じない。
 それどころか反乱兵は一言の会話すらせずに、無表情に淡々と攻撃を加えてくる。
 どうにもならないのでジリジリと退却戦を続けていると、昼前になる頃には市内の防衛線は崩壊。
 市内各地の連合軍は、散り散りになって逃げざるを得なかった。
 そして、サウスゴータ市内の防衛線が崩壊したのとほぼ同時刻。
 偵察の竜騎士から、『ロンディニウムのアルビオン主力が動き出し、こちらを目指して進軍中である』という火急の報が入り……。
 総司令官ウィンプフェン(本来ならば参謀総長なのだが、上の人間が死んでしまったので繰り上がり式に総司令官となった)は、港町ロサイスまでの撤退を全軍に命じることとなる。


「……………」
「……………」
 五万五千人で来た道を二万五千人に減らして、連合軍は敗走していた。
「……………」
 ふとギーシュが周りを見渡してみれば、誰も彼もがこの世の終わりみたいな顔をしている。
 当たり前だ。
 つい昨日まで『我が軍は連戦連勝、このままロンディニウムを包囲して勝利を収めるのは時間の問題』とか言っていたのに、いきなりこの状況。
 おそらくギーシュ自身も似たような顔をしているに違いない。
「……………………」
 言いたいことやら聞きたいことは、山ほどある。
 何でいきなり反乱なんか起こったのか、とか。
 このままだとトリステインはどうなるんだろう、とか。
 何より僕ら自身はどうなるんだ、とか。
 あるいは無性に叫びたくなったり、とか。
「……………………」
 しかし、そんなことやっても何の解決にもならないし、誰が答えを出してくれるわけでもない。
 噂だけなら、ド・ポワチエ将軍自身が反乱軍を組織して裏切った、将軍は戦死した、彼らは未知の魔法で操られている、大金をつかまされた……などなど、どれが本当のことなのか分からないものがそこかしこで囁かれているが、噂の真偽なんかこの際どうでもよかった。
 とにかく、生き延びたい。
 死にたくない。
 全員が、そう思っていた。
「…………ん?」
 何やら騒がしいので後ろを振り向くと、怒鳴り散らした集団が、馬で強引に敗走の行列を割っていくのが見えた。
 その手には武器など持っておらず、何の兵士なのかも分からない。
(……武器は捨ててきたのか)
 何だかなあ、とギーシュは思う。
 『王軍の勝利万歳』、『我らの正義は絶対に勝つ』、『名誉の戦死を遂げてやる』。
 威勢よくそんなことを言っていた連中に限って、我先にと逃げ出している。
「……………………」
 ギーシュは何だかモヤモヤしたものを心に感じ、隣にいるニコラに声をかけようとして…………やめた。
 いちいち喋るのも面倒臭くなってきたというのもあるが、この気持ちを尋ねたところで、お互いにイライラして終わるだけのような気がしたからだ。
「はぁ……」
 溜息を吐く。
 何にせよ、今はとっととトリステインに帰りたい。
 モンモランシーの顔が見たい。ユーゼスのあの感情があるのかないのかよく分からない喋りが懐かしい。ギムリやレイナールなんかとアレコレ下らない話がしたい。
 色々と事件はあったが、それなりに平和だった魔法学院の生活が今は恋しかった。
「……………………」
 ふと自分の胸元を見れば、そこには自分の栄誉を示す勲章がある。
 昨日までは自信を与えてくれたその輝きが、今のギーシュには酷く頼りないものに感じられていた。


 やっとの思いで連合軍がロサイスに辿り着くと、今度は半日待たされた。
 伝わってきた噂によると、トリステイン本国が『こちら側の半数が敵に寝返って、ド・ポワチエ将軍が戦死した。退却の許可をくれ』という報告を全然本気にしてくれず、説得というか請願にそれだけの時間を要したらしい。
 こんな情報が噂レベルとはいえ流布してしまうあたり、もう機密もへったくれもなかった。
 それだけ連合軍の首脳部から末端に至るまでが混乱していると言うことだろう。
 ギーシュは『本国の連中は物分かりが悪い』とイライラを募らせる反面、『そりゃそうだよなぁ』と納得もしていた。
 何せ、当事者である自分たちだっていまだに信じられないんだから。
 報告を聞いて判断するしかない本国のお偉方については、推して知るべしである。
 そうしている内に日も傾き、ストレスを溜めつつもテントの中で撤退のための乗船を待っていると。
 ギーシュの所属するド・ヴィヌイーユ独立銃歩兵大隊の元に、ある命令書が届けられた。
 杖を支えに立つ大隊長のド・ヴィヌイーユは、その命令書を受け取り、熟読した上で……。
「あ、あ~~……、我が栄えあるド・ヴィヌイーユ独立銃歩兵大隊の諸君!!」
 声を張り上げ、兵士たちに呼びかける。
 ギーシュやニコラを始めとした各員は、何事かと大隊長の声を聞くために集まった。
 『順番が最後の方にでも回されたのかな』、などとギーシュはある意味で楽観的なことを考える。
「これより、総司令部より受けたまわった命令を諸君らに伝える!!」
 だが、現実はもっと非情な形で彼らに襲い掛かった。
「……死んでくれ!!」
「え?」


 この命令が出されるに至った経緯はこうだ。
 まず、ギーシュも噂で聞いたようにトリステイン本国が退却を許可するまで半日かかった。
 そして連合軍がノロノロと乗船を始めたタイミングで、偵察に出した竜騎士から報告があったのである。
 曰く、『ロンディニウムから発したアルビオン軍の進軍がこちらの予想よりも早く、このままでは明日の昼にこのロサイスに到着してしまう』とのこと。
 全軍が乗船してアルビオンから脱出するには、どんなに急いでも明後日の朝まではかかる。
 よって、敵軍の足を丸一日ほど止める必要がある。
 そしてその足止め役に、このド・ヴィヌイーユ独立大隊が選ばれた。
 なお、この作戦に関しては撤退も降伏も認めない。
「…………………………」
 ギーシュは開いた口が塞がらなかった。
 向こうは四万、いやこっちから寝返った兵も含めれば七万の大軍団。
 対するこっちは千人ちょっと。
 彼我戦力差は1:70。
 それで丸一日持ちこたえろって、何だそりゃ。
 総司令部は馬鹿なのか?
「……………」
 朝と同じように周りを見てみると、さすがにこのやる気のない大隊にも緊張の色が見えていた。
 と言うか、この大隊でここまで緊張感のある空気って初めてな気がする。
 ド・ヴィヌイーユもそんな空気を察したのか、咳払いをすると更に詳しい説明を始めた。
 ただし、かなり砕けた口調で。
「……まあ、察しのついてる者もおるとは思うが、要はちょこっとでも味方が逃げる時間を稼げってことじゃな! そんで我々が敗れた場合、今度はちょっと離れたところに陣取る別の隊がこの『死守命令』を引き継ぐ!
 つまり、我々は一番最初に切り捨てられたってことじゃ!!」
 ぷるぷると震えつつ、あっけらかんととんでもないことを言ってのける大隊長。
 要するに、戦力を小出しにしていって、その間に本隊が逃げるということらしい。
 もっとざっくばらんに言うなら『トカゲのシッポ切りをちょっとずつ行う』みたいなものだろうか。
 自分たちはそのシッポの先端部というわけだ。


「はぁ……」
 もう何度目になるかも分からない溜息をつくギーシュ。
 トカゲのシッポ切り。
 理屈の上では分からないでもない。
 少数の犠牲で多数を生かすというのは、まあ、取りあえず理に適ってはいる。
 でも、切られて犠牲になる方だって、切られたくないし、犠牲になんかなりたくない。
 かと言って、自分たちがやらなければ他の誰かが切られるだけだし。
 誰もやらなかったら、味方が全滅してしまう。
 今回は、その役が自分に回ってきた。
 それだけの話。
 それだけの話なのだが、やっぱり死にたくはない。
 でも理屈の上では……。
 指定された『防衛点』であるロサイスから50リーグほど離れた小高い丘に向かう途中、ギーシュは丸々一晩を費やしてそんなことを延々と考え続けていた。
 あの大隊長の説明が終わってから、ド・ヴィヌイーユ大隊はあれよあれよと言う間に出撃準備を行わされ、更にロサイスから強制的に追い出されるようにして出撃させられたのである。
 それからギーシュなりに、どうにかしてこの状況を納得しようとしているものの、上手くいかない。
 そして『防衛点』に到着してもうまく納得は出来ず、更にこんなことを考えている間にも敵は迫ってくる。
 ―――ここからロサイス側に10リーグ離れた地点では『第二陣』、そこから更に10リーグ離れた地点に『第三陣』、また10リーグ後ろに『第四陣』がいるとのことだが、そんなことは何の慰めにもなりはしない。
 これはむしろ、自分たちの失敗を見越しての配置なのだ。
 総司令部としては『第一陣』で5時間、『第二陣』で3時間……というように、結果として丸一日の時間を稼げさえすれば、それでいいのである。
「いやあ、貧乏クジを引いちまいましたなあ。副隊長殿」
「…………副長」
 自分の気持ちに折り合いを付けられずにいると、妙に軽い調子のニコラに声をかけられた。
 その顔には、少なくとも表面上は悲壮感も絶望感も漂っていない。
「副長は、その……いいのかい?」
「……ま、兵隊は『死ね』って言われるのも仕事の内ですからな。いつかはこんな日が来るんじゃないか……とは思っとりましたよ、そりゃ」
 なるべくなら来て欲しくはなかったですがね、と肩をすくめながら言うニコラ。
 そう言えば、と思い出す。
 彼は自分が配属されてくるよりも前から、この中隊の副長として働いてきたと言っていた。
 それはつまり、兵士としてそれなりの数の戦場をくぐり抜けてきているということだ。
 ならば今ギーシュが悩んでいることなど、とっくの昔に折り合いを付けているのだろう。
「……………」
 周りを見渡してみれば、ド・ヴィヌイーユ大隊の象徴とも言える老兵たちや、やる気の無い不良兵士たちは、それほど悲壮感を漂わせてはいない。
 さすがに皆無ということはないみたいだが、しかし彼らも彼らで、それぞれ腹は決めているようだ。
 それこそ、とっくの昔に。
 ……そう考えると、自分がえらくちっぽけに思えてきた。
「……はぁ」
 ガックリと肩を落とすギーシュ。
 そんな中隊長に対して、補佐役である副長は、
「……逃げてもいいんですぜ、坊ちゃん」
「!」
 今、彼が最も言って欲しい言葉を、気軽に投げかけた。
 けれど、それは逆に萎えていたギーシュの心を取りあえずでも奮い立たせるきっかけとなる。
「ああ、うん……。……正直に言うと、今すぐにでも逃げ出したいんだけど」
 勝手に騒ごうとする心臓の鼓動を強引に無視して、後から後からわいてくる手のひらの汗を握りしめて、どんどん乾いていく口の中を無理矢理に湿らせて、それでも隠し切れない震えをにじませながら、ギーシュは言った。
「何だか、ここで逃げ出したら、この先ずっと逃げ続けながら生きていくことになりそうでさ。
 ……それに、僕も軍曹と同じ兵士なんだし。仕事の内ってヤツだよ」
 これがギーシュなりに搾り出した結論だ。
 後半部分が目の前の人物からの受け売りというのが、何とも情けないが。
 ニコラは苦笑しながらギーシュの言葉に頷く。
「……それが、坊ちゃん流のやせ我慢の建前ですかい?」
「うん」
 見栄も何もなく、正直にギーシュは言った。
 言った直後で何だが、これは建前だ。
 こういうカッコよさげな建前でもなければ、とても命がけの意地なんて張ってられない。
 やせ我慢をするにも、意地を張るにも、理由ってのは必要なのだ。
「でも、一応は本音なんだぜ?」
「分かっとりますよ。こじつけだろうが馬鹿馬鹿しかろうが、支えは必要ですからな」
 やっぱり見透かされてたか。
 ま、この期に及んで、いちいち虚勢を張る必要もない。
 ギーシュとニコラは妙に締まりのない空気のまま、大隊長に指定された地点へと中隊を率いていく。
「……………。大変ですな、貴族ってのも」
「まあね」
 朝もやの向こう、静かな地響きをともなって現れる大軍団を眺めながら、二人はそんな会話を交わすのだった。


 朝もやが徐々に晴れていき、朝日に照らされ、そして距離が近づいてくるに連れて、敵の輪郭がだんだんとハッキリしてくる。
 横に広がってはいないのでそれほど多い人数には見えないが、その後ろに大量に控えている軍団も合わせれば七万の大軍になるはずだった。
 銃兵、槍兵、弓兵。
 魔法を使うメイジ。
 大砲、機関銃。
 オーク鬼、トロル鬼、オグル鬼などの亜人。
 竜、ヒポグリフ、マンティコア、グリフォンなどの幻獣に乗った騎士。
 あとは何だろう。
 ああ、幻獣とかじゃなくって、馬に乗った兵士もいるだろうなぁ。
「はぁ……」
 ギーシュはまた溜息をつくと、もう恐怖も虚勢も昂揚もない、淡々とした口調でニコラに話しかけた。
「軍曹」
 そしてニコラもまた、淡々とそれに応える。
「何ですかい、中隊長殿」
「死にたくない」
「自分もでさ」
「そうか。……うん、安心した」
「結構なことで」
 それきり黙って、二人はボンヤリと七万の兵を眺める。
 そしてアルビオン軍の先頭集団が、ド・ヴィヌイーユ大隊の前方500メイルにまで接近したところで、
「てえーーーーーーーーーーっっ!!!!」
 大隊長の号令が響き、大隊の銃歩兵たちが一斉に銃弾を発射した。
 ……ド・ヴィヌイーユ大隊が使用している火縄銃の有効射程は、最大で500メイルほど。
 確実に殺傷能力を発揮させたいのならば、50メイルほどには距離を詰める必要があるだろう。
 ではどうしてそんな有効射程ギリギリで銃撃を開始したのかと言うと、それは敵の出鼻をくじくためであった。
 効果が薄くとも構わない。
 こちらの目的は足止めなのだから、この銃撃で僅かなりとも怯んでくれれば……。
 そんな期待を込めた銃撃。
 しかし。
 敵の足は多少の怯みこそ見せたものの、停滞するには至らなかった。
「だぁ~っ! 効果なしだぁ!!」
「いや、効果はあったようですが……コイツは……、ああクソ、成程」
 望遠鏡で敵軍の様子を観察していたニコラは、今の銃撃の結果について何とも判別のしにくい感想を漏らす。
 ギーシュはそんな副官に対し、即座に質問した。
「どういうことなんだ、軍曹!?」
「……ヤツら、先頭をオーク鬼やオグル鬼なんかの亜人で固めてます。連中の分厚い皮膚じゃ、届くか届かないかの威力しかねぇ銃弾なんざ、それこそ豆鉄砲みたいなもんでしょうよ」
「う……」
 つまりは頑丈で、知能が低いが故にあまり怯むこともなく、なおかつ別に消耗したところで直接的な被害にはカウントされない戦力。
 そんなのを先頭に置いているということか。
 確かに、先頭集団と言えば真っ先に敵と戦い、そして真っ先に命を落とす可能性が高い、捨て駒みたいな役割である(捉え方にもよるが)。
 ある意味、亜人には最適のポジションと言えよう。
 引っ掛かるのは、名誉を重んじるハルケギニアの貴族が『一番槍の栄誉』をそんな亜人連中に譲ったということだが……。
 まあ、アルビオン軍の行動がよく分からないのは、今に始まったことでもない。
 それに『合理的』という面だけを見てみれば、この布陣はある意味……。
「か、賢いな」
「敵を褒めても何も出ませんぜ。……しかしその亜人の後ろにいる連中は、さすがに人間みたいですな。後続のヤツらは止まっとるようです」
 マトモな人間なら、銃撃音が響けば警戒くらいはする。
 ましてや今は戦争中で行軍中だ。
 あっちも連合軍側からの襲撃くらいは少なからず考えているはずで、足を止めて状況の確認くらいはするだろう。
 おそらく今頃はメイジの使い魔の……鳥か何かがこっちの布陣を見つけて、その視界を主人に提供しているに違いあるまい。
「これだけでも足止めは…………えっと、どのくらい出来るんだろ?」
「ま、少なくとも丸一日ってことはないでしょうな」
 そりゃそうだ、とギーシュは肩を落とす。
 まあいい。
 時間を稼ごうが稼ぐまいが、どっちにしろ自分たちの生存は絶望的なのだ。
 ……自分で思ってて悲しくなってきたけど。
 何はともあれ、当面の敵は銃弾にも怯まず進んでくる亜人たちの集団だ。 
 それじゃあ、せいぜいより多くの時間を稼いで……。
 と、その時。
 ピキッ……
「?」
 どこかで聞いたような音が響く。
 何だったか。
 硬いものにヒビが入った音に似た、この音は―――
 ゴッッッ!!!!!
「げぇっ!!?」
 続いて地震が発生。
 ギーシュの中で、嫌な予感が加速度的に膨れ上がっていく。
 この現象は覚えている。
 地震のないアルビオンで発生する地震。
 そして、この後に起こるのは……。
 ―――ゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッ!!!
 地面から赤紫と青、二つの結晶のようなモノが突き出してきた。
 前回は赤紫の結晶だけで、せいぜい膝から下くらいのサイズのものがほとんどだった。
 だがが、今回は赤紫と青の両方で、小石サイズから2~3メイルほどまでと大小さまざまである。
(……前にアルビオンに来た時に見た『青い結晶』って、やっぱりコレか!)
 シティオブサウスゴータでは『赤紫と青は同じものなのか分からない』とか考えたが、両方いっぺんに出て来られたらもう同種のものだと認定するしかない。
 ユーゼスやエレオノール女史にこのことを話したら、研究対象として喜びそうだなぁ。
 …………いやいや、そんなことを考えている場合ではなくてだ。
 地震、結晶の出現、と来れば、次に来るのは、
 ヴンッ!! ヴンッ!! ヴンッ!! ヴンッ!! ヴンッ!! ヴンッ!! ヴンッ!!
「やっぱりそう来るかぁ……」
 大量の赤い光と共に、『アインスト』と呼ばれる異形の怪物たちが現れる。
 まるでアルビオン軍と自分たちの間に、割って入るかのように。
 しかし今回は、前回に比べてべらぼうに数が多い。
 種類こそ『骨』、『ツタ』、『鎧』、『魚』と前回と同じだが、その総数はハッキリ言って桁違いだ。
 その数は……ざっと……いくつくらいだろうか。
 ウジャウジャウジャウジャとひしめき合っていて、数えるのも馬鹿らしい。
 むしろ怪物の数なんて、数えたくない。
 って言うか。
「前回といい今回といい、何で僕たちが亜人と戦おうとするとコイツらが出て来るんだ!!?」
「タイミングを見計らってたのかも知れませんなぁ」
「だったらもうちょっと早く出て来て、アルビオン軍を足止めしててくれよ!!」
「自分に言われましても。……ま、あのバケモノが何考えてるのかなんざ知ったことじゃありませんが、これで少なくとも足止めが出来る時間は増えましたか」
「……………」
 それは、確かにそうだ。
 これだけの数のアインストが現れれば、さしものアルビオン軍だって、もしかしたら丸一日くらいの足止めを食らってくれるかもしれない。
 ただし。
「ま、我々がここで死んじまう確率も跳ね上がりましたけど」
 それは、このアインストの群れがアルビオン軍だけを狙ってくれた場合であって。
 そんな都合のいい展開は……。
『グォォォオオオオオ……!』『グゥゥゥウウウウウウ……!』『ガァァアアアアアァァ……!』『オォォォオオ……!』『…………ァァア!』
「ないよな、やっぱり!!」
「そりゃそうです!」
 アルビオン軍と、ド・ヴィヌイーユ大隊の両方に等しく襲い掛かってくるアインスト。
 ギーシュはそれに対抗するためにバラの造花を構え、ニコラは中隊員たちに攻撃の指示を出した。


 ―――『レコン・キスタ』の台頭に始まり、アルビオン王家の瓦解、アルビオンのトリステイン領タルブへの侵攻、トリステイン・ゲルマニア連合軍とアルビオン軍によるアルビオン本土での戦い。
 後の世において『レコン・キスタ戦争』、あるいは単純に『アルビオン戦争』と呼ばれることになる、この一連の流れ。
 その最終局面は、こうして混沌の度合いを深めていく。


「♪~~♪~♪♪~~~♪」
 ラ・ヴァリエールの屋敷の近くの小道を、ハミングしながら歩くカトレア。
 ここ最近の彼女は、非常に機嫌がよかった。
 ついこの間までの塞ぎ込みぶりが、嘘のようである。
「ふふ……うふふふっ」
 左手首にキラリと光る鎖状のブレスレットに視線を移すと、思わず笑い声があがってしまう。
 ユーゼスからの贈り物。
 他の誰も持っていない。
 私だけのもの。
 これはユーゼス本人にもしつこいくらい確認したのだから、間違いない。
「♪~~~♪♪~~♪」
 そしてこれを身につけていると、いや『これを手に入れた』という事実だけで、何だかもう居ても立ってもいられなくなって、こうして外に軽い散策に出たのだ。
 まあ、ユーゼスや医者からも『健康のためには少しくらい軽い運動をした方がいい』と言われているし。
 いくら自分が病弱だとは言え、こうして屋敷の近くをちょっと歩くくらいは何の問題もない。
 それに、この散策には別の目的もある。
 むしろそっちの『別の目的』の方がメインと言うか。
 まあ、そんな大げさなものではないのだけれども。
 しかし決して大げさ過ぎもしないと言うか、でも……いや、ちょっと待って。
 落ち着きましょう。
 まずは深呼吸。
 すぅ……。
 ……はぁ。
 よし、落ち着き終了。
 そしてふと視線を左手首に移せば、そこには銀色に光る―――
「……うふふふっ」
 おっと、いけない。
 落ち着ききれてないじゃない。
「…………どうしましょ」
 ―――そう、今回のカトレアの目的はまさにそれ。
 落ち着くことだった。
 テンションのクールダウンと言ってもいい。
 何せ、今日は週に二回の『診察の日』なのである。
 もう数ヶ月にも渡って続けられていることなので、する方のユーゼスとしても、される方のカトレアとしても慣れたものだったが……いや、慣れているはずだったのだが。
 今回はその慣れた行為が問題だった。
 だって、肌を晒すのである(主に背中だけだが)。
 そして、その肌を直に触られるのである。
 ちょっと誇張した表現をすれば、まさぐられるのである。
 いつもならそれに対して身体的だけではないくすぐったさやら、気恥ずかしさやら、決して少なくない幸福感やらを感じるだけで終わる。
 けれど。
 今は気分がとっても高揚、ありていに言えば幸せ気分でハイテンション。
 こんな幸せな気持ちでいつもの『診察』をされてしまったら、自分はいったいどうなってしまうんだろう。
 ユーゼスに晒して、
 ユーゼスに見せて、
 ユーゼスに触れられて、
 ユーゼスに撫でられて、
 ユーゼスにまさぐられたりしたら、
 もう。
 ああ、もう。
 ホントに、もう。
「…………きゃっ」
 顔を赤らめて頬を両手に当てつつ、身体をくねらせるカトレア。
 普段は全くと言っていいほど表面には出ないが―――と言うよりも最近になって芽生えてきたものではあるが、このあたりがルイズの姉で、なおかつエレオノールの妹たる所以であった。
 ともかく。
 そういうわけで、落ち着かなければならない。
 このままではドキドキしすぎて倒れてしまうか、最悪の場合は心臓発作が起こりかねない。
 心拍数を少し上げるだけでも、病弱なカトレアの身体には害悪となる。
 迂闊にドキドキしたり、ときめいたりも出来ないのだ。
「我ながら、難儀な身体ね……」
 溜息をつきつつ、意識してゆっくり歩くカトレア。
 まあ、幸いにして今は冬だ。
 朝の空気もあいまって、頭を冷やすには持ってこいのはず。
 診察の予定は午後だが、それまでにはぜひ落ち着いておきたい。
 それがダメなら、せめて心の準備だけでも……。
 ……などとカトレアが考え始めた、その時。
 ヴンッ!!
「え?」
 カトレアの目の前に、いきなり赤くて丸い石が現れた。
 本当にいきなりである。
 何の前触れもなかった。
「……?」
 大きさは……片手で持つには大き過ぎて、両手で持つにはちょうど良いくらい。
 ちょっと不謹慎な表現だが、人間の頭ほどだ。
 そして最大の特徴は、その大きさでも、ましてや『赤』という色でもなく、
「浮かんでる……」
 宙に浮いているのである。
 何だろう、風石の一種か何かだろうか。
 赤い風石なんて聞いたこともないが。
「……ユーゼスさんか、エレオノール姉さまなら分かるかしら?」
 二人とも学者だし、特に姉はアカデミーで始祖の聖像を作ることを仕事にしているのだから、鉱石には詳しいだろう。
 あるいは持って帰ったら、ユーゼスとの話のタネにもなるかもしれない。
「……………」
 それにしても……本当に、きれいで、真っ赤な石だ。
 宝石と言っても通用しそうなほど、きれいで。
「…………、…………………」
 その輝きを見つめていたら、何だか自然と、宙に浮かぶ赤い石へと足が進んだ。
 とても赤い。
 赤い。
 紅い。
 まるで血のように。
「…………ぅ…………」
 ふらふらとした足取りで、赤い石へと歩を進めるカトレア。
 石は、まるで脈動するかのようにしてゆるやかな赤い明滅を繰り返している。
 その輝きは、
 赤くて、
 紅くて、
 とても、あかくて。
 思わず近づいて、手を伸ばしてしまいそうに―――
「………………、ぁ」


「―――――」
 ラ・ヴァリエールの屋敷。
 あてがわれた部屋の中で、ユーゼスはジッと目を閉じていた。
 別に眠っているわけではない。
 瞑想しているわけでもない。
 複雑な思考や計算に埋没しているわけでもない。
 何かに悩んでいるわけでもない。
 ……特にやることが無いので、ただ無為に過ごしているのである。
「―――――」
 酷く無駄な時間の使い道ではあるが、今のユーゼスにやることが何も無いのは事実である。
 それにユーゼス自身、このような時間を貴重に感じていた。
 何もせずに過ごす。
 考えることすら放棄する。
 なんと愚かしく、贅沢で、素晴らしいことか。
 一分一秒、一瞬たりとも停滞してくれない時の流れを、自分という存在は今、思い切り無駄に消費し続けているのだ。
 過去の自分を振り返ってみると、自分はいつも急いでいた。
 生前のウェールズ・テューダーの言葉ではないが、『生き急いでいた』と言っていい。
 銀河連邦警察科学アカデミー、大気浄化、ギャバンなどの宇宙刑事との仕事、地球への派遣、光の巨人、決定的な失敗と挫折、瀕死の重傷、因果律の研究・操作、イングラムとの戦い…………特に地球に赴任して以降は気を休めた覚えがない。
 このあたりで一息いれても、誰も文句は言わないはず。
 えらく年寄りじみた考えだが、実際に自分の実年齢は年寄りなので別にいいだろう。
「―――――」
 そんな風に激しくもゆったりとした時の流れを感じながら、ユーゼスはまた思考と行動を停止させ、

「!」

 停滞を楽しもうとした矢先に、自分の脳に埋め込んであるクロスゲート・パラダイム・システムが反応した。
「これは……空間転移か」
 反応はアインストのものが二つ。
 どうやら、二箇所でほぼ同時に現れたらしい。
「……………」
 アインストが二箇所に現れた。
 それだけならば、別にどうでもいいことだ。
 だが今回のその『二つの反応』は、どちらも通常とはやや異なっていた。
 一つは、アルビオンに現れたもの。
 今までにもアインストはアルビオンに……と言うよりも、ここ最近はアルビオンにしか現れていないかったのだから、その点はいい。
 問題はその数である。
 システムが弾き出した累計転移数は、2071。
 つまり、2071体のアインストがアルビオン大陸に出現したということになる。
 これは今までにない規模だった。
「……ふむ」
 …………今までに無い規模だが、だからどうした、ということもない。
 アルビオンのことは、アルビオンのこと。
 今現在トリステインにいる自分に関係がないのならば、構うまい。
 ハルケギニア人のことはハルケギニア人が解決するべきであって、自分のような存在は露骨な干渉を行うべきではないのだ。
 アインストが自分に襲い掛かってくるなりすれば、その時には対処するが、それだけである。
 まあ、アルビオンの方は放置で良かろう。
 問題はもう一つの反応だ。
「……………」
 こちらの転移数は、1。
 転移の規模も、アルビオンに現れた一つ一つに比べてえらく小さい。
 小型のアインストでも現れたのか。
 ……それだけならばアルビオンのものと同じく放置するのだが、これは出現した場所が大問題である。
「この屋敷から、歩いて行ける距離に出現しただと?」
 そう。
 出現地点はトリステイン、ラ・ヴァリエール領内。
 それも今現在、自分がいるこの屋敷から目と鼻の先の場所だった。
「……あからさま過ぎる」
 これまでにも何度か『絶妙なタイミング』で事件が発生したことはある。
 例えば自分が召喚されて間もなく、付与されたガンダールヴのルーンの性能を試すかのようにして、ギーシュ・ド・グラモンや『土くれ』のフーケのゴーレムと戦闘を行うことになったこと。
 それから時間を置かずにアルビオンへと行かされることになり、その道中でシュウ・シラカワと遭遇したこと。
 ジェットビートルを使えるようにすれば、それを活用しろと言わんばかりにアルビオン軍がタルブへと攻めてきたこと。
 惚れ薬の解毒薬を作るためにラグドリアン湖で水の精霊に会って、『アンドバリ』の指輪の話を聞かされた直後に、その指輪の力で甦った死者と戦ったこと。
 20年前のダングルテール事件の主犯であるジャン・コルベールが魔法学院で働いており、それと鉢合わせるようにして被害者のアニエス・シュヴァリエ・ド・ミランがトリステイン王宮より派遣され、更に事件に少なからず関与していたメンヌヴィルまでもが現れたこと。
 これらの『事件の連続性』に対して、ユーゼスも前々から怪しんではいた。
 しかし、これらの事件は連続性はあっても関連性は薄い。
 極端な話、『偶然』の一言で片付けてしまっても問題はないのである(とは言え、無視の出来るものでもないが)。
 だが。
 今回のアインストの出現は、明らかに何者かの意思を感じる。
 特に、ラ・ヴァリエールに転移してきた方だ。
 自分もアインストについて全てを知っているわけではないが、確かアレは『自分たちが求めるもの』の前に堂々と出現し、襲撃することはあっても、このようにコソコソと隠れるようにして出現したことはないはず。
「…………ふむ」
 何にせよ、ここで考え込んで解決する問題ではなさそうだ。
 ユーゼスはクロスゲート・パラダイム・システムを起動させ、自身を立方体のエネルギーフィールドに包むと、空間転移を行った。
 行き先はもちろん、ラ・ヴァリエールに転移してきたアインストの転移地点である。


 ロマリア大聖堂の地下に設けられた一室。
 アルビオンに出現した赤と青の鉱石が、壁や床を侵食するようにしてひしめき合っているその場所で、ロマリア教皇ヴィットーリオ・セレヴァレは一人、笑みを浮かべていた。
「フ……フフフ、順調ですね」
 今回、ヴィットーリオがヴァールシャイン・リヒカイトを使って行った二つの行為には、それぞれ重要な意味があった。
 まずアルビオンに出現させた、おおよそ2000体ほど(指示を下したヴィットーリオも発生させたヴァールシャイン自身も、正確な数は把握していない)のアインスト。
 四ケタ規模でのアインスト発生が、実際に可能と判明したことは大きな意味がある。
 あとはこれをヴァールシャインを中継して自由自在に操れるようになれば完璧だが、今の段階でさすがにそこまでは無理だ。
 ヴァールシャインの話では、そもそもアインストには『群体』として見境なく暴れるだけならば問題はないが、特定個人の意識を反映させるとなると相当な慣熟が必要になるらしい。
 現在のヴィットーリオでは、せいぜい1体か2体程度のアインストの『行動の方向性』を定めるだけで精一杯だとか。
 まあ、これはいい。
 コツコツと訓練を重ねることにより、操作可能な数をそこから徐々に増やせばいいのだから。
 操作は結局、不可能だった……ということになっても、エルフ本国にアインストを出現させ、適当に暴れてもらえばよかろう。
「さて……」
 ある意味、これよりも重要なのは『もう一つの方』である。
 カトレア・イヴェット・ラ・ボーム・ル・ブラン・ド・ラ・フォンティーヌ。
 ラ・ヴァリエール家の次女……トリステインの『虚無』の担い手の姉である彼女をこちら側に引き込んだことは、大変喜ばしい。
 家族全員を支配下に置くという案もあるにはあったが、あまり派手に動くのは避けたいし、何よりもあのカトレアという女性はトリステインの『虚無』に対してかなり大きな影響力を持っている。
 ならば、彼女一人で十分だろうと判断したのだ。
 身体が弱いのが気にかかったが、そこは『治療』……いや『再生』をほどこして解決した。
 これで彼女は健康体。
 むしろ感謝されてしかるべきである。
 まあ、こちらからの『指令』には強制的に従ってもらうことになるが……。
 ともあれ、これで彼女を通じてトリステインの『虚無』を操作することが出来るはずだ。
「フフ……、達成しなければいけないことはまだまだ山積みですが、今は一つ一つこなしていくとしましょう……」
 今のところは順調に進んでいる自分の計画。
 ヴィットーリオはそれに対して満足げな笑みを浮かべると、アルビオンに発生させたアインストを通し、更に使い魔であるヴァールシャイン・リヒカイトを中継して、戦場の様子を見守り始めた。


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