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ソーサリー・ゼロ第四部-09

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三六四

 君が船長に加勢すると、カリンは渋面をつくる。
「しかし、今は一分たりとも時間を無駄にすべきでは……」
 カリンがそう言いかけたところで、ルイズとキュルケが甲板に上がってくる。
 ルイズは寝ぼけまなこをこすりながら、君に向かって
「なんだか騒がしいけど、どうしたの? ……まさか空賊とか?」と問いかける。
 君は違うと答え、手短に事情を説明する。
「それじゃあ、早く助けに向かわなきゃ!」
 ルイズはぱっと顔を上げ、一マイルほど先に浮かぶ船を見つめる。
 船そのものの姿は闇の帳(とばり)に包まれて判然とせぬが、それでも、くすぶる炎の輝きははっきりと見える。
「いいの、ルイズ? 今は大事な任務の真っ最中なのに、寄り道なんかして」
 キュルケの言葉に、ルイズは
「なに言ってんの。目の前に困っている人たちがいるのに、見て見ぬふりなんてできるわけないでしょ」と返す。
「貴族とは民を守り、救いの手を差し伸べるもの。そうでしょう、カリン殿?」
 ルイズに同意を求められたカリンは幾分ぎこちなくうなずくと、その場を離れる。

「距離九百メイル……八百八十メイル!」
「進路そのまま!」
「発光信号に応答なし!」
 『ロリアン』号の甲板に、船員たちの駆け回る足音と号令が鳴り響く。
 船に関してまったくの素人である君たちは所在なさげに舷側に立ち、相手の船を眺めている。
 やや離れた場所にカリンがぽつんと立っているので、声をかけてみることにする。
 カリンは君を認めて会釈すると、小さく溜息を漏らす。
「まさかあの子に、貴族としての心構えを諭されることになろうとは……」
 ルイズたちに聞こえぬよう、小声で言う。
「祖国の命運の懸かった重大な任務を受け、久々に第一線に立ったということで、わたくしは少し気負いすぎていたのかもしれません。
今はまだ、肩の力を抜いていたほうがよさそうですね。しかしこの先、非情な決断を下さねばならない時が来るかもしれません。
あなたやわたくしはともかく、ルイズにそのような事ができるかどうか」
 カリンは君をじっと見つめる。
 君は笑みを浮かべ、ルイズは非情に徹しきれないだろうと言う――彼女は、姉のカトレアに似て性根が優しいから、と。
 カリンは視線をルイズへと転じ、
「それが命取りにならねばよいのですが」とつぶやく。四三二へ。

四三二

 近づくにつれ、火事を起こした船の様子がはっきりと見えるようになる。
 それは『ロリアン』号よりやや小型の商船だ。
 火は消し止められたものの、いまだ甲板には黒煙が立ちこめている。
 帆やマスト、船体に目立った損傷はないようだ。
「こちらはトリステインの『ロリアン』号だ! 助けは必要か!?」
 船長が舷側越しに大声で呼びかけるが、答えはない。
 乗組員たちの姿は煙の間から見え、こちらの存在にも気づいているようなのだが、何の反応も示さぬのだ。
 彼らは甲板の上にいくつか置かれている、覆いをかけられた荷物の周りに集まり、手持ち無沙汰そうに突っ立っている。
「あいつら、耳がなくなっちまったのか?」
 船長はいらだたしげにうめくと、新たな指示を出す。
「もっと寄せろ! 接触ぎりぎりまで近づくんだ!」
 二隻の船の間隔は三十五フィートたらずとなる――横向きに突き出した翼のような帆が、互いの船腹を突くほどの近さだ。

「どうしたのかしら」
 ルイズは首をかしげる。
「こっちに気づいているはずなのに、何も言ってこないなんて。まるで≪サイレント≫の魔法をかけられたみたい」
 キュルケは目を細め
「なにか嫌な予感がするわね……」と言うと、
胸元に差した杖を引き抜く。
「ルイズ、あなたも杖を構えておいた方がいいわよ。何が起きても、すぐに対応できるようにね」
 カリンも同じように身構えているのを見たルイズは、急いでその言葉にしたがう。

「おい、返事をしろ! どうしたんだ!」
 何度目かの呼びかけに、ようやく答えが返ってくる。
「ああ、聞こえてるぜ。こっちはアルビオンの『ヴァルチャー』号だ」
 そう言ったのは、太鼓腹を抱えた髭もじゃの大男だ。
 堂々とした態度からみて船長か上級の船員のようだが、あまり身なりはよくない。
「いったい何があった? どうして我々の呼びかけを無視したんだ?」
 船長の問いに、大男は答える。
「待っていたのさ」
「何をだ?」
「……てめえらが充分に近づくのをだ!」
 その言葉とともに、荷物の覆いがぱっと取り払われる。
 出てきたのは木箱や袋ではない。
 台座の上に横たえられた、黒光りする金属製の円筒――大砲だ! 五七二へ。

五七二

「空賊!」
 誰よりも早く事態を理解したカリンが身を翻そうとした瞬間、大男は
「動くな!」と大音声で一喝する。
「そっちにメイジが三人いるのはお見通しだ――騎士がひとりに女がふたり。魔法を使ってみろ、大砲に込められた葡萄弾(ぶどうだん)が、てめえらを甲板の染みに変えちまうぞ」
 得意げにそう告げると、口の端をにっと歪める。
 大砲は全部で五門あり、そのすべてが君たちに向けられているのだ。
「卑劣な……」
 カリンが悔しげにうめいて杖を下ろすと、ルイズとキュルケもそれにならう。
「当たらなくていいときに限って当たっちゃうのよね、あたしの予感って」
 キュルケは溜息混じりにつぶやき、ルイズは
「なんなのよ、もう! あんなやつらに構ってる暇はないのに……」とあせった口調で言う。 
「さて、貴族の皆様がたには杖を捨ててもらおうか!」
 大男は命じる。
「おっと、甲板に置くんじゃねえぞ。船縁(ふなべり)から下へ投げ捨てろ! 杖はお屋敷に帰ってからゆっくり新調するこった!」
 ルイズとキュルケは互いに顔を見合わせる。
 ここで杖を失ってしまえば、任務の遂行はおろか、空賊から逃げることすら不可能となるだろう。
「早くしねえか!」
 大男の怒声に促されるように、カリンはゆっくりと舷側へ向かうが、その途中、小声で
「隙を作ってください――敵は、あなたがメイジとは知りません」と言う。
 今の言葉は明らかに、君に向かって告げられたものだ。
 望むなら術を使ってもよいが、術が失敗した場合、結果は悲惨なものとなるだろう。

 YAZ・六三五へ
 KID・六〇七へ
 FOG・七八二へ
 JIG・六九七へ
 SUN・六六九へ

 どの術も使えない、あるいは使いたくないなら一二九へ。

六九七

 体力点一を失う。
 竹笛を持っているか?
 なければこの術は使えない――一二九へ。

 あるなら、吹き鳴らしながら術をかけよ。
 たちまち、大男とその周囲に立つ手下たちはぶざまに踊りだし、どすどすと甲板を踏み鳴らす。
 その様子を見た残りの空賊たちはあっけに取られ、つかの間、君たちに対する注意を怠る――ほんの数秒のことだが、
≪烈風のカリン≫にとってはそれだけで充分だ。四一六へ。

四一六

 カリンはすばやく呪文を唱えると、横薙ぎに杖を一振りする。
 一瞬のうちに巻き起こった凄まじい突風が『ヴァルチャー』号を襲い、船体を大きく傾け、甲板の上のあらゆる物を吹き飛ばす。
 人間はもちろん、何百ポンドもの重さがあるはずの大砲までもが宙に舞い、夜の闇の彼方へと消えていくのだ!
 君たちの乗る『ロリアン』号も帆に風を受けてぐらりと揺れたため、何人かの船員が倒れこむ。
 ルイズも小さな悲鳴を上げてよろめき、尻餅をつきそうになるが、とっさに手を伸ばした君が彼女を抱き止める。
「あ、ありがとう……」
 恥ずかしげに礼を言うと、ルイズは空賊の船へと視線を戻し――唖然とする。
 『ヴァルチャー』号の甲板には、もはや何も残っていない。
 吹き荒れる突風は人や物はおろか、帆やマストをも一掃しており、船がまだ浮いているのが不思議なほどの状態だ。
 カリンの操る≪風≫の魔法の圧倒的な威力に、誰もが言葉を失う。
「船長」
「は、はいっ!?」
 恐るべき力を見せ付けたその当人に呼びかけられ、船長はすくみ上がる。
「空賊船の中には生き残りが居るはずです。すみやかに捕えねば」
「も、もちろんです騎士様!」
 船長は何度もうなずくと、
「奴ら船の真横につけろ! あと、武器を用意しろ! 捕虜を縛る縄も忘れるな!」と指示を出しつつ、
逃げるようにその場を離れる。

「≪烈風≫が来たと聞いただけで、ゲルマニア軍があわてて撤退してしまったって話……今なら信じられるわ」
 キュルケの言葉に、君は同意を示す。
「何があっても敵には回したくないわね……味方としては頼もしいことこの上ないけど。それにしても、
カリン殿さえいれば≪レコン・キスタ≫の軍勢なんて、簡単に蹴散らしてしまえるんじゃない? ロンディニウム塔まで一直線に突き進めたりして」
 君が、いくらなんでもそれはないだろうと言うと、キュルケは
「ふふっ。冗談よ、冗談。なんにせよ、ラ・ヴァリエール家とはこの先もずっと、仲良くやっていきたいものだわ」と言って、
困ったような笑みを浮かべる。二〇六へ。

二〇六

 『ロリアン』号の水夫たちが、縛り上げられた十人ほどの捕虜を引き連れて空賊船から戻ってくる。
 捕らえられた空賊たちは、そのいずれもが頭や手足に傷を負っているが、水夫たちはまったくの無傷だ。
「簡単でしたよ」
 水夫長が、カリンと船長に向かって意気揚々と報告する。
「この悪党どもは皆、床に倒れてのびていましたからね。抵抗する気力の残っている奴なんて居やしません」
 君は、空賊たちが負傷した原因を悟る――カリンの術が船を揺らしたため、彼らは壁や床に手ひどく叩きつけられたのだろう。

「火と煙で遭難船をよそおい、救助のために近づいた船を襲う――これが、この連中のお決まりの手口だったようです。
卑劣きわまりない奴らですよ」
 空賊たちの尋問を終えた船長が、怒りの収まらぬ様子でカリンに告げる。
「何隻もの船にだまし討ちをかけ、自分たちのやり口を世間に知られないよう、捕らえた乗組員や乗客は皆殺しにしてきたに違いありません。
へたをすれば我々もそうなるところでした……人でなしの屑どもめ!」
「それでは、彼らはわたくしたちの任務とは何のかかわりもないのですか」
 船長とは対照的に、カリンの態度は冷ややかだ。
「足止めのために、襲撃をかけてきたわけではないのですね?」
「は、はい。そのようです」
 船長は困惑気味の顔で答える。
「では、取り調べはこれで終わりにしましょう。彼らを船倉に閉じ込めておきなさい。ロサイスの港で法官に引き渡し、裁きを受けさせるのです」

 船倉へと引っ立てられる空賊たちを眺めながら、ルイズがぽつりとつぶやく。
「なんて幸先の悪い……」
 そう言った彼女の面持ちは、暗く不安げだ。
「まだアルビオンに降り立ってもいないのに、もう危険な目に遭うなんて……先が思いやられるわ」
「心配性ね、ルイズは」
 キュルケが微笑みかける。
「空賊に襲われはしたけど、カリン殿とダーリンのおかげで、怪我人のひとりも出さずに済んだじゃないの。あたしたちには、
危険を乗り越え任務を成功させるだけの、実力と運があるって事が証明された――そう考えればいいんじゃない? 前向きにいきましょうよ」
「前向きを通り越して能天気じゃない、そんなの」
 ルイズがあきれたように言う。
 キュルケは声をひそめ、
「つまらない事を気にしてもしょうがないってことよ。どうもあなたは真面目すぎるわね……お母上に似て」と言い、
少し離れた所で船長と話し合うカリンの方を、ちらりと見やる。

「船長によると、あと三時間ほどでロサイスの港に着くとのことです」
 カリンが君たちに告げる。
「予想もしない出来事で足止めを食いましたが、遅れはわずかなものです。騒ぎもこれ以上は……」
 言葉はそこで途切れる。
 息せききった様子の水夫が
「船長、密航者です! 密航者を見つけました!」と叫びながら、
甲板に駆け上がってきたからだ。
 思わぬ報せを受けて、カリンは眉をひそめ、君とルイズは目を見合わせる。
 キュルケはあきれたようにかぶりを振り、こうつぶやく。
「あたしに続いて、今度はルイズの予感が当たっちゃったみたいね……ほんと、先が思いやられるわ」と。三一一へ。

三一一

 船員たちが、彼らより頭一つぶん小柄な人物を連れて甲板に上がってくる。
 『密航者』は、黒い長衣に身を包み頭巾を目深に被っているため、その容貌はさだかではない。
 船員のひとりが報告する。
「空賊どもを船倉に放り込もうとしたところ、中に先客――このただ乗り野郎が居たんでさぁ」
 そう言って、『密航者』を顎でさす。
「急な出港が決まって大慌てでしたからね。そのどさくさにまぎれて、忍び込みやがったんでしょう」
 杖を抜き、油断なく身構えたカリンが
「何者です、顔を見せなさい」と静かに命じると、
『密航者』はその言葉に従い、頭巾を引き下ろし――君たちを愕然とさせる!
 頭巾の下に隠されていたのは、切りそろえられた栗色の髪、白い肌、青い瞳……その美貌は、君にとって見知らぬものではない。
「ひ、ひ、姫さま!?」
「そんな、嘘でしょ!?」
「なぜ、このような場所に!?」
 ルイズ、キュルケ、カリンの三人が口々に叫ぶ。

 思いもよらぬ出来事にうろたえる船長と船員たちは、カリンの命令を受けて持ち場に戻る。
 今、この小さな船室でアンリエッタ王女のそばに居るのは、君たち四人だけだ。
「姫殿下、ご説明いただけますね」
 カリンが言うと、アンリエッタは力なくうなずき、ためらいがちに口を開く。
「わたくしは……どうしても、どうしても我慢ができなくて……」
 王女は涙ぐむ。
「あのお方に、ウェールズさまに、せめて一目だけでもお会いしたかったのです。この機をのがしては、もう二度と会えないような気がして……」
「ウェールズ……アルビオンの皇太子殿下に?」
 いぶかしげな表情を見せるカリンとキュルケに、君は、ふたりの若き王族が恋仲であったことを説明する。
「おとなしい箱入りどころか、まるで正反対だったみたいね」
 キュルケが君に寄り添い、耳打ちする。
「愛のために生きる、情熱と行動のお方じゃないの――もうちょっと時と場所は選んでほしかったけど」
「ラ・ロシェールまでわたくしたちを見送りに来てくださったのも、アルビオン行きの船に便乗するためだったのですね」
 カリンが責めるような口調で言う。
「そして、仮病を使って姿をくらまし、この『ロリアン』号に忍び込んだ……今頃、ラ・ロシェールでは大騒ぎになっていることでしょう」
「ああ、お許しください、カリン殿!」
 アンリエッタは両手で顔を覆う。
「あなたたちを利用するつもりは、大事な任務を邪魔するつもりは、ありませんでした。ただ、わたくしがウェールズさまにお会いしに行くには、
こうする他なかったのです!」
 君は、昨日の夜にルイズから聞いた、王女の言葉を思い出す。
 アンリエッタはルイズにこう言った――「あなたの代わりに、わたくしが≪虚無≫の担い手だったらよかったのに。もしそうなら、
わたくし自身でウェールズさまをお助けさしあげることができたのに」
 今になって君は、この言葉の裏に秘められた意味を理解する。
 王女は、危地に飛び込むルイズを気遣い、憐れむと同時に、うらやんでもいたのだ。
 当のルイズは王女から目をそむけ、考え込むような表情をし、一言も喋らないでいる。

 カリンは大きく溜息をつくと、
「とにかく、姫殿下には即刻、トリステインに戻っていただかなくてはなりません」と告げる。
「で、でもカリン殿」
 青い瞳に涙を湛えつつも、アンリエッタは言い返す。
「アルビオンまでは、あとわずかのはず。今さら引き返すわけにもいかないでしょう?」
「そのような事は、言われずとも承知しております」
 カリンの冷たい声に怒りの色が混ざり、そのただならぬ雰囲気に、君は血が凍るような思いをする――ルイズとキュルケも同様だったらしく、
ふたりは同時にびくりと身じろぎし、ぴんと背筋を伸ばす。
 静かだが尋常ではない怒気をまともに浴びたアンリエッタは圧倒され、口もきけぬようになる。
「船がロサイスに入港しても、姫殿下は降りることまかりなりません。この『ロリアン』号は風石を補給しだいすぐに、
ラ・ロシェールへと戻ることになります……わかりましたね?」
 哀れなほどに萎縮しきったアンリエッタは、弱々しく答える。
「は……はい……」二八〇へ。

二八〇

 夜明けの光に照らし出されるアルビオンの姿は、以前に君が見た時とは大きく様変わりしている。
 天空を漂う大陸を包んでいた神秘的な雲と霧は、どす黒い煙と雷雲に取って代わられており、不吉な印象を受ける。
 煙は大陸全体を覆っており、晴れることはない。
「うそ……」
 ルイズが、信じられぬといった表情をする。
「あれが、あの美しかった『白の国』だなんて。いったい、何が起きたっていうのよ?」
「これじゃ『黒の国』に改名しないとね」 
 キュルケが茶化すように言うが、口調とはうらはらに、その表情は不安げなものだ。
「カーカバード国のメイジたちの仕業でしょうか?」
 カリンの問いに、君はうなずく。
 ≪タイタン≫の魔法使いたちにとって、天候を操る術は未知のものではない――これほど大規模なものは、君も見たことがないが。

 君たちのもとへ船長がやって来る。
 彼の疲れ果てた顔を見た君は、新たな厄介ごとを予期して心の中で身構える。
「ロサイスまであと五リーグですが、問題が起きました」
 君は、スラングよ呪われろ、と小声で悪意の神を罵る。
 空賊の襲撃や王女の密航だけでは、まだ苦労が足りないとでもいうのだろうか?
「ロサイス市街の一角から、火の手が上がっております。私もこの目で確認しましたが、それが敵の攻撃なのか、
それともただの火事にすぎないのかは不明です」
「それで?」
 驚いた様子もなく、カリンは先をうながす。
「ロサイスの安全が不確かな以上、進路を変更し、別の港へ向かうべきかと。幸い、風石にはまだ余裕があります。北に変針して、
ガリア軍が占領しているダータルネスに向かってはどうでしょう」

 仲間たちの意見は二分される。
 カリンとキュルケは、このままロサイスに入港すべきだと主張する。
 迂回していては貴重な時間が失われてしまうし、仮にロサイスが敵襲――≪門≫が使われているかもしれない――を受けているとしても、
自分たちの力をもってすれば突破できるはずだ、と。
 一方、ルイズは船長に賛同する。
 ロサイスが襲撃されているとすれば、君たちだけではなく、『ロリアン』号やそれに乗るアンリエッタ王女までもが、
危険にさらされることになる、とルイズは言う。
 アンリエッタも何か言いたそうにしているが、カリンににらまれ、すごすごと引き下がる。
 どうやら、君の発言で船の針路が決まることになりそうだ。
 どちらの港へ向かう?

 ロサイス・一四四へ
 ダータルネス・三〇七へ


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