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ゼロのチェリーな使い魔-19



「な、何だっていうんだい!?今の光は!」
フーケは不発に終わった『テレポ』の魔法に慌てふためいている。ゴーレムの肩に座っているので
自身も巻き添えを食らったと勘違いしたのである。
体が五体満足で意識もはっきりしていることを確認するとふぅ、とため息を吐き
「只のハッタリかい!」
「いや。単に失敗しただけだ。先陣の傭兵は恐らくこの魔法の餌食になったのだろう。油断はするな」
宿の中にいるフリオニール達を罵倒したが、仮面の男が落ちついた口調でフーケを諭す。
「厄介なモンを召還したものだよ、あの小娘は」
「心配せずとも俺があの小僧を始末する。お前は残りの二人を片付けろ」
フーケと仮面の男は分担して敵を仕留める作戦に出ることにした。

一方、宿の中でフーケ退治の準備をするフリオニールは
「とりあえず二人には魔法をかけておくよ」
ゴーレム対策としてキュルケとタバサに『ブリンク』の魔法の単体がけを唱えた。
ギーシュとの決闘以降、時間を見つけては『ブリンク』の鍛錬をしていたので(ギーシュに
分身を見破られたのが悔しかったのだろうか)熟練度は3に上がっていた。
本体を含めて計4体になったキュルケとタバサ。
「ダ、ダーリン、この魔法は私達にも使用できるわけ?」
「あれ?言ってなかったっけ?」
キュルケは『偏在』もどきを使えるようになり驚きながら
「ま、まさかこの分身も魔法を使えたりするの?」
「残念だけど敵の攻撃を分散させるだけの目くらましなんだ」
『ブリンク』の効果を再確認した。そして、自身にこの魔法をかけようとしないフリオニールに疑問を抱き
「ダーリンは自分にこの魔法を使わないの?」
「俺は大丈夫。デルフとアイスシールド装備で正攻法で戦うよ。あのデカ物、スピードは
 大したことないし命中率も低いから」
不安そうな目を向けたが、フリオニールはそれを払拭するように爽やかな笑顔で応えた
(本音は単に『ケアル』と『レイズ』用にMPを温存したいだけなのだが)。
「俺はフーケとゴーレムをやるからキュルケとタバサは仮面の男を頼む!」
フリオニールは床に落ちているアイスシールドを拾い上げて装備し二人に作戦を指示した。
「よっしゃ!今朝の鬱憤を晴らすときがきたぜ!」
「頼むよ、デルフ」
背中のデルフリンガーを抜刀し窓から外へ飛び出したフリオニール。
その後ろにキュルケ、タバサと続き分散してゴーレムの元へ接近する。
フリオニールがデルフリンガーを振り上げゴーレムの足に一太刀を入れようとした次の瞬間、

「貴様の相手はこの俺だ!」

仮面の男がひらりとゴーレムの左肩から飛び降り、素早くルーンを詠唱すると
「『ライトニング・クラウド』!」
男の周辺から稲妻が発生しフリオニールに打ち付けた。
間一髪アイスシールドでガードしたがこの盾は炎耐性の為、電撃は通過してしまう。
左腕に激痛と痺れが走り握力が弱まってしまったフリオニールは敢え無くアイスシールドを
手放してしまった。
仮面の男はすかさず『レビテーション』の魔法を使いアイスシールドを拾い上げ左手に
装備すると、自身を標的にして飛んできたキュルケの『ファイアー・ボール』を防いだ。
舌打ちして悔しがるキュルケを傍目にタバサが間髪入れず『ウィンディ・アイシクル』の
魔法を上空から放つがゴーレムの左腕が仮面の男を庇った。
ゴーレムの左腕が音を立てて崩れ去る間に仮面の男は風を操り優雅に地面に着地する。

フリオニールはデルフリンガーを一端地面に突き刺し
(あれは『サンダー』か!?)
フリーになった右手で酷い火傷を負った左腕に『ケアル』の魔法をあてがいながら敵の
魔法熟練度の高さに舌を巻いた。
「あの電撃をくらって意識があるなんて化け物か、こいつは!」
フーケは一心不乱にゴーレムの右足を上げて手負いのフリオニールを踏み潰そうとする。
ゴーレムの影に気付いたフリオニールは急いでデルフリンガーを抜き取ると迫り来る
足裏を突き刺した。ひび割れができるゴーレムの足裏。
隙ができたフリオニールを見てチャンス到来と仮面の男が急接近を試みるがタバサの
『エア・シールド』の魔法に阻まれた。
フリオニールは仮面の男が自身を執拗に狙ってくるので黙らせるべく痺れの残る左手を
男へ向けて差し出し『サイレス』の魔法を唱えた(熟練度2)。
仮面の男は眼前の『エア・シールド』を除けるべくタバサに『ライトニング・クラウド』を
放とうとするがルーンを詠唱する途中で言葉がつかえてしまった。
おかしいと思いつつ再びルーンの詠唱を試みるがどもってしまう。フリオニールの『サイレス』が一足早かった。
仮面の男はフリオニールの魔法にしてやられた、と舌打ちし
「俺は魔法を封じられた!いったん身を引く!先に例の酒場で待っている!」
男は身を翻し駆け足で戦場から身を引く。
フーケはキュルケの『ファイアー・ボール』をゴーレムの右腕でガードしながら
「ち、ちょっと!あたしはどうすればいいのさ!?」
「好きにしろ!」
困惑の表情を浮かべて仮面の男に抗議した。
キュルケとタバサはそうはさせまいと『ファイアー・ボール』と『ウィンディ・アイシクル』で
仮面の男を襲撃するが射程距離外だった為あえなく空打ちとなってしまい、まもなく仮面の男は
暗闇の中に消えていった。

(ああ、俺のアイスシールド・・・)

フリオニールはディストの洞窟探検以来愛用してきた盾をわけのわからない仮面の男に
持って行かれて泣き顔になった。いくらアルビオンへ持っていけないとはいえ見ず知らずの
人間にタダ、でプレゼントするほどお人よしではない。この借りは必ず返す、と固く誓い
眼前のゴーレムの足裏を勢い良く切り裂いた。
「へへ、どうだい相棒。俺っちの切れ味はよ」
「いいね。デルフは只のロングソードじゃないみたいだ」
「当たり前よ!」
フリオニールは相棒を掲げてその威力を称えた。とはいっても『ミスリルソード』クラスの
攻撃力だとは思うが。
いつの間にかゴーレムは左腕を再生し左右の拳でキュルケとタバサに襲い掛かるが『ブリンク』が
功を奏して攻撃が本体に全く当たらない。
フーケはヴァリエールの使い魔のみならずこの小娘二人も『偏在』のような分身をまとって
いることに激しい焦りを感じていた。
この男は何者なのか?一時期、魔法学院内で『先住魔法』と噂されていたこの魔法であるが
実はフリオニールという名の青年は『始祖ブリミル』の生まれ変わりなのではないか?
フーケはそんなことがあってたまるか、とその着想をかなぐり捨ててゴーレムの右足を
上げてフリオニールを踏み潰そうとした。
「その手には乗らないぞ!」
フリオニールは軽やかな身のこなしでそれを避けるとゴーレムの膝下を相棒でなで斬りにした。
ひびが入ると脆くも崩れ去るゴーレムの膝下。
そうこうしている間にもキュルケとタバサの魔法がフーケを狙い飛んでくる。
防戦一方となったことと仮面の男が戦線離脱したこともあり虚脱感が一気に全身を駆け巡るフーケ。
「どいつもこいつも・・・ふざけるんじゃねえぇぇぇ!」
フーケは生気を失くした目から一転、悪酔いした酔っ払いのような座った目つきで絶叫すると
逆ギレしてゴーレムの両腕をブンブンと振り回し始めた。
突然の絶叫に一瞬怯んだキュルケの本体に運悪くゴーレムの拳が直撃する。
勢い良く吹き飛ばされ宿の壁に背中を打ちつけると力なくずるずると地面に倒れた。
「キュルケ!」
フリオニールは急いで『ケアル』を唱えてキュルケの回復をするが起き上がる気配がない。
「『レイズ』!」
上空から天使が舞い降りてきてキュルケの頭を撫でた後、タバサが駆け足でキュルケの
元へ寄って抱き上げて介抱をした。
フリオニールは俯いてわなわなと震える。左手の紋章がまばゆい光を放つのをフリオニールは
その時初めて目にした。先程の痺れが和らいだが今はそんなことを考える暇はない。
振り下ろされたゴーレムの右拳をデルフリンガーで切りつけて落とし
「デルフ、休んでてくれ」
「って、お、おい!なにするだー」
相棒を鞘に納めると一呼吸置いて
「ギーシュといい人形使いは拳が相当好きみたいだな」
意味不明(?)なことを言い指の骨を鳴らして一心不乱にゴーレムに殴りかかった。
足元からだるま落としの要領で粉々になるゴーレム。紋章の影響なのか火事場のバカ力か
『ちから』のステータスがMAXの99になったフリオニールの両手素手(熟練度4)の
破壊力を味わったゴーレムはあっという間に頭部のみとなってしまった。

よろけながらも必死に地面に着地したフーケはフリオニールと対峙し
「あたしの負けよ。さぁ、好きにしな!」
降参宣言をしたが相手は無言だ。
「・・・なんで殺さないんだい?」
フリオニールは頭を振る。
「・・・一緒に帝国・・・レコン・キスタと戦おうだって!?あたしみたいなはぐれ者とかい?・・・」
フーケは思い悩み唸り声を上げる。
「いや・・・レコン・キスタはどうでもいいんだけど、もう悪さをしないって約束してくれ!」
フリオニールは激しくデ・ジャヴを感じていたがフーケが今度は心から反省していると
感じ取り許すことにした。
「ダーリンは甘いのよ」
タバサの肩につかまり重い足取りでフリオニールの元へやってきたキュルケはかすり声で反対した。
「キュルケ!無事でよかった・・・」
戦友の無事に安堵してほっとするフリオニールは思い出したように
「ところでフーケ、あの仮面の男は何者なんだ!っていうかアイスシールドを・・・」
フーケに未練がましく愛用の盾の行く末を問い質した。
「・・・言えるわけないじゃないか。あの男には一応恩があるんだ」
フーケはそっぽを向いて返答した。
「バカ!ダーリンだってあんたの命を救ったじゃない!」
キュルケは頑固なフーケに今にも飛び付きそうな勢いで食って掛かった。
「・・・どうしたらいいのかわからないのさ!こんな世界に生まれちまったせいでさ!」

フーケはそう言い捨てると駆け足でこの場を去っていった。



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